lovesick

lovesick

PR

カレンダー

コメント新着

windsurf4179 @ Re:近況(05/08) お久しぶりです、福岡の加藤です。 何年振…
ぽわぽわ0127 @ Re:近況(05/08) ひろさん! よかった♪たまには近況知らせ…
シゲタロス @ Re:近況(05/08) なんだか凄く久しぶり!! 帰ってきてくれて…
t-nik0618 @ Re:近況(05/08) 良かった、仕事もできるようになったので…
ひかるですが…何か!? @ Re:近況(05/08) ひろ。さん、はじめまして。 こちらでコ…

お気に入りブログ

空想世界と少しの現実 緋褪色さん
きっくまーくのくだ… きっくまーくさん
無限の扉 yuto.さん
room47 shingo4711さん
ココロのまま るーじゅら。さん
     . ☆Yuri☆さん
不況に負けずに肝っ… かわちゃん4729さん
テレビでお馴染みの… 京師美佳さん
テイ・サックス病の… □■ぱん■□さん
食いしん坊のHappyLi… ぽわぽわ0127さん
2009.07.17
XML
カテゴリ: blue night
「ん~、、」

「いいだろ?すぐに帰るからさ」
「・・・マスコミが騒ぐからなぁ」
「入るときだけだろ?千夜姫の前ではあいつらも行儀よくしてるさ」
千夜はマスコミに厳しい。行儀の悪いマスコミはどんどん締め出される。だから、外では騒いでも、千夜の目に付くところでは、僕にカメラを向けることもマイクを向けることもないだろう。なんといっても今日の主役は千夜なのだ。
「そうだなぁ。。確かに、蒼夜も、、今日は、、、いつもより来ない確率が高いだろうなぁ」
碓氷は水野のその声の響きに疑問を感じて、聞いてみる。
「なんで?体調でも悪いのか?」

「いや~、ここ1ヶ月くらいかなあ、元気ないんだよ、蒼夜のやつ」
「どうして?」
「さあ、理由が分かれば励ましようもあるんだけどな」
「ふ~ん・・」
1ヶ月?僕とのことがあったから、、なのかな。・・内心めちゃ気になるけれど、あんまり突っ込んで聞くわけにも行かない。でも、本当に心配しているのか、水野は勝手に話を続ける。
「それまではさあ、なんだかんだいっても、ハタチの女の子だからさ、それなりに、夜遊びとかもしててさ、夜中に千夜を送ってくと、その後に帰ってきたりしたもんだから、よく怒ってたんだよ、俺もさ、一応、そばにいる大人の1人として。ほら、父親もいないことだし」
ふと思いついて、尋ねる。
「水野も、知らないんだよな、蒼夜の父親」
「知らないよ。千夜はぜったい言わないし。俺が・・・一番疑ったのはお前だけど」
「僕は違うよ」
「だろうな。そう言うと、千夜は鼻で笑うし、お前だって、そう言うし。お前がオレにこんな長くうそをつき続けられるとも思わない」

何気なさを装いすぎて、何気に怪しい相槌をうち、話を促すテツヤ。水野は蒼夜の話に戻って、
「1ヶ月くらい前かなあ。。それこそ、こっちが4時ごろかなあ、早朝ロケに出る頃になって帰ってきたことがあって、もちろん、そんときもオレは怒ろうと思ったんだけどさ、、なんていうか。、」
「ん?」
「怒れなかったんだよなあ」
「なんで?」

失恋・・?
碓氷の心臓はドキドキとその鼓動を早め始める。

1ヶ月前。。
明け方って、、。
失恋って、、、。
まさか、、僕に?
。。。まさか、、だろ?

テツヤはあの夜の記憶の断片をかき集めてみるけれど、どうにも思い当たらない。
あまりにも、あの日の記憶を再生しすぎたせいで、
現実に起こったことなのか、
募り続ける蒼夜への想いから、都合よく書き換えてしまったことなのか、
区別がつかなくなっていた。

「なんせ、その日から、あんまり夜遊びに行かなくなっちゃってさ」
「いいことじゃないか」

ほんと~に、いいことだよ。蒼夜。じゃあ、ダレとも寝てないのかな。僕の忠告を聞いて、、??

「そのことはな」
軽くいう水野に、、、ていうかさ~、と思い、碓氷は口をとがらせて言う。
「ていうか、お前らさ、、お前と千夜」
「なんだよ」
「僕に散々、蒼夜には近づくなって言ってさ、なのに、なんでそんな夜遊び許すんだよ。ハタチだろ?ちゃんと見張ってろよ。僕に近づけない意味がないじゃないかっ」

・・完全タッグで僕と蒼夜を引き離してきたんだから、だったら、ちゃんとずっと目を光らせててくれればよかったんだ。そうしたら、ろくでもないオトコどもが蒼夜に指一本触れることもなかったのに。

つい熱くなってしまったテツヤに、水野はあっさりと、
「何言ってんだ。お前はダメだよ」
「なんで?」
「お前だからだよ」
「わかんね~」
「お前ね、これまで散々女遊びしてきて、、わっかんないかなあ?」
「何を?」
「お前はね、魅力的なの。・・・もしも、、蒼夜が、、本気になったらかわいそうじゃないか」
心に柚子が住み続けて来たのを水野は知っているから。千夜だって、僕が誰かを思い続けていることを見抜いていた。その上僕が続けてきた、女遊び。だから。か。だけど、、実際は、僕に会っても、蒼夜は、あっさりしたもんだった。僕に、、惹かれている様子なんて。。。水野は、テツヤが言い返さないのをみて、話を戻す。
「だけど、夜遊びやめただけじゃないんだよな、とにかく元気ないっていうか。。いつ行っても、ぼーっとしてるし」
「ぼーっと・・・」
「ああ、ため息ばっかりで。そうだ。ほら、お前も出てたこの間の連ドラ、アレが見たいっていうから持ってったら、それば~っか見てんだよ。誰かのファンなのかね?」
「誰かって」
もしかして、、僕を見たくて?って甘い想像に浸りかけるのを水野がばっさりと切ってくれる。
「あれに出てたっていったら、あれかなあ、大場くんくらいかなあ。蒼夜が興味持つとしたら年齢からいっても」
大場。。。
「ケースケか・・。たしかに、彼はいいけどね」
やっぱり普通はそう考えるよな。まさか、僕、、なんてな。。

だけど。。
だけど、1ヶ月。。か。。
もしか、、したら、、、、、、。
1%くらいは期待してもいいのかな。。

水野は、ネクタイを締めながらいう。
「そんなわけだから、まあ、蒼夜は来てないだろ。元々ああいう場、好きなコじゃないんだからな。・・いいよ、お前も一緒に行くか?」
「ああ」
「服は?」
あまりにも普段着のテツヤに言う。テツヤも自分で見下ろしてから、水野を見上げる。
「もう一着ないのか?」
水野はため息をついて、クローゼットを開けた。
「好きなの選べよ」
「サンキュ。お前がいいもん食べてる割にはサイズが変わんないおかげでこういうとき助かる」
「微妙なほめ方すんなよ。なあ、」
「何?」
着替え始めながら、たずねるテツヤに、
「分かってると思うけど、おとなしくしてるんだぞ」
「分かってるよ。ったく人をガキみたいに」

水野の言うように、蒼夜は、いつもどおり、いや、いつも以上に、来ないかもしれない。

・・・だけど、、もしも来ていたら。
そして、それが、もしも、もしも、僕に会うためなら、
僕は、その機会を逃すわけには行かない。
万に一つ、、以下の可能性だとしても。

にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説へ ←1日1クリックいただけると嬉しいです。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2009.07.17 00:56:33
コメント(2) | コメントを書く
[blue night] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: