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人世はせでもよき事を日夜血道を上げて為す熱狂の巷なり。実際為さねばならぬ事は一生を通じて甚だ稀なり。
2026年07月27日
富達なれば友人俄 (にわ) かに多く殖 (ふ) え来たり。貧窮すれば自ら親族さえ一人もなくなり行くものなり。人生の真趣を味わんと欲すれば 寂寥 (せきりょう) の裡に閉居せざるべからず。
2026年07月27日
7月26日(日曜)、12時30分予約で散髪をした。4400円だった。
2026年07月26日
四十、五十、六十歳の老人は、時に自ら首を廻らして背後の人を仰ぎ見ることだ。つまり年齢の順に応じて自分の頭脳の低いことが自覚される。
2026年07月26日
人生は畢竟(ひっきょう)夢だ。夢の連続が五十年だ。夢中の人が自ら醒めた顔して他の夢中の人を叱る。それを仮に教化と云い指導と称する。夢中の是非、是非共に非なり。要するに夢は醒めざる間のみ真実だ。幸福は夢に酔うた人の理想郷であり、夢より夢に移る生活は人間最善の愛楽境だ。真実は何処に求めてか在る。宇宙の神秘は唯(た)だ夢の一字に収まる。畢竟地上には夢のみ真実なのだ。夢より醒めることは真実の堂より出でて詐欺の街に入ることだ。夢、夢、夢。
2026年07月25日
「人事を尽くして天命を待つ」とは万人の云いふるした陳腐な句だが、依然として真実だ。「人間の力」には限度がある。それも極めて薄弱なものだ。もがくだけもがいた後は唯 (た) だ茫然として天を仰ぐ。自然に順ずる。成行に任す。事実としてそうするより外に術も方法もない。誰か一寸前の吉凶を知り得るものぞ。闇の世の手探り、それが人生の現実だ。
2026年07月24日
どのみちモウ暫くだとする意識、それが耐らなく人を寂しがらせる。忍び寄る死の影、それが時として、人を猛然たる勇気に奮い立たしめる。行先の短かいものが 福 か、青春の血に燃ゆる人が幸か。
2026年07月23日
山は霞を隔てて望むべく、緑は雨を過ぎて観るべし。畫 (え) の妙趣は畫 (えが) かざる処に存し、美人の美は半面を現わしたる処に在り。人生の百事万物皆此理に外れじ。
2026年07月23日
人は年来の重荷を卸した時、ホット一ト息吐く。重荷は実は当人の花であった。重荷を卸したと同時に彼はその肩から輝きの花を奪われていた。人生の行路日一日に荒れて行くも悲し。
2026年07月23日
女を離れては世に警句なく、金を外して人に格言はない。即 (すなわ) ち生殖と生存の二大要求の実現である。
2026年07月22日
総てを許したい心と苟 (いやしく) も許したくない心と、何人をも抱擁したい心と一言の恨 (うらみ) にも復讐したい心と、世間の嘲笑罵倒にも怯 (おび) えない心と、一人の陰口にすら戦々兢々たる心と。何時までも生きて行きたい心と、今直ぐ殺されたってチッとも悔いない心と、朝から晩まで自分で自分を苦しめ、自分で自分を慰める。
2026年07月22日
将 (まさ) に一段を登り始むるものと、既に九段を登り終りたるものと、一は俯 (ふ) し一は仰ぎ、而 (しか) して互いに相嘲 (あいあざけ) る。斜に架せる梯子、是れ「人と云う猿」の累進する一條路なり。
2026年07月22日
長女より桃とハウス栽培のミカンが届いた。いつもありがとう。
2026年07月21日
朝には罪と絶ちて自ら清く、夕には復 (ま) た罪と親しみて自ら酔う。奮然覚むるも吾、昏然眠るも亦吾、而 (しか) して五十年は終る。
2026年07月21日
人生は戦いだ。戦い得ざるものは生きる権利のないものだ。何事にも何人にもグングン戦って行くことだ。必ずしも勝たんがための戦ではない。時非なれば潔く敗れるるは亦一の勝利だ。唯 (た) だ戦いさえすれば好い。戦のみが人生の真実だ。
2026年07月21日
老人に恵まれた一特質は「忘れッぽくなる」ことだ。而 (しか) して、身外の総てに忘れッぽくなることは即 (すなわ) ち自己を確かと覚えたからだ。生命短縮に襲われた恐怖は自己以外の何物をも視られなくなるのだ。腑抜けのように忘却三昧に入ったら、初めて「老境の完成」とでも云われるのだろう?。
2026年07月21日
一年の計は後半歳にある。人の一代も亦後半生に定まるのだ。「後の半分」は即 (すなわ) ち或る意味での全部だ。「半分の全部」を解せずして何事も論ぜられない。静かに長い眼を開け、前半生の功罪をに依 (よ) って人の全価値は決せられない。
2026年07月20日
誰人も自ら立てる王座の本来価値を疑って見ることが必要だ。伝統の衣は食うために着用し、個性の真面目は生活の外に厳存し得るとするか。食うことが全部なれば人生は一つの食道楽に過ぎず。若 (も) し死の岸頭に立ちて静かに自己の声を探るの時、汝の一生は終に如何。
2026年07月20日
彼は既に泣くだけ泣いた。絞るだけ絞った。今は泣くことすら笑わねばならなくなっている。涙線既に枯れて瞼すら干乾びている。声を上げて泣く人を見れば贅沢の如くにも感じ、潜々たる涙に隠れた人に接すれば余裕のようにも思われる。人生の深刻味は、底の底に徹すれば或る色彩を以て軽快に浮び出るものだ。
2026年07月19日
明日も知らぬ命なればこそ若い時に老後の計を策すべきだ。命旦夕迫って尚、老後を養う平安の床なきものは、その生存は即 (すなわ) ち他人に厄介をかけることだ。
2026年07月18日
知人より知人を追うて走るものは死の旅だ。幾度するも 曾遊 (そうゆう) の地には新発見に接し得ない。常に未知へ未知へと入るものは新しい生命に生きる。
2026年07月18日
迷い迷いて終に最初の一歩に帰り、疑い疑いて終に第一の印象に戻る。哲学にあらず科学にあらず、唯 (た) だピンと来る直覚の初一念、先ず十の八九までは人生の真実なるが如し。
2026年07月18日
人間の完成とは 老耄 (ろうぼう) の代名詞だ。六十を過ぎて役に立たなくなると「円熟」の名に於て葬られるのだ。電車の乗降時に「危い」とて背後から手で支えられる。それは骨董破損の防備だ。老衰、廃物、円熟、完成、要するに同意義だろう。
2026年07月17日
人間界に起る事は大抵は高の知れたものだ。最後は法律に訴える。最後の最後は命の興奪だ。それさえ覚悟して居れば地上に恐るべき事は一ツもない。
2026年07月17日
剣の笠を 冠 (かむ) らされても生きる時には生きねばならぬ。針の 筵 (むしろ) に坐らされても死ねない時には死ねないものだ。
2026年07月16日
九十九枚の絵を焼棄てる意気あるものにして初めて会心の一枚が掴まれるのだ。しかし焼棄てられた九十九枚は決して無意味の犬死を遂げたものではない。その一枚一枚が即 (すなわ) ち尊い犠牲なのだ。九千九百九十九個の捨石、それが青海原に埋葬されてこそ、初めてあの一條の突堤が水上高く築かれているのだ。五十年の一生涯 を捨石として朽ちるものあって初めて次の堅牢なる新社会が生れ出るのだ。
2026年07月16日
人 生 日 録 男
2026年07月15日
男性に向って婦女子のようだと云ったら、忽 (たちま) ちムーッとして「侮辱するナ」なんかと怒る。けれども、なんという美しい髪、顔色の白い方だろう。「男にして置くには惜しい」と云えば野郎忽ち得意がって喜ぶ。ことほど左様に男は甘ッたるいものだ。
2026年07月15日
「家」というものの生活を保障するために外に出でで真っ黒に働く男よりも、「妻」の機嫌を取るために部屋掃除を手伝う男が重宝がられる。
2026年07月15日
彼女は自ら淫蕩を 恣 (ほしいまま) にすべく保護色として結婚をした。来客の前には主人の掌の上の寶玉 (ほうぎょく) の如く歓待して見せる。愚かなる主人は常に我が家庭に金の豊富な美しい男客の多きを喜び、且つ祈っていると。
2026年07月14日
近代に「女」として衣食住的に成功するの道は唯 (た) だ二條、極度に壊 (くだ) けるか、生一本の純真に生きるか。而 (しか) して今の「男」は女以上に、その秘訣を知る。
2026年07月14日
徒 (いたずら) に年齢を食ってると云うだけで、専門の学は愚か思想一ツ言葉一ツ持たない空疎人が、先生先生と呼ばれて床の間高く下向に坐らされるの滑稽さを感じないか。法被一枚に身を固めて常に土下座の生活に浸りながら、上位を向いてグングン抗争を加えて行くのが「男」という印袢天の背文字にふさわしいと思わないか。百万大衆の頭を踏んで陣頭に進める勝利の第一人者たることも愉快だろう。而 (しか) してその屍 (しかばね) を泥土に任して後進の若人のため土足に踏み 蹂 (にじ) られて微笑むのも、亦人生最大の一快事だろうとも思わないか。
2026年07月14日
「あなたほど金使いの綺麗な人は未だ 曾 (かつ) て見ない」と 煽 (おだて) られて得意の鼻を 蠢 (うご) めかしてる人、「だから一生涯、頭の上らぬ貧乏だ」と背後から冷たい嘲笑を投げられているのに気付かぬ。
2026年07月13日
闘うべき時には我が一身のみを頼みて万人を悉 (ことごと) く敵とする。和する時には万人を悉く味方として相親しむ。其処には一点の恩怨をも挟まないでいたい。
2026年07月13日
気分に生きるものには訪問最初の印象が強く全一日を支配する。「心か ら迎え」てくれる人の前には 迚 (とて) も嬉しくて全く没我無私の境に入る。人間の死や重くして軽い。而 ( しか ) して「 一諾 (いちだく) 」に貫ぬく終生のいのち、男は独り清水次郎長に限らない。
2026年07月12日
男に娼婦なし、男は皆、娼婦型なりとの結論は事実正に肯定されるものが多い。
2026年07月12日
装飾に飽いたものは本質を愛する。本質に飽いたものは装飾に帰る。装飾を加えられざる本質は真なれども美ではない。本質を忘れたる装飾は偽なれども美しい。女は化けざれば美しからず、近代の男も亦滔々(とうとう)として化け初めて来た。
2026年07月11日
俺は今最も正しい道を歩んでるのだ。勇敢な愛を投げて左右を突き落しつつ助けているのだ。ユーゴーの愛と正義は俺らには悉 (ことごと) く是認されないが、その気分だけは能 (よ) く解る。
2026年07月11日
男は思い切りが大事だ。「断念の勇」がなくては決して終局は全うしられない。未練を断つ。執着を断つ。愛欲を断つ。而 (しか) して一心初めて清涼、万難に当たって悠々乱れないのだ。
2026年07月11日
年が年中自己弁護の生活を送る人も可なり苦しいもんだろう。それよりか此五尺の身を大道にオッぽり出して赤裸々の批判下に生きて行く方が、男子味に富んでいていいじゃないか。
2026年07月10日
男に生れたのはホントに煩わしいことだ。どんな場合でも一切弁解などしてはならぬ。死ぬる今はまでに態度を乱してはならぬ。自分の頭上に落ち来るものは悉 (ことごと)く無処理の儘でいい。他を累 (るい)することは 小瑣事 (さじ) たりとも処理して置かねばならぬ。人の涙は買ってもいいが、自分の涙は苟くも売ってはならぬ。泣きたくば奥山深く登って月明の下に座して一人で泣け。其処には必ず真友がある。総ては自然に任すことだ。平凡に云って時の審判に待つことだ。
2026年07月10日
唯 (た) だ面上の塵ばかりを払うことに熱狂して、一念他を顧みないような奴は人間の屑だ。時として「自己」をも忘れて火中に飛び込む勇胆がなくて、人生の真意義が味わわれるもんか。正邪清濁総てを一肩に荷 (にな )って起つの意気がなくて、「男一疋 (いっぴき) の価値があるか。
2026年07月10日
出処進退は「鮮活」なるを要する。男の本懐は唯 (た) だこれ一ツだ。
2026年07月09日
汝は不幸にして「男」に生れたのだ。平気で空腹も忍ばねばならぬだろう。意地づくならば死なねばならぬ時も来よう。
2026年07月09日
気象台は7月8日 近畿地方が梅雨明けしたと発表した。平年より11日早く昨年より11日遅いそうである。
2026年07月08日
彼が終生の全盛時代は「大学卒業前の一年間」なりし。哀れ成功は死病なりき。
2026年07月08日
老物の口より頻 (しき) りに「青年の権威」を煽 (あお) らる。恰 (あたか) も是れ無償買収に等し。老の苦喪笑うべく煽らるる青年亦笑うべし。
2026年07月08日
青年理想のワイフは持参金の多き美人、止むなくば持参金の多き醜婦、而 (しか) して多くは 滔々(とうとう) として持参金なき醜婦と野合す。
2026年07月07日
老輩が青年に対すれば試験しつつ試験される。若 (も) し青年が老輩に対すれば試験されつつ試験する。
2026年07月07日
青年通有の誇大妄想性は遠くでその声を聴くのに最も興趣 (きょうしゅ) 多く、近く引寄せて、それと行動を共にするには余りに呆気ないものだ。雲雀は天の一角に囀る時のみ人の心境を動かすものだ。
2026年07月07日
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