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2008.05.05
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カテゴリ: let me sleep beside you
部屋に着くと、ジュンペーが、ドアを開けてくれる。玄関で小声で話すジュンペー。
「ミリ、ケースケのバカバカバカバカ言ってんぞ~。ケースケは、絶対呼ぶなって言われたし。呼んだら絶交だって」
「・・・・」
「ま、早く仲直りしろよ。俺も大事なボーカルに絶交されちゃあ、困っちゃうんだよ。」
と准平は時計を見て、
「じゃ、俺行くから。これ、ここの鍵。俺もう一個持ってるから、閉めたら、もって帰るか、ポストに落としといて」
と行ってしまう。俺は、廊下に出てその背中に声をかける。
「ジュンペー」
振り返る准平。

「サンキューな」
准平は唇だけひねって笑ってから、
「そろそろはっきりしろよ。あんまり、もたもたしてると、俺だってアクセル踏むぞ?知ってんだろ?お前だって、俺の気持ち」
「ああ。だから、それも含めてサンキューな、だよ」
今度は大きく笑ってから、うなずいて、去っていく准平。あいつだって、ずっと、ミリを。それでも、こうして俺を。
俺は、ため息をついて、部屋に入る。ミリは、ジュンペーの部屋で、ワイングラスを持って座っていた。俺は、ミリのそばに行く。
「ミリ、帰ろう」
小さな声で囁いてみるが、無反応。そっと肩に触れたときに、美莉が、
「ジュンペーの裏切り者っ」
とつぶやく。俺を呼んだことだろう。美莉はグラスを置き、手のひらを上にして広げた手を、こちらに伸ばす。
「うちの鍵、返して」

「ミリ・・、俺」
「ね、2度と会わなくていいんでしょう?私の前から、消えるんでしょう?だったら、鍵返して、今すぐ!」
ミリは顔を上げた。泣いていたのか、髪が何本か頬に張り付いている。
「ちょ、俺の話も聞けよ。メール見たのはほんとに偶然で」
「そんなの分かってるよっ」

「ケースケがわざとそんなことするなんて思ってないよ」
「じゃあ、一体。」
美莉は答えずにまだ、ワイングラスに手を伸ばす。俺は美莉より先にグラスを取り上げ、
「飲みすぎだって。大体、男1人の部屋にきて、こんなに飲んでんじゃね~よっ。」
美莉は、グラスを取り返そうとしながら、
「男1人って、ジュンペーだよ?」
という。俺は絶対に渡さず、
「ああ、ジュンペーだって男だよ。何日も匿ってもらうつもりだったんだろ?ここに泊まるつもりのくせに、こんなに酔っ払って、なんかされたらどうするつもりなんだよ?」
「ジュンペーがそんなこと、するわけないじゃんっ。大体、そうなったとしても、ケースケに関係ないでしょ?」
ったく、グサグサ傷つくこといいやがる。
「お前、じゃあ、ジュンペーのことスキなのか?」
美莉は、グラスをとろうとする手を離し、心底あきれた顔をこちらに向ける。
「バカ!ほんとケースケってバカ」
「だから、バカってなんだよ」
「何にも分かってないってことだよ」
「誰かから、あんなメールもらってるのは知ってるよ」
「だから、何?目の前にいる私を見てよ」
泣き出しそうな美莉。俺、何か勘違いしてるのか?でも、俺には美莉の心が読めない。急に気弱になる俺。
「見てるよ。ずっと見てきたよ。でもわかんないよ。ミリは」
俺は、自然に囁くような声になる。そっと頬に触れ、涙の跡をなぞりながら、
「ひょっとしたら、俺を好きなのかなと思うときもあれば、全然嫌われてる、避けようとされてるって思うときもあるから。」
「・・・だもん」
「え?」
「確かにそうだもん。ケースケのこと、死ぬほど愛してるって、離れたくないって思うときもあれば、でもやっぱり、怖いって、、もう誰も好きになりたくないって思うときもある。ケースケじゃなくて、ヒロトを探してるだけなのかもって、思ったりもする。ケースケだって、私なんかじゃなくて、誰か他の人の方がいいんじゃないかって思ったり。ケースケがヒロトの弟じゃなかったらって・・・・。」
叫ぶように告げる美莉。死ぬほど愛して、怖い、誰も、ヒロト、弟。。美莉の言葉をゆっくりとかみ締める。美莉は少し黙っていたが、
「・・・ケースケ」
「何?」
「ケースケは、私のこと、出会った最初っからスキだったの?」
俺は驚いて言う。
「ああ。・・なんで?」
「前にナギコさんが言ってたの。私が死のうとした時に、愛してるっていってくれたでしょう?その言い方で、多分、ケースケは私のこと、出会った日から好きなんだろうって。」
「なるほどね。ナギコ、か。懐かしいな」
「私もね、出会った日から、ケースケのこと好きだったんだよ?」
ええええっ?まさか。ってことは、一体??呆然とする俺に、
「でも、ケースケ、中学の時、いつも私に冷たかったじゃない?」
俺はあの頃の自分を思い出す。
「ああ、だって、みんな美莉のこと好きだったから、俺、抜け駆けしちゃいけないって思ってて、仲良くしないようにしてたんだ。そばにいると気持ちを抑えられない気がしたから」
美莉は、困ったように笑い、
「そうなんだ。私は、ずっと嫌われてると思ってたんだ。だけど、私は好きだった。3年間、冷たくされてもあきらめられなくて、辛かった。だから、ケースケに似たヒロトに会ったとき、あの優しさにすごく惹かれたの。」
なんてこった、全く。言葉を失う俺。俺、美莉と両思いだったことに気づかず、ヒロトにとられちゃったわけ?
「だから、ね、また、、また私、ケースケを好きになったりしたら、なんか、ヒロトに悪い気がして。でも、やっぱりそれでもあきらめきれなかったり。ずっとずっと同じとこ、ぐるぐるしてるんだ。」
俺は、そっと、美莉を抱きしめて、心を落ち着かせるために背中を優しく撫ぜる。
「今は?」
「わかんない。わかんないの、ケースケ。だけど、2度と会えないなんて、ヤダ。」
「ミリ」
「だって、2度と会えないなんて、死んだのと同じでしょ?ケースケまで、ヒロトみたいに、私の前から消えちゃうの?ケースケのバカ。大っキライ。バカ、バカ、」
涙を流し、俺の胸をたたく美莉。
「ミリ、ごめん。ごめん。あんなの本心じゃないんだ。全然反対の気持ちなんだよ。」
俺は必死で抱きしめる。
「・・いいよ、もう。どっかいっちゃえばいいよ。ケースケなんていらないっ」
いらない、か。ため息をついて、聞く。
「ほんとに?」
ミリは、俺をなみだ目で見上げて、口をへの字に曲げ、
「わかんない・・。」
かわいくて仕方ないミリ。俺は、微笑んで言う。
「じゃあ、ちゃんとゆっくり考えろよ。俺、待ってるから」
「だけど、もう、ずっと待たせてるのに、悪いんだもん。」
「悪くないよ。考えてくれてるなら。・・・なあ、ミリ。分かってる?」
「え?」
「俺が一番怖いのは、ミリを失うことだぞ?俺が一番辛いのは、美莉をあきらめることだぞ?ミリがヒロトと付き合ってる間、ずっとあきらめようとしてた。だけど、無理だった。またあんな思いするの、想像するだけで辛い。」
「・・・だけど、私、ケースケにヒロトを重ねてるのかもしれない。自分でも、、どうなのか、分からない。こんなのダメ?だよね。。?」
「ダメじゃないよ それでも、俺は俺だから。ミリが、誰を俺に重ねても構わない。その奥にいるのは俺だから。どっちつかずでもかまわない。完全にダメじゃないなら」
「本当に?」
「ああ。」
俺はミリの目を見て言う。
「愛してるんだ。ミリ。」
「・・・ありがと。」
ふと、悠斗に言われた言葉を思い出して、たずねる。
「なあ、この世に生きてる中では、間違いなく俺が一番好きか?」
「もちろん、そうだよ。」
心の奥が、あったかくなる。俺は言う。
「帰ろうか」
「うん」
素直にうなずくミリが、いつも以上に、愛しくて愛しくてたまんない俺だった。


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最終更新日  2008.05.05 01:10:53
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