森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.10.06
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引き続いて枡野俊明氏のお話です。

すべての物事と向き合うときに「の」の心をもつこと。
「と」の心で物事を見ないようにすること。
これが禅の教えの一つです。

まず「と」の心で見るとはどういうことなのか。
たとえば「私と仕事」「私と友達」「私と夫」という風に考えるのが「と」の心です。
この捉え方をすれば、それらと自分が対立することになります。
「私と仕事」というふうに捉えるから、仕事に対する不平不満が生まれてくる。
「私と友達」と捉えるから、友達に対する嫉妬心や競争心が生まれてくる。

つまり「と」の心で見ることは、いつも相手に対して対立する立場になるということなのです。

そうではなく「の」心をもって接してみてください。
「私の仕事」というふうに仕事と向き合ってみれば、まさに自分と仕事が一体になっています。
どんなに大変な仕事でも、どんなに失敗を繰り返しても、それは自分の仕事なのですから、自分で努力して頑張っていこうという気持ちがそこから芽生えてきます。
「私の友達」というふうに考えれば、まさにその友達は自分自身と同じこと。
友人に喜ばしいことがあれば、まるで自分のことのように嬉しくなる。
友人に悲しいことが起きれば、自分のことのように悲しみが襲ってきます。
そして何とかしてあげたいという気持ちが自然と芽生えるのです。
お互いに「私の友達」と思えることが、本当の友人ではないかと私は思います。
「私の夫」という気持ちがあれば、夫の心に寄り添うことができます。
夫が疲れた顔をしていれば、会社で辛いことがあったのだろうかと心配になる。

せっかくご縁があって夫婦になったのです。
「一心同体」にはなかなかなれないですが、いつも夫婦がお互いに「の」の心でいること。
夫婦の幸せは、そんな気持ちの中から生まれるのだと信じています。
(限りなくシンプルに、豊かに暮らす 枡野俊明 154ページより引用)

「と」の心は、基本的に、仕事や他人を、自分の気持ちや意思と対立するものとみなしているということだと思います。

他人を自分の思い通りにコントロールしたい。子分のような存在にしてしまいたい。
人間関係は、絶えず支配と服従の綱引きをしているとみているのです。
これらは「かくあるべし」を他人押し付けることが、習慣化している人の特徴です。
これが葛藤や苦悩、そして神経症を生み出していくのです。
森田理論を学習した人はよくお分かりだと思います。

「の」の心は対立関係にはありません。
それこそ「一心同体」といった感じです。
仕事は私の生きがい。あなたはわたし。私はあなたといった感じです。
相思相愛でお互いを思いやる関係にあるのなら問題は起きません。
しかし一般的にはいがみ合うことが多いのが現実です。

ここで気を付けたいのは、共依存の関係です。
相手によって自分の自立性、主体性が骨抜きにされているような一体感です。
これは人間本来の生き方からは外れていきます。
それぞれが、自分なりの気づきや問題点、課題や目標、夢や希望に向かって努力していくことが人間の本来性です。
つまり人間は、夫婦と言えども、元々それぞれの考え方や意思を持った生き物です。
絶えず考え方の乖離や食い違いが発生しているのです。
相手を尊重し、その違いを浮き彫りにして、お互いの妥協点を探していく姿勢を持つ。
そのような人間関係を作り上げていくことが、すべての人間に課せられているのだと思います。





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Last updated  2020.10.06 06:20:05
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