クラシック音楽リスナーの局(tsubone)

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May 7, 2006
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カテゴリ: 音楽的雑談
(ちょっと書き足しました)

フルートを始めたのは中学2年のとき.もうずいぶんと昔.そのときのレッスンは,NHK教育テレビで放送されていた「フルートとともに」.最初に見た「フルートとともに」は講師の先生(宮本明恭先生)がバロック時代の曲を中心に取り上げていた.そのときに気に入ってしまったのがヘンデルの「通奏低音とフルートのための11のソナタ」のなかにあるト長調のソナタ.これは緩急緩急緩の順で5楽章が連なっている,いわゆる教会ソナタの構成をとり,非常に親しみやすい曲である.このソナタ集は,それぞれに「縦笛リコーダーのための」と「横笛フルートのための」という区別があり,縦笛のための曲はアルトリコーダーで演奏する.このト長調のソナタは横笛用.当時はトラベルソーで吹いたのでしょうが,いまは現代ベーム式のフルートで演奏する.もちろん私も.(もっとも最近トラベルソーにもちょっと食指が...)講師の先生のアナリーゼがとても興味深かったし,なるほど演奏上の解釈としてちゃんとした作法があるんだ,楽譜も読めるんだ...ということが,早い時期に勉強できたのは,とてもよかったです.それにしても,後で考えてみると,テレビ放送のレッスンにしてはかなり高度なことを教えていたような気がするし,それでずいぶんと勉強になったことは確かです.

この曲が好きになったきっかけは第2楽章.この曲で初めて,2声部進行というのがあるのを知ってへぇと思ったから.この2楽章の冒頭は,そのときのテキストからもってくると,
ヘンデル Gdur
となっていて,この3,4小節目を聴いてビビンと来てしまったのだった.専門家の方がご覧になったら,何でこんなところで?と笑われてしまうかもしれないが,音楽はまだ駆け出しの中学2年のときである.これがピアノだと,小学生になるかならないかぐらいからはじめていれば,とっくに経験するようなパッセージだとは思いますが,一本の楽器であたかも2人いるように聴こえるように曲が作られていることに,いたく感心したのでありました.この曲は,通奏低音との掛け合いも面白く,この譜面だけでも,フルートが先行するシグナルテーマが5小節目からDdurで通奏低音が追いかけてくるのがわかりますね.随所に仕掛けがあって面白い曲であることも好きになった理由です.そんな仕掛けの面白さを,先生はずいぶんいろいろ説明してくださっていました.

その後1年おいて,新しい講師の先生が登場しました.吉田雅夫先生です.このときのテキストはモダンなフランス系の,トゥルーの練習曲を中心にしたものになりました.このテキストは後に大いなる加筆を経てシンフォニア社から刊行され,今でも買うことができます.そのテキストの後ろのほうに,曲全体が最初から最後まで2声部で進行する曲が載っていた...
音の花束
本当に洒脱な曲だし,音の花束とはいいネーミング.でも本当にかぐわしい「花束」に聴こえるには,これは相当のテクが要ります.現在の私は降参気味.練習するなら,かなり基礎錬をやって1年がかりにしないと...しかし練習時間が.

吉田先生のレッスンは,宮本先生のレッスンに輪をかけて,アナリーゼが豊富で,楽譜をどう読むかについて,しっかりとしたものがありました.トゥルーの練習曲も,そのアナリーゼが順をおって積み重ねることができるようになっていて,それまでなんとなく感覚でわかっていたメロディの吹き方が,ちゃんと理論的に説明された気がしてとても勉強になった,そういう記憶があります.

花束.





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Last updated  May 9, 2006 09:04:52 PM
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