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2007.12.10
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カテゴリ: lovesick
夕刻にロケが順調に終了し、その日も俺が誘いを断ったため、不満顔をしている好司を後にして、

玄関を入ると、丁度、遊びに来ていたらしい妹の友達が帰るようで、
妹と数人で階段を下りてくるのが目に入った。
「あ、お兄ちゃん、おかえり。今日は早かったのね?」
瑞希は、俺より5つ下でまだ16歳、今年の春に高校生になったばかりだ。
「ああ、ただいま。お友達?」
「うん。マアヤとレイサとミコとコユキ」
横に一列に並んで、それぞれに頭を下げてくれるが、、覚えられないよ。

というと、女子高生たちは、口々に、
「こちらこそ」
と、頭を下げている。躾か教育がいいんだなーと感心してしまう。
「ねえ、お兄ちゃん。みんなお兄ちゃんのサインがほしいんだって。あと、握手も」
「あ、そうなんだ。なんかアイドルみたいで、うれしいな」
手を差し出すと、一人ずつ、うれしそうに握手してくれる。
「サインは、また、後で書いて、瑞希に預けとくよ」
女子高生たちは、口々に、
「すいません」
「ありがとうございます」
そこでやっと、家政婦のミヤコさんが顔を出し、

と、俺のスリッパを出し、バッグを受け取ってくれる。
それをきっかけに、靴を脱いであがると、
女子高生たちは、靴をはいて、
「おじゃましました~」
「瑞希、また明日ね」

友達を見送った瑞希は、
「お兄ちゃん、ありがと、色紙とってくるから、書いてよね」
と階段を駆け上がっていく。
「瑞希さん、階段を走るなんてお行儀が悪いですよ。」
と、ミヤコさん。彼女は俺が物心ついたころから、多忙な両親に代わって、ここで家事一切を取り仕切っていている人だ。
「随分お早いお帰りですね。またどこかへお出かけになりますか?」
嫌味のスパイスも十分効いている。
「いや、もう、今日は家にいるよ。明日、朝から出かけるんだ」
「まあ珍しい。じゃあ、悠斗さんの分も、夕食の準備させていただきますね。」
「よろしく」

部屋に戻って、服を着替え、ベッドに横になる。
ああ、今日も疲れた~。ロケではどうしても大きなアクションのシーンが多くなるので、
肉体的な疲労がキツイ。
少しうたた寝しかけたところで、ノックの音がした。
「はい」
ドアが開いて、瑞希が顔を出した。
「入ってもいい?」
俺は起き上がって、
「いいよ。サインだっけ?」
「うん。」
胸に抱えてきた色紙を俺に差し出す。
「マアヤちゃんへ、って入れてね。・・ねえ。明日、朝からってどこ行くの?」
俺は色紙にペンを走らせながら、
「何だよ。耳が早いな~」
「だって、オフだって言ってたのに。」
「オフだから、出かけるんだろ?」
書き終えた色紙を渡すと、
「次は、レイサちゃんへ。だけど、明日って平日だから、お兄ちゃんのお友達はみんな仕事か大学じゃない。」
「ふふん、俺が野郎ばっかと出かけると思うなよ。明日はデートなんだよ」
「デート?」
「うん。兄ちゃんだって、デートする相手くらいいるんだ」
また、色紙を渡すと、
「ミコちゃんへ、ね。お兄ちゃんがデートなんて信じられない」
ブラコンというよりは、むしろ、俺が本当におんなっけがなくきたので、純粋に驚いているようだ。
「相手の人、どんな人?その人も、お兄ちゃんのこと好きなの?」
鋭い突込みをいれてくる。
「内緒」
瑞希に答えようがないことを聞かれるたびに口にする決まり文句である。
「もう、またそれ?。ねえ、うまくいきそうなら、私にも紹介してくれるんでしょう?」
首を大げさにかしげながら、色紙を渡すと、
「最後はコユキ。ねえ、お兄ちゃん」
「そんな時がきたら、ちゃんと紹介するよ。でも、兄ちゃんのこの恋は、前途多難なんだよ」
最後の色紙を渡すと、
「ありがとう。なんで?フリンかなんかなの?」
俺はふきだしながら、
「まさか」
「お兄ちゃんなら、きっと、大丈夫だよ。なんてったって、かっこいいもん」
「ありがと」
ノックの音がして、ミヤコさんが顔を出す。
「お食事、もう用意してよろしいですか?」
俺が答える間もなく、瑞希は、
「うんうん。もうおなかぺこぺこ~」
と叫んだ。俺は、ミヤコさんの顔をみてうなずいた。

21時になって、楓からのメール。

楓→悠斗:遅くなってごめんなさい。やっと、今打ち合わせがおわりました。へとへとです。明日、何時にする?

悠斗→楓:まだやってたの?お疲れ様。10時ごろにそちらに迎えにいこうと思ってるけど。どう?

楓→悠斗:まだやってたの。ほとんどフジシマくんが1人で、、なんだけど。。10時ね。わっかりました。お天気いいみたいだから、よかったね。

悠斗→楓:そうなんだ。ついてたね。じゃあ、明日10時に。

楓→悠斗:は~い。おやすみなさい。

悠斗→楓:おやすみ。

俺は、メールが済んだ後、ベランダに出てみた。空を見上げると、たくさんの星が輝いていた。確かに明日は、よく晴れそうだ。
そして、俺は楓のことを思う。自分の中で大きくなりつづける、楓への思いを、ひとまずは横に置いておいて、まずは同じ時間を過ごすことを積み重ねていこうと。少しでも、彼女に楽しい時間を与えられるなら、少しでも彼女と楽しい時間を過ごせるのなら、それで、十分だと。確かめるように、言い聞かせるように、心の中で反復していた。





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最終更新日  2007.12.10 23:59:44
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