2009/05/25
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テーマ: 社交ダンス(9908)
カテゴリ: 下町人情物語
小学校の頃、仲良しだった女の子の一人にチエちゃんという子がいました。

家が近くて入学当初からクラスも一緒でしたので、いつも学校から一緒に帰ってきていた仲良しさん。

チエちゃんのお父さんは、おもちゃとかお菓子とかを卸す自営業を営んでおられましたので、その恩恵を受けてよくいろんなものをもらっていたものです。





母親同士も仲が良くて、ある日、新宿コマの『北島三郎ショー』に一緒に行く話が持ち上がったんです。

多分チエちゃんのお父さんの仕事関係でチケット何枚かもらったんでしょうね。

小学校低学年ですから演歌なんて全然おもしろくないし、私もチエちゃんも全く乗り気じゃなかったんですが、子供だけ置いて行く訳にも行かず、成り行き上ついて行くはめになってしまいました。





最初は広い劇場でみる生の芸能人にファンじゃないけど結構盛り上がって、おじさんたちのかけ声に混じって

『さぶちゃん!』

なんて生意気にかけ声かけてたんですけど、ショーも半ばにさしかかるともうすっかり飽きてしまいました。



舞台を漫然と見ながらチェーンをいじって遊んでるうちに、大変なことをしでかしてしまいました。




鎖の隙間に差し込んでた指が挟まってぬけなくなったんです。

始めは『入ったんだから抜けるだろう。』くらいの軽い気持ちだったんですけど、回しても引っ張ってもどうしても抜けないのでだんだん焦ってきます。





舞台では時代劇みたいなお芝居が始まりチャンバラなんかで盛り上がってるのを尻目に私は抜けなくなった指と格闘を続けていました。


このまま取れなかったら、きっと置いて行かれる...。

よくおもちゃ売り場で捕まってる私は

『おいてくよ!』

って母に言われてましたからね。

隣に座ってたチエちゃんがゴソゴソしている私に気づきました。




『どしたの?』

『指が取れなくなっちゃったの。』



『よばないで。だいじょぶだから。』


私にはピンチのときに『お母さんを呼ぶ』という発想はありませんでした。ボコボコに怒られるに決まってますから。

4歳のときに家の前のドブに落ちたときも、じっと黙って橋桁にぶら下がってたくらいです。(ご興味のある方は こちら




チエちゃんは一緒に引っ張って抜くのを手伝ってくれましたが、めちゃめちゃ痛いのであとは自分でするからと言って孤独な戦いにもどりました。



ひょっとしてもうすぐ終わりかも。

まずいよ。





このまま新宿コマ劇場の鎖につながれて、人知れず暮らして行くかわいそうな少女なんかを想像したりして、もう鎖と奮闘するのに疲れてきちゃったんですね。

でもさんざん鎖と格闘してきたおかげで手が汗ばんできてたのか、なんかの拍子にツルっと抜けたんですよ。

心底ホッとしました。もう死ぬかと思った。(相当オーバー)



それ以来、テレビで北島三郎が出てくるたびに鎖につながれた新宿コマの思い出がよみがえってくるんです。

その新宿コマも2008年の大晦日で 閉館 しました。










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Last updated  2009/05/26 08:13:57 PM
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