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2011.06.14
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カテゴリ: box
「『普通の家だよ』って、言ってたじゃない・・・」

どうしようもなく吐き出された言葉に、驚いたように私を抱きしめてくれる悠斗。強くぎゅっと抱きしめてくれる腕に、確かな愛を感じられるのに。

・・・いつかはあきらめなくちゃならない。

そんな思いが私のココロを支配して、自分からもしがみつくように抱きついてしまう。悠斗は私を抱きしめたまま、

「・・・ごめん。嘘ついて。・・・余計なことで不安にさせたくなかったんだよ」

「・・・余計なこと?大切なことでしょっ?」

穏やかに話そうと思っているのに、高ぶってしまう声。私は、肩で息をつきました。

・・・悠斗が悪いんじゃないのに。

これ以上話すと、言ってはいけないことまで口にしてしまいそうで、私は、悠斗を押し返して、背中を向けました。



半ば泣いたような声になってしまう情けない私を、悠斗は、

「・・楓?」

囁くように呼びかけながら、そっと肩越しに抱き寄せました。

「とにかく今日は、絶対、1人になんてしないよ。そんなこと言う楓、1人にできるわけないだろ?」

優しく語りかけながら、悠斗は私を腕から出さないまま、そっとカラダをずらして、私と向かい合いました。心配げに覗き込む瞳。ゆっくりと私の頬に触れて、

「ごめん。楓。家のこと言わなかったこともう一度謝るよ。・・・だけど、そんな大切なことか?」

最後は軽い口調でそんな風に言う悠斗。

・・・タイセツナコトカ?

ぼんやりと見上げた私に、

「どんな家で生まれてようが、俺は俺だよ。何も変わらない。ただ、楓だけを愛してる俺だろ?」

無邪気ににっこり微笑む悠斗。その言葉に嘘はない。だけど。沈んだままの瞳を向ける私に、



軽い口調で尋ねる悠斗。口調は軽い、でも、瞳にはかすかに緊張が見えました。

「・・・悠斗への気持ちは変わらないわ」

・・・変わるはずない。

私の答えに、

「だったら、何も問題ないよ」



「だけど、、、だけど、悠斗、結婚ってなると、超えられないもの、ってあるわ。・・・・私じゃあなたには、、つりあわない」

・・・ツリアワナイ。

その言葉を口に出した途端、涙が頬を伝いました。

「ナンだよ、つりあわない、なんて、楓らしくないだろ」

悠斗はふっと笑いながらそういって、

「・・・でも、きっと、そんなこと、言うかもな、ともどっかで思ってたよ。お母さんのこと考えたんだろ?」

優しさを増した穏やかな声で告げながら、私の涙を指でなぞる悠斗。微かにうなずいた私に、

「だよな。・・・だから、ちゃんと話つけてから話すつもりでいたんだ。」

「話をつけるなんて、・・・そんなのムリよ」

「ムリじゃないよ。信じてっていったろ?」

宥めるように言ってくれる悠斗。だけど。悠斗のおかあさんのあの笑顔。私のココロには、あの笑顔がいつまでも残っていて。しゃがみこみたいくらい疲れきったココロで私はポツリと言いました。

「・・・信じたいけど、、きっとムリだよ。・・・私もきっとお母さんみたいにあなたのことあきらめなきゃなら・・」

「いいや」

少し早すぎるほどの速さで、否定する悠斗。

「っそんなことないよ。俺は、、とー、、いや、楓のおかあさんの相手の男とは違う。乗り越えられないものなんてない。俺は、全部、超えてみせる。楓を抱きしめたままで超えてみせるよ」

いつもは甘く優しいだけの悠斗が、力強い言葉で言い切りました。言い終えてから、私を、もう一度覗き込んで、

「楓は、ただ、俺を信じて、そばで見てろよ。そばにいてくれ。ただ、それだけで、いいんだ。・・・・いいだろ?」

「・・・悠斗」

決意に満ちた悠斗の瞳を見返した私に、悠斗は、ふっと表情を緩めて、微笑みながら、

「って、ごめん。なんか順番が違うか」

・・・順番?

片目を強くつぶって顔をしかめて、照れたように微笑んでから、

「なんか予定外のことに、後先おかしくなっちゃったし、ほんとはもっとちゃんと考えてたんだけどさー、でも、やっぱ、もう、これ抜きじゃ進めらんねーよな、、、」

そういって、少し真顔になる悠斗。

・・・あ・・・・

そう思った瞬間に、悠斗の顔がアマくなりました。愛おしそうに私を見つめて。

「楓、俺と」

悠斗がその言葉を口にしようとした瞬間、悠斗のポケットでケータイが鳴り始めました。言葉を止め、小さく口を尖らせ、

「ったく、なんだよ、こんな時に・・」

ケータイを取り出す悠斗。画面を確かめて少し考えてから、

「ちょっとごめん。・・母さんだ」

そういってケータイを耳に当てる悠斗。

・・・お母さん?

さっきの笑顔が浮かんで、私はココロをシャットアウトしました。

目の前で話し始める悠斗の表情も声も、今の私には見えも聞こえもしない。

・・・きっと、私のこと、、ダメだっていう電話なんだろうな。。

そう思ったんだけれど・・・。



私は、その電話の内容を思い出し、眠れそうもないまま、小さくため息をつき、もう一度そっと寝返りを打って、悠斗の寝顔を見上げました。

・・・悠斗、でも、やっぱり、どうしても、私の心の中の不安は消えないの。

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最終更新日  2011.06.15 00:51:24
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