曹操注解 孫子の兵法

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Oct 27, 2008
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カテゴリ: 戦略
■不正アクセス元社員に社長は優しかった



 今回は、10月17日に行われた渋谷博久被告人(28)の裁判の話。
 罪名は、不正アクセス行為の禁止等に関する法律違反、それと、電子計算機損壊等業務妨害。

 報道によると派遣社員渋谷は2月7日午後8時頃、自宅のパソコンからITサポート会社「アットスター」のサーバーに不正にアクセスし、化粧品通販サイトなどの商品データ702件と、顧客データ9734件を消すなどした。
渋谷は昨年11月に同社に就職したが、仕事内容の不満から今年1月に退社。
 その後、給与の算出方法をめぐり上司だった男性社員にメールを送ったが、返信が遅かったことに腹を立て、在職中に知った管理用IDを使って不正アクセスした。
 「あいつ(上司)を困らせたかった」などと容疑を認めていると報じられた。

 ここ数年で増えてきた、新手の犯罪です。
 上司が困ったのは間違いないだろうけど、一番困ったのは通販サイトを利用していた人たちなわけで。


 そして、去年の11月にアットスターに就職したが、募集内容と違う業務をさせられたり、残業が多くて残業代が出ないことなどの不満から、12月31日に退社。

そして、犯行当日。

 データを消去し、情報が消えた物を上書きする形でアップロードした。


 被告人は、IPアドレスから足がつくのを恐れ、犯行の翌日にプロバイダーを解約し、犯行から2カ月後の4月には、犯行に使用したパソコンも売却していた。
逮捕された日時は明かされなかったんだけど、2月の事件を今頃審理してるということは、プロバイダーを解約したのが犯人の特定を遅らせたのでしょう

 ネット上の犯罪がその辺からバレることを分かってのは、独学でパソコンを学んでいた賜物(たまもの)ですね。

 法廷には被告人の父親が出廷し、今後の監督や被害会社の社長に直接会って謝罪したことなどを証言していました。
 そして、被告人質問。まずは弁護人から、

 弁護人 「起訴状に書かれていることは、あなたがやったことに間違いありませんね」
 被告人 「間違いありません」

 被告人 「オークションサイトの業務に興味がありまして、求人募集でパソコン関係の募集をしていたので、就職したんですが、初日から倉庫に回されて、募集内容と違うことなどの不満が募りました」
 弁護人 「そうですか。あと、犯行後、4月にパソコンを売却してますが、これは犯行を隠すためだったんですか?」
 被告人 「いえ、新しいパソコンを購入するために売ったので、隠すためではありません」

 罪証隠滅で売却したわけではないと主張です。ま、犯行から2か月経っての場客だから、信用できる話ですね。ただ、プロバイダー解約については弁護人も触れず、と。

 弁護人 「あなたは9月11日に保釈されて、9月19日に父親と一緒に社長に会いに行って謝罪しましたね。社長はなんて言ってました?」

 弁護人 「なぜだと思いますか?」
 被告人 「顧客データが流出すれば、お客様に迷惑がかかるからです」
 弁護人 「実際、流出させてませんね?」
 被告人 「はい、してません」
 弁護人 「会社としてはサイトの復旧に丸1日かかり、人件費が2000万円ほどかかった、と。さらに情報が流出していれば、お客様への謝罪も含め2200万円ほどの損害が見込まれる、と警察に述べているようですが、その心配はない?」
 被告人 「はい」
 弁護人 「あと、社長に何か言われたことはありますか?」
 被告人 「今後の私のことを考えてくれる言葉を掛けてくれて、ありがたかったです」
 弁護人 「私もその場にいたので言いますが、“若くて将来もあるんだから、めげないで”って言ってくれましたよね?」
 被告人 「はい」

 なんて優しい社長なんだ。
 情報流出の可能性がないことをわかったから、寛容な気持ちで接してくれたのかもしれないけど、そんな人のいい社長に迷惑をかけたってのは、被告人にしてみれば辛いだろうな。

 弁護人 「この事件は、新聞やニュースにも取り上げられて、会社が入ってるビルが報道されました。それで会社は(顧客か取引先から?)厳しいことを言われたそうで、社長は“この国は、被害者に対しても厳しいんだな”と言ってましたよね?」
 被告人 「私の行動で損害を与え、報道されてさらに損害を与えてしまったんだなと」

 二次被害まで受けているのに、被告人を思いやっている社長は、かなり人がよさそうなんだよな。
 でも、被告人は会社に恨みを持っていたわけで。
 社長の人格と社風や労働条件は比例しないもんなんですね。
 次は、検察官からの質問。

 検察官 「パソコンに関する知識は、独学で学んだんです?」
 被告人 「学校にも行ってたので。あとは、学校終わった後にも1人で」
 検察官 「それだけ知識があれば、こんなことした後の被害について考えなかった」
 被告人 「正直申しまして、頭がいっぱいいっぱいになってしまって、そこまで頭がまわらなかった、というのが」
 検察官 「でもね、起訴はされてないけど(同社の)他のサイトでも同じことやってますよね。4回も同じことを。1回で思いとどまらなかったのはなぜですか?」

 実は、被告人がデータを消去したのは1回だけではなかったようです。
 そして、その答えが、

 被告人 「同じ作業を繰り返すことで、簡単にできたので、やってしまったんだと思います」

 俺はパソコンに関する知識が乏しいのでよくわからないんだけど、ログインパスワードとかも知ってれば、簡単にデータを消すことができるんですね。
 それを考えると、ネット上の情報なんて、モロいもんだよなぁ。
 このあと、検察官が懲役1年6月を求刑して閉廷でした。

 被告人は被害会社に2か月弱しかいなかったバイトみないな人物だったわけです。
 そんな人にログインIDやパスワードを知られたまま辞められ、何の手も打たなかった会社の方もなんだかなぁ。
 被害者側を責めるつもりはないけど、危機管理が甘かった感は否めないですね。
 パスワードを変更するのはそんなに大変な作業のかね。

 他の裁判での話なんだけど、似たような電離計算機損壊等業務妨害の事件で、検察官は
 「 サイバーテロである 」って強く非難してたからね。
これはテロなんです。

 本件はデータを消去されただけですんだけど、今後は悪用するような事件も出てくるかもしれません。
 そういうことを気づかせくれたから、社長は被告人に対して優しく接してくれたのかもしれないですね。

[日刊スポーツ・阿曽山大噴火コラム]「裁判Showに行こう」 2008年10月20日




★爆弾をしかけたり、包丁を振りまわすのがテロではない。

 コンビニで店員が万引きしたり。

 冷凍食品パックに注射器で毒物を入れる。

 これも脅迫目的でなければ摘発されることもない。

 サイバーテロなどについては高額の罰金刑がもっとも効果的ではないか。

 この裁判の場合は200万円の量刑が妥当だ。

 被害額にみあう罰金を決定し、犯罪者に支払わせることで再犯を防止しなければならない。

 かといって、とても個人で支払えないような高額だと、別の犯罪を起こすことになる。

 改正案を議員諸侯に提案しておこう。





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Last updated  Oct 27, 2008 09:23:52 AM
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