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2020年06月27日
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おはようございます、ひなこです。


…午後5時20分。
今日の午後には、やることがいっぱいあった。
まず、僕はナオミを殺した。
やり方はこうだ。
いつもの通り、ナオミの首輪に紐をしばって、でも今日はもう片方の紐の先をテーブルの足にを結んだ。
餌を用意して、床の上に置く準備も万端。
ナオミはテーブルの足の間をぐるぐる歩いたから、僕がそのこんがらがったのを直さなきゃならなくて、テーブルの足の間をぐるぐる歩かせた。
餌の皿を届かない場所の床の上に置いて、庭に出た。
3時くらいだったかな、家に戻って餌の皿を外に出した。
それから試験管の中にあるやつを持ってきて、キャットフードに入れた。
餌と混ざって見えなくなった。
それから台所に戻って、皿を下に置いた。
ナオミはこの時までには本当に腹ペコだったから、紐を引っ張って、ミャオミャオ鳴いてた。
僕はハサミを持ってきて、紐を切った。すると、ナオミは猛ダッシュ。

猫ってすごく頭がいいから。
毒がまわったらわかるんだ。

僕はナオミを注意深く観察してた。だって、致死量を摂取したのかわかんないし、どれくらいの時間で効いてくるのかもわかんなかったから。

バスがバス停で待ってる時の音みたいな、ちょっとそんな感じの撹拌機の音みたいなの。
それから、ドアの所に行って、ドアを引っ掻いた。

肋骨が上がったり下がったり、上がったり下がったりしているのが見えた。
それから又、足で立ち上がって、変な音を立てだしたけど、それは猫の声なんかじゃ全然なくて、どっちかって言うと鳥みたいな声だった。
で、なんか変なものが口の中から出てきた。
灰色でだらだら流れてて。床のタイルの上に水たまりみたいに溜まっちゃった。
どんどんもっと出てきた。
僕は屈みこんでよく見てみたけど、なんかちっちゃなぶつぶつが浮かんでて変なものだった。
それからナオミは又、横になって、後ろ足がちょっとダメになってきた。
眼もおかしくて、僕を見てるみたいだと思ったんだけど、閉じちゃって、それから後ろ足がもうちょっと駄目になって、そして動かなくなった。

もう絶対ぴくりとも身をよじったりしないのを確認するために、僕はずっと見てた。
それから新聞紙を持ってきて、床の上に広げた。
毛のところを掴んで持ち上げた。だってあんまりナオミには触りたくなかったから。で、新聞紙の上に置いた。
新聞紙の角の所を2つ持ってそれを持ち上げようとしたけど、片方が滑っちゃって、ナオミは床に落ちた。
それから僕は流しの下のビニール袋を探しに行った。スーパーでもらうやつ。
ちょっと汚れてて、中を見たら、なんか変な黄色い液体が底にあった。
この袋を床の上のナオミにかぶせようとしたけど、あんまりうまくいかなかった。
だから、毛を持って又持ち上げて、悪戦苦闘してなんとか袋の中に突っ込んだ。
ちょっとねじれたみたいになって袋の中に落っこちた。
袋を持ち上げたら、液体がビニール袋の底から漏れて、床の上に小さな点々ができた。
モップをかけてる間、袋は外に出した。

バッグは、最初にナオミを見つけた小道に捨てた。
途中、足になんか感じた。
まだ袋から液体が漏れてて、僕のジーンズの上にかかってたんだ。
今は乾いてる。
目立たないと思う。
最初、家に帰って来た時は変なにおいがちょっとしたけど、今は何も臭わない。
続く。





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最終更新日  2020年06月27日 07時00分09秒
[サー・カズオ・イシグロ作品の翻訳] カテゴリの最新記事


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