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第二五巻　癩王のテラス/LONG AFTER LOVE

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「がばいばあちゃん」のご著書が大ブレイクされたアキヒロくんこと、

【スピリチュアルチェック】
☆　小さい頃なりたかった職業→野球選手
☆　好きな言葉→ばあちゃんのくれた
「『コツコツやってもな…』と思う前に、コツコツやれ！」
☆　よく見る夢→かあちゃん
☆　人生の転機→うちの嫁さんと駆け落ちするときにばあちゃんに
『東へ行け』と言われたこと。
☆　将来実現したい夢→ばあちゃんとかあちゃんにもう一回会ってみたいですね。

江原さんとも初対面。
国「こういうスピリチュアルな世界はどうですか、興味はありますか？」
島「家でも番組をよく観ます。何かに当てはまるじゃないですか」
国「自分のことにですか」
島「そう。すごく自信も湧くしね。
『あ、これはやめた方がいいな』とかそういうのがありますね。
世の中、自分で決めきれないことがほとんどだから、人に言ってもらったら嬉しいです」

夢によく見るのは、お祖母さまではなく、お母さまの方。
国「どんな形で出てくるんですか？」
島「『ご飯だよ』とか『一緒に映画を見に行こう』とか『風呂に入れ』とか
そういうのをよく見ますね」

島「それで、『風呂に入れ』と言った割には、風呂場に行くとかあちゃんがいないんだよね。
行くといない。声が聞こえるだけ」
国「いつ頃のお母さんなんですか？」
島「小学校と中学校の間、ずーっと離れている時の顔が多いですね。３０代、４０代」

国「ばあちゃんの方が先に有名になってしまいましたけれども

島「かあちゃんは、やっぱりばあちゃんによく似てましたね。
言うことも似てましたし。一番よく言われたのは
『 優しい言葉の中にも厳しさを見つけろ。厳しい言葉の中にも優しさを自分で見つけ出せ 』
それはよく、かあちゃんの手紙に書いてありました」
国「小学校から中学校まで、離れ離れになっている時の手紙に…」
島「特に中学校のときに多かったですね」

国「小学生のときにもうお母さんから離れておばあちゃんと一緒に住みますよね。
そのときはどんな気持ちでしたか？」
島「やっぱり駅で、急にボンッと押されましたからね。ただおばさんを見送りに行って
『おばちゃん帰るから、手を振れ』と言われて、発車のベルが鳴って
背中をボンッと押されて電車に乗せられて、そのままですからね」

国「僕も映画で拝見したんですけれども、今では信じられないことだなと…」
島「親戚が映画を観たんですけれど、あんなものじゃなかったと。
とにかく僕は、電車の中でずっと、頭が割れるくらい泣いていたそうですよ」

当時小学二年生だった島田さんは、佐賀に帰るおばさまを見送るつもりでいたところ
いきなり電車に乗せられ、そこで初めて、お祖母さまに預けられ
お母さまと離れ離れになることを告げられたのだそうです。

島「後から考えたらおかしいのが、帰るおばちゃんの荷物よりも
見送りに行く私の荷物の方が大きかったんですよ☆不思議だよね、靴をはいているのに
『ズックをもう１個持って行きなさい』とかランニングを５つとパンツを５つとか
なかなか３泊４日の見送りってないですからね☆」

「がばいばあちゃん」にも描かれていますが、佐賀に着いたその日
すぐに覚えなくてはならなかったのが、かまどでご飯を炊くこと。
お祖母さまは朝、とても早く働きに出て行かれるので
アキヒロくんがとにかくきちんと覚えてやらないと誰もご飯を用意できないため。
お祖母さまとの生活は、貧しいながらも忙しく、学びに満ちていて
ご飯を炊くという作業もお母さまとの別れの悲しさを少し紛らわせてくれたようです。

「川は家のスーパーマーケット。わざわざ配達までしてくれて、勘定も払わなくていい」
（曲がったきゅうりなど、出荷できない野菜が上流から流れてくるのを収獲するため☆）
などなど、数々の名言を伝えてくださったお祖母さま。

島「熱が出て『ばあちゃん、３８度５分もある』と言ったら
『大丈夫や。お前だったら４０度は出せる！』そのときはボーっとしてよくわからなくて
『まだ上があるのかな…』☆」
国「すごいおばあちゃんですね☆普通は心配しますものね」

島「心配しますよ！☆
『ごはんは？』と言ったら『そんな暇はないから、寝ろ』とか☆
『食う暇ないから、寝ろ』とか、もう最高や☆

だから、ご飯に触れないんですよ。
『ご飯ある？』『ない』と言ったら、辛いんですよね。
学校から帰ってきて、ごはんがないときは
『風呂に入って寝ろ』とか『そんな暇はないから、早く寝なさい』とかね。
すり替えて言うだけの話でね…」
美「頭のいい方だったのね」
島「回転は良かったと思います」

国「実際に、ご飯のないというときもあったんですか？」
島「小学校５年生、中１くらいまでありましたね。朝もなかったときがあるし。
晩食べたら、朝ごはんがないときもありますよ。
『やっと朝ご飯や』と起きたら『朝ご飯は、昨日食べたやないか』と言われてね☆
友達に聞いたことがあるもん。
『朝ご飯って、２日に１回だけ？』☆
『え？食べてへんの？』
『うん。うちは２日に１回のペースやね』☆
そんな人、いっぱいいましたよ。だから恥ずかしくないしね。

すごく辛かったのが、夕方が嫌いでね。
神社に集まって遊ぶ、５人、１０人って集まると嬉しいでしょう？
でも５時半位になったら、みんな帰ってしまう、１人ずつ。
『ご飯ですよー、帰りましょう』とか、お母さんが迎えに来る。最後は、ぽつんと１人。

そんなことが何日も続くから、１度、ポツポツと歩いて帰って
『ばあちゃん、相談がある。「アキヒロ、ご飯だから帰って来い」って呼びに来て』
そうしたらばあちゃんが『もう帰ってきてるがな』☆」
国「いい関係ですね☆」

島「『そこを何とか迎えにきて』『変わった子やな。神社に戻っとけ』
戻ってじっと待っていたら、ばあちゃんがトコトコと来て。俺も何だか嬉しくてね。
『アキヒロー』と呼ぶから『なあに☆』と言ったら
『今日は晩御飯なかぞー』と言われて☆言わなきゃよかった☆」

国「おばあちゃんがお母さんの頃、かなり苦労したという話も聞いているんですよね」
島「子供が７人ですから、大変だったでしょうね。
４２歳くらいで、５０歳のじいちゃんを亡くしてね。それまでは自転車屋で
いまで言うバイク屋さんみたいな、結構いい暮らしだったようです。それが急に
じいちゃんがいなくなって、どこか良い方に、明るく開き直っちゃったみたいですね」
国「おばあちゃんが泣いている姿はあまり見たことがないんですか？」

いつも明るいお祖母さまが、たった一度だけ泣いたのは、運動会のお弁当のこと。
当時は家族総出で子供の応援にやってくる賑やかな運動会。
お母さまもお祖母さまもお仕事が忙しく、ひとりぽつんと教室でお弁当を開こうとしていた
アキヒロくんのところに、担任の先生がやってきます。

島「『お腹が痛いからお弁当を取り替えて』と言ってくれて。
『いいですよ。どうして？』
『お弁当は梅干としょうがしか入っていないでしょう？』
『どうして知ってるんですか？』
『学校中の噂や。お腹が痛いときは梅干としょうがが体にいいから替えてくれ』と言われて。

取り替えたお弁当を開けたら、すごいおかずが入っているんですよ。
海老天とか、ソーセージの開いたのとか☆もう初めて食べて、美味くて。
３年生になったら女の先生で、もう来ないかなと思ったら、また教室の戸をガラガラと開けて
『先生ね、お腹が痛いからお弁当を替えてくれる？』

それを６年生のときに、初めてばあちゃんに話して。
ばあちゃんが『小学校は楽しかったかい？』と聞いたので
『ただ年に一回、不思議なことがある。運動会になると必ず、担任の先生がお腹が痛くなる』

そう言ったときには、ばあちゃんがぽろぽろ涙をこぼして泣いてましたね。そのときに初めて
『 人に優しくするときは、人に気づかれないようにしてあげなさい 。気を使うからね』
『俺のためと言えば、ばあちゃんも気を使うから。優しい先生やなあ』
言葉だけは覚えている、小学生だから意味はわからなくて」

美「粋ですよね、先生方は…」
島「いま考えると、びっくりしましたね」
美「それがやはり教育ですよね。
『 人はかくあるべきだ』ということを身をもってさりげなく教えているわけでしょう ？
愛情をもってね。それがやはり尊敬されることですよね」

続きます。

***
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