《櫻井ジャーナル》

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2009.08.23
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 現在、アメリカでは医療保険制度の改革をめぐり、大騒動になっている。よく知られているように、アメリカでは健康保険を営利企業に任せている。病気や遺伝子による差別が起こり、多くの低所得者は「低所得者向け保険」で救済されず、医療行為も保険会社の思惑に拘束さて歪な形になっている。その保険制度をバラク・オバマ政権は変えようとしているのだが、旨味のあるビジネスを失う保険会社としては許せない所業であり、猛反発している。

 アメリカの健康保険/医療システムの惨憺たる状況はEUだけでなく、アメリカ国内でも批判されてきた。それにもかかわらず、アメリカで制度改革に抵抗する人たちが多い一因は、メディアを使った「反改革キャンペーン」が機能していることにある。

 キャンペーンの中身は不正確なのだが、反改革派は「死の名簿」なるものをでっち上げて老人や病人は殺されるとキャンペーンを張り、オバマ大統領を「アドルフ・ヒトラー」に例えるなど「呪文」を多様するイメージ攻撃を繰り返している。

 要するに、今回もイラク攻撃の前の状況と同じ手法で少なからぬアメリカ人は操られ、熱狂しているのが実態だ。CIAや軍の上層部がイラク攻撃に反対していたにもかかわらず、戦争に突入したのはメディアに煽られた庶民が開戦を要求したからだった。

 低所得層にとっての健康問題は、医療保険制度だけにあるわけではない。これもよく指摘されていることだが、公衆衛生の状況が所得によって大きく異なり、病気になりやすさに影響してくる。基本的に、アメリカでは所得によって健康リスクは大きく違い、寿命に反映されていく。アメリカで臓器移植が盛んな理由のひとつはここにある。

 こうした健康差別を生み出している柱のひとつがアメリカの保険会社なわけだが、日本がその保険会社に目をつけられていることは間違いない。日本のマスコミは年金と同じように健康保険の破綻を宣伝してきた。年金システムの背後で政治家や官僚の不正行為がある可能性は高く、健康保険に問題があることも事実だろうが、破綻しているということにはならない。破綻してほしい、あるいは破綻させたい人たちがいるだけのことだ。

 金融破綻の後、日本のテレビで流される外国系保険会社のコマーシャルは少なくなったようだが、かつては有力なスポンサーであり、潜在的には今でも重要な顧客である。その金づるにとって都合の悪いアメリカの保険事情をマスコミが伝えたがらないのは当然かもしれない。

 アメリカの金融界は日本の郵政マネーに続き、公的な年金や健康保険のシステムを破壊して新たなマーケットを作り出そうとしている。すでに日本でも低所得者が医療を受ける権利が侵害されつつあるが、オバマ政権による医療保険制度改革の成否は日本にも影響してくる。





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最終更新日  2009.08.24 00:32:20


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