佐藤 錦

佐藤 錦

2005/10/04
XML
この話題になったら アクセスが増えた。
そんなんかな・・と思う。

世の中 様々な出会い様式がある。

たった一度の人生を謳歌するためであるのだから 例えそれが出会い系であっても 私は それもありだと思う。

今から10年前。

仕事が途絶えた私は 先輩から紹介をされ、中古車の陸送の仕事をしていた。
都心で新車としての役目を終えたクルマを 地方の中古車販売店へ運転して行く。
私の担当は 八王子から 石和まで。

冬の寒い日だった。



師走の人気もまばらな石和の店の前に バス停があり 見ると 御殿場行きの文字。
一日4本の便に 無理だと思っていた筋を垣間見る。

待つことしばし、来たのは 観光バススタイルの いわゆる長距離仕様。

甲府の街を抜けると ぐんぐんと高度を上げ、真っ白な富士の高嶺を間近に望み 御坂峠 篭坂峠を越えて行く。

峠の上は 雪の世界。

バスの中は たった3人の乗客。

一人なのがとても寂しい 小さな旅なのであった。

しかし 1200円という破格な料金で 御殿場に到着。

と 駅前に 長身の美女が1人。

田舎の老人ばかりの中に ワインレッドのレザーコートは 晴天の冬枯れの空の下に 場違いなほど よく映えていた。

いいもの先取り・毛皮コート


不謹慎な想いが 脳裏を過ぎる。




急行「ごてんば」がある時間でもなく、国府津から小田原に出ようかと思っていた。

時間になり 改札が開く。

過去の栄華から逆行し、現在は単線となった 御殿場線は ほぼ中間に当たるこの駅で 上下の行き違いをする。

と、件の美女がホームに現れた。

沼津行きに乗り込んだ。



何を考えているのだか。

クルマの陸送をする格好・・とても女性と話す服装ではない。

115系のボックスシートに腰を降ろす。

一緒の車両に乗っていることに幸せを感じながら・・

半自動ドアのエアが締まり 発車。

溜息を憑きながらポケット時刻表を見ていると

ほのかに上品なコロンの香りが・・

何と その車両に乗っているのは彼女と2人だけなのに 私の前に
席を求めてきたではないか。

「ここ いいですか?」
「どうぞ」

「時刻表を見せていただけませんか」
「いいですよ」

香織の表情は 悲しげだった。

聞けば 彼女は三重在住。

2ヶ月前に自衛官の彼と結婚。

彼は 結婚式の3日後に 訓練で御殿場の駐屯地に移動した。

それ以来 初めての面会であったという。

別離を覚悟の 長旅であった。

「抱いて欲しい」

御殿場の駅前で まさかと思っていたことが 現実になろうとしていた。

若い彼女の身体は 欲望の限界を遥かに超えていることは 女性の匂いがきつくなっている事でわかっていた。

その夜 熱海に宿をとった。

夫婦以上に燃えた。

女性とは あんなにも大胆になれるものなのか。

服が上品なら 下着もとてもエレガンスなものだった。

幾度も求められ、ふたりで肌の温もりを意識しながら 相模湾の空が白み始めてゆく時間を共にした。


熱海の新幹線ホームに上がる階段で 香織は 三重へ帰ることを頑なに拒絶した。
号泣しながら 「一緒にいたい」

腕を思い切り引き寄せ ホームに上がると こだまが発車のブザーを背景に
佇んでいた。

ドアに押し込んだところで 発車。

これで良かったんだ と自分に言い聞かせて 小田原へ向かった。

携帯電話が一般に普及していないあの時、初めて男を感じた。

こんな時もあるんだと。

下着で決める セレブな秋





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2005/10/08 06:30:05 PM
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Comments

コメントに書き込みはありません。

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: