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2007.12.25
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カテゴリ: lovesick
「悟は、この世では楓のことしか愛せないみたい。だから、こうするしかなかったの。ごめんね、楓。私は、あなたのことも大好きなのに、、悲しませて」
2年前のあの日、冴子さんは、悟を刺した後、同じナイフで自分の喉をつく前に最期にそういいました。泣き出しそうな顔で。哀しい声で。

悟が目の前で刺され、私は悲鳴を上げてしゃがみこみました。いっそ、気を失ってしまえていたら。。でも、私はその時、正気でした。

悟は、冴子さんが自分の隣に、崩れ落ちるのを見てから、私の方に顔を向け、ゆっくりと手を伸ばしました。
私は、膝立ちになり、ロボットのようにぎくしゃくした動きで、近づき、両手で必死でその手を掴みました。家の中から、飛び出してきた宗太郎が、悟の肩を支えました。泣きそうな声で、
「悟、動いちゃだめだ。」
と言いましたが、悟は半身を起こして、もう一方の手を私の顔に、添えました。
「かえ、で、なにもされなかった?無事か?」
切れ切れに問いかける悟に、すでに声を失っていた私はうなずくことしかできませんでした。

宗太郎が、大きな声で、悟に言い、
「よ、かった」
と悟はつぶやきました。悟は震える手で、私の頬をそっと撫ぜながら、
「や、、っと、かえ、でに、また、さわれたよ」
といい、顔をゆがめました。1ヶ月前、冴子さんを抱いてしまってから、悟は私に触れることすらできなくなっていました。懐かしい、悟の感触。でも、指が冷たくて、ガタガタと震えています。
「で、も、、、もう、おそい、な。」
そう言って私の方を、見つめ、
「ごめん、、な、楓。泣かせてばっかりで。ほんとに愛、し、、てる、、」
そして、それが最期でした。

優しい悟の思い出と、その死のシーンの繰り返しで、私は涙がとまらなくなりました。悠斗の腕の中で、ずっとずっと泣いていました。あの日から何度も何度も思ったことをまた繰り返し思いました。

つらい、つらい、つらい、と、神様、どうして、と思いました。悟は私を愛してくれて、私も悟を好きで、冴子さんも悟を愛しただけなのに。ただ、一途な愛情がいくつかあっただけなのに。



人を愛することが、こんなにも辛い結果を生み出すことを知ってしまった私に、また、誰かを愛することなんて、恋愛なんてできるわけない、と思いました。そう思って生きてきました。泣きながら、私の心はまた揺れました。

悠斗、と心の中でつぶやきました。悠斗に惹かれる気持ちは、すでに私の中で否定できるものではなくなってきました。ただ、悠斗を愛することができたとして、その先に、また、思いも寄らない何かが待ち受けていたら?私は、やっぱりとても怖かったのです。悠斗の腕の中が、とても心地よく、私の過去も、涙も、受け入れてくれたとしても。それでも。


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最終更新日  2007.12.27 01:20:13
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