つまずく石も縁の端くれ

つまずく石も縁の端くれ

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2006年03月31日
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カテゴリ: アート
とにかくチラシやポスターにもなっている「アルプスの
真昼」だけは何とか見なくてはいけないと思って、やっ
との思いで出かけてきました。スイスの近代以降の絵画
の流れをアルプスという山をテーマにして紹介した展覧
会だったのですね。コーナーごとの意外な展開にもう、
わくわくドキドキでした。現代美術のコーナーも千葉市
立美術館での 展覧会 のような変てこなものでなく、楽し
めました。 シャケ缶さん

さて山という絵の題材は、絵画の登場から扱われていた
とばかり思っていたのですが、実は18世紀後半に近代
登山が始まってから描かれるようになったという事実は
新しい発見でした。

そこで「第1章 画家による高地アルプスの発見」のコ
ーナーが始まります。
18世紀後半、カスパー・ヴォルフが描く、アルプスの山々。
もったりとした山肌や氷河。どちらかというと大雑把な
感じのする絵で、細やかな空気のうつろいまでは感じら
れません。

それが、「第2章国民絵画としての19世紀山岳絵画」の

かれる木々も緻密になり、暗雲立ち込める空模様とか、
山小屋の雰囲気とか、滝の白さ、空の青さのグラディエ
ーションなど、山々の空気が伝わるようになります。

「第3章 1900年前後初期モダニズムにおける山岳風
景」のコーナー。ここが、この展覧会の一番の目玉だと

いきなり、ヴェルディの「家族の肖像」-ほとんど自画
像-が題材になっていてびっくりしました。アンカーの
「イチゴを持つ少女」の清清しさと、ジロンの描くつつ
ましい恋人同士の様子に心が洗われます。これもアルプ
スの自然の空気なんでしょうね。

振り返ると、そこにはペリエの描く2枚の山々。細いタ
ッチで描かれたざわざわした山。夜景の方の絵の星。本
当に瞬いているようです。このあたりから、気分が高揚
していきます。となりのトラッハセルの描くパステルカ
ラーの空と山肌にうっとりです。

そして、セガンティーニの「アルプスの真昼」。畳の目の
ように細かいタッチを重ねて描かれています。それで、
あの輝くような光が再現されているのですね。これは印
刷物では分かりません。実物をじっくり見ないと。アル
プスの晴れた日の燦燦と輝く光を味わえます。感動!!
です。

アルプスの真昼.jpg

セガンティーニというとどうも印象派の画家で、象徴主
義の画家という感じがしないのですが、続く彼の作品を
見て納得します。こちらの方は情念の絵でした。

エメネッガーの「雪解け」、大地の裂け目に吸い込まれそ
うです。

ホドラーの描くニーセン山。雲の間から緑の山がほっこ
りと現れます。セザンヌのサン・ヴィクトワールにも似
ているなぁと思いました。

ニーセン山.jpg

第4章以降はまたまた、印象がぐるっと変わります。ク
レーの「贋の岩」とかキルヒナーの人物像など、時代の
重苦しさを感じさせられます。シェーラーの激しい色使
いのフォービズムの絵はそんな時代ののしかかってくる
重圧を撥ね退けようと抵抗している絵のように感じます。

第6、7章はポップアートから現代美術の作品。いろい
ろなジャンルがてんこ盛りですが、それなりに楽しめま
す。印象に残ったのが、アルプスでの行われるいろいろ
なスポーツの写真など、美しいのです。しかし先人が描
いた崇高な山々がここまで通俗化されてしまったと強烈
な皮肉なのです。

あと一週間しかありませんが、お勧めの展覧会です。
こちらから会場風景が表示されます。





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最終更新日  2006年04月01日 11時06分28秒
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