音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2016年12月20日
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カテゴリ: ジャズ
隠れた名クリスマス曲選


 ケニー・バレル(Kenny Burrell)は1931年生まれの米国のギタリスト。1950年代後半から1960年代半ばに主要な吹込みを残しているが、その後も多くの録音をしており、今なお85歳で存命中の大御所ジャズ・ミュージシャンである。そんな彼が1966年秋に録音したのが、この『ハヴ・ユアセルフ・ア・ソウルフル・リトル・クリスマス(Have Yourself A Soulful Little Christmas)』というアルバムで、カデット(かつてのアーゴ、この数年前に改名)レーベルに吹き込まれた作品である。

 ジャズの世界というのは、何だか難しいものという印象を与えるようなことが多いが、落ち着いて作品を見ると結構節操のないものを出すこともある。売れっ子ギタリストをリーダーにしてアレンジものでクリスマス盤を出す、それも表題が「ハヴ・ユアセルフ・ア・メリー・リトル・クリスマス」のもじりでだったりするというのも、そんな路線にすら見えてしまう。実際、リラックス・ムードでクリスマス休暇を彩る音楽としても聴ける盤だと思う。

 表題が“ソウルフル”だけれども、決して泥臭いというほどでもなく、ケニー・バレルらしい“ブルージー”な演奏で、かつイージー・リスニングな雰囲気の中でクリスマスの有名曲が奏でられていく。アレンジは、ベーシストでアレンジャーのリチャード・エヴァンス(2014年に死去)が担当している。具体的な演奏者の情報がないのだけれど、しっかり練られたオーケストラのアレンジの上で、ケニー・バレルのギター演奏がさらりといい味を出しているというのが全体的な印象である。あと、アレンジャーがベース奏者なせいかベースの音が実にしっかりしている。

 ここまでの拙文だと、何だか軽いアルバムというイメージを持つ方もいるかもしれないけれど、決してそうではない部分もある。有名なクリスマス曲が多く収録されているけれども、例えば6.「ホワイト・クリスマス」は、短いながらもブルージー・バレルそのまんまのフレージングが非常に印象的。12.「メリー・クリスマス・ベイビー」は、もともとR&B系のソウルフルなナンバーだが、ジャズ+ソウルがうまく体現されているように思う。それから、何よりも忘れてはならないのが、クリスマス曲ではないのに本盤に収録されている3.「マイ・フェイヴァレット・シングス」。文句なしにケニー・バレルのギターの本領が発揮され、見事な盛り上がりを見せる。ここだけはクリスマス盤とは関係ない雰囲気になっているが、決して聴き逃せない好演となっている。


[収録曲]

1. The Little Drummer Boy
2. Have Yourself a Merry Little Christmas
3. My Favorite Things

5. Mary's Little Boy Chile
6. White Christmas
7. God Rest Ye Merry Gentlemen
8. The Christmas Song
9. Children Go Where I Send Thee
10. Silent Night
11. The Twelve Days of Christmas
12. Merry Christmas Baby


[録音・パーソネル]

Kenny Burrell (g), Richard Evans (arr) 
1966年10月録音。





【輸入盤】Have Yourself A Soulful Littlechristmas [ Kenny Burrell ]




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Last updated  2016年12月20日 07時30分57秒
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