音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2010年09月25日
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テーマ: ラテン音楽(411)
フォルクローレとポップの融合


 ソレダー(Soledad)ことソレダー・パストルティ(Soledad Pastorutti)は、アルゼンチン北東部のサンタ・フェ地方カシルダ市出身のフォルクローレ/ポップ・シンガー、女優。1980年生まれで、15歳の若さで活動を開始し、1996年にはファースト・アルバム『ポンチョ・アル・ビエント』をヒットさせた。

 これまでのところ彼女のアルバムで筆者が唯一聴いているのが本作『祖国への愛(Yo sí quiero a mi país)』である。アルバムとしては4作目に当たり、この頃に女優として映画にも登場し始めている。本アルバムの特徴は、キューバ出身の音楽プロデューサー、エミリオ・エステファン( グロリア・エステファン の夫としても知られる)がプロデュースを担当した点で、最初はエミリオがアルゼンチンまでソレダーに会いに行き、その後、彼女を米国マイアミのスタジオに呼んでレコーディングされた。その結果、本アルバムはソレダーにとって初のインターナショナル・ヒット作になり、本国アルゼンチン以外に、ウルグアイ、パラグアイ、チリ、ペルーといった近隣南米諸国ばかりか、メキシコ、米国さらにはスペインでもセールスを挙げることに成功した。特にペルーでは同国出身の大物歌手 タニア・リベルター と並ぶ扱いだったという。

 収録曲の曲調はいずれも伝統音楽フォルクローレをベースにポップな味付けが加えられたものである。母国アルゼンチンへの愛をテーマとした表題曲の1.「祖国への愛(ジョ・シー・キエロ・ア・ミ・パイス)」や、同じく母なる大陸への感情をテーマにした8.「アメリカの心(コラソン・アメリカーノ)」(注:ここでの“アメリカ”というのは米国ではなく米大陸の意味)といった情緒に富んだ詞の曲が個人的には気に入っている。またアンデスの伝統楽器サンポーニャ(シークともいい、葦の管が複数並んだもの)やチャランゴ(ギターもしくはマンドリンのような形状の小型の弦楽器)といった民族楽器が効果的に使われているのもいい。

 アルゼンチンの国内事情はよく知らないが、想像するに、10代の小娘が伝統音楽をポップに仕上げてヒットさせたことへの批判もきっとあったのではないだろうか。フォルクローレの愛好者やその分野の側からは、こんなのはフォルクローレではないという意見もきっとあったことだろう。けれども、若くてチャーミングなスターが現れてフォルクローレ的サウンドを若者の間に流布してヒットさせ、なおかつ国外(特に南米大陸を越えてメキシコやスペインや米国)でもセールスを上げたことは重要だと思う。おかげでアルゼンチンの伝統音楽の要素がいままでそういう音楽を聴かなかったリスナー層にまで広まったことの功績は大きい(何を隠そう筆者もその一人というわけだ)。10代の少女がアルゼンチン性を前面に出してインターナショナルなヒットを飛ばしたのだからあっぱれというべきだろう。ジャケット記載の謝辞が印象的で、“神に感謝”から始まり、家族や関係者への謝辞の後、次のように結ばれている。“ARRIBA ARGENTINA!!! (porque… yo sí quiero a mi país) アルゼンチン万歳!!!(なぜなら私は祖国を愛しているから)”。



[収録曲]

1. Yo sí quiero a mi país

3. Cómo será
4. Mi consejo
5. Luna mía
6. Mi bien
7. Amarraditos
8. Corazón americano
9. Un amigo, una flor, una estrella
10. De la mano
11. El humahuaqueño
12. Popurrí de candombes

1999年リリース。






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