全4件 (4件中 1-4件目)
1
1950年のオッペンハイマー Oppenheimer の発言「どんな下品さでも、ユーモアでも、誇張でも消せない粗雑な言い方をすれば物理学者は罪(sin)を知った。そしてそれは、失われることのない知識だ」"In some crude sense which no vulgarity, no humor, no overstatement can quite extinguish,the physicists have known sin; and this is a knowledge which they cannot lose."from Under the Cloud The Decades of Nuclear Testing by Richard Lee Millerその罪と罰はひとりの物理学者が背負うべきものなのだろうか、という疑問は続くだろう。火と炎と業火に焼かれたプロメーテウス Προμηθεύς。戦時性暴力、日本軍性奴隷「慰安婦」を拉致監禁していた慰安所を作った人物が首相になるインモラルな島国と対照的に考えてしまう。(以下、映画の核心に触れる部分もございます)一方、映画では罪を知った物理学者への複数の罰が描かれる。原爆を開発したプロメテウスに課せられた罰はひとつではなく、いくつもの罰が蠢き重層化し主人公をとり囲んでいた、その重層性と面的広がりが一人称的視点で展開する。私生活での罪と罰も含め。オッペンハイマーの思い、贖罪の思い含めた一様でない心境の変化は現在と過去を何度も横断し串刺し反芻されていたはず。罪と罰の思いなどはそれぞれの時空を切り裂き虫食いにし、あるいは広がってどの時空にも侵食する。そんな人間の心理、過去と現在が相互に作用しながら混沌とまだらになって繋がり混然一体となった心象風景や重層的な心理を映画の時間軸を超えて描いていると観取した。つまり直線的な時間の流れになっていない、単なるフラッシュバックでもない演出は、人間は無意識にどのタイミングでもあの時その時のことがふと思い出され心に虫食い、重い影に浸食され引きずられるように、3つの時空をジグザグに行き来することで現在と過去やあれとこれとは必ずしも因果ではない、とそれぞれ複層で絡み合い混じり合う人の心の複雑さ混沌が表され、少なくとも3面の時空の広がりと相互作用で展開され表現されている。そしてもちろん、それは多層のまま重しとなり心に閉じ込められて生涯続くことも示唆されている。ブラックホールがその重さと密度で光さえも脱出できなくなるように。大学の時物理学を少々学んでいたので数学がイマイチだと物理は...が刺さる。実験物理学偏重だったらしい当時と相違し、理論物理学の発展の延長線上にはその後いろいろな発見もあったことを現代の私たちは知っているのだが...そのギャップも今垣間見る思い。そして、オッペンハイマーが部屋の角に向かって同じ形のグラスを何度も投げる物理学的「運動」さえ、分子の運動や中性子の衝突や宇宙を示唆するシミュレーションのようにも見え興味深い。ただ、連鎖反応という言葉が何度か出てくる一方で、3つの時空はジグザグで、心情はまだらで現在と過去やあれとこれとは必ずしも連鎖ではない、という深淵と複雑さ、捻じれた連鎖の複雑系を見せているようで、物理学的「運動」や原子レベルの連鎖反応の帰結と、捩れた連鎖、ねじれた罰と人間オッペンハイマー(複雑系)の対比、相違も印象的だった。米国民の、ファシズムを罰したい熱狂、卑劣な真珠湾攻撃の奇襲に報復したい、ある種の攻撃性を示唆するように東京大空襲で10万人死んだが米国民の反応が薄い(大意)と言うセリフがあった。真珠湾攻撃への報復や打倒ファシズム、罰したい欲等、徐々にエスカレートしていく世論も背景にあったのだろうかと思わせつつ、ほとんどの戦争に共通する国民の責任、熱狂し暴走し煽るが、責任は取らない国民の責任も垣間見せる。顔も名前もない、扇動者で互いに煽動し合う国民の責任。原爆投下を決定した権力者らはともかく、オッペンハイマー自身はユダヤ人としてドイツに原爆を落としたかったと吐露。悪を罰したい、復讐したい気持ちは真珠湾攻撃され報復したい米国にも、ナチスに迫害され殺された側にも共通してあったのだろう。しかし、その罰したい欲望の矛先の相違、実際の戦争の進行、ずれて捩れたタイムラインは...ジグザグで、噛み合っていない、思惑のずれやねじれ、相違を孕んで進行した噛み合わない戦争という現実も見える(物理学と対照的な現実)。ただし、日本に蹂躙され残虐に搾取虐殺され尽くしたアジアは日本を罰する手段も復讐する機会も可能性さえもなかったのだ、とフレームの外で思い知らされる。そのギャップ、絶望感にもあらためて打ちのめされる。日本に抵抗すれば殺され、悔しくても耐えるしかなかったアジア。アジア各国を侵略し2千万の命を奪い、戦争を始めたファシズム日本が邪悪なのは言うまでもない。中国が日本に侵攻したわけでもないのに自作自演の柳条湖事件で口実を作り中国を侵略したファシズムとレイシズムの権化。当時、米国はこの日本の悪の重さをどこまでわかっていたのだろうか。南京大虐殺はなかった、など未だに侵略大量虐殺等の戦争犯罪を否定し矮小化し恥知らずに隠蔽もするが(もちろん、反省もしていないから)、当時「南京陥落」パレードでお祭り騒ぎだった多数の日本国民の責任は、と引き続きアジア的視点でも考えさせられる。南京・中国はファシストでもファシズムでもなかったし日本のようにアジア各国を侵略し2千万の命を奪った侵略戦争の加害者、虐殺を繰り返す侵略者でもなかった。日本による虐殺が正当化されるような、南京の罪はひとつもなかった。(イスラエルによる虐殺が正当化されるような、ガザ、パレスチナの罪はひとつもなかった)その南京の陥落=虐殺に高揚し提灯行列でお祭り騒ぎだった日本とそれにどっぷり浸かり煽り荷担していた日本国民のグロテスクさが、応戦、反撃に打って出た1940年代の米国の背後にも浮かび上がる。広島や長崎の被害が十分に描かれていないと被害者コスプレ一辺倒で騒いでも一方で、南京大虐殺や重慶爆撃や731部隊の人体実験や外国人女性多数を騙し拉致し日本軍性奴隷として監禁し続けた戦時性暴力、従軍慰安婦問題、強制労働など全てなかったことにしている方が恥知らずで賊反荷杖。強制労働させられて巻き添えで被爆した死者も。上記戦争犯罪、アジア2千万の命や人生を奪った悪辣非道な加害と人権侵害それぞれ100回以上は映像作品等で丹念に描きその戦争犯罪を心底反省し毎年10回以上は地上波でそれらを100年、200年放映し続けるまではもの言う資格はないだろう。そもそも、南京の陥落=虐殺に高揚し提灯行列でお祭り騒ぎだったふつうの残忍な日本人マジョリティを批判的に描いた作品などあるのだろうか、とも思う。(日本にはヒューマニズムがないのに妙なセンチメンタリズムだけがあるから?)もちろん「新しい歴史教科書をつくる会」や安倍らが推進し、侵略加害の戦争犯罪の記述を削除し歪曲してきた歴史教科書も正常にもどさない限りはダメ。自国の侵略戦争犯罪やファシズム、大量虐殺にはそっぽを向き、大日本帝国の邪悪さに批判的で反省した作品すら作れず加害には向き合わないインモラルな外道が被害者アピール出来るときだけしゃしゃり出る倒錯と不気味さ。イスラエル?それでいて日頃は「中国ガー」と対米従属ポチ丸出し、末端の反共/壺工作員()かと見まがう、恥を知らない反知性日本人をリトマス試験紙のように炙り出す作品でもある。『MINAMATA』の時も『ハクソー・リッジ Hacksaw Ridge』の時も書いたが日本人が夢想する日本人描写や日本描写でないから、日本人様の願望やお気持ちに沿わなかった部分が瑕疵であるかのような過剰な自意識と幼児性がまた露わになっているのかも(失笑)。と、当時の、そして今の日本のグロテスクさも同時に浮かび上がるようなあの戦争、そして映画だったが、オッペンハイマーについては火と炎と業火に焼かれるプロメテウスというイメージが強く残る。プロメテウスは古典/古代ギリシャ語で先見の明のある者という意味だが水爆に反対し続けたのは確かに先見の明があっただろう。核兵器が戦争の抑止力にはなれないというオッペンハイマーの考え方も結局は真実だった。なぜ火と炎と業火に焼かれると思ったのか、というとそれは複数の罪と罰が映画の中に蠢いていたからでもある。そして現代の日本とあまりに地続きな現実がオッペンハイマーが焼かれた炎からまた未来の予言のように立ち上がるから。ひとつは大学教員の労組を作ろうとして阻まれる場面。ウェスト・バージニア州の全米鉱山労働組合によるストライキをマフィア的私立探偵を使って力づくで解体しようとしていた100年前の出来事を描いた映画『メイトワン』も想起したが、バイデン大統領が労働組合の活性化、強化を推進する現代からすれば隔世の感。しかし、日本では、憲法で労働組合活動、団体交渉、争議行為の権利が保障されているにも係わらず、産業別労組である関西生コンを最近までも不当に弾圧するのが本邦の官憲。マフィア的妨害もこの21世紀にまかり通っている。前近代的封建社会の日本幕府による六公四民税の取り立てが厳しく劣化退行が顕著とはいえ、約100年前の米国並みに弾圧酷い時代に逆行しどこまでも堕ちていく日本の現実を見せつけられる。自由と民主主義とは対極にある本邦。ちなみに昨年米国では約50万件のストがあったらしい。MBS「労組と弾圧~関西生コン事件を考える~」は必見。また、かねてより筆者はSNSで何年も前から各府省庁の政府情報システムが全て米企業アマゾン AWS, Google, Microsoft, Oracle製品による「ガバメントクラウド()」上にシフトされたことに注意を喚起してきた。NTT法の見直しとNTT株の売却で今後通信インフラに外資が関与する可能性もある。にも係わらず、「セキュリティクリアランス」と嘯き不当な恣意的運用で国民への身辺調査や監視を強める極右政府には胡散臭さしかないのだが...プラットフォームレイヤーが米国に握られ占領された上で?そして通信サービスレイヤーも?映画の中でも「セキュリティクリアランス security clearance」という言葉は何度も聴こえて来た。オッペンハイマーが過去共産党に親炙していたから、と私怨を持つLewis Straussが卑劣な工作と印象操作で吊るし上げ追い詰めた。恣意的な疑いと決めつけ、元検察を利用した不当なやり口等も今の本邦と重なり映画を観ながら震撼した。大川原化工機への冤罪事件は警察捜査も検察起訴も違法だった、という判決が一応は出たが、無罪であるほど勾留が長引く人質司法で亡くなった方は帰らない。警視庁公安部、経産省と検察が「韓国や中国でネタを挙げれば喜ぶ政治家もいる」と露骨にレイシズム塗れの極右政権への追従幇間芸、点数稼ぎで捏造した冤罪で国家ぐるみの人権侵害が放置された非法治人治しかない日本が約70年前の米国での事件と被りすぎる。特高がいた戦前に逆戻りか。ここでもやはり自由と民主主義とは程遠く、劣化と退行、逆行しかない本邦の現在地が浮き彫りになった。こうやってみると、肉屋の豚のような思考停止臣民以外は学ぶところの多い映画ではないかと思う。米国の邪悪さや罪も至るところにあるが、それを上回る侵略戦争犯罪日本を言外に浮かび上がらせつつ現在の日本がそういった邪悪さ罪をあらためて周回(70年以上)遅れで繰り返そうと退行、逆行しているのだから。参考:レイバーネット<海渡雄一弁護士、緊急投稿>「(大意)経済秘密保護法案の根本的な問題点。コンフィデンシャル級の秘密指定は英仏で廃止され、米の情報監察局もコンフィデンシャル級の秘密指定の廃止を政府に勧告している。経済秘密保護法は英仏米の動向と整合しない、時代錯誤的なもの」もちろん、2020年10月の、首相による日本学術会議会員候補6人の任命拒否問題や軍事的安全保障研究に研究者が引き込まれ研究結果が軍事利用されかねない、学問の自由を脅かす日本学術会議組織見直し政府案も酷い現在の日本とオッペンハイマーの時代は地続きだろう。余談だが、「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるためにOur Ecology Toward a Planetary Living」展は残念ながら麻生グループ等協賛でスポンサーは最悪だが...アリ・シェリ Ali Cherriの3チャンネル・ビデオ・インスタレーション「人と神と泥について Of Men and Gods and Mud」でもプロメテウスに言及が、ジュリアン・シャリエール Julian Charrièreのビデオ・インスタレーションも炎を扱っているだけあってプロメテウスに言及があった(解説で言及?)はず。「制御された炎 Controlled Burn」オッペンハイマーのテーマにもつながる。もちろん、セキュリティクリアランスが扱う対象についても。夢の中で夢を見る。クリストファー・ノーラン監督『インセプション Inception』『インターステラー Interstellar』はアインシュタインの一般相対性理論に基づきワームホールやブラックホールが描かれ、物理学的知的おもしろさにあふれていた。to be continued...!?buzz KOREAClick...にほんブログ村 韓国映画にほんブログ村 映画にほんブログ村 映画評論・レビューにほんブログ村 韓国情報にほんブログ村 K-POPにほんブログ村Copyright 2003-2025 Dalnara, confuoco. All rights reserved.本ブログ、サイトの全部或いは一部を引用、言及する際は著作権法に基づき出典(ブログ名とURL)を明記してください。無断で本ブログ、サイトの全部あるいは一部、表現や情報、意見、解釈、考察、解説ロジックや発想(アイデア)・視点(着眼点)、写真・画像等もコピー・利用・流用・盗用することは禁止します。剽窃厳禁。悪質なキュレーション Curation 型剽窃、つまみ食い剽窃もお断り。複製のみならず、ベース下敷きにし、語尾や文体などを変えた剽窃、リライト、切り刻んで翻案等も著作権侵害です。
Mar 29, 2024
韓国の作家황정은 ファン・ジョンウンがジルベール・アシュカル Gilbert Achcar著「Israel's War on Gaza «이스라엘의 가자 학살»(イスラエルのガザ虐殺)」の翻訳出版に寄せ「파주에서 パジュで」を公開した。 via Luciole/Playtime坡州(パジュ)の空の先にガザの空があり、現在も止められない虐殺、ジェノサイドと私たちも無関係ではない...と強く伝わってくる作家の切実さ。自分もパレスチナについても10年以上発信してきているので、深く共感した。「パジュで」は手紙形式で書かれている。作家は呼びかける。「先生、今日ガザではイスラエル軍部の封鎖(直訳では統制)と攻撃により、食料や支援物資を受け取ることができず人々が死んでいっています。子どもたちは爆撃だけでなく、飢餓によっても死んでいっています。パレスチナの状況を伝えるSNSには今日殺された子どもの顔がずっと掲載されています。今イスラエルとパレスチナ間で中立を嘯く人たちは、イスラエルのユダヤ民族主義者たちがパレスチナで犯している虐殺を、まるで同等の軍事力と政治力、資金を持ったふたつの勢力間の争いであるかのように言っています。そんなことは、言っている自分たちも信じていないでしょうに。そして私は、今日ガザの空について考えます。今日私が見上げた空のどこかがガザの空でもあるのだ、と。(拙訳)」「パジュで」の最後にはこう書かれている。 via Luciole/Playtime「ある人がある場所で孤立しているなら私たちは、連帯であれ不在であれ、いつもその孤立の場にもう行って存在しているということです。私はその人(筆者注:煙突に登って労働闘争をしていた人)と同じ光景を今日のガザに見ます。そこに誰がいるのですか。どんな顔をして集まっているでしょうか。銃や爆弾だけでなく、飢餓が武器として使用されている場所、同じ人間なのに人間ではない存在として殺されているという自覚と絶望が武器として使用されている場所、支援物資を届けようとして死の危険を冒す人の顔で、人々を助けるため地区の中に入っていく医療従事者の顔でそこにいます。死んだ子どもを包んだ、か細い埋葬布を見て泣く顔で、ハマスが何なのかと聞く顔で、最初に始めたのはどちらなのかと聞く顔で、そこがとても遠く、私たちの力はとても小さく私たちができることは何もないと言う顔で、遠すぎて違いすぎて、私たちとは関係ないという顔で、そこにいます。殺された人たちの名前の中に愛する人の名前を聞いて悲鳴をあげ引きとめられる顔で、あまりに苦痛で目をそむける顔で、知りませんと答える顔で、そこにいます。このジェノサイドを止めろ、と言う顔で、何気なく通り過ぎる顔で、私たちはそこに集まっています。後世の歴史で「イスラエルのガザ虐殺」として間違いなく呼ばれることになるこの時間を私たちは一緒に過ごしていたし今もその歴史の時間の中にいるということを私は決して忘れないでしょう。先生、私は爆撃も、目に見える飢餓も道端に臨時に作った墓地もないパジュでこれを書いています。これが私とガザの間の距離なのです。飢えと爆撃がもたらす、すぐ目の前の恐怖もなくこうやって座って書くことができるくらいの遠いところにいますが、そこが孤立しているゆえに私はその場所に行っているのだと感じます。他のすべての人たちと同様に、ということです。私たちそれぞれが望もうと望むまいと、ガザの孤立に私たちはもうすでに到達して行っているのです。では、私たちはその孤立を前にどんな顔を選択するのか。それはひとえに私の選択ゆえ、私はこの虐殺と無関係でいることはできません。(拙訳)」実は作家は昨年にもガザで続くジェノサイドに反対を表明していた。プリーモ・レーヴィ Primo Leviの「周期律」を読むオンラインブックトーク、2023年11月17日分のポッドキャスト後半でこう話していた。「イギリスはじめ、ヨーロッパ社会はイスラエルのシオニスト極右勢力によるパレスチナに対する迫害については長い間沈黙し続けて来たでしょう。だから私は、ヨーロッパ社会はまずは'we cannot judge them'という言葉にまた対句をつけなければならないと考えています。*いろいろ言って話すこともできるとは思うけれど、本質的には、ヨーロッパの地で起こったホロコーストの代償(直訳では対価)をパレスチナの地で、ムスリムたちが払わされているのだと思います(拙訳)」367-2 다시 이런 기록이 도착할 것입니다 [황정은의 야심한책]책읽아웃より*作家が昨年のポッドキャストで話していたが、アウシュビッツ訪問時、施設ガイドになぜこのような経験をしながらパレスチナには同じ酷いことをするのか、と尋ねたそう。するとそのユダヤ系のガイドは'we cannot judge them'ときっぱりと断固とした口調で答えていた、と。その時作家は、この答えは主語と目的語が入れ替わったものだ、と考えたそう。'we cannot judge them'ではなく、'they cannot judge us'だと。このような内容の、昨年のポッドキャストでの話をふまえてここでも('they cannot judge us'という)対句をつけなければ、と書いているものと理解した。実際、イスラエルの蛮行、国際法違反への批判は反ユダヤ主義とレッテルを貼って黙らせ封じ込める異常なフレームで、どれだけ虐殺をしてもイスラエルへの批判は許さない、許されない(特に欧米で)。'they cannot judge us'のアンタッチャブルがまかり通る、二重基準の問題等があらためて提起されている、と観取。作家はポッドキャストで話していた。「今回『周期律』を読み、本を閉じながら考えたこと、2023年の自分に残った読後感はこれひとつだけ。パレスチナからもこんな、『周期律』のような記録がすぐに出てくるはず、ということ。……(中略)どんな所であれ、理由は何であっても、このジェノサイドを擁護する人たちはこれから何が起こるかを震え恐れなければ、と私は思います。ジェノサイドに荷担した人たちの長いリスト、そのリストに自分たちの名前がこれから載るってことを(拙訳)」367-2 다시 이런 기록이 도착할 것입니다 [황정은의 야심한책]책읽아웃より「パジュで」を読んで、作家の「かろうじて、人間」を想起した。セウォル号惨事(セウォル号事故)を記憶するために韓国の作家や評論家らが書いた文を集め、2014年に出版された「눈먼 자들의 국가 目の眩んだ者たちの国家」。その中のファン・ジョンウンの文を。「……どれだけ簡単なことなのかわからない、希望がない、と言うことは。世界は元々そんなものだから、もう期待すらしない、ということが。……4月16日以降、世界が全くおかしくなって、壊れてしまった、と私はずうっと言い続けてきた。無力感と諦めですべてのことが嫌になった。……(拙訳)」ファン・ジョンウン「かろうじて、人間」황정은 より今ガザにいる人、パレスチナにいる人たち(ガザだけではない、西岸でもずっと前から日々パレスチナ人が殺されている)は同じだろう。希望がない。世界は虐殺を目の当たりにしながら半年と、75年もイスラエルを止めないのだから。世界は元々そんなものなのだろうか。作家が言う通り、私も無力感と絶望でいっぱいで何もかもがいやになってしまった。しかし、それでもガザのニュースから目を逸らそうとは思わない。昨年10月以前から、ずっとパレスチナに連帯する思いで泣いたり怒ったり発信している。封鎖されているガザの人々は、イスラエルにより作られた飢餓、人為的飢餓によっても日々攻撃され、虐殺されている。空から支援物資がガザに向けて投げ落とされるようになって落下物に直撃され命を落とした人も多い。大人も子どもも。海に落ちた食料を取りに行こうと溺れ死んだ人もいた。それでも子どもたちは空を見上げる。見上げざるを得ない。落ちてくるのは爆弾なのか食料なのか。本当は、子どもたちが今日の天気や太陽に雲、星や鳥や月や蝶や虹を見るために見上げるのが空なのに。爆弾がまた落ちてくるかも、でも、おなかが空いているし食べ物が落ちて来ないだろうか、という思いで空を見上げさせてはならないのに。No childshould look to the skyand wonder if what's falling is death or dinner.パジュの空からガザの空。空の境界線はどこなのだろう。そして윤동주 ユン・ドンジュ詩人も想起する。「서시(序詩)」で一点の恥辱なきことを......と書いていた詩人は最後の詩「쉽게 씌어진 시」で人生はこんなにも生き難いのに詩がたやすく書けてしまうことを恥じてもいた。ユン・ドンジュの詩も思い出し空を見上げてしまうたやすさ、自分の気楽さが苦しくなってくる。爆弾が落ちてくるかどうか、それを知るために子どもたちが毎日空を見上げなければならない習慣を世界は押し付けてしまったから。東京の空からガザの空。つながっている空、たやすく見上げることができない空。ガザでの、パレスチナでの虐殺を75年以上放置した私たちは天井のないゲットーにつながっているこの空をもうたやすく見上げることはできない。今ほど恥を感じることなしに空を見上げることはできない。国際法違反である占領、入植等は民族浄化(ジェノサイド)であると同時にパレスチナの人々の故郷(ホーム)の風景までも破壊し変貌させ「ホーム」の記憶をも抹殺、破壊するメモリサイドでもある。見上げる空の記憶さえ、変えてしまうメモリサイドだろう。ジルベール・アシュカル Gilbert Achcar による、昨年10月に発表されていた「ハマースの10月反攻に関する最初のコメント」あらためて的確。Two Kids a Day薔薇と雀、ガザの鳥I don't, we don't stop talking about Gaza.I don't, we don't stop talking about Palestine.#CeaseFireNOW #StopGenocideinGaza #StopGenocideinRafah#FreePalestineto be continued...!?buzz KOREAClick...にほんブログ村 韓国映画にほんブログ村 映画にほんブログ村 映画評論・レビューにほんブログ村 韓国情報にほんブログ村 K-POPにほんブログ村Copyright 2003-2025 Dalnara, confuoco. All rights reserved.本ブログ、サイトの全部或いは一部を引用、言及する際は著作権法に基づき出典(ブログ名とURL)を明記してください。無断で本ブログ、サイトの全部あるいは一部、表現や情報、意見、解釈、考察、解説ロジックや発想(アイデア)・視点(着眼点)、写真・画像等もコピー・利用・流用・盗用することは禁止します。剽窃厳禁。悪質なキュレーション Curation 型剽窃、つまみ食い剽窃もお断り。複製のみならず、ベース下敷きにし、語尾や文体などを変えた剽窃、リライト、切り刻んで翻案等も著作権侵害です。
Mar 25, 2024
2011年頃からSNSでパレスチナについて言及するようになり...2014年のフェスティバル/トーキョーではパレスチナの劇団、アルカサバ・シアターによる『羅生門|藪の中』、2017年のフェスティバル/トーキョーは、イスラエル当局に破壊された家屋、瓦礫を調査するパレスチナ人不動産鑑定士の事務所という舞台を通して見る、国際法違反の入植の実態を描いた作品『パレスチナ、イヤーゼロ』を観ていた。イナト・ヴァイツマン作・演出、ジョージ・イブラヒム、ガッサーン・アシュカル、アムジャド・バドル、レベッカ・タルハミー主演。上演に際し、岡先生の解説、お話を聴いていた。1948年のナクバ(Nakba, 大災厄)を描いたヨルダン映画『Farha』が2022年秋にアカデミー賞国際長編映画賞のヨルダン代表作品として提出された後、Netflixでの配信を妨害するような2022年12月頃のSNS上の動きについても当時発信していたので...「イスラーム映画祭 9」で上映される『ファルハ Farha』はぜひ観たかった。上映後の岡先生によるナクバについてのトークセッションも聴きたかった。が、チケッティングに失敗。深夜に即完売してしまった。「イスラーム映画祭 9」で上映されるフランス映画『憎しみ La Haine』は昨年6月、アフリカにルーツのある少年がフランス警察に射殺された時に観ていたが字幕なしで観ていたのでディテールはあまりわかっていなかったかも。もう一度観なくては、と思いつつ...昨年初夏に、上記『憎しみ』含め「バンリュー(郊外)」を舞台にした映画についていろいろ書いていた。パレスチナ、ガザ地区そして西岸の人々の安全が一日も早く確保されるよう、まずは即時停戦を。侵略、占領、植民地支配もやめろ。毎年約700人の少年がイスラエル軍に不当に逮捕される...パレスチナ(難民キャンプなど)では1日に2人の子どもが逮捕される、という意味のドキュメンタリー『Two Kids a Day』。2017年のイスラーム映画祭でto be continued...!?buzz KOREAClick...にほんブログ村 韓国映画にほんブログ村 映画にほんブログ村 映画評論・レビューにほんブログ村 韓国情報にほんブログ村 K-POPにほんブログ村Copyright 2003-2025 Dalnara, confuoco. All rights reserved.本ブログ、サイトの全部或いは一部を引用、言及する際は著作権法に基づき出典(ブログ名とURL)を明記してください。無断で本ブログ、サイトの全部あるいは一部、表現や情報、意見、解釈、考察、解説ロジックや発想(アイデア)・視点(着眼点)、写真・画像等もコピー・利用・流用・盗用することは禁止します。剽窃厳禁。悪質なキュレーション Curation 型剽窃、つまみ食い剽窃もお断り。複製のみならず、ベース下敷きにし、語尾や文体などを変えた剽窃、リライト、切り刻んで翻案等も著作権侵害です。
Mar 13, 2024
韓国文化院で展示中の「壬寅進宴図屏 임인진연도병」の一部が何者かに削り取られ(画の表面が剥がされ)たそう。犯行は2月29日木曜日頃、と。文化財約6万7千点も未だ返還せず、他国の美術品を傷つけるヘイト島に怒り心頭。犯人が見つかるとよいが、大使館にテロ予告や脅迫状、銃弾送り付け事件や青酸カリ送付?した犯人らもまだ見つかっていないのでは。ウトロに放火したヘイトクライムの犯人は捕まったが被害はとても大きかった。別のところでも何度も書いて来ているが、強制動員された朝鮮人らは日本全国で道や橋を作らされ、軍艦島や長生炭鉱で危険な作業に従事させられ、ウトロでは軍用飛行場建設。ぜひ読んでほしい☟「ここで死ぬつもりやった」京都・ウトロ ヘイト放火(京都新聞)「壬寅進宴図屏 임인진연도병」は楽しみにしていたので昨年さっそく観に行っていた(写真の撮影は許可されています)。BTS RMが訪れた「한겨울 지나 봄 오듯-세한歲寒·평안平安」展も興味深くもっと前に観た故宮博物館「清明上河図」も眼福だったが今回の展覧会のように、画の中の楽器や衣装などが現実に飛び出したように(AR拡張現実感ある)、取り出して見せてくれる展示は知的好奇心も満たされほんとうにワクワク楽しい。歌舞音曲好きなので、朝鮮通信使行列の中に喇叭を発見するのと同じような屏風の中の楽器を見るうれしさや、舞踊、コレオグラフィーを記録した書物を見るのも楽しかった。現代美術はイム・ミヌクの「Hyper Yellow」アジア人、黄色人種の「黄色」を超えた意味もあるらしい。恵比寿映像祭で「Portable Keeper」など観ていた임민욱だが、イム・ミヌクと言えば...「平和の少女像」も展示されていた国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」に「ニュースの終焉」を出品していたが、「表現の不自由展・その後」の中止、検閲に抗議しパク・チャンギョン(「チャイルド・ソルジャー」)と共に作品を引き上げていた。「展示の途中に作品を除外することは検閲」と当時声明を発表。筆者も当時、表現の自由への弾圧に対しSNSで抗議の声も上げていた(2019年夏は本当にヘイトの嵐でいろいろ酷かった)。奇しくも最高裁は6日に名古屋市側の上告を棄却、あいちトリエンナーレ2019「負担金全額(未払い分3380万円)を名古屋市が支払い」が確定した。期せずして今月!?のアート活動は「レイシズム」が共通項かも...to be continued...!?buzz KOREAClick...にほんブログ村 韓国映画にほんブログ村 映画にほんブログ村 映画評論・レビューにほんブログ村 韓国情報にほんブログ村 K-POPにほんブログ村Copyright 2003-2025 Dalnara, confuoco. All rights reserved.本ブログ、サイトの全部或いは一部を引用、言及する際は著作権法に基づき出典(ブログ名とURL)を明記してください。無断で本ブログ、サイトの全部あるいは一部、表現や情報、意見、解釈、考察、解説ロジックや発想(アイデア)・視点(着眼点)、写真・画像等もコピー・利用・流用・盗用することは禁止します。剽窃厳禁。悪質なキュレーション Curation 型剽窃、つまみ食い剽窃もお断り。複製のみならず、ベース下敷きにし、語尾や文体などを変えた剽窃、リライト、切り刻んで翻案等も著作権侵害です。
Mar 6, 2024
全4件 (4件中 1-4件目)
1