音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2012年07月16日
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テーマ: 洋楽(3396)
円熟のコーエン、初めて聴く人にもおすすめ


 1934年生まれのカナダの詩人・シンガーソングライターであるレナード・コーエン(Leonard Cohen)。筆者は初期の“クラ~い”作品たち(と言うと語弊があるけれど、いきなり勧められた人の気持ちになってみれば、この表現もあながち大外れではない)も好きなのだが、あまりそちらばかり勧めると拒否反応を示されるのではないかとの恐れがある。そこで、今回はもう少し後の、いわば“円熟期”にあたるコーエン作を紹介してみようと思う。90年代にリリースされた唯一のスタジオ盤『ザ・フューチャー』を取り上げたい。

 このアルバムは、コーエンのスタジオ作としては通算9枚目となる。曲のテーマも雰囲気もどれも重い。英語がよくわからなくてもその重さは伝わってくるのだが、英語の詞を理解すればなおのことそうなのだろう。筆者の英語力でもって、部分部分の詞がわかる程度に過ぎなくても、十分のヘヴィである。例えば、アルバム表題曲の1. 「ザ・フューチャー」 。これは本アルバム収録の2.とともにオリバー・ストーン監督の映画『ナチュラル・ボーン・キラーズ』で使用された曲でもある。この曲では、“~を返しておくれ”という詞が続くが、その“~”の部分に入るのは、ベルリンの壁、スターリン、さらにはHiroshima(広島)だったりする。最後には、“自分は未来を見てきた。それは殺人だ”と締めくくる。表題曲がこの調子というだけで、“未来”という表題にも関わらず、その内容が何とも重苦しいものだという様子がイメージしてもらえるのではないか。

 その一方でサウンド面では初期のコーエンと違い、いかにも弾き語り的な部分は少ない。荘厳なアレンジや孤独感を盛り上げる女性ヴォーカルなどがバックから聞こえてくる。詞がわからなくても雰囲気が伝わる…と述べたのは、この演奏面の盛り上げが一役買っているためだと感じる。コーエンの詩だけを淡々と楽しみたい向き(コーエン上級者?とでも言えばよいだろうか)には耳障りな部分もあるかもしれない。けれども、初めて聴いて見ようという向きには、こっちの方がとっつきやすい(というか、まだとっつきやすい)ように思う。

 とまあ、全体のイメージ的の概略みたいになってしまったけれど、1984年作の 『哀しみのダンス(Various Positions)』 なんかと並んで、最初にレナード・コーエンに触れてみるにはバランスのとれたよい作品だと思う。もちろんコーエンにひたすら弾き語り的なものを求めるのでなければ、単独の作品としてもよくできているお勧め作と言える。



[収録曲]

1. The Future

3. Be for Real
4. Closing Time
5. Anthem
6. Democracy
7. Light as the Breeze
8. Always
9. Tacoma Trailer

1992年リリース。




Leonard Cohen レナードコーエン / Death Of A Ladies' Man / Recentsongs / The Future 輸入盤 【CD】






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Last updated  2016年12月29日 17時31分14秒
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