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2009.10.01
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カテゴリ: box
「もしもし?」

今度は1コールですぐに出てくれた楓。
「楓?俺。ごめん、何回も」
楓は、微笑声で、
「ううん。どうしたの?」
「どうもしない。声聞きたくなって」
という俺に、さすがの楓も苦笑声で、
「さっき切ったばっかりなのに?」
「だよ。いけなかった?」

なんて可愛いこといってくれる。俺はほっこりした気持ちになる。

もっとリアルに楓を思いたい。

「いま何してた?」
たずねる俺に、
「庭で星を見てるの」
と答える楓。

俺は目を閉じ、楓の実家の庭を思う。
都会とは違って、たくさんの星が見えるんだ。
星空に包まれた楓。

「いいな。俺も見たいよ~」

星よりも、、楓のことをだけど。


「今度一緒に見ようね」
「ああ」
「悠斗は?今どこなの?」
「まだ、稽古場。ちょっとテンション下げるために、みんなで飲んでた」
楓はくすくす笑って、

俺は、岬さんと碓氷さんを思い、
「若干、そういう人もいる」
「やっぱり。」
「俺は違うけど。・・おっと」
もたれていたドアが開き、慌てて、よける。出てきたのは碓氷さんだった。
「おぉ」
俺を見ていう碓氷さん。
「あ、すいません」
ケータイを少し離していう俺に、碓氷さんは、何かに気づいたように、耳元で、
「彼女?」
と聞いてくる。うなずく俺に、手を差し出し、
「ちょっと換わってよ。お祝いの言葉、一言だけ」
「あ、ほんとすか?ちょっと待ってくださいね。」
と返事をして、楓に言う。
「楓?碓氷さんがさ、ちょっと話したいって。」
「碓氷さん?って、俳優の?」
電話の向こうで楓が言う。
「だよ」
「え~。緊張するね」
「はは。そんな必要ないよ。優しい人だから。換わるよ?」
「は~い」
楓の返事を確認してから、碓氷さんにケータイを渡す。碓氷さんは、受け取って、
「もしもし?碓氷です。初めまして」
にこやかに話しかける碓氷さん。

あんまりじろじろ見てるのも、なんか悪いから、壁に貼ってあるポスターに目をやってたんだけど・・。

あれ?と思うほどの沈黙に、俺は碓氷さんを振り返る。
なんか、、固まってる?
俺の視線を感じたのか、碓氷さんは、気を取り直したように言う。

「楓さん、誕生日だったんだってね。おめでとう」
気のせいか若干引きつったような表情で。
「それだけ、一言言いたかったんだ。悠斗は、いい男だよ。仲良くね」
そういった碓氷さんはもういつもどおりだった。碓氷さんは、
「ごめんな、割り込んじゃって」
と、微笑んで、俺にケータイを返して、背中を向ける。俺は碓氷さんの様子を気にしながら、電話に出る。
「もしもし?楓」
「うん。おめでと~って言ってもらっちゃった」
「うん。聞いてた」
「フジシマくん、たしか、碓氷さんのこと好きだから、自慢しちゃおっと」
「はは。じゃあ、また、電話するな。遅くにごめん」
「ううん。あんまり飲みすぎたらダメなんだよ~?」
「分かってるって。もうすぐ帰る。」
そう言ってから、ふと思いついて言い加える。
「って、楓だって飲んでんじゃない?」
「あは、ばれちゃった?星見酒だよ。」
「俺といるとき以外は、飲みすぎ禁止だよ?」
「は~い。もう寝ます。お休み」
「おやすみ」
そういってケータイをポケットに直しかけたとき、目を閉じて壁にもたれたままそこにいた碓氷さんが、ポツリと呟くのが聞こえた。
「・・ーコ・・」

・・・?

「碓氷さん?」
俺が声をかけると、碓氷さんは、ぼんやりと目を開けた。
「ああ、ごめん。割り込んじゃってさ。僕、先に失礼するよ」
碓氷さんは、出口の方に向かう。俺はその背中に声をかける。
「あの、ありがとうございました。楓、喜んでましたよ」
碓氷さんは振り返って、
「そうかい?なら、よかった」
と微笑んでから、出て行く。

俺はそれを見送ってから、稽古場に戻った。


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最終更新日  2009.10.01 00:13:36
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