音楽日記　～ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言～

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2016年06月29日

B・B・キング＆エリック・クラプトン　『ライディング・ウィズ・ザ・キング（Riding with the King）』

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テーマ： The Blues(7)

カテゴリ：洋ロック・ポップス

　B・B・キング（B. B. King）は1925年生まれで昨年（2015年）に亡くなったブルース・ギタリスト、シンガー（参考過去記事はこちら）。そんな“ブルースの王様”が、エリック・クラプトン（Eric Clapton）と共演して話題となったのが、2000年リリースの『ライディング・ウィズ・ザ・キング（Riding with the King）』というアルバムだった。

　ジミー・ヴォーンのほか、クラプトンの当時のバンドがサポートを務め、クラプトン所属のレーベル（Repriseレーベル）からリリースされるなど、クラプトン側で舞台が用意され、B・B・キングの有名曲などが収録された。そうした状況によるのか、収録内容は基本ブルースでありながら、べったりブルースではない部分も残している。生粋のブルース愛好家にはきっとここに不満が残るだろうけれど、逆に言えば、それが本盤の売り上げの要因にもなったのだろう。

　でもって、内容はというと、おそらく多くの人はB・B・キングの偉大さを発見もしくは再認識するものだろうと思う。ギターはもちろんのこと迫力のあるヴォーカルも、である。クラプトンは歳月とともに丸くなっていった（90年代以降はもはやバラードシンガーと揶揄する音楽ファンもいる）のに対し、B・B・キングは尖っている。良くも悪くもこの二人の対照がきちんと音に表れたアルバムと言えるかもしれない。

　おすすめ曲をいくつか挙げておきたい。本盤のテーマ曲的に冒頭に置かれた1.「ライディング・ウィズ・ザ・キング」。ジョン・ハイアットの曲のカバーで、しかもこのレコーディング用に歌詞の一部を作者自身が書き換えたという。B・B・キングの有名ナンバーとしては、2.「テン・ロング・イヤーズ」、10.「ホエン・マイ・ハート・ビーツ・ライク・ア・ハマー」が個人的にはいい。あと、ぜひ注目したいのは、12.「カム・レイン・オア・カム・シャイン」。「降っても晴れても」の邦題で知られるスタンダードで、ジャズにおいてもよく取り上げられるナンバーだが、この手の盤としてはこういうことをちゃんとやっているのがよい。これら2人の共演というと、誰しもがブルースをキーワードに捉えるだろうが、このナンバーでは2人のそれとは異なる側面をさらりと見せることに成功している。

　ちなみに、当時のキングは75歳だったわけだけれど、現在のクラプトンもその老境に近づきつつある（現在71歳）。クラプトンが75歳になった時、キャリアを重ね大御所になった後輩と共演することがあるかもしれない。だとすれば、クラプトンはそれをどういうアルバムに仕上げるだろうか。先ほど上で述べたことを考えれば、この共演盤におけるB・B・キングとは全く違った対応をするであろうことは想像に難くない。でも、いつかそんなアルバムにクラプトンが参加したなら、それはそれで聴くのが楽しみになりそうだ。

［収録曲］

1. Riding with the King

3. Key to the Highway
4. Marry You
5. Three O'Clock Blues
6. Help the Poor
7. I Wanna Be
8. Worried Life Blues
9. Days of Old
10. When My Heart Beats Like a Hammer
11. Hold On! I'm Coming
12. Come Rain or Come Shine

2000年リリース。