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2008.01.05
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カテゴリ: lovesick
宗太郎の言葉に、悠斗がまたへこむのが分かりました。彩は慌てて、
「でもね、楓が迷ってるのは、自分が結婚できないのが辛いからとかじゃないのよ。そこは誤解しないでね。」
「そうそう。そうじゃなくて、彩の、、というか悟の両親の気持ちを慮ってということなんだよ」
「うんうん、楓を見るとお兄ちゃんのこと必要以上に思い出して辛いんじゃないかって。特にそういう席で」
と、2人は悠斗に説明してから、私に、
「でも、何度もいうけど、そんなこと、本当に気にしなくていいんだよ、楓。お父さんとお母さんだって、楓に会いたいと思ってるよ」
「お父さんたち、楓が来ないかもしれないって伝えたら、寂しそうだったしな。」
といいました。私は、うまく微笑むことも、うまくうなずくこともできませんでした。宗太郎と彩が本気でそういってくれていることは分かります。行本の両親が、本気でそう思ってくれてることも分かっています。でも、私自身、申し訳ない気持ちがどうしても先に立ち、会えないのです。
私の母は、私を独身のまま産んですぐに亡くなり、私は実の両親の記憶がありません。母の父であり、私の陶芸家の師匠でもある祖父と、窯に出入りする弟子のみなさんと家政婦さんたちの手で育てられた私は、すぐそばに住む、行本の両親を、お父さん、お母さんと、呼んでいました。もちろん、寝食をともにしていたわけではありませんが、そう呼べる存在があっただけで、私の心は随分救われてきたと思います。いずれ、悟と結婚し、本当の娘になるものとして、彩と同じように、とてもとてもかわいがってくれていました。

私は、悟との過去だけでなく、行本の両親からも逃げ続けてきたんだな、と思いました。これじゃ、いけないな、と思いました。きちんと会って、謝って、何より、元気な姿を見てもらうことで、ちゃんと、情けない私の全てを許し、受け入れてくれたことへの感謝を表さなくては。もちろん、宗太郎と彩の結婚を祝いたい気持ちはたくさんあるし、出席しなくては、とも思いました。悟がいないからって、2人の結婚を祝わない理由にはならない。4人で一緒の結婚式という約束はかなわなかったけれど、でも、やっぱり。私はメモを取ると、
『式も二次会も、出席させてもらおうかな』
と書いて見せました。
「ほんとに~?嬉しい、楓」
「ああ、やっぱり楓がいないと、俺たち、寂しいわ。」
2人は大喜びしてくれます。悠斗もほっとしたように、微笑みました。
「お父さんたちもきっと喜ぶわ。連絡しとくね」
「式は、そうだな、悠斗の隣の席にするか?2次会は悠斗に司会してもらうから、無理だけど」
私はうなずきました。


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最終更新日  2008.01.05 02:10:35
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