2005.10.20
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お題は

疑惑、めがね、スラムのタンク。

タイトル「新世紀救世主伝説」

時は20XX年、最終戦争がおわり、
暴力が支配する砂と荒廃の世界が繰り広げられていた。
僅かだが生き残った人々は、
更に僅かに残った物資を奪い合うことにより生き延びていた。

「大変だ!西のスラムのタンクが襲われた!」
少年の名はハット。

「本当か!ハット!?」
このめがねの男は東のスラムのリーダー、コグレである。
「ああ。間違いない!ポーカーの奴らだよ!」
「なに!ついにポーカーがこのスラムに来るのか…」
ポーカーとはこの辺りで今噂になっている最悪の盗賊団だった。
水や食料があるスラムを次々と襲っている。
奴らが去ったあとには草の根一本残らないとまで言われていた。
「こうしちゃいられない!奴らが来る前にスラムを守ろう」
コグレの合図とともに男たちは武器を持ってスラムの周りを固めた。

数時間経ってもポーカーたちは現れなかった。
しばらくして様子を見に行っていた男が戻ってきた。

男は砂嵐から身を守るベールのままコグレに報告した。
「なにっ?どういうことだ?ハット!」
疑惑の目が一斉にハットに向けられた。
「えっ!俺は…」
そのとき、誰かが叫んだ。

疑惑の目は更に鋭さを増しハットに襲いかかった。
「ええっ!俺じゃねーよ!」
どういう訳かハットは泥棒として疑われてしまった。
「どさくさにまぎれて泥棒か。お前には失望したぞ、ハット」

ハットは独房に入れられてしまった。
「ちぇっ!俺じゃないっていうのによ」
「……」
独房には無口な先客がいた。
「うわっ!いたのかよ!誰だお前?」
その男は静かにつぶやいた。
「…ケンタロウ…」
「うわ~薄気味悪い奴」
そのとき、外から叫び声が響いた。
ハットは小さな覗き窓から外の様子を見て愕然とした。
「大変だ、ポーカーが襲ってきた。だから言ったんだ」
ハットは独房の中で無力感にうち震えていた。
「そうか、様子を見に行ったあいつ。ニセモノだったのか。
ベールをかぶっていたからわからなかったんだ。
食料を盗まれたって叫んだ奴も仲間かも知れないぞ」
ハットは辺りを見回した。
よく見たらさっきの薄気味悪い男はもの凄い筋肉をしていた。
「なぁ、あんた、何をして捕まったか知らないが、どうにかしてここを出る方法を知らないか?」
「ここをでてどうするんだ?」
「みんなを助けるんだよ。俺にだって何かできるはずだ」
「お前みたいな痩せっぽちに何ができる?」
「何って、何かできるはずだよ!今まで世話になった人たちを見捨てるなんて俺にはできない」
「わかった。それなら俺が力を貸してやろう」
男は立ち上がり両手で独房の鉄格子を握りしめた。
「何やってるんだよ、そんなの無理に…」
「はぁぁぁぁぁぉぉぉぉぉぉぉう…」
みるみる太い鉄柱が曲がっていき、あっというまに出口ができた。
「なんつーバカ力だ…」
「いくぞ…」

ケンタロウは恐るべき強さの拳法の達人だった。
あっという間にポーカーを全滅させ、スラムを救ってしまったのだ。
しかし、ケンタロウはすぐにスラムをあとにした。

「あんた、どうして、あそこに住まないんだよ?あんたがいたらみんな安心して暮らせる」
「俺は不幸を呼ぶ男だ…お前も俺について来なくてもいいんだぞ」
「俺はあんたの強さにほれたんだ、どこまでもついてゆくよ」

こうしてケンタロウとハットの過酷な運命の旅は始まった。

「ところであんた、なぜ独房にいたんだ?」
「ちょっと、のぞきと食料をしっけいして…」
「…最低だな。って、あの泥棒の犯人ってあんただったのか…」

「…つい、ムラムラして…」

おわり





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最終更新日  2005.10.20 15:36:49
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☆りん @ Re[1]:壁に向かって吠えてる犬(02/15) 小橋建太さんへ そうですね。 どこでどん…
小橋建太@ Re:壁に向かって吠えてる犬(02/15) 配信で紹介されてたんで来ただけなんだけ…
☆りん @ Re[1]:壁に向かって吠えてる犬(02/15) 小橋建太さんへ お、心当たりがあるのかな…
小橋建太@ Re:壁に向かって吠えてる犬(02/15) プロレスで決着つける感じですか?
☆りん@ Re[1]:水が美味しくない(07/06) akiさんへ 長文ありがとうございました。 …

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