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2010.03.19
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カテゴリ: box
しっかりと手を握り返されて、俺は隣を歩くミリを見下ろした。
足元を見ながら、俯いて歩くミリ。
小さい小さいミリ。
ずっとずっと守っていきたいミリ。

美莉のほんとの心になんて気づきもせず、
俺は、もう一度しっかりと手を握り返したんだ。

美莉を見つめたまま。

ずっと見つめていると、ミリが何かを感じたのか、ゆっくりとこちらを見上げる。
ただ、黙って微笑んで。


そして、俺は、ふと思い出してたずねる。

「なあ、そういえば、ミリ、ケータイは?」
「え?」
「ずっと電話してたんだ。今日、芝居終わってから。・・・だけど、電源が入ってないって」
「あ・・・」
ミリは、小さくそう言ってから、
「忘れてきちゃった、病院に。」
とポツリと言った。

・・・病院?

「病院?」
そう問い返すと、少し、慌てたように説明する美莉。

「朝から?」

・・・お父さんに。っても、アイツもいたんだよな、きっと。俺は新谷のことを思い出して、少し、落ち着かない気分になる。俺には一度も会わなかったこの1週間、アイツには何度会ったんだろう。・・・いや、美莉が戻ってくれることを思えば、、些細なことだ。つまんないことで妬くのはよそう。

「・・・うん。ちょっと用事があって。多分病院のお父さんの部屋だと思う・・」
そう答えた美莉。
「そっか。なくて平気か?取りにいく?それとも、お父さんに電話して、家に持って帰っておいてもらうか?お父さん帰るころ、俺、お父さん家までひとっ走り取りにいってきてもいいし」

「いいよ。そこまで。別に、なくたって」
笑いながらいう美莉に、
「・・・そうか?」
「うん。この1週間も、電源入れてなかったし」
「・・・へ~」

・・・そうなんだ。。ってことは。。

ちょっと、戸惑った顔をした俺に、
「・・・なに?」
「え?」
「今、なんか間がなかった?」
「いや・・・」
ミリの突っ込みに曖昧に逃げようとしてみたけれど、
「なあに?」
もう一度そう聞かれ、どの道、いずれは美莉はケータイを見るんだ、隠しきれるはずもないと、白状する。
「いや、、俺、、メールしてたんだ、、」
「え?」
「1週間、毎日メールしてたんだよ」
「・・・そうなんだ。ごめん、全然見てない」
「・・なんだ。。そっか」
「・・・なんて書いたの?」
かわいく聞いてくる美莉に、俺はちょっと、照れながら言う。
「・・・いや、ほら、、『愛してる』ってさ、、毎日言うって決めてたろ?だから、それだけなんだけど。。いつもどおり。何も返事来ないから。。だめならだめって言ってくると思ったけど、何もなかったからさ、毎日懲りずに。。」
今は軽く言っているけど、会えなかった1週間、美莉を失いかけていた1週間、だったから、自分でも呆れるほどの、必死な思いを込めていた。
『愛してる』
って、ただその一言に、ありったけの思いを込めて。
「なんだ、、、読んでなかったのか」
拍子抜けした気分。でも、、、いいんだ。美莉が戻ってくれるなら。
「・・・そうなんだ。・・・ねえ、ごめんね。読んでなくて。まとめて見させてもらうわ」
そういって、くすっと微笑んだミリに、
「まとめて読まれるのちょっと恥ずかしいな・・・」
ちょっと恥ずかしい顔で、凹んでみた俺に、
「ケースケ、ありがと。ほんとに嬉しいよ」
って先に言ってくれるミリ。俺は、ただ甘く微笑んだ。

そんなこと、話しているうちに、公園の、ヒロトの噴水につく。
そして噴水には、まだ、ロープがかかっていて。

「まだ、止まってるんだ・・」
小さく呟いたミリ。俺は、
「ああ、長いよな?」
「そうだね。なんでだろぉ」
残念そうにそう呟いたミリは、繋いだ手を離し、噴水に近づく。

・・・なにか、ヒロトに話でもあんのかな?

・・・病院。ヒロトに相談。この間からの不安定。

俺は、水のない噴水を見つめるミリの、小さい背中にもうひとつ尋ねることにした。

「・・・なあ、ミリ、本当に違うのか?」


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最終更新日  2010.03.19 09:54:34
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