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2010.01.21
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カテゴリ: box
「・・・こうなった時に、必ず助けたいと思ったからだ」

僕の言葉に、
「・・・ありがとう。・・・ごめんね。。泣いたりして」
美莉は涙声でそういう。僕は黙って首を振った。ミリは、少し微笑んで、
「ねえ、、入院ってどのくらいかかるの?」
「まずは、検査で1週間」
「1週間・・・」
ただその言葉を繰り返した美莉が、何かを思い出したように言う。
「・・・ねえ、お父さん、明日から出張なんじゃなかったっけ?」

「・・ああ。。そうだった・・。あぁあ、あれは、、行かないわけには、、」

・・共同研究している博士が来日するんだ。・・誰かに任せられることじゃない。
しかし、美莉が・・・。
僕は美莉を見る。
・・・とりあえず、美莉のことは、新谷に任せるしか、ないか。。

黙った僕の、言葉の先を読んで、美莉は、あきれたようにため息をついてから、
「・・・お父さんがついてる、って、今・・言ったよね?」
軽蔑するような薄い目で僕を見て言う。いつも通りの美莉。
僕は、
「はは。まあまあ。・・・お父さんのかわりに新谷君がついてくれるさ」
「なにそれ~?娘の一大事に~。ひど~いっ。」

「ごめん。1週間で戻るからっ。その1週間にできることって、とりあえずは検査だけだし、な?検査だから、誰がしても、・・・って言う言い方は、、よくないな。・・いや、ほら、新谷君の腕は確かだから。僕が保証する。安心していい」
「それは、そうだろうけど~。。っとに、お父さんらしいよ。らしすぎるっ」
涙も乾いたように笑う美莉。僕は、ともかくも笑った美莉に少しほっとしながら、
「用件が済んだら、早く戻るから」
「はいはい。期待しないで待っとく」

「新谷くんには、、、話したのか?」
さっきまで一緒に食事を、それに、サングラスの下でとっくに潤んでいた瞳を思いながら。
案の定、美莉はうなずき、
「ていうか、新谷先生には、何も言わなくても、、 ばれちゃった の。ほんとはね、ちゃんと先にお父さんに言うつもりだったのにドタキャンされたから、今日はそのまま帰るつもりだったんだけど。。」
そうか、と思う。僕は彼に、美莉の体のこと、見守ってくれと頼んだのだ。彼は、美莉への 自分の感情を押し殺して 見守ってくれていた。そして、しっかりとその役目を果たしてくれたんだ。

・・・しかし、新谷が、ただ食事をともにしただけで見抜いたということは・・・

僕は、何気ないそぶりでメモを取り出し、美莉に簡単な問診をする。
素直に、そして、簡潔に答える美莉。

ひとつひとつ書きとめながら、僕は医者として訓練された僕として、娘に向き合う。
そうしなければ、、とても冷静ではいられない気がして。

・・確かに新谷なら、気づくはずだよ。

ここまで症状が進んでいるなら、美莉・・。


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最終更新日  2010.01.21 00:50:11
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