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2008.05.17
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カテゴリ: let me sleep beside you
「ただいま。まだ起きてたのか?」
と、パソコンの前に座っているミリに言う。
「お帰り~。」
ミリはそう言うと、いつも通りウインドウをいくつか消してから、こちらにくる。
「ねえ、ケースケ」
ためらいがちにいうミリに、腕時計をはずしながら、
「なに?」
「ちょっとだけ、抱っこしてもらってもい?」
返事も聞かずに胸に頭をつけてくるミリ。ドキドキする。俺は腕時計をラックに置いて、ミリの背中に腕を回して、小さな声で聞く。

「ん~、なんか眠れなくて」
それって、やっぱり、告られたこと悩んでるから?なのか?
「それって、あれ?何か、誰か、後輩に告られたってことで?」
ミリの体が固まる。俺の胸を両手で押し返すようにして離れて、顔を見上げながら、
「何で知ってんの?・・・あ、また、ジュンペーか。。」
俺は黙ったまま、微かに頷く。ため息をついて俯くミリ。
「で、どうなんだよ?そいつのこと。」
ミリは疲れたような声で、
「どうもこうもないよ。今日初めてその子の顔と名前知ったとこなんだよ?」
「どんなやつ?」
「どんなって、、榊君っていって、ドラムはまあ上手だったけど」

「はあ?私みたいに、毎日ケースケ見てたら、誰もかっこよくなんて見えないよ」
お、てことは、俺のこと、かっこいいって思ってくれてんだ?しょうもないとこで、プチハッピーな俺。バカだな、ほんと。
「じゃあ、中身は?」
「中身??悪い子ではないと思うけど、、よく知らないし」
「じゃあ、これからもっと、よく、知っていったら、揺れるかもしれない?」

あきれたように、即答のミリ。
「お、言い切ったね」
「言い切るよ。当たり前でしょ?ねえ、私、ちゃんときっぱり断ったよ」
「きっぱり?って、、お前、、また、ひどい言い方したんだろ?なんて言ったんだよ」
「え~、ん~とね、、確か、、『今も、これからも、恋愛対象としては、絶対、全然、興味持てない』って言ったかな」
きっつ~っ。さすが、ミリ。それは、、再起不能だな。。誰かに告られる度に、きっつい振り方するのは、もう、ミリの定番だ。ミリにしたら、相手が全く見込みがないことを知って、さっさとあきらめることができるようにっていう思いやりらしいけど。。俺と、ジュンペーたちの間では、「後にぺんぺん草も生えないフリ方」って呼んでる恐怖のフリ方だった。
「ね?ちゃんとフリ切ったでしょ?ジュンペー、ちゃんとそこまで言ってた?」
「フリ切ったって。。いや、そこまでは。。。でも、今、ミリからはっきり聞いて、俺は安心した。・・・けど、じゃあ、眠れないのはなんで?」
もう一度、俺にくっついて、黙りこむミリ。
「他にもなんかあったのか?」
「ううん。。ただね、その子に言われたんだ。添い寝でガマンできるなんて、私をなんとも思ってないか、他に女がいるからだって」
俺は鼻で笑って、
「はは、ありえね~っ、って、あれ??おい、ミリは、ちゃんと、分かってるよな?」
「分かってる」
「じゃあ、なんで眠れないんだよ?」
「なんか、私がはっきりしないからなのに、、ケースケがひどい人間みたいに思われたのが、悪くって。私、曖昧なままでいることで、ケースケにひどいことしてるんだね」
そんなことナンも気にすることないのに。俄然愛しくなって、ささやく。
「誰に何言われたって、気にしなくていいって。俺、平気だから。・・ミリ、愛してるよ」
ミリは俺にしがみつく。
「もっかい、言って?」
意外な展開に、俺は、ぎゅっと抱きしめて、ゆっくりと繰り返す。
「愛してるよ、ミリ。」
「・・ありがと。ケースケ。」
ほっとしたようなため息と一緒に言うミリ。
「それだけ?ミリは?」
調子に乗る俺をちらっと上目で見てから、容赦なく言うミリ。
「まだ、保留。」
「え~~っ。なんだよ、それ。悪い、、とか、ひどいことしてるとかって、言ってなかった?」
ミリは意地悪に、にこっと笑って、
「気にしなくていいって、言ってなかった?」
といって、俺からパッと離れ、
「ほんと、ありがと~。ああ、よく眠れそ。おやすみ。」
と行っちゃうし。
なんだよ、いいムードだったと思ったのにな。
ため息をついて、仕方なくシャワーに向かう俺。シャワーを浴びながら考える。
しかし、その告ったってヤツも、気の毒だよな~。全然、相手にされずにあっというまに振られた感じだし。。
それなりに、悩んだろうにな~。あんなひどい言葉で。。あっさりと。。
でも、ミリって、、確かに、そういうとこあるんだよな。
ジュンペーの気持ちにだって全然気づいてないし。疎いって言うか。。鈍いって言うか、気にしないっていうか。。ひどいっていうか、怖いっていうか、えげつないっていうか。。
俺は、一応、、考えてはもらってるわけだから、よし、としなくちゃいけない、って、、、なんか、完全に志が低い俺。

シャワーから出て、ミリの様子を見に行くと、ほんとに、ぐっすり眠ってた。
結局、俺の、愛してる、聞きたかっただけなのかよ?
でも、それで、これだけ安心して眠れるってことは、
喜んで、、いいんだよな?前進してんだよな?

で、オフの日。約束どおり、ミリとショッピングに出かけた。
俺たちがいつも行くのは、電車で10分の距離にあるショップが集まった場所。
いつもと同じ駅で降り、並んで歩いていると、ウインドウの中に、ミリが悠斗を見つけた。
「あ、あれ、悠斗くんじゃない?」
俺はミリの指差す方を見る。ほんとだ。確かにあいつも今日はオフのはずだし。
そこは、ギャラリーで、どうやら今は次回の展示の準備中らしい。中には何人か人がいるが、ところどころの窓にはスクリーンがおりたままで、入り口の表示は『CLOSED』だ。
「ほんとだ、何やってんだろ?」
と言い合っていると、悠斗に近づき、親しげに話しかける女性が1人。隣に美莉がいたって、どきどきしてしまったくらい、かわいい。悠斗の彼女を見る、見たこともないような優しい目つき。間違いない、楓ちゃんだ。
「・・・綺麗な人~。」
と、美莉は自分も言っておきながら、俺を見上げて、
「ケースケ、見とれてない?」
と睨んでくる。俺は、慌てて(るって時点でもうヤバイんだけど)、
「ま、まさか。俺には、ミリが完璧」
と言い返す。
「微妙に、、逃げたよね、それ?」
まだ突っ込んでくるミリから、逃げるために、悠斗に向かって手を振ってみる。すぐに気づいた悠斗がドアを開けて出てくる。
「お~、ケースケ。ミリちゃん、ひさしぶりだね~」
「ほんとお久しぶり。こんにちは、悠斗くん。いつもケースケがお世話になってます」
と母親のような挨拶のミリ。
「いえいえ。こちらこそ。おかげで現場は楽しいよ。ところで、何やってんの、こんなとこで?」
と悠斗に聞かれ、
「それはこっちのセリフだよ。ちょっと、紹介しろよ、あれ、楓ちゃんだろ?」
「うあっ、何で分かんだよっ、紹介、、、しなきゃいけない?」
「お前がしてくれないなら、自分で入っていくまでだけど?」
悠斗は、俺とミリを何度か見てから、ため息をついて、
「分かったよ。どうぞ、入って」
と、中に促してくれた。

中に入ると、外からは見えなかったが、ほとんど準備は終わっているようだった。正面のカウンターの中に背の高い、少し目の鋭い男の人が立っている。その人と話している後姿がさっき見た楓ちゃんに違いなかった。
「楓」
悠斗が呼ぶと、こちらを向く彼女と男の人。
「フジシマくん、ちょっと楓、借りてもい?」
フジシマくんと呼ばれた彼は、こちらを少し見てから目礼し、視線を悠斗に戻し、うなずいた。こちらにイノセントな微笑のまま、近づいてくる彼女。
「楓、紹介するよ、これがケースケ。で、ケースケ、これ、楓」
「はじめまして」
と言うと、にっこりと笑って、ぺこりと頭を下げ、
「はじめまして~。」
とふわりとした感じで言ってくれる。声までかわいい。こちらまでニコニコしていると、悠斗は俺を俺にだけしかわからない目つきで睨んでから、
「で、ケースケの片思いの相手の、ミリちゃん」
ミリと楓ちゃんが挨拶している間に、俺は悠斗を悠斗にしか分からない目つきで睨み返してやる。片思いとか余計なこと言わなくていいだろ??男同士こっそりと睨みあっていると、
「ケースケさんには、いつも悠斗、迷惑かけてるみたいですね?」
と楓ちゃんに言われ、例の会えない日のことかと、思い当たる。
「え?あっ、ああ、そうなんだよ、なんか楓ちゃんに会えない日は、こいつめちゃ荒れなんで、大変で」
「ほんと、すいません」
と、にっこり謝る楓ちゃん。悠斗は、今度は俺をしっかり睨んで、
「いいんだよ、余計なこと言わなくて。」
けっ、仕返しだよ。と、どこまでもオトナゲない俺たち。
「あ、そうだ、楓ちゃんに、、」
といいかけると、
「私のことは、楓って呼び捨てにしてください。苦手なんです、ちゃんとか、さんとか」
「そうなの?じゃあ、お言葉に甘えて、楓っと。あ、それじゃあ俺とミリのことも、呼び捨てにしてよ?あと、敬語もやめて?」
と言い返すと、
「うん」
と素直にうなずいてくれる。
「え~っと、なんだっけ、、、?あ、そうだそうだ、楓に聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」
「うん。なに?」
「楓って何の仕事してるの?」
楓は少し首をかしげて、
「・・悠斗から、聞いてないの?」
「教えてくんないんだ、なぜか」
楓は不思議そうに、悠斗に、
「なんで?」
とたずねる。悠斗は、楓の耳元で、何か囁いていたが、楓は笑って、
「いいのに、そんなこと」
と言ってから、
「陶芸をやってるの。」
「陶芸?」
「うん」
特に隠す職業とも思えない。。
「・・・なんで隠してたんだよ?悠斗」
と聞くと、悠斗は、
「楓、覆面陶芸家、でやってるから」
「覆面?」
「そう、個展はしても、楓の顔と名前は出してないんだ。だから、まあ、念のため」
「・・・そういうことか」
納得していると、ミリが、
「じゃ、これも楓の個展の準備?」
「ううん。今回は私の祖父の個展なの。私はそのお手伝い。」
「楓のはこの間終わったばかりなんだ」
と悠斗。
「ね、ちょっと見せてもらってもいい?」
というミリに、
「もちろん。どうぞどうぞ」
と付き合って向こうへ行くミリと楓。悠斗と並んでその様子を見ながら、
「でれでれすんなよ、悠斗」
と言ってやる。
「してね~よっ。お前だろっ」
「てか、マヂでかわいいんだけど、楓って。想像以上だよ」
と言ってやると、
「ばっ、おまっ、ミリちゃんのいるところで、何を。」
「ミリとうまくいかなかったらさ、俺も、楓、、いいな~」
「ケーーースケッ、やめてくれよ、ほんとに。勘弁してって。あああああ、だから、会わせるのヤだったんだよ」
本当にからかいがある男だな。謙吾がいつまでもからかってるのよく分かる。
最近、ミリにからかわれてばかりだから、ストレス発散になったよ、悠斗。
て、、俺、ミリのいじめたがり、うつってる?

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最終更新日  2008.05.17 00:27:22
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Re:49 ~ケースケ~ let me sleep beside you(05/17)  
koori さん
面白いっ!
何か今回、いつにも増してテンポが良いですねぇ。読んでて笑っちゃった~☆
楓と悠斗も出てきたし、嬉しいっす♪
あ。フジシマくんも出てきた~。わ~い。(フジシマくん、結構好き~)

ミリは楓と何を話しているんだろうなぁ。
次回、分かるかな? (2008.05.17 01:51:07)

Re[1]:49 ~ケースケ~ let me sleep beside you(05/17)  
kooriさんへ。

いつもありがと~。
テンポありました?
じゃあ、実は長かったのごまかせたかな~?

こんなにオールスター(?)出す予定じゃなかったんだけど、
ま、いいか。
フジシマくん、唯一、今のとこ、崩れのないキャラですよね?
安田さんほど、クールにはいかないけど、
大事にしないとな。。 (2008.05.17 23:09:06)

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