《櫻井ジャーナル》

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2017.11.29
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カテゴリ: カテゴリ未分類
日本経済団体連合会、日本商工会議所、日中経済協会で構成される経済代表団が11月20日から6日間にわたって中国を訪問したという。1975年から日本の3経済団体は毎年中国を訪問、今回は日本の大手企業のトップや役員など250名が参加するという大規模なものだった。日本にとって中国は重要なビジネス・パートナーであり、エネルギー戦略を考えるとロシアとの取り引きを拡大するべきであろう。

10年ほど前、ある日本の大手企業で管理職を務める人物から中国なしに商売は成り立たないと言われたことを思い出す。その基盤を築いたのが田中角栄と周恩来だった。1972年9月に田中角栄首相が中国を訪問し、日中両政府は戦争状態の終結と国交正常化を柱とする共同声明を発表、78年8月には日中平和友好条約が締結されている。田中首相の訪中はリチャード・ニクソン米大統領が中国を訪れた7カ月後のことだ。

中国訪問から4年後、田中はスキャンダルに襲われる。1976年2月にアメリカ上院の多国籍企業小委員会で明るみ出たロッキード社による国際的な買収事件で田中の名前が浮上し、その年の7月には受託収賄などの疑いで逮捕されたのだ。事件が発覚する切っ掛けは小委員会へ送られてきた資料だった。

買収の目的は全日空の旅客機導入にあったとされているが、金額では次期対潜哨戒機の選定が遥かに大きく、この軍用機が本筋だったと信じている人は少なくない。この推測が正しいとするならば、児玉誉士夫の子分と言われた大物政治家に疑惑の目が注がれることになる。が、この政治家は1984年1月に児玉が急死したことから逃げ切ることができた。

ところで、田中角栄の周辺が騒がしくなったのは逮捕の2年前のこと。「文藝春秋」誌の1974年11月号に立花隆が書いた「田中角栄研究」と児玉隆也の「淋しき越山会の女王」が掲載されたのが始まりだ。この頃から田中バッシングが始まっている。

1974年にアメリカでは大きな出来事があった。ニクソン大統領がウォーターゲート事件で辞任、ジェラルド・フォードが副大統領から昇格し、デタント(緊張緩和)派の粛清を始めたのだ。ロシアとの関係修復を試みたドナルド・トランプ大統領が有力メディアや政府機関から攻撃されているのと似た状況だ。

フォード政権ではネオコンが台頭している。例えば、ドナルド・ラムズフェルドが国防長官に就任、リチャード・チェイニーは大統領副補佐官、1992年2月に世界制覇プロジェクトを作成したポール・ウォルフォウィッツは軍備管理軍縮局に勤務する一方、CIA内に設置されたソ連の脅威を宣伝するチームB(Bチームとも呼ばれる)に所属していた。ソ連との関係悪化を目論んだのだ。

ネオコンを含むアメリカの好戦派は日本が中国やロシアへ接近することを許さない。東アジアの軍事的な緊張を高め、アメリカ軍が軍隊を貼り付けて中国やロシアを封じ込め、状況によっては先制核攻撃で破壊しようとしている。本ブログでは何度も書いたように、アメリカには1950年代からそうした計画があった。1957年にはアメリカ軍の内部でソ連に対する先制核攻撃を準備しはじめ、この年の初頭にはソ連への核攻撃を想定した「ドロップショット作戦」を作成している。それによると、300発の核爆弾をソ連の100都市で使い、工業生産能力の85%を破壊する予定になっていたという。(Oliver Stone & Peter Kuznick, “The Untold History of the United States,” Gallery Books, 2012)

テキサス大学のジェームズ・ガルブレイス教授によると、1960年10月から62年9月まで統合参謀本部の議長を務めたリーマン・レムニッツァーやSAC(戦略空軍総司令部)司令官だったカーティス・ルメイを含む​ 好戦派は1963年の終わりに奇襲攻撃を実行する予定

ネオコンの世界制覇プラン、いわゆるウォルフォウィッツ・ドクトリンから3年後の1995年2月にジョセフ・ナイ国防次官補が「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を公表、日本はアメリカの戦争マシーンに組み込まれていくのだが、2009年9月に内閣総理大臣となった民主党の鳩山由紀夫はその流れに逆らう。東アジアの平和を訴えたのだ。

その鳩山と近かった小沢一郎に対する攻撃は2006年に始まっている。週刊現代の6月3日号に「小沢一郎の“隠し資産6億円超”を暴く」という記事が掲載され、09年11月には「市民団体」が陸山会の04年における土地購入で政治収支報告書に虚偽記載しているとして小沢の秘書3名を告発、翌年の1月に秘書は逮捕されている。また「別の市民団体」が小沢本人を政治資金規正法違反容疑で告発し、2月には秘書3人が起訴された。マスコミと検察がタッグを組み、小沢を潰しにかかったと言える。ニクソンやトランプに対する攻撃と似ている。「首相の意向に背けば官僚人生終り」ということはない。

2010年6月に首相は鳩山から菅直人へ交代、9月に海上保安庁は「日中漁業協定」を無視して尖閣諸島の付近で操業中だった中国の漁船を取り締まった。海上保安庁は国土交通省の外局で、当時の国交大臣は前原誠司だ。

この取り締まりによって田中角栄と周恩来が「棚上げ」で合意していた尖閣諸島の領有権問題が引きずり出され、日本と中国との関係は急速に悪化する。軍事的な緊張が高まり、経済面にも悪い影響が出た。これはアメリカ支配層にとって好都合なことだ。

海上保安庁が協定を無視して中国漁船を取り締まる3カ月前、2010年6月にベニグノ・アキノ3世がフィリピンの大統領に就任している。この人物の父親は1983年8月にマニラ国際空港で殺されたベニグノ・アキノ・ジュニアであり、母親は86年2月から92年6月まで大統領を務めたコラソン・アキノ。いずれもアメリカ支配層の影響下にあった。つまり傀儡だ。

ちなみに、ここにきて日本の大企業による不正が立て続けに発覚している。例えば日産、神戸製鋼、三菱電線(三菱マテリアルの子会社)、東レハイブリッドコード(東レの子会社)。勿論、不正は許されない行為だが、その発覚するタイミングが興味深いことも事実だ。

そう言えば、鳩山が首相に就任した2009年にトヨタの問題がアメリカで浮上、​ 15年9月18日にアメリカの環境保護局(EPA)はフォルクスワーゲンが販売している自動車の一部が排ガス規制を不正に回避するためのソフトウエアを搭載していたと発表 ​している。その2週間前の 9月4日に同社はアメリカからの圧力をはねつけ、ロシアでエンジンの生産を始めていた





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最終更新日  2017.11.29 06:35:45


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