坂本龍馬(RYOMA)♪旧司法試験合格までの日記

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2010.07.20
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テーマ: 司法試験(138)
カテゴリ: 刑事訴訟法
【第 1 問】

1 職務質問に伴う所持品検査
  警察官が、甲乙両名に対して、職務質問(警職法2条1項)にともない所持品検査をした行為は適法か。所持品検査につき、明文なく問題となる。
  所持品検査は、口頭による質問と密接に関連し、かつ、その効果をあげる上で必要性、有効性の認められる行為であるから、職務質問に伴う行為として認められる。もっとも、任意手段である職務質問の付随行為として、原則として所持人の承諾が必要である。
  本件では、警察官は、甲乙の承諾のもと所持品検査を行っている。したがって、警職法2条1項により適法である。

2 現行犯逮捕
 警察官が、甲乙の現行犯逮捕に着手した行為は、適法である。
 すなわち、本件では、適法に行われた所持品検査により、両名の着衣からそれぞれ覚せい剤が発見された。そうすると、甲乙は、覚せい剤所持罪の「現に罪を行う者」(212条1項)と認められる。したがって、213条により適法である。
 また、後に逮捕した行為も、同条により適法である。


 警察官が、甲乙の逮捕(213条)に着手後、警察官の制止を振り切って不動産業者Xの事務所に逃げ込んだ甲を追って、Xの承諾なく、Xの事務所に立ち入り、甲を捜索した行為は、適法である。
 すなわち、本件では、「現行犯人」である甲を「逮捕する場合において必要があるとき」(220条1項柱書)にあたる。この場合において、「人の看守する建造物に入り被疑者の捜索」(同1号)をするには、222条1項前段が準用する114条2項により、原則として「看守者等の立会い」を要するところ、本件では、逃亡する「被疑者」甲を「捜索する場合において急速を要する」(222条2項)から、Xの承諾を要しない。したがって、220条1項1号・222条2項により適法である。

4 Xの事務所で机を捜索した行為
(1)220条1項2号
 警察官が、Xの抗議にもかかわらず、Xの事務所の机を捜索した行為は、甲の逮捕にともなう捜索(220条1項2号)として適法か。Xの机が、逮捕の「現場」にあたるか、逮捕にともなう捜索差押が令状主義(憲法33条、法218条)の例外として無令状で認められる趣旨と関連して問題となる。
 220条1項2号の趣旨は、逮捕の完遂と証拠破壊の防止にある(緊急処分説)。そうすると、逮捕の「現場」とは、証拠破壊の危険がおよぶ被逮捕者の直接の支配下、つまり、被逮捕者の手の届く範囲に限定される。
 本件では、甲は、警察官が捜索をした机の下に隠れていたのだから、机は、甲が証拠を隠すことができた直接の支配下といえ、逮捕の「現場」に含まれる。

(2)102条2項
  もっとも、Xの机は、甲「以外の者の物」であるから、押収すべき物の存在を認めるに足りる状況」のある場合に限り、捜索をすることができる(102条2項、222条1項前段)。
  本件では、逮捕した時、甲が事務所に逃げ込んだ時には手に持っていた携帯電話機が見当たらなくなっているところ、携帯電話機は、所持していた覚せい剤の入手源の情報を保有すると考えられるから、逮捕の基礎となった被疑事実である覚せい剤所持罪の証拠物として「押収すべき物」にあたる。手に持っていたのをすぐに隠せる場所として、隠れていた机の引き出しは、その「存在を認めるに足りる状況」にあるといえる。
(3) したがって、警察官がXの机を捜索した行為は、220条1項2号・102条2項(222条1項前段による準用)により適法である。


(1) 警察官が、乙を警察署に連行して、その身体を捜索した行為は、逮捕にともなう捜索(220条1項2号)として適法か。同警察署が逮捕の「現場」といえるかが問題となる。
 思うに、逮捕現場付近の状況に照らし、その場でただちに捜索差押えをすることが適当でない場合には、被疑者を速やかに適切な場所に連行した上で捜索差押えをすべきである。そうすると、このような場合の連行先は、逮捕の「現場」と同視しうる。
本件では、乙が逮捕された路上で大声でわめき暴れるなどしたことから、周囲に野次馬が集まってきたのだから、その場でただちに捜索差押えをすることが適当ではなかった。そこで、1キロメートルほど離れた警察署に連行した上、到着直後に捜索をしたのだから、速やかに適切な場所に連行して行ったといえる。
(2) ここで、緊急処分説からは、逮捕現場から離れた警察署が、甲の直接支配下といえるか疑問が生じうる。しかしながら、本件では、捜索をした対象は乙の身体であり、甲の直接支配下であるといえる。また、もよりの警察署に移動して速やかに捜索しており、逮捕現場の現状のまま移動したにすぎないといいうる。したがって、同警察署は、逮捕の「現場」と同視しうる。
(3) したがって、本件行為は、220条1項2号により適法である。 以 上





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Last updated  2010.07.21 17:33:16
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