連合国最高司令官ダグラス・マッカーサー元帥閣下
親愛なる閣下
日本の戦後の諸問題のうち朝鮮人と台湾人に関するものがありますが、彼らはかつて日本国民であり、現在もこの国に依然として滞在しているものです。
ここでは台湾人については、彼らが比較的少数であり、 それほど問題を起こしておりませんので、 しばしふれないことに致します。
しかし、 総数約百万人、そのほぼ半数は不法入国者であるところの在日朝鮮人の問題について、われわれはいま早期の解決を迫られております。私はこれらの朝鮮人がすべて、彼らの生国の半島に送り返されることを欲するものです。
その理由は以下の通りです。
一、日本の食糧事情は、現在もまた将来においても、余分な人々を維持することを許しません。
アメリカの厚意によって、われわれは大量の食糧を輸入していますが、その一部は
在日朝鮮人を食べさせるために用いられています。
もちろん、われわれはそのすべてを返済する覚悟を固めておりますが、この対米負債のうち朝鮮人のために生じた分まで、 将来の世代に負わしむるのは、公正なこととは思えません。
二、三、もっと悪いことには、これら朝鮮人は犯罪を犯す割合がかなり高いのです。彼らはわが国の経済法規を破る常習犯です。 かなりの数が、共産主義者かその同調者であり、もっとも悪質な政治的犯罪を犯しがちなのです。投獄されている者は、 常に七千人を越えています
。
戦後今日まで裁判に付せられた、朝鮮人による刑事事件は以下の通りです。
年次
・一九四五 (八月十五日以後)
・一九四六
・一九四七
・一九四八 (五月未現在)
事件数
・ 五、三三四
・一五、五七九
・三二、一七八
・一七、九六八
朝鮮人関係者数
・ 八、三五五
・二二、九六九
・三七、七七八
・二二、一三三
合計 (事件数)七二、〇五九 (朝鮮人関係者数)九一、二三五
さて朝鮮人の送還計画として私が考えるのは次のようなものです。
一、原則として、朝鮮人はすべて送還され、その費用は日本政府の負担とする。
二、日本に在住を希望するものは、日本政府に許可を申請すべきものとする。在住許可は、日本経済の再建に貢献しうると見なされたものに与えられる。
以上述べました私の考えが、貴官によって原則的に承認を得られた場合は、送還にともなう予算その他の具体的措置について、あらためて案を捏出致します。 敬具
吉田 茂