全34件 (34件中 1-34件目)
1
朝。事務所で1人準備を整えていると、ドアの開く音。と、同時に、「おっはよっ」の元気な声。センセイ、の、登場。目を向けるのと同時に、続いて聞こえてくるのは、「おはようございます」の穏やかな声。今朝はケースケさんも一緒だ。普段なら、事務所前でセンセイを落として、そのまま出勤のはずだが、入ってきたということは、お子さんの保育園と、先生が、別会社で働く日の送迎の調整をするということ。ケースケさんは、簡潔にまとめた自分の予定表を僕に渡して、内容を告げながら、「って感じですね。いつも、本当にすいません」の丁寧な言葉をくれる。「ごめんね、Mくん。よろしくっ」軽い言葉を投げてくるセンセイは、例によってまだ私服姿でソファでだらりと過ごしていた。ちょっと呆れたように笑ってソファに近づき、ケースケさんは、「サぁ、じゃ、俺、行くな」センセイの頭を、軽く2度ポンポンとたたく。それを合図にセンセイも立ち上がり、「は~い。行ってらっしゃい。ありがとね。私も着替えるか~」って、ケースケさんは事務所のドアに、センセイは母屋に続くドアに向かいかける。その2つの背中に、「すいません」と、声をかけた。「はい?」「ん?」振り返って、それぞれに、疑問系な顔を向ける。少し躊躇したが、訊ねることにする。「お2人は、年末年始の予定ってもう入ってますか?」「・・・年末年始?」異口同音に言いながら、お二人は顔を見合わせる。先に口を開いたのはセンセイの方で。「休みたかったら好きなだけ休んでいいよ?だったら私もMくんのせいにして休めるし。送迎なんかなんとでもなるし。カノジョと旅行??」って、さっき送迎のこと話してたから、そのことだと思ったみたいだ。「ありがとうございます。ただ、ケースケさんの予定が空いてないとちょっとその予定は変更というか」なんだかストレートにいうのも照れるから、歯切れ悪く言う僕に、「ああ」そういってすばやく手帳を取り出し確認したケースケさんがにっこり笑って言う。「それは、おめでとうございます。大丈夫ですよ。空いてます」僕はほっと安堵の息をつく。「そうですか。よかった。ありがとうございます」「場所とか、日程とかは、もう?」「いえ、まだ、ケースケさんの予定を聞いてからと、思ってて。いろいろ相談にも乗っていただきたいし。ただ、できれば、再会してちょうど1年なんでその頃にできればな、と」「ああ、ああ、そういえば、そうでしたね。ていうか、カノジョさんの方の確認は済んでるんですよね?」そんな言い方で少し楽しそうに訊ねるケースケさんに、「ああ。それは、まあさすがに」そう答えると、「・・・・ねえ、2人、さっきからなんの話?どこにいるか全然見えないんだけど」全然、ついてこれてなかったらしいセンセイが焦れたように割って入る。ほとんど口をとがらせかけているセンセイに、僕は、ケースケさんと目を合わせてから、言う。「僕、結婚することになりました」センセイは、一瞬、ぽかんとした後で、「ぅええっ??ほんとに??ていうか、早っっ」って心おきなく驚いてくれる。「ていうか、サぁ、おめでとう、は?」ケースケさんに、苦笑しながらたしなめられて、センセイは、「あ、わ、え、あ、そっか。おめでとー。おめでとーございますっ」って、嬉しそうに言ってくれた後、「なんだー、そうかー、そうなんだー。えー??すごーい。うわー。ついこの間、再会したばっかじゃない?うわー。そうかー。おめでとー。あー。なんか、すっごい、照れる・・・ってなんで私が。。」とかブツブツいいながら、ドアの向こうに出て行った。僕と、目を合わせて微笑んだ後、時計に目をやったケースケさんに、「すいません。朝からお時間とらせて」「いえいえ、おめでたい話題で嬉しいですよ。じゃあ、また、日を決めてカノジョさんと一緒に打ち合わせしましょう。俺のスケジュールは空けておきます」「よろしくお願いします」「ていうか、サぁ、取り乱しすぎですよね?なんだよ、俺に、なんも言わずに行っちゃったしな~。」ってケースケさんもブツブツ言いながらドアを出て行った。また1人になった事務所。2つのドアに目をやり、時計を見てから、僕は静かに仕事に戻った。だけど、それも。スーツに着替えたセンセイが、ネホリハホリ聞き出そうと、目を輝かせて戻ってくるまで、のことだったけど。-了-
2011.09.02
コメント(1)
店を出て、二次会に向かい歩き始めたメンバーの中から、いつのまにかカノジョがいなくなっていることに気づき、僕は、咎め絡んでくる酔っ払いへの挨拶もそこそこに、逆向きに走り出した。高校から、カノジョの家に向かう道。何度も何度も、彼女を送るために往復した道。実際に歩くのは随分久しぶりでも、どの角を曲がっていくのか、体が覚えている。そして、・・・見つけた。「・・・ミナ!」僕の少し大きい強い呼びかけに、カノジョは、びくりと足を止めた。そしてゆっくり振り返ったカノジョは、心なしかこわばっていたような表情を少し緩める。「先輩」僕は、足早にカノジョに近づく。「2次会、行くんじゃないんですか?」首をかしげてそんなことたずねるカノジョに、「自分こそ」息をきらせながら、そういうと、「・・・気が変わったんです」ただ、簡潔にそういうカノジョ。「・・・そ、か。・・・僕も」そういうと、カノジョはただ微笑んで、「でも、どーしてこっちに来るんですか?先輩のおうち、こっちじゃないでしょう?」「・・・って、送ってくよ。いいだろ?」なんだかすがるようにそう言う僕に、カノジョは、「いいですよ」にっこり笑って言う。敬語で。あの頃と同じように、カノジョの右側に立ち、歩き始める。手を、そっと、つかみたいけれど、できないまま。言葉すら、交わせないまま。・・・これじゃ、なんだかあの日みたいだな。ぼんやりと、あの日の記憶呼び出しかけた僕に、カノジョが言う。「なんだか、最初にこうして送ってもらった日のこと思い出しちゃいました」「・・・僕も、今同じこと思い出してたよ」部活の帰り、それこそまだ、ただの後輩だったカノジョを初めて、こうして送った日。ちょっとした僕の失敗のとばっちりを受けて帰るのが遅くなってしまったカノジョを、送ってやれよ、と、仲間に囃し立てられて・・・。「すっごいイヤイヤでしたよね」カノジョが、微笑み混じりに言う。いつもと同じように。「違うって何度も言ったろ?」「でしたっけ?」敬語だけどからかってるのは間違いない言い方で、そんな風にカノジョは言う。「言ったよ」「なんて?」いたずら笑顔で問いかけるカノジョに、僕は付き合ってる間にも、何度も繰り返した言葉を言う。「あれは、照れてただけだよ。かわいいな、と、思ってたミナと、急に2人きりになれたから、緊張しすぎてたし」僕の言葉に、ミナもあの頃と同じように言う。「私も、心臓が飛び出しそうなくらい、ドキドキしてたんですよ。先輩のこと好きでしたから」・・・でも、敬語、なんだ。縮まりそうで元には戻らない距離に、僕は、歯噛みする。もう、ミナの家はすぐそこなのに。・・・このまま終わるつもりなのか?葛藤する僕のココロ。「ねえ、先輩、信じられますか?」「ん?」「初めて送ってもらったあの日から、もう、10年以上も経ってるなんて」10年。そうか。たしかに、それ以上の年月が経っている。ミナは、空を見上げて、輝く星に目を細めて言う。「10年なんて、たどりつけないくらい遥か遠くだと思ってた。だけど。・・・過ぎちゃえばあっという間でした。もっと、もっと、オトナな自分が待ってる気がしたけど、・・・・あきれるくらい、何も変わってない。・・・ねえ、先輩、私、全然変わってないです」そんな風に、言った後、ミナは黙って足を止めた。しばらく、その場で、星空を見上げるミナの背中。抱きしめたい衝動を抑えるのに必死で、僕の思考は停止状態。何度か深呼吸するみたいに、大きく息をついてから、ミナは、僕を振り返って、微笑んだ。「先輩。ここでいいです。ありがとうございました」また振り返って歩き出す背中。遠ざかっていくミナ。何を考えるよりも、僕は、ミナを呼び止めていた。「ミナ」ミナが足を止める。顔だけ振り返ってくれるミナ。「・・・今、誰か、、、恋人いるのか?」ただ、それを訊ねた僕のこと、ミナは、表情の読めない瞳でじっと見つめてから、「・・・・それって、何か、関係あるんですか?」そう問いかけて、僕を試すように、見つめる。・・・ミナに恋人がいるかどうか、が、僕に関係があるのか?最大限の拒絶の言葉に解釈するには、ミナのその瞳は、ムジャキに微笑みすぎていて、僕は考え直す。・・・ミナに恋人がいるかどうか、が、僕の、『言おうとしていること』に関係があるのか?答えは、ノーだ。ミナに今、恋人がいようがいまいが、ここで、自分の気持ちを告げずに別れるなんてこと、まず、ありえない。「いいや、関係ないよ」色の変わった僕の声に、ミナが、ゆっくりと微笑を消す。僕は言う。「なあ、やり直せないか?ずっと後悔してたんだ」僕がどんな道を選んでも、きっとついてきてくれるだろうと、ミナがいつもそばにいることを当たり前のように思って、気遣うことすらしなかった傲慢だった自分。ミナは、僕の言葉に、ゆっくりと目を閉じた。そして、小さく息を吸ってから、目を開け、にっこりと微笑んで、言う。「・・・いいよ」ミナの言葉に、今度は僕が目を閉じる。イヤだ、でもなく、いいですよ、でもなく、・・・イイヨ。もう、僕の恋人のミナに戻ってくれている。僕は、目を開け、ミナをそっと抱き寄せて口づけた。柔らかい、懐かしい、その感触に、誘い込まれるように、何度も何度も繰り返す。近づいてくる車の気配に、少し唇を離すと、ミナは、僕の胸に頬をくっつけた。僕は言う。「・・・このまま連れて帰りたい」僕の言葉に、ミナは、腕の中で、小さく笑う。僕を見上げる目はすでに、いたずらな微笑が宿ってて。「ていうか、コウちゃん」・・・コウチャン。アマク懐かしいその響き。「コウチャンてば、いつから、そんなに手が早くなったの?」「え?」「私と初めて付き合ったときは、なかなかキスもしてくれなかったのに。今は、告ったその日に、キスして、お持ち帰り?信じられない・・・。どれだけ遊んでたの?ワルイヒトっ」どこまで本気だか、そんなこと言うカノジョ。「は?ちょ、、何言ってんだよ、、んなわけないだろ?ミナと別れてから、勉強して勉強して勉強して挫折して、わがまま放題な先生にこき使われるだけの日々だったよ」僕の答えに、「へ~~~~」って半信半疑?というよりは、あきれたような目で僕を見て、「そう。時間が、なかったから、遊べなかったんだ?」「ちが、、違うって、、ミナのこと、忘れられなかったんだよ。全然。ずっと。ほんとに、ずっと」「ふ~~~~ん」全然信じてない顔で、そんなこというミナ。「なあ、分かるだろ?僕、そんなに器用じゃないよ」すがるように言う僕の腕をとって、「いこっか。その話、ゆっくり聞いたげるから」ミナは、愛おしく、微笑んだ。*タクシーに乗り込んで、行き先を告げる。走り出してしばらくしてから、ミナは、訊ねる。「まだ、あそこに住んでるの?」「そうだよ。なんだか離れられなかったんだ」ミナは小さく肯いてくれた。部屋の中に入るとミナは、懐かしそうに、あたりを見回した。「・・・全然、変わってない」「かも知れない」「ていうか」「ん?」サイドボードの上の、写真立てに手を伸ばし、ミナは、あきれたように、笑う。幸せに微笑んで並ぶ2人の写真。「普通、片付けるでしょ?」「そうかな?」「そうだよ。他の女の人みたら、気を悪くするじゃない?」「他の女の人なんて、呼ぶことないし」「それでも、やっぱり片付けるでしょ?」「そうでもないよ。未練たっぷりだったら」僕の言葉に、くすっと笑うミナ。「未練たっぷりだったら、なんで、もっと早く連絡してこないの?」「できないよ。僕からなんて。・・・だいたい」「なに?」「もう、とっくに結婚してるんじゃないかって思ってた」早くコドモが欲しいから、早く結婚したいから、適齢期に仕事をやめて、資格の勉強なんて始める僕のことは待てないって、言ってたミナ。だから、きっと。って。思ってたんだ。ミナは、少しトーンを落とした微笑を見せる。「・・・ミナには、誰か、いた?」僕の言葉に、ミナは、少し微笑のトーンを上げて、言う。「ん~。デートくらいはしたよ。何人かと」自分で聞いておいて、胸がいたくなる僕。ミナは僕の表情を読んで、なぐさめるように続ける。「でも、ほんとに、食事とか、映画とか、ただそれだけ。同じヒトとは、1回か2回だけ。すごく素敵なヒトもいたけど、でも、全然、好きになれなかった。好きになるどころか、デートに集中すらできなかったの」「集中できなかった?」「うん。誰と何してても、比べちゃうの。コウちゃんと。コウチャンだったら、きっと、こう言ってくれたのに。コウチャンだったらきっと同じとこで笑ってくれるのに。コウチャンだったら、きっと。・・・ううん。本当は、コウチャンが何してくれるとか何言ってくれるとか、そんなことじゃなくて、ただ、コウチャンだったら、隣にいてくれるだけで、幸せなのに。って、なんで、コウチャンじゃないんだろうって、いつもいつも思っちゃって。全然、楽しいデートできなかったの。相手のヒトにも悪いことしちゃった」そういってミナは、その頃のこと思い出すように俯いた。僕は、そのミナの心を思って、言葉が口をついて出る。「ミナ、ごめん。ほんとに、ごめんな」ミナは、ぼんやりと顔を上げ、首を振る。「謝るのはこっちだよ。コウチャン。コウチャンがきっと一番、私にそばにいて欲しかったときに、あんな風に。。。結婚結婚って、、、何で、あんなに、焦ってたんだろう。コウチャンが大好きだから結婚したかったのに、結婚したいからって、コウチャンと別れて他の人探そうとするなんて、まったく逆だよね。・・・コウチャン、私、結婚なんてできなくていい。コウチャンがそばにいてくれたら、それでいい。だから、もう、1人にしないで。私、ずっとずっと、すっごく寂しかったの。」僕は今にも泣き出しそうに興奮したミナを抱き寄せて、「約束するよ。もう二度と離さないから」そう耳元で囁くと、ミナは小さく息をついて、僕を見上げる。「いーーっぱい、慰めてよね」ムジャキなその瞳。『ねえ、先輩、私、全然変わってないです』さっきのミナの言葉が僕の中に戻ってくる。ミナが10年前と変わらないのと同じように、僕だって変わってないよ、ミナを思う気持ちは。静かに口づけ、始まりを知らせながら、ゆっくりと抱く腕に力をこめていく。ほんとうに。もう二度と、離さないから。
2011.09.02
コメント(0)
僕は久しぶりにのんびりと年末から年始にかけてを過ごした実家を出発し、人通りも少ない暗い通りを、歩いていた。数年ぶりに参加する高校時代の部活の同窓会。会場は、母校の近くの店。レストランと呼ぶには小さく、喫茶店と呼ぶには少し大きめの、僕らのたまり場だった店。寒さに凍えた手をこすり合わせながら近づくと、窓越しにも、もう既に、多くの人間が集まっているのが見える。・・・さて、カノジョはいるだろうか。懐かしい仲間たち。だけど僕が本当に会いに来たのは、ただ、1人だけ。ココロをまとめるために、少し足を止め、小さく息をつく。時間にきっちりしていたカノジョ。もしも、来るなら、もう、来ているはずだ。・・・どうか、来ていますように。ドアを開けると、黄色い照明が似合う、少しレトロな店内は、昔と何も変わらない。ドアベルの音に、何人かが、振り返る。満面の笑顔に、久しぶりの挨拶や、新年の挨拶にもみくちゃにされながらも、目は必死で、カノジョを探す。だけど。・・・・いない・・・・?カノジョの姿を見つけられず、落胆し、差し出されるがままに、グラスを受け取った僕の背後から、声がかかる。「珍しいですね、お見えになるなんて」その言葉の内容よりも、その声に、僕は、弾けるように振り返る。目の前には、奇跡のように、カノジョ。離れていた月日を感じさせない、あの日のままのカノジョ。「・・・久しぶり。」不意をつかれて、ぽつりと口に出せたのは、たったそれだけ。言いたいことはもっと他のコトなのに、ただ、それだけ、つぶやくように口にするのがやっとなんて、自分で自分が情けない。うろたえる、僕にかまいもせず、カノジョは、屈託なく笑って、言う。「本当に、お久しぶりです、先輩」・・・オヒサシブリデス、センパイ・・・?僕の思考は一時停止する。そして、落ち込む。「・・・って、その呼び方。・・敬語も。。よそよそしすぎるだろ?」呆然とつぶやく僕に、カノジョは、あの頃と同じようにムジャキに微笑んで、「そんなことないですよ、先輩。だって、もう、私たち、ただの、先輩と後輩じゃないですか」呼び方も、敬語も、改めることなく、カノジョはさらりと、「ただの」なんて言葉を伝えてくる。もちろん、会えば、なんとかなる、なんて、100%自信があったわけではないけれど。だけど、こんな、簡単に、木っ端微塵にされちゃうんだもんな。僕の、淡い、ささやかな期待。きちんと気持ちを伝えきれない、そんなとこだけコドモなままの僕だって、もう、歳だけ見れば28歳。それなりに、社会性は身につけている。だから、しぼんだ期待は隅においておいて、カノジョの希望にそって、ただの先輩な自分を取り戻す。そりゃ少しはぎこちないかもしれないけれど、それでも、なんとか場をつくろうことくらいできる。「・・・元気だった?」カノジョにだって同じように流れていたはずの、あれからの月日を、たったそれだけの言葉でたずねるには、ムリがあるけれど、それでも、まず聞きたいのは、そのことだった。最後に見たのが、泣き顔だったから、いつも、カノジョをココロに思うたびに、元気かどうか、それが無性に気になった。カノジョは、僕をまっすぐに見つめ、小さく微笑んで、答える。「はい。先輩は?」僕は正直に答える。「カラダは元気だったよ」・・・ココロは、イロイロあったけど。カノジョは、穏やかに微笑んでうなずいてくれた。また、ドアベルの音が鳴り、歓声と、人の動きがある。僕らは自然と壁際においやられた。好都合だよ。カノジョを独り占めして、ゆっくり話せるんだから。なんといっても、もしかしたら、最後の機会かも知れないんだし。グラスを持ち上げて、口に運ぶ彼女の手を見て、僕は尋ねる。「仕事、続けてるんだ?」核心に触れたくなくて遠まわしにそんなこと、聞く僕のココロに気づいているのか、自分の手にチラリと注がれる僕の視線に、カノジョはイタズラに微笑んで、「はい。続けてますよ。なんだかんだ言っても、好きだから。」「・・・そっか」花が大好きなカノジョ。花屋で働くカノジョ。冬は、手がアカギレて、いつも、つらそうだったから。そして、それは、今も。「相変わらず、みっともない手でしょ?」「んなこと、ないよ」僕が、暖めてあげたいと、思うだけで。でも、そんなこと、まさか口にするわけにはいかない。「先輩は、今、どうしてるんですか?」僕はその質問に、ポケットから、名刺を取り出して、カノジョに渡す。彼女の顔が、一瞬ほころびかけて、疑問系に変わる。カノジョが何かたずねる前に、僕は自分から、言う。「資格を取るのは、ムリだったよ。予定通り、3年であきらめたんだ。今は、そこで助手の仕事をしてる」「そうなんですね」カノジョはただ、穏やかにうなずいてくれる。自分のその希望ために、カノジョを随分泣かせたのに、叶えることすらできなかった情けない僕を責めることすらせずに。「・・・ごめん」謝らずにはいられない僕に、カノジョは、ほほえんで言う。「何も謝ってくれなくても。・・・悔いはないんでしょう?」「試験のこと?」「ええ」「ないよ。僕にはムリだった。3年やってみて、それがはっきり分かったから」・・・悔いはないよ。試験のことは。「だったら、いいじゃないですか。それに、先輩」「ん?」「今すごく充実してそうな顔してますよ。お仕事楽しいんでしょ?前の仕事してた時より、表情が穏やかですよ」「そうかな」僕は、ちょっと答えあぐねる。手放しで楽しいか、と聞かれれば、少し首をかしげざるを得ない先生についているから。でも、まあ。「かもしれないな。前の仕事のときは、それこそ、人間関係や、ノルマに押しつぶされそうだったからな」「よかったですね」・・・ほんとにそう思ってる?君を手放してしまった僕の今を。やがて、他の仲間の騒ぎに巻き込まれ、聞きたくても聞けないことたくさん抱えたまま、僕とカノジョの2人だけの時間は終わる。だけど、誰と話していても、僕の目は何度もカノジョの姿を探してしまっていたんだ。
2011.09.02
コメント(0)
スタートは一応、こちらからです。*夢独特の訳分からなさは排除すべく、読みやすいように補正済みです。w☆今日はサぁの結婚式。・・・残念ながら、オレとの、ではない。自分が心底愛してる女の、自分以外の誰かとの結婚式、なんて、できればスルーしたい。だけど、その誰か、が、自分の兄貴だったら、・・・スルーなんてできない、よな。スルーできない、どころか、父:ケースケにはまだ難しいだろ?白いドレスはほんとに微妙な撮影なんだそういって渋るとーさんを、ヒ:でも、サラを一番キレイに撮れるのはケースケだと思うんだ。今回の主役ヒロトが根拠のない発言で折れさせて、俺は、めでたく、サぁに密着撮影することになった。サぁの一番幸せな笑顔撮り続けることになった。幸せにしてるのは何度もいうようだが、オレ以外のオトコ。とにかく、今、オレは、新婦控え室にいる。サぁの友達が、サぁに、声をかけている。ニコニコ幸せそうな笑顔で。そして、それよりも、もっとニコニコ幸せそうな笑顔で、答えてるサぁ。オレは、ココロをオフにして、シャッターを切っていた。しばらくして、気づけば、なぜか、控え室で、サぁと2人。沈黙の中。・・・ダレか来ないかなぁ、、と思っちゃうくらい、気まずい。だって、ずっと、サぁのこと避けてきたから。ぶっきらぼうにしか話してなかったから。優しく接することで、自分の気持ちを見抜かれるのが怖くて。だけど、今日は、まさか、そんな態度できるはずもない。ちゃんと、おめでとうをいわなければ。笑って。いや、その前に、なんか、話しかけなきゃ。そんなこと思ってたら、サぁの方から話しかけてきた。あいかわらずの、無邪気で憂いのないゆる笑顔。サ:ケースケ~ケ:ん?サ:今日は、ありがとーね。ケ:・・・いや。サ:ご馳走食べるヒマないんでしょ~??ごめんね。ケ:いーよ、別に。・・・どーせ、喉なんてとーんねー。そんなこと、思ってから、ヤベ、と思う。相変わらずぶっきらぼうになっちゃってるし。俺は慌てていう。ケ:写真撮ってる方が好きだから。サ:・・・そっか。ヒロトがね~。ケースケが私を無茶苦茶キレイに撮ってくれるはずだって言ってたよ?ケ:・・・そんなん、別に、オレじゃなくても。。ぼそっと呟いたオレの言葉に、サ:え?無邪気に問い返すサぁ。オレは思い切って言ってみた。ケ:オレじゃなくても、キレイに撮れるよ。サぁ、ほんとに、キレイだよ。そのドレスよく似合ってる。そういうと、一瞬、驚いたような表情を見せた後、サ:ありがとー。嬉しい。満面の笑みを浮かべるサぁ。俺は思わずすかさずカメラを持ち直してシャッターを切っていた。サぁは、少し窓の外に目をやる。今日はガーデン・ウェディング。キレイに手入れされた芝生の上に、着飾った仲間たちが溢れていた。あちこちに見える楽しそうに笑い合っているグループ。窓越しにその様子を眺めていたサぁは、サ:新婦ってさ~、なんか、退屈だね。そんなこと言う。少しサミシそうに。オレは慌てていう。ケ:主役が何言ってんだか。今だけだぞ?出てったら、大忙しだぞ~。一緒に写真撮ろう撮ろうって、座ってる間もないくらい。だから、いまのうちにのんびりしとけ。サ:そかー。そだね~。ケ:そーだ、お前、つわりは?もう、平気なのか?突然、サぁが妊婦なコトを思い出して、オレは聞いた。サ:うん。今日は、全然しんどくないよー。ケ:そか、ちーこも今日はおとなしくしてんだな。*夢の中でまだ生まれていない子のこと、『ちーこ』ってしっかり呼んだそうです。夢だなぁ。。wサ:だね~。親孝行な子だよ。ケ:でも、無理すんなよ、絶対。しんどくなったら俺にすぐ言えよ?なんだか必死にそういうと、サぁは、くすぐったそうに微笑んで、サ:うん。わかった~。ありがとー。そういってから、オレを見る。ケ:・・・・何?サ:ううん。笑いに紛らすサぁに、ケ:なんだよ?聞きなおすと、また、少し笑って、サ:今日は随分優しいな~って思って。いつもすっごい怖い顔なのに。ケ:そんなことないって。心当たりありまくりだけど、ごまかした俺に、サ:そんなことあるって。・・・でも、ケースケが優しいと嬉しい。ニッコリ笑うサぁ。サ:ねえ、ケースケ、一つ秘密があるんだけど話してもい?ヒロトにもナイショのこと。・・・秘密?ケ:ああ、何?サ:怒んないで欲しいんだけど。。ケ:なんだよ。焦れて聞くと、サぁは、すごく優しい笑顔になって、サ:私ね、ずーーーーっとケースケがスキだったんだよ。って。・・・・・!!!!!カメラを落しそうになるくらいの衝撃。これって、、、愛の告白?そんなスゲーこと口にしといて、なんでもなさそうな顔でまた、窓の外を眺めるサぁの横顔。オレもだよ。オレもなんだよっ。なりふり構わず叫びそうになったとき、サぁは、またこちらを向いて、イタズラな目で笑って、サ:中学の時の話だけどね。っていう。・・・あ、そ。がっかりくる、オレの気持ちなんて気づきもせずに、サ:ヒロトにはナイショだよ?2人だけの秘密ね。罪なぐらい惑わされる小悪魔笑顔で微笑んで、また窓の外を羨ましそうに眺めるサぁ。・・・・今気持ちを伝えたら、サぁはなんていうだろうか?オレもずっとスキだったんだよって。オレは今もだよって。オレに与えられた文字通り、最後のチャンス。もしも、受け入れてくれたら、手を引いて逃げ出して、どんな苦難にでも立ち向かっていける勇気が手に入りそうな気がした。だけど、受け入れられなかったら、俺は、サぁに、サぁのこの大切な日に、いや、これからの人生にも、曇った憂い顔を与えることになってしまう。優しいサぁのことだから、オレの想いをしった上で、ヒロトと曇りなく幸せになることを申し訳なく想うだろうから。幸せになろうとしているサぁ。満面の笑顔のサぁ。幸せにするのも、笑顔を守るのも、オレじゃないとしても。・・・やっぱり、隠し続けよう。そう、一生。サぁが掛け値なしの笑顔でいられるように。オレは、オレが、そうココロに誓った瞬間の、窓からの外光を顔に受けたサぁのその横顔をファインダーに収めた。シャッター音にこちらを向いたサぁ。サ:え~、今、ぼんやり顔してなかった?イタズラをとがめるような顔でそんなこと言う。オレは、笑って、ケ:してたよ。いつもと同じ顔。そういうと、口を尖らせて、サ:もーっスネ顔するサぁ。俺はまた、シャッターを切る。サ:変な顔ばっかり撮らないで~。笑って苦情を言うサぁに、ケ:変な顔ばっかりしないで~。そういうと、サぁは、また、くすくす笑う。今はオレだけに見せている笑顔。オレは、またカメラを構えたまま言った。ケ:結婚おめでと。サぁ。兄貴にしっかり幸せにしてもらえよ?サ:ありがとー。ケースケ。おねーさんしっかり大事にしてよね。返事の変わりに、そのとびきりの笑顔、オレだけに向けられた笑顔にシャッターを切った。*みんなの前に出て行く直前のドアの前。サぁにだらしなく見とれるヒロトに、オレは、ツッコミを入れる。ケ:てかさ~、寝ぐせっ。直しとけよっ。いちおー主役なんだからさっ。相変わらず格好を構わないヒロト。ヒロトは悪びれもせず、ヒ:僕、苦手なんだよな~、ほんと主役とかそういうの。ケ:苦手とか関係ないんだよ。身だしなみだろ?サぁにハジかかせる気かよ?オレの言葉に、ヒロトは髪に手を伸ばす。ヒ:身だしなみも、苦手だよ。んっと、結婚式って慣れそうにもないなぁ。ケ:慣れる必要なんてないだろ?何度する気だよ。今日だけしっかりしてりゃいいんだよヒ:・・・ケースケさ~、悪いけど、ちょっと、代役してくんないか?ケ:は?ヒ:僕のかわりに、新郎役やってくれよ。ケ:ばっ、何言ってんの?サぁの新郎。そんな幸せな立場にいるくせに。一生変わってくれるなら、喜んで受けるけど。オレまでそんなバカなこと考えてたら、くすくす笑うサぁの視線を感じた。オレは慌てて、ココロをオフにして、ケ:ほら、ここだって。そっとその寝ぐせに手を伸ばしたら、サ:いいよ。そのままで。ヒロトらしくていいじゃない?ニコニコいうサぁ。ヒ:だよな。らしいのが一番だよな。ニコニコ受けたヒロトは、サぁを愛しく見やって、ヒ:どっちみち、みんな、サラしか見ないって。言われたサぁは、少し恥ずかしそうに、サ:でも、私はヒロトばっかり見てる。なんて言ってるし。全開で愛し合ってる2人。オレなんて眼中にないし。でも、そーだよな。そんでいーんだよな。ドアから出てく二人にカメラを向けながら、・・・サぁばっかり見てる俺、いつかは、卒業できるかな。って、思ったんだ。☆・・・・お戻りはこちらへ。
2010.11.02
コメント(8)
その20の続きです。書きたいことが散乱してるので、最後は、箇条書きでいきます。★後日談★☆ケースケのこと。実は、私が行方不明の時間にケースケがかけまくった電話のフォローが、割と大変で。あの日、私がシャワーを浴びてる間に、ケースケは、みんなにメールで『サラ確保』の速報wを流したらしいけど、ま、それじゃ皆おさまんないよね。なんだったんだよ、と聞いてくる友達に、本当に本当のコトはさすがに言えなくて(言うと大騒ぎになるし、何よりカトウの命が怪しくなる)、一応友達が自殺して、お葬式があった次の日で、ただ1人になりたかったっていう話にしたんだけど、結局、ケースケが、私を捕まえきってないからだと、1人責められることになりまして。。ごめんね、ケースケ。(て、何回目。)・・なんにしても、人騒がせなひろ。でした。☆オオタくんのこと。オオタくんとは、あの後、一緒にシホの実家を訪ねたことがありました。お家にはシホのおかあさんしかいなくて、お父さんはすぐ近くの畑にいるそうだったのに、帰ってはきてくれなくて。K子ちゃんもいなかったから、やっぱり空気はぎこちなかったかな。私がいることで、少しは会話も生まれたけれど、オオタクンとお母さんの間には直接言葉が交わされることはなかった。またいつでも来てね。シホのこと忘れないでやってね。って、私に向かってだけ言ってくれる感じがいたたまれなかった。話の端々から、シホの自殺の原因をどうもお母さんは、オオタクンとのケンカ、それも、家を継ぐコトが原因のケンカだと思い込んでいる節があって、私は、もういっそほんとのこと、って何度も思ったんだけど、オオタくんは、目配せして止めた。オオタくんは、オ:ガマンしてくれてありがとう。こんでいいんだよ、シホが不倫してたなんて知らせて、おかあさんたちにこれ以上の心労与えるなんて気の毒だよ。ってただ、穏やかに微笑んでた。それから、オ:そーいえば、アイツになんかサレタって?大丈夫だった?言われて、ドキッとした。何で、知ってるんだろうってのもだし、オオタくんに黙ってカトウと接触したことが、裏切ったみたいで申し訳なくて。ひ:うん。大丈夫だった。慎重に答えながら、ひ:・・・けど、なんで知ってるの?オ:ケースケくんが、電話してきたんだ。『カトウってヤツの、勤め先知りませんか』って。・・・シホの勤め先と同じだからもちろん知ってたよ。だから、教えたんだけど。ケースケくん、『カトウがサラにヒドイことしたんで』って言ってたんだよね。・・・大丈夫?本当に。ひ:うん。・・・ゴメンネ。黙ってて、、、ていうか、、忘れたい。笑オ:笑。分かった。ゴメン。それにしても、あの時、ケースケくん、無茶苦茶怒ってたみたいだったけど、何したのかな?ひ:ナイショって教えてくれないの。でも、絶対なんかしたはず。オ:・・すごいことしたんだろうなぁ。。・・・まあ、ざまーみろって感じだよ。ボクは。・・・・シホが生きてる間に、、ボクもちゃんとカタをつけられれば良かったけど。ひ:あの訳分からなさは、ひどかったよ。シホも、オオタくんも、てこずった理由が分かった。オ:うん。ナンだったんだろう、アイツって。シホを本気で愛してたわけでもないはずなのに。ひ:自分しか好きじゃないみたいなヒトだった。オ:だな。自分以外にいくのがガマンできなかったんだろうな。じゃあ、ボクが、悪かったんだよな、やっぱり。ひ:違うって、それって、前提がおかしい。カトウ論理に巻き込まれてるよ。笑。オ:ほんとだ。ひ:・・・オオタくん。オ:ん?ひ:・・・いつか、ちゃんと、幸せになってね。オ:笑。サラちゃんこそ。ヒロトさんの方が、先だったじゃん。センパイ、笑、先にちゃんと幸せになるとこ見せてくれよな。笑ひ:・・・ん~~オ:そこでそんなに悩むのはケースケくんに悪くない?笑ひ:笑。オ:素直になったほうがいいよ。ひ:・・・ん~、いつかは。笑そして、オオタくんは、大学を卒業した後、地元の四国に帰っていった。私と一緒に行った時以後、ニ度とシホの家の敷居をまたいでいないし、シホのお仏壇に手を合わせていない。でも、時々、遠距離を超えてきて、お墓にシホが大好きなジュースを供えて2人で話してるんだ、って言ってる。それを聞くたびに切なくて私は泣いてしまう。シホは、なんで、オオタくんと幸せになれなかったのかな。って、何度も思っちゃうから。そして、やっぱり、実家に行けないままのオオタくんも、シホの大切なオオタくんを誤解したままのご両親もご家族も。それで、いいのかな、って、今も、やっぱり、何度も思っちゃうから。☆シホの実家のこと。私はその後も、今までずっと、時々、シホのお墓参りに行っては、シホの実家にも寄らせてもらっている。チビさんも連れて、ケースケも一緒にあがらせてもらったこともある。いつも、シホのご両親は優しく迎えてくれる。時折、涙ぐむことはあっても、それでも笑顔も増えてこられたと思う。この間訪ねたときは、K子ちゃんが、婚約したって聞いた。しかも、デキ婚。隣の県で旦那さんの実家で同居だって。さすがにこの話にはびっくりしちゃった。三姉妹の長女だったシホ。家を継がなきゃってがんじがらめになってたのに。シホ亡き後の次妹のK子ちゃんが、なんだもん。もしかしたら、オオタくんとの最後のケンカの原因を誤解したままのご両親が、やっぱり娘を自由にさせてあげようって思うようになったのかな。シホ、きっと、自分がいなくなったあとの、妹のコトも気にしてたと思うから、きっと、こうなったことは、ホッとしてると思う。☆カトウのこと。カトウからは、あの日(というより、ケースケが何かした日?)以降、もちろん、なんの連絡もない。きっと、今も、家庭を持ったまま学習塾の主任(あるいはもっと出世?)をしているんだろうな。あんな男のせいで、私が一番大切だった友達を失ってしまったなんて、むなしいし底知れず悲しい。だけど、相手のくだらなさにこっちが死んだ方が早いって思うようなことってあるんだなって、あんな人間がしたり顔で塾で子供に勉強を教えているような世界に生きてるんだなって、思ったよ。私が、カトウに制裁とか仕返しとかしないのには理由がある。やってもムダだから。アイツは何も思い知る事なく生きていく人間。関われば関わるほど、その不毛さに、こっちが死にたくなっちゃうタイプの人間だから。だから、関わったのが不幸だと思って、これ以上関わらないように生きていくしかない。できることなら、カトウのことは全部忘れてしまいたかった。目を逸らしてきたけれど、でも、やっぱり、これだけのこと押し込めたままでは前に進めなかったのかな。こうして吐き出せてよかった。★後悔のヤマ★☆『話しておけば。』結局シホには、ヒロトが自殺したことも、私が子供を産んだことも言えないままだった。話していれば、私の心を思ってくれて、自殺、ましてや、首吊りなんて、しなかったんじゃないかと思っちゃうのは、勝手な妄想かな。☆『癒しと慰め』ヒロトが自殺したときには、みんなに、シホが自殺したときには、オオタくんに、同じ様なこと言われた。私がいたことで、私がいるだけで、最期の時まで、きっと心は癒されて慰められてたんだよ。って。それこそ、みんながそういってくれることに、私も、癒されようと慰められようとしてきたんだけど。でも、やっぱり、そんなんじゃ、ヤだ。そんなんじゃなくて、もっと、ちゃんと助けたかった。何かしたかった。って、ダダをこねる自分の心が確かにある。だって。ヒロトとの記憶の中で、私は、ただ、ニコニコ幸せで。だけど、そのニコニコしている私のすぐそばで、たとえばその腕の中で幸せにウトウトしてる私を抱っこしながら、ヒロトは、深く思い悩んで憂い顔をしていたんだと思うと。シホとは直前まで電話で話していたのに、すぐに会おうねって約束していたのに、たった数時間で、生死の境界に隔たれてしまったのだと思うと。私って、なんだったんだろうって、すごく、思う。☆『共通点』最後にもう一つ。一番、消化しきれないことを書いておきます。15と18にチラリ伏線だけ張って放置した分です。カトウに会ったのはシホがどこに惹かれたのか知りたかったからだったのだけど、実はあんなゴミみたいなオトコって分かって、その視点はそがれた。その人間性の中に、何か惹かれるものがあるなんて、全く思えなかった。だけどね、実は、不倫告白の最初の手紙に、書いてたことがあって。それは、18の免許証のくだりの時に、実は、その場で気づいてて、でも、認めたくなくて、でも、やっぱり、気になって、最初の手紙を確認したことです。シホの手紙:『彼が塾の講師部屋で、免許証の写真が気に入ってるってみんなに見せているときに、彼と、サラの共通点を見つけて、なんだか運命を感じたんだよね。すごく、仲良くなれそうな気がした。』シホは、その共通点をはっきり書いてはいなかった。私は免許を持っていないから、その時は、ふ~んって思っただけだったし。だけど、シホが気に入ってた写真だとかいいながら(これも記憶の書き換えだよねw、気に入ってたのは自分)、カトウが自分の免許証を見せてきたとき、そのキモイ写真(いや、あれはヒドかったって!)よりも、目を奪われたもの。それは、誕生日。カトウは私と誕生日が一緒だった。『彼と、サラの共通点を見つけて、なんだか運命を感じたんだよね。』シホーーー、って思う。そんなこと??って思う。アイツに興味をもった理由が、私と誕生日が同じ。ただ、それだけのこと、だった、なんて。何もかものきっかけが、私だったなんて、って思う。これは、多分、一生消化しきれない思いだと思う。★長々と書いてきて、今、最後に思うこと★☆ヒロトとシホに思うこと。最初に、なんでかシホを思うと涙が出るって書いたけど、それはきっと、死ななくてもよかったのに、って、あんな男のせいでなんて、絶対、死ななくてもよかったのにってそう思っちゃうから。思っても思ってももう帰ってきてはくれないけど。自殺してしまった3人(ヒロト、シホ、+Hちゃん・・・の話は、またいつか書きます。)に、バカーーって、そして、ゴメンって、ずっと思ってきたけれど、そだな~、今は、自分で選んでいった場所なんだから、今は幸せでいてほしいな。そんな風に思っています。3人に会いたい気持ちは、もちろんいっぱいあるけど、私は、もーちょっと、ケースケとこっちで幸せな時間楽しんでからにします。^^それでも、私が、『私だけ、幸せになってしまった』そんな風に、後ろめたく思わないで済むくらい、そっちで、幸せにいてよね。ほんと、バカ、、ゴメン、、でも、ほんとに、大好きだった。ううん。大好き。今も、これからも。☆生きていくってコト。後悔のコト、思い続けながら、なかなか、ケースケの愛情を素直に受け入れることができなかった。もう、大切なヒト、作るのが怖かった。今度はどんな形で失うことになるんだろうって。でも、その恐怖以上の大きさで、ケースケの愛情は、私を、そんな怖さごと全部、くるんでくれました。ゆっくりゆっくり太陽みたいに、あったかく、私を癒してくれました。あんな暗闇の中で、光のある場所を教えてくれた。これが、本当に、癒して慰めるってことなんだな、って、しっかり理解して、・・やっぱ私じゃ、ダメだったよな~。。って、思い知る。ま、そんな思いをしっかり胸に抱いたまま、私は、生きていくわけです。生きて、いくよ。ケースケ、分かってると思うけど、『生きて』、そばにいてよねっ。私をこっちに引き止めたのは、ケースケなんだからっ。<了>☆長々とお付き合いありがとうございました。
2010.10.27
コメント(12)
その19の続きです。車中、私はケースケのいうとおりに授乳した。必死でおっぱい飲んでるちーこを見ていると、少し落ち着いた。ケースケは多分そのこと分かってそうしろと言ったんだと思う。マンションについても、おっぱいを飲み続けるちーこを待って、しばらく停めた車中で授乳。ケースケは、私に何も聞かなかった。ただ、黙って、待ってくれていた。ちーこはたっぷりおっぱいを飲み終えると、また眠ってしまった。部屋に戻って、私が最初にしたことは、シャワーを浴びることでした。キモチワルイ汗を流すために。あのオトコの唇が触れた顔を洗うために。シャワーから出ると、ケースケはソファにいた。怖い目が、ソファに無造作に投げ出したバッグから飛び出していた私の、光りながら振動してるケータイを見つめている。着信。拾い上げてサブディスプレイを見て、ケースケが怖い顔をしている理由が分かった。そこにあったのは、『カトウさん』の名前。さっきの記憶が蘇って、思わず目を閉じる。ケ:さっきから何度もかかってる。・・出ね~の?不快そうな声で、ケースケが聞く。ただ首を振った私に、ケ:カトウって、あのカトウ?シホさんの不倫相手の?うなずいた私に、ケ:なんで、そんなヤツの電話番号がサぁのケータイに入ってんだよ?やっとケータイの振動がとまる。何から話せばいいのか、うまく答えられない私に、でも、もう全部分かってたみたいなケースケは、いろんな気持ちを飲み込んで、努めて穏やかに聞こうとしてくれる。ケ:昨夜、俺が風呂入ってるときに話してたの、そいつか?ケ:今日、出かけてたのも、そいつとか?ケ:サぁのことあんなに震えさせたのも、そいつか?淡々と次々に尋ねてくるケースケの質問全部に、ただ肯くだけしか出来なかった私に、ケースケは、ケ:何された?って聞く。そんな風に聞かれたって、やっぱり、何から話せばいいのか、全然何も言えない私に、ケ:いえないようなこと、されたのか?カラダをさぐられる感触と、頬に当てられた唇の感触が蘇って、唇噛んで目を閉じたら、ケ:無理矢理か?って怖い声で。目を閉じたままの私に、ケ:分かった。サぁ、電話貸せ。どこにいんだ、そいつ。ぶっ殺してやる。って、その声が、物騒な言葉と間逆に冷静すぎて、だからこそ、ケースケが見たこともないくらい怒り狂ってることが分かる。私のために。私は、ケータイを握り締めた。サレタっておかしくなかった危うい状況までいってしまってた情けない頼りない自分。こんな私なんて、止せばいいのに。ヒロトが死んでから、ケースケがずっとそばにいてくれた間、ずっとずっと思ってた言葉が、こんなときに私を支配してくる。ケ:何してる、電話貸せ、サぁ。手を伸ばすケースケに、首を振った。ひ:もう、いいの。ケ:よくねーよっ!ひ:いいの。ケースケ。もう、忘れて。ケ:・・・?ひ:私のコト、もう止めて?てか、こんなに心配してくれてるのに、いつもこんな風に困らせて怒らせて、もう、ヤでしょ?だから、もう、いいから。もう・・。ケースケは私を見た。怖い顔のまま、立ち上がって、ケータイ握ったまま、立ち尽くしてる私に手を伸ばして、後頭部に手を添えて、小さくため息ついてから、ケ:サぁ。って優しい声で呼びかけた。恐る恐る目を向けたら、ケ:そいつのこと好きになったのか?なんて聞いてくる。ありえない。ぶんぶん首を振ったら、ケースケは、ほっとしたみたいに、私を抱き寄せた。ケ:だったら、俺、サぁをあきらめたりしないぞ。カトウの唇が触れたほうの頬に、頬をくっつけるケースケを、私は押し返した。どんだけ洗っても拭い去れないカトウの唇の感触がそこにあるから。ひ:だめ。汚いもん。私・・・。ケ;汚くなんてないよ。サぁはサぁのままだよ。・・・よく帰ってきたな。変わらない優しい腕にまた抱き寄せられて、変わらない優しい声で囁かれて、私は、今度は、やっぱりこの腕から抜け出せないって、ヒロトが死んでから、ケースケがそばにいてくれた間、『私なんて、止せばいいのに』ってのと同じくらいの回数、ずっとずっと思ってきたこと、思った。だから、全部、話した。昨夜の電話のコトから、震えた体をケースケに『確保』されるまでに起こったことを。ケースケの腕の中で、ちゃんと泣かずに最後まで。何度か質問してきたけれど、感情は表さないまま、ただ、私の話を最後まで聞いてくれたケースケが、まず、言ったのは、ケ:確認してい?ひ:なに?ケ:抱っこされて、頬にキスされただけ?ヤられたんじゃないの?隠さないでいいからほんとのこと言えよ?ひ:抱っこされて、頬と首筋にキスされただけだよ。ヤられてない。そういったら、ケースケ、ふーーーって、すごーく長い息を吐いてから、肩から力を抜くみたいにがくっと両肩をさげた。ケ:なんだよ~~ひ:なんだよってなによっケ:だって、さっきの言い方、、俺、てっきり。。あまりにもあからさまにホッとしてるから、ひ:抱っことキスだけでも、じゅーぶん、気持ち悪かったんだけど。そういうと、慌てたみたいに、ケ:や、分かってるよ。分かってる。ひ:そう?てか、やっぱり、サレてたら、ヤだったんだ。ケ:当たり前だろ?ひ:・・されてたら、あきらめてくれた?ケ;なんだよ、その聞き方。さっきの質問もそういう意味なら違うぞ?サレてても、俺はサぁへの気持ち変わったりしないよ。だけど、こんなときにこんな状況で実際にサレてたら、サぁがきっと、耐えられなくて死んじゃうんじゃないかと思って、怖かったんだよ。どうやって守ればいいか分かんなくて怖かったんだよ。・・・ほんとに危なかったんだろ?優しくそうたずねられて謝罪の言葉がすんなりと口をつく。ひ:・・ゴメンなさい。ケ:俺こそ、ゴメン。『だけ』っていう言い方は悪かった。サぁにしたら、ほんとにヤだったよな。・・・どこだよ?キスされたの。右頬一帯と、首筋を示すと、ケースケは、ケ:今なら、俺がこうしても、文句言わないよな?っていって、そこにいっぱいキスしてきた。いくら唇にじゃなくてもキスなんて、私たちの関係では、完全に反則?なんだけど、カトウのキモイ感触を上書きしてくれているケースケに文句なんてもちろん言えない。それどころか、首筋にキスされたときは、もう、理性なんて吹っ飛んじゃいそうなくらい、イイ気持ちになっちゃった。うっとりきてるの、気づかれたくなかったけど、気づいたら、ケースケも、同じ様なうっとりした目で私を見てて、ちっさく親指で唇に触れてから、聞いてきた。ケ:・・キスしてい?って、たまんない声で。うん!って叫びたいくらいだったんだけど、飛びきれなかった理性が、私に言わせたのは、ひ:シたかったらシてもいいよ。って、いつものセリフ。ケースケ、顔ゆがめて唇噛んで目を閉じてからまた開けて、ケ:・・くそ~~っ。サぁって、なんで、俺にだけそんなにガードがきついんだよっ。って。ひ:シたかったらシてもいい、っていうののどこがガードがきついのよ??ケ:そんな言い方じゃ俺ができないって知ってんだろ?何度も言ってるだろ?俺は、そんな投げやりな言い方じゃヤなんだよっ。サぁがちゃんと俺のコト、好きになって受け入れて、からじゃないと。・・もっかい聞いてい?キスしていいか?ひ:・・まだ、ムリ。ケ:今、なんつった?ひ:・・?まだ、ムリ。同じ言葉繰り返した私のコト、ケースケは信じられないって表情のまま、ギューってしてきた。ケ:まぢで?・・俺、喜ぶぞ?ひ:え?なんで??ケ:今までは、ムリ、とか、他の人探して、としか言わなかったのに、おま、今、『まだ、ムリ』っていったんだぞ?『まだ』ってことは、『いつか』は、いいってコトだよな?あ~~、嬉しい。大前進っ。大喜びで盛り上がるケースケを前に、口が滑っただけなんてとてもいえない私でした。でも、心が自然に口をすべらせたのかも知れないな。(※とはいえ、喜んでるこの時のケースケくんには悪いけど、その『まだ』の期間は、これから『まだ』1年半以上もありました。汗)しばらく『まだ』に、喜んでたケースケ、少し興奮がおさまってくると、私を、ぎゅーって抱っこして、ケ:サレテなくてよかった、ほんと。ごめんな、俺、昨夜の電話、おかしいと思ったのにちゃんと聞き出さなくて。その上、今日、サぁを1人にして。ちーこがいるからって油断したんだ。ほんと、ごめん。って、また何度も、ぎゅってしてきました。そして、ケースケは、顔を引き締めて、ケ:なあ、でも、どっちにしても、俺、ソイツゆるさねーゾ。サぁ、電話よこせ。ひ:だめケ:なんで、かばうんだ?ひ:かばってなんてないよ。でも、あんなの関わらない方がいいって。ケ;いいや、殴らねーと気が済むかよっ。ひ:お願い、ケースケ。あんな人間、何したってムダだって。もうね、無視するのが一番いいって。ケースケがあんなつまんないヤツのために何かあったら、私、おとうさんとおかあさんに申し訳ないよ。ケ:けど、ガマンできねーよっ。サぁを、あんなに・・てときに、また着信。カトウから。私の表情を見て、ケースケがケータイを取り上げた。あ、って思うけど、もう止められない。すぐに電話に出たケースケは、ケ:あんたいい加減なことばっかしてんじゃねーぞ。て、信じられないくらい、暗く冷たい声で。相手が何か話してそうだったけど構わず、ケ:今度サぁに指1本でも触れたら、俺がぶっ殺してやるからな。覚えとけっ。恐ろしいくらいの迫力でそう言って黙るケースケ。相手が一言二言話しているような間。(※後から聞いたら、『あ、そうですか。その点、了解いたしました。』と、かなりうろたえた、でも、何故かいきなりビジネスモードなシャベリで言ったらしい。へもっw)ケータイを切ってから、私ににっこり差し出したケースケ。カラダを引き気味に受け取った私に、アマ笑顔で、ケ:どした?なんて、気楽に聞いてくれるけど。ひ:怖いよ、ケースケぇ・・。何?今の声。。ケ:せめて、こんぐらいいっとかねーとな。・・・ガマンしてやるよ。それがサぁの望みなら。そんでいいだろ?(※とかいいながらケースケ、次の日に、例の私の手紙の入った封筒を持って帰ってきました。ケ:取り返してきたぞっ。て。ひ:どうやって?って驚いた私に、ケ:ナイショ。って、悪い顔で笑うから、ひ:・・・何かしたの?って聞いたら、ケ:それもナイショ。ってまたワル笑顔で。ケ:でも、もう、アイツ二度とサぁに近づいてくることはないと思うから安心しろな。って言ってました。・・・ナイショって、何したんだろう。。。気になるけど、知りたくない(怖)。)ひ:ありがと、ケースケ。って言った先のちょっと怖い顔のケースケに、私もさすがに察して、ひ:ほんと、ゴメンね。これからは気をつけ・・って言いかけるのもきかないで、ケ:当たり前だろっ。ほんと、おまっ、無防備すぎるっ。一体何考えてんだ、バカっ。大体、お前はいっつも、って、お説教モードに入ったケースケでした。今なら、ゴメンネって甘えて、チュウして、エッチに持ち込めば逃れられるお説教も(←)、当時は、そのワザをまだ使えなかったので、こってり怒られちゃいました。キス拒まなけりゃよかった(コラ)。お説教だから、あんまり熱心に聴いてないし(コラ)内容もうろ覚えだけど、ケ:どうせスキ見せるなら、俺に見せろよっ。勢いで始まったって、俺はサぁを幸せにする自信あんのに。でも、おまえ、俺に対してだけはいーっつも、冷静でさっ。だから、結局ずっとお預けでさ。って、ブツブツ言ってたことはよく覚えています。・・・てことは、お説教じゃなくて、ただの文句だったのかな。※次ラスト(多分)です。
2010.10.24
コメント(12)
★あんまりなトコで字数制限だったので、続きです。ゆる日記はまた夜にでも。今日も相変わらずバタバタです。その18の続きです。絶対絶命の状況を逃れるために、必死で考えて、私がとった行動は、カトウの手が私の服を脱がせようとしたその瞬間に、ひ:・・私、今、セイリなんです。って言うことだった。(アホみたいですいません。汗。でも、とっさに思いついた逃れる方法がこれだったんです。)きっと思ってもみなかったことを言われたカトウが、一瞬止まってから、私からそっとカラダを離した。カ:そうか。・・・言いにくいこと言わせたね。やけに優しく囁くカトウはキモかったけど、カラダの上から外れた重さに、・・・助かった。目を閉じて、安堵の息をついた私だった。だけど。カ:でも、そんなこと、気にしなくていいんだよ。僕は、血とか見ても気にしないから。ひ:・・・。安堵の息をついたばかりの私には、頭も心も戻らないくらいの、ありえない言葉でした。逃れられたと思ったのに、セイリでもしようとしてる。・・・てか、ほんとはセイリじゃないし。もう打つ手なく黙るしかなかった私に、カトウは、カ:あ~、でも、そうだな。ここじゃ、ムリだな。シートが汚れると困るし。そこは気にするんだ。じゃあ、助かるのかな。ていうか、なんかもう、頭も心もついていかない。カ:じゃあ、そうだな、ホテルに行こうか。どうせなら、シホと使ってたところに行きたいよね、サラは?そんな言葉に正直脱力する。だけど、逆らわないように私はうなずいた。ホテルについたら、フロントにでも逃げ込んでやる。そう思いながら。カトウは、私の心の中になんて気付きもせずに、シートに座りなおして、ベルトをつけた。車を走らせながら、カトウは、私のセイリがどういうものか聞きたがった。キモすぎる。そしてシホのセイリがどんなだったか教えてくれる。カトウしか知らないことかもしれないけど、正直、そんなこと聞かされてもって感じ。吐きそうになるくらい、気分の悪い男。ホテルっていうのがどういうホテルか分からないけど、とにかくホテルについたら、おなかが痛いとかなんとでも言って、部屋に入るまでに、逃げ出そう。そのために、息をととのえて、集中力を高めようとしてたんだけど。その必要がなくなった。カーステからかかってたラジオの正時報を聞いたカトウが、残念そうに、カ:あ、そうか、もう、こんな時間なのか・・・ごめん、サラ、ホテルに行くの明日でもいいかな?って聞いたから。大歓迎だよっ。てか、今日ないなら、明日もないっての。カトウが時間を気にする理由、塾の勤務時間か何かなのかなって思ったけど、カ:サービスタイムがもう随分すぎちゃってるんだ。もったいないから。って、セコっ!!もう何十回目の脱力。でも、お願い、なんでもいいから、その気が変わらないで欲しいと心から願った私でした。カ:明日、朝に迎えにくるよ。それでいいだろ?って、こっちがまるでオネダリしてるみたいに申し訳なさそうに聞くカトウ。しかも朝から?もう、失笑しそうになったんだけど、真顔で、うんうんってうなずいて、ひ:・・・でも、明日も、、、セイリですけど?って、聞いてみたら、カトウ、カ:セイリのほうがいーじゃん。中で出しても妊娠しなくて。誤った知識。それ以前に、どこまでサイテーなヤツ。耐え切れなく不快感を顔に出してしまったけど、カトウは、カ:そんな残念な顔するなよ。明日明日、な?って、頭をポンポンしてくるノンストップ勘違いオトコだった。私を送るために車を走らせながら、カトウはしきりに、シホの死に際のコト探ろうとしてきた。だけど、私は何も話さなかった。オオタクンとの会話を知らせて、シホが想っていたのはオオタクンだと思い知らせてやりたいって思わないわけではなかったけれど、このオトコは、きっと、何も、『思い知る』ことなんてないだろう。人間として大切な回路が壊れてるんだ。だから、私も何も知らないふりをした。オオタクンとシホの最後の大切な時間。秘密のままおいておこうと思った。駅が近づいて、ホッとしかけたときに、また、カトウが話しかけてくる。カ:家まで送ろうか?あの住所なら駅から近いよね。ひ:駅でいいです。・・・でも、どうして私の家知ってるんですか?カ:手紙見たから。電話番号もね。手紙。私がシホに書いた手紙。でも、そのことはもう考えずにいようと思った。家を知られていることがキモチワルイなと思った。でも、差出人欄に書いていたのはその当時住んでいた実家の住所で、本当に今住んでいる場所じゃないし。。今はとにかく早く車を降りたかった。駅が見えてくる。ほっとしながら、足元に落ちていたバッグを拾って、手紙の入った封筒を握りなおしたら、カ:あ、手紙は、明日返すから、置いておいて。って言われて、封筒ごと奪われた。カトウはそのまま手を後ろに振り上げて、後部座席に放り投げる。・・・・大切な手紙なのに。振り返ってみたけれど、すぐに届くような場所じゃない。ひ:どうして明日なんですか?だって、困る。明日なんて、ていうか、もう二度と会うつもりなんてないから。カトウは、カ:うっかりしてコピーとってなかったから。ひ:コピー?カ:ああ、コピー。念のため。念のため?って何のため?ワケがわからないまま、車は駅のロータリーについた。私を愛おしそうな目でみて、カトウは、カ:ほんとに、ここでいいの?まるでもっと私が一緒にいたいんじゃないか?みたいに聞いてくる。ひ:いいです。カ:分かった。じゃあ、また、明日ね。時間は、そうだな。また、電話するよ。にっこり、キモ笑顔で、いうカトウ。後部座席に残される手紙がすごく心残りだったけど、とにかく早く車をおりなくてはと、私は、車を降りた。駅前の雑踏の中に降り立って、もう、絶対に大丈夫になった瞬間に、これまで、いた場所がすごく危険だったことに気づいて、足がガクガクした。カラダがぶるぶる震えだした。カトウが車をいつ出したか知らない。私は、とにかく、足早に車から逃げるように離れた。最初に待ち合わせたスイーツのお店にたどりついてから、振り返ったときには、もう車はなかった。それを確認したら、ビュービュー吹いている風を感じた。カラダにかいていた嫌な汗が冷たく感じる。やけに、寒く感じて、震えがもっととまらなくなる。寒さなのか怖さなのか両方なのか分からない震え。スイーツのお店の壁にもたれた。しばらく目を閉じた。シホ。今、私が見てきたカトウは、本当に、シホが一度は好きだった人なの?・・・あれは、ヒドスギル。涙が出そうになって顔がゆがむ。でも、そこが外であることを思い出して、ガマンする。そして、自分が泣ける場所を、考えて、ケースケと、そして、ちーこのことを思い出した。随分遅くなっちゃってお腹すかせてるはずのちーこ。慌てて、震えたまま手でケータイをバッグから取り出したら、ケータイも震えていた。着信。サブディスプレイには、『ケースケ』の文字。一体いつから、鳴っていたんだろう。車でも、バッグを足元に落してしまっていたから、全然きづかなかった。(※後から聞いたら、ケースケは、その1時間まえくらいにオフィスに戻ってきて、おかあさまが義実家の庭でちーこを抱いてるのに気づいて、しかも、私が、ヒトリででかけてることを聞いて、パニックになったそうです。そりゃそうだよね、お葬式の翌日。しかも、ちーこを置いて一人で。ケースケに何も言わずに。ケースケは、すぐに私に何度も電話をかけながら、思い当たる人間みんなに電話かけまくりながら、《おかげでその日の私のケータイの着信履歴はそうそうたるメンバーが並んだ》一人で出かけるのをとめなかったおかあさまに相当ヤツアタリしていたそうです。おかあさまには本当に申し訳なかったと今でも思います。いえ、ケースケにももちろん。)ケースケの名前を見て、慌てて、通話のボタンを押して、耳にあてたら、ケ:サぁっ!!おまえ、、、どこにいんだよっ。って、怒り狂ってるケースケの大声。怒り狂ってるケースケの声、だったけど、聴いた瞬間、すごくすごく、ほっとした。腰が抜けたみたいになって、壁伝いにしゃがみこんでしまった。電話の向こうで、ケースケのあまりの剣幕をたしなめるおかあさま(当時はまだちーこを挟んだだけの関係でしたけど)の声が聞こえる。ちーこの泣き声は聞えない。声が出ない、答えられない私に、ケ:おまっ、聞いてんのか?サぁ。答えろっ。ってまた、怒鳴ってくるケースケ。震える体で深呼吸して震える息を整えてから、ゆっくりと、ひ:ケ・・ースケ・・て声を出してみたんだけど。実際には、かなり途切れて、震えて響いた声。電話の向こうのケースケの怒りが一瞬で止んだことに気づいた。ケ:サぁ?どした?何してる?何があった?どこにいんだ?なあ。今度は、びっくりするくらい優しい声。いっぱい心配かけたことが伝わってくる。こうなること分かってたはずなのに、どこまでも自分勝手でワガママな行動をとった私。申し訳なくて、ひ:ご・・めんね・・ってだけ。ケ:サぁ?どこにいんだよ?言え。命令文だけど、とても優しくたずねてくるケースケの声。もう、涙が流れ出すのを止められなくなる。ケータイを持ってないほうの手を目の前にかざして、ガクガク震えるのを見つめながら、ひ:ケースケ、迎えに来て・・・?って言ったら、ケ:行くよ。どこにでもいってやる。だから、どこにいんだ?なあ?言えって。ひ:・・・西口の、ケ:西口?駅にいんだな?すぐ行くから待ってろ。てか、このまま電話つないでろ?いいな。涙で声がもう出ないから、見えるわけもないのにうなずいた私。ケースケは、ケ:今、ちーこチャイルドシートに乗っけたから。寝てるから心配すんな。とか、ケ:今、あのパン屋の角の信号待ち。とか、ハンズフリーで運転しながらの実況中継しつつ、来てくれた。段々、ちかづいてくるケースケとちーこ。嫌な汗が体にまとわりついたままだったけど、心だけは、少しずつ、落ち着いていく気がした。しゃがみこんで、頭を抱えてるように見えていたらしい私に、大丈夫ですか?って声をかけてくれる人までいたけれど、もう、迎えが来てくれるんで、って言えた。ケースケもその会話を耳に入れて、おう、迎えに行ってるからな、って会話に入ってきてたし。私は、俯いて、涙目のままちょっと笑った。今、ロータリーついたから。ちーこ寝てるからチャイルドシートごと持ってくよ。サぁを探し始めたぞ。・・・見っけたぞ。動くなよ。ケースケが段々すぐそばまで迫ってることを告げても、私は立ち上がれなかった。ていうか、顔すらあげられなかった。どんな顔して、ケースケに会えばいいのか分かんなくて。ぎゅって目をつぶって待ってたら、頭に手をおかれたのと同時に、ケ:確保っていう声が、ケータイをくっつけてる左耳と、右耳にも生声で、両耳から聞えた。その声聞いたら、もう、何も考えられなくて、ひ:ケースケぇっって、ナサケナイ声あげて、そこが公衆の場ってことも忘れて、とにかく、ケースケにしがみついていった私でした。ケースケは、公衆の場ってコトも分かった上で、慌てて抱き寄せてくれたけど、抱き寄せてもらっても尚、がくがく震えてる私に、尋常じゃないものを感じたみたい。しばらく抱っこしてくれてから、ケ:・・立てるか?とにかく、帰ろう。片手でチャイルドシートを持ちながら、片手で必死で私を抱えあげるみたいにして、車まで連れていってくれた。後部座席に私を座らせると反対側のドアからチャイルドシートをセットして、まだ、ちーこは眠ってたけど、シートから外して抱き上げて、私に差し出しながら、ケ:おっぱいやってろって、言いました。
2010.10.24
コメント(19)
その17の続きです。何度か深呼吸繰り返して、やっとやっと涙が止まってくれる。車も停めて欲しい。そう思って口にしかけた私に、カトウさんは、カ:シホとよく行ってた場所があるんですよ。そこに行きますね。勝手に決めてるし。シホとの思い出の場所。シホの名前を出されると弱い。やっと止まった涙がまた出てくる。シホはこの車にもきっとよく乗ってたんだな、とか考えちゃって。カトウさんは、運転に集中してるのか、まだ何も話さない。私は、なんとか泣き止みながら、車の中をぼんやりと眺める。レバーにひっかけられているストラップの先には、七五三なのか晴れ着姿の娘さんらしい写真。こんなの見て、シホは何を感じたんだろう。明るく笑うそのお嬢さんの写真に、ダメになったシホの赤ちゃんのことを思う。シホの心にシンクロしかけては戸惑う。そんな風にぼんやりとシホのことばかり考えていた。どのくらい走ったのか、ちょっと、その日の感覚は思い出せない。気づいたら、なんだか、山道だった。といっても、交通量は少なくはない。時々対向車とすれ違うし、何よりまだ空は明るい。カトウさんが、車を止めたのは、山道のメイン道路から、少し横にそれた、資材置き場のような場所。砂利敷きの少し広い空間だった。私が何かを思う前に、カトウさんは、カ:ここが、シホとよく来た場所です。夜になると夜景がきれいで、星も見える。シホは意外とこういう場所がすきでね。そんなこといいながら、シートベルトを外し、少しカラダを曲げるようにして、私のほうをしっかりと見たカトウさんは、カ:挨拶もちゃんとできてませんでしたね。カトウです。はじめまして。ひ:・・・はじめまして。。ポツリと呟くように返した私に、カトウさんは、容赦ない視線を向けてくる。カ:緊張してるの?急に馴れ馴れしい色を帯びた声色に、はっとした次の瞬間には、カ:僕も君もシホをしっかり大切に思ってたんだから、すぐに仲良くなれるよ。でも、ほんとに、、シホは。。。そういって、涙ぐみながら、私の手を握ってきた。ありえない。ヤバイ。変な汗が出て、背中がぞわっとくる。このヒト、本気で、ヤバイ。気づいたときには遅いっていうのが定番の感覚が頭に浮かぶ。カトウ(←さん外すねw)は、やや小太りで、腕も太くて、力では勝てそうにない。私は救いを探して、メインの道路に耳を済ませる。時折通る車の音。こっから飛び出して走ってって、運よく車が通りかかってくれる、そしてその車が停まってくれる可能性は何%あるだろう。頭の中は、どうしよう、でいっぱいだけど、カトウはそんなことにも気づかずに、私の手を持って、もう一方の手でなぜ回しながら、シホの思い出を話してる。涙声で、鼻すすりながら、どれだけ自分がシホを愛していたかを語ってる。悪いけど、全然、心に響かない。うさんくさい感じしか伝わってこない。カトウだけが知っているシホのこと知りたい、なんて気持ちはすぐに消えていった。この人には、シホの本当のよさなんて、本当のシホなんて、決して見えていなかっただろうから。途中で、自分の免許証を見せてくる。シホが気に入ってた写真だとかいうけど、正直、元も悪けりゃ、写真写りもひどい。ため息がでるほど、どーでもいー。免許証を見て、私は、ハっと気づいたことが一つあったんだけど、その時は、それ以上何も深くは考えなかった。そのことについて何も口にしなかった。とにかくすごくすごく長い時間。カトウはただ、私の手を握って話していた。とにかく激昂されたらヤバそうだから、とにかく逆なでしないように、適当に相槌をうつ。だけど、相槌に身が入ってないこと、今さらみたいに気づいたカトウが、カ:ごめんね、僕ばかり話して。というか、シホのことばかり話して。気を悪くしてる?ひょっとして拗ねてるのかな?は?ていうか、シホのコト以外に私たちの間になんの話題があるっていうんだろう。意味が分からず、?の視線を向けた私に、カ:そうだね。うん。君の話もしよう。シホは君のコト本当に好きだったみたいだな。よく話してたよ。サラはちっさくて、とっても可愛いって。だから、僕には会わせてあげないって。写真も見せてあげないって。そんなこと言ってたな。シホの、かわいい嫉妬だよ。・・・でも、いや、だからかな、通夜で見たとき、すぐに君がサラだって分かったよ。本当に、ちっさくてかわいいな、サラは。って、もう、呼び捨てになってるし、どうなってるの?この勘違い男。あまりのわけの分からなさに、唖然とする。カ:だから、カトウはそういって、あろうことか、私を抱き寄せて、カ:こんなとこ見たら、シホ嫉妬して手がつけられないかも知れないな。なんていってくる。背中に回された手が、背中をなぜてきて、気持ち悪さが絶頂に達する。相手のあまりの不気味さと、頭の悪さに、脱力してしまう。私は、目の前に迫ってきてる身の危険よりも、なんだか無性に腹が立って、どうでもいい投げやりな気分になった。たとえ無理矢理サれたってどうでもいいやって。カラダなんかどうでもいいやって。耐え切れなかったら死んだっていいや、どうせ、ヒロトもシホももういないんだ。ちーこのことすら忘れて、そんなことまで思ってたかも知れない。そのくらい、自分の身を守るよりも、カトウに対する苛立ちが無性に抑えきれなくなってきた。だから、はっきり言った。ひ:嫉妬なんてしないんじゃないですか?シホ、ずっとあなたとは別れたがってたって聞いていました。私の言葉に、ひとり別方面に盛り上がっていたカトウは、初めてちょっと戸惑ったようなカオをして、私を離した。カ:オオタがそういってたのかな?・・・・通夜も葬式も一緒にいたよね、アイツとずっと。仲いいの?カトウのメガネの奥の目が、なんだか、冷たくなって、不気味さに拍車がかかる。だけど、怯まないで私は言った。ひ:オオタくんだけじゃなくて、シホからも、そう聞いていました。オオタクンと婚約までしたのに、カトウさんが別れてくれないって。キレられるかも知れない、そんな覚悟で言ったけど、カトウは余裕の笑顔で、私に言った。少し呆れたようなため息をついて。カ:シホは、オオタにだまされてたんだよ。ひ:は?カ:結婚を餌にされて、好きでもないのに好きだって思い込まされてたんだよ。かわいそうに。僕に別れ話までしたりして。だから、僕は何度も説得したんだ。シホが愛してるのは僕だけだってね。シホは分かってくれたよ。でも、そのたびに、何度もオオタがジャマをしてきてたんだ。サラももうオオタには会わないほうがいいね。呆然とする。この人の頭の中はいったいどうなってるんだろう。自分にとって都合が悪いことは全て、なかったことになるんじゃないだろうか。記憶だってすべて、容易に書き換えて、それが事実だっていう風になってるとしか考えられない。オオタクンとの最後の電話で、死の直前の電話で、シ:もう何十回も別れ話してるんだよ。だけど、頭が回らなくなるんだもん。オ:あいつが好きだから?シ:違う。好きとかほんと、ないの。だけど、会話してるとよく分からなくなってくるの。そう言っていたと言うシホの言い分が分かる。この人と会話してるとおかしなサイクルに巻き込まれる。私は、なんとか踏みとどまっていう。ひ:そんなことありえない。シホはオオタくんを本当に好きだったんです。死に際のシホの必死の思いが胸にこみ上げてくる。だけど、今泣くわけにはいかない。カ:なんだ、サラも、もう、オオタに洗脳されてるの?オオタと寝たんだな?なんだか、浮気を問い詰めるような口調にワケが分からなくなる。どんだけ説得したって通じるはずなんてない相手なのに、私は、ひ:寝てなんていません。洗脳もされてません。私は私が聞いたまま見たまま感じたままを言ってるんです。カトウはそう言った私を哀れむような目で見てため息をつき、それ以上言ってもムダだとでもいうように(どっちが!)、首を振り話題を変えてくる。カ:そうだ。シホから預かってるもの、見せようか。私が返事をするよりも前に、カトウは、後部座席に手を伸ばし、大きめの茶封筒を取り出して、私の膝の上に置いた。カ:見ていいよ。上から目線な許可にイラつきながらも、封筒を手にとって中を見る。中に入っていたのは、ひ:これ、私が書いた、、、私からシホ宛の手紙・FAXだった。何年分も。きっと、送ったもの全てがその中に入っていた。なんでこの人が持ってるんだろう。モノといたげに顔を見たら、カ:それ、シホ、よく持ち歩いてたよ。なんかのお守りみたいに。・・・私の手紙。・・・・シホ。連絡できない間、『愛想つかされたと思ってた』、そんな風に思ってた私、からの手紙を。一体、シホはどんな思いでいたんだろう。止められない涙がこぼれ始めた。だけどだけど、なんでそんなに大切にしてたものをこの人が。カ:シホと最後に会ったとき、車に忘れてったんだ。最後に会ったときにだよ。僕に読んで欲しかったのかな。そんなわけっ、叫びたいのに、もう、シホへの想いがあふれすぎて声にならない。封筒を胸に当ててもう、とまんなく泣き出したら、カ:だから、僕が全部読んであげたよ。サラも本当にシホのこと好きだったんだね。僕も同じだよ。だから、僕たちは分かり合えると思う。こういうときは同じ気持ちの人間どうしで慰めあえばいいんだよ。寂しいよね、シホがいなくて。。そんなこと、いいながら、また、私に腕をまわしてきた。だけでなく、顔にキスまでし始めた。キモチワルイ。身の毛がよだつ感覚って、あんなのを言うんだろうな。ずっと忘れようと思い続けてきたから、もう鮮明には思い出せないけれど、とにかく、おぞましかった覚えがある。カトウは、私が嫌がってるなんて気づきもしていない様子だった。カトウははっきりいってヤル気まんまんだった。本気で身に危険が迫って私は、心の中でシホに問いかけてた。・・・こんな人、どこが良かったの?そんなこと思ってる間にも、勝手に盛り上がってるカトウは、私に、さらに体重をかけようとしてきたし、唇にキスまでしようとしてきた。絶対にヤる気もなかったし、キスする気もなかった私は、もちろん拒んだ。私が、拒んだことに気づいたカトウは、カ:どうかした?さっきの、シホの嫉妬の話気にしてる?大丈夫だよ、サラなら。シホも許してくれるって。まだ、とんちんかんなこと言っている。ほんとにキモイ。そして、実際ヤバイ。押しのけようとしても全然力じゃ叶わない。助けてケースケって、思った。何回も何回も。その時はまだ恋人でもなかったしキスもしていなかったケースケ。ずっとそばにいて支えてくれてたケースケ。だけど、もちろん今は助けになんてきてくれない。ケースケに黙って出てきたのは自分なんだから。だけど、絶対、この状況から抜け出したかった。カラダなんかどうでもいいや、ってさっき思ったけど、違うって。『シたかったらシてもいいよ』って何度もそんなひどい言い方をしてきたのに、ケースケは、ガマンしてくれたのに。『サぁの心と体が一致してないなら絶対シない』って、心も体も大切にしてくれてたのに。それなのに、こんなヤツに絶対されたくない。シホの死に傷ついてるフリをして、本当に凹んでる私の隙につけ込んで、ヤろうとしているこんなヤツには絶対されたくないって思ったから。そして、絶対に抜け出したいと思って初めて、すごく恐怖を感じた。だって、絶体絶命の状況にいたから。
2010.10.23
コメント(14)
その1、その2、その3、その4、その5、その6、その7、その8、その9、その10、その11、その12、その13、その14、その15、その16の続きです。シホの葬儀の夜。ちーこが眠って、ケースケがシャワーを浴びていて、ケースケにヒトリでいる間にいろいろ考えすぎないようにとあてがわれた本をただお腹に乗せて、ソファで私が寝転んでいたときにケータイに着信があった。ディスプレイには見知らぬ番号。・・・誰だろう。シホのこと思って、オオタくんのこと思って、そして抗いがたくヒロトのことが蘇って、ずっと涙が止まらずにいたから、最初は出るつもりはなかった。だけど、信じられないくらい長い時間、何度もなり続けたから、仕方なく、起き上がって、涙を拭って、電話に出た。ひ:もしもし?:もしもし、夜分にすいません。サラさんのケータイで間違いないですか?礼儀正しい様子の几帳面な、でも、聞き覚えのない男の人の声。・・・・?ひ:はい。そうですけど。訝しげに答えた私に、その人は、名乗った。カ:カトウです。それは、シホの不倫相手のカトウさんからの電話でした。ひ:あぁ・・・なんで番号知ってるんだろう。なんでかけてきたんだろう。私はどうするべきなんだろう。通夜や葬式でのカトウさんの態度に苛立ちを覚えていた私は、あからさまに、とまで言えるかどうか分からないなりに、それなりの、警戒心と不快感をこめて、曖昧に返事をした。カ:名前だけで分かってくれるんですね。いい意味で覚えてるわけじゃないんだけどな。なんだか、ピントハズレにややウレシそうな声をあげるカトウさんに戸惑う。カ:今、少しだけいいですか?ひ:なんでしょうか?カ:シホのコトは本当に突然で。・・・サラさんもきっとお疲れでしょうから、単刀直入に申し上げます。一度2人で会えませんか?ひ:は?一体何を考えてるんだろう。全く考えが読めなくて、少し、いらだった気持ちになる。でも、カトウさんは意に介した様子もなく、ビジネスな口調で、カ:実はシホから、、預かっていたものがあるんです。シホには、もう、、返せないから、だとしたら、今はもう、サラさんに渡すべきものだと思うものを。ひ:なんですか?カ:・・・それはお会いしたときに。・・・できれば、少し、、、話もしたいですし。。どうでしょう?できれば明日にでも。私はとっさには返事ができなかった。助けを求めるみたいにバスルームの方に目をやったけど、ケースケはまだ出てこない。カトウさんと会って話す。考えもしなかった選択肢がいきなり提示されている。混乱したなりに、なんだか少し怖い気もして、ひ:2人でなければいけませんか?カ:そうですね。ものがものだけにその方がいいと思います。・・・一体ナンなんだろう?ひ:何かは教えてくれないんですか?カ:見てもらうほうが早いと思うので。ひ:・・・・決めかねて黙り込んだ私に、カ:・・・明日、僕は夕方まで空いています。もしもその気になられたら、お電話ください。番号は着信に残ってますよね。お住まいは、○○市でしたね?お電話いただいたら30分以内に行きますよ。では。そういって電話は切れた。なんで私の家のある場所までしってるんだろう?そんなことぼんやり考えてたら、ケースケがシャワーを終えて戻ってきて、向かいのソファに座った。まだ、恋人じゃなかった頃のケースケ。眠るとき以外は、あと、ひろ。が大泣きするとき以外は、フツーにキョリを置いて座っていた。私が手に持っているケータイを見て、ケ:電話してたのか?誰と?少し心配げに問いかけてきた。シホと別れなかった、そして、お通夜や葬儀でのカトウサンのことはケースケに伝えていた。だから、きっと、カトウさんから会おうと誘われたなんてこと話したら、頭ごなしに、絶対に会うなっていうだろうなって思った。私もそれがまともな考えだと思う。だけど、私の心はなぜだか迷っていた。会うなんて冗談じゃない。あなたと話なんてない。て、いえない感じだった。シホから預かっている私に渡すべきもの、っていうのももちろん気になるし、それより何より、シホが一体、カトウさんの何に惹かれたのか、そこがすごく気になっていて、会って話したら、分かるんじゃないかって思っちゃった。そんなことなんで分かりたかったんだろう?、別れようとしても別れてくれなかった、オオタくんとの穏やかな幸せを望ませなかった、通夜や葬式で泣きじゃくる、どうしようもない不倫オトコ、そう思っておいてもよかったのに。だけど、ひ:・・・別に、なんでもない。って、ケースケに、答えたときには、もう、心は決まってたのかもしれない。カトウサンと会って話そうって。今、振り返って思ってみれば、よした方がいいって警報、心の中でいっぱい鳴ってた気がする。それに(きっと)気になってるくせに、(それでもきっと)恋人でもないんだから、と遠慮してその時それ以上、何も聞かなかったケースケの想いに、確かに胸だって痛んだのに。オオタクンとの約束もあったから、決して、ヒロトの時の様に自棄になってたわけじゃない。だけど、シホの死にしっかりと打ちのめされてはいて、マヒしていた頭と心、そんなときに、カトウサンから連絡が来て、誘われて。結局は、もう、いない、シホの心に少しでも、シホの心が感じたことに少しでも寄り添ってみたかったのかなって思う。シホのことをもっと知りたいという気持ちには抗えなかったていうのが、本音かな。シホが惹かれて、そのせいで死まで選ぶことになったカトウさんのことをもっとちゃんと知っておきたかった。そしてもちろん、カトウサンだけが知っているシホの話もききたかった。だから、私は、次の日、ケースケが仕事で出かけた後に、カトウさんに電話した。1時間後に駅の西口にあるスイーツのお店で待ち合わせることになった。ちーこを連れて行くわけには行かないし、ケースケもいないから、おかあさまに子守をお願いした。※ちーこを置いて出かけるなんて、当時の私には珍しいことだったので、おかあさまはすごく驚いてたけど、もちろん快く引き受けてくれた。ケアが大変なちーこだったんだけど、それは普段から手伝っていただいてたので問題はなかった。ただ、義実家に連れてくことでケースケにバレナイかだけ、どきどきしたこと覚えてる。幸い?ケースケは、外出の仕事だったから、帰ってくるまではばれなかったんだけど。・・・帰ってきて、ばれた後のお話は、後で書くことになります。駅の西口までは歩いていった。待ち合わせ場所のスイーツのお店の入り口の横にちょこんと立って、カトウさんが来るのを待っていた。あんまりキョロキョロするのもみっともないから、足元を見ながら、シホのコト、考えてた。・・・私、何しようとしてるんだろうね。シホに心の中で話しかけたりもした。そして、相変わらず、シホを思うだけで、涙が出る私。流れ落ちそうになって、慌てて外なこと思い出して、留めようとしたけど、やばいくらい涙がとまんない。ひとり、焦ってたら、目の前に誰かが立った。カ:サラさんですね?慌てて涙拭きながら見上げて、ひ:・・・はい。ただ、それだけ答えると、私の涙に一瞬驚いた顔をしたカトウさんは、それでも涙のコトには何も触れず、カ:すいません。車、うまくパーキングみつけられなくて。とりあえず、乗ってくれませんか?とまくし立てるように言って、ひ:え?ちょっと、、、戸惑う私を、引っ張って、ロータリーに停めてあった車に連れてった。車で来ることは知っていたけれど、乗るのは気が進まなかったから、でもちゃんと話はできるように、スイーツのお店で待ち合わせたのに。自分の公衆の場でも止まらない涙に混乱し、相手の強引さに戸惑っているうちに、車は、もう、走り出していました。ちーこのことがいつもココロで気になっているから、なるべく早く帰ろうと思っていたのだけれど、その思いもむなしく、随分長い時間がたってしまった後に、私はこの同じ西口に戻ってくることになりました。それも、すごく、震えた状態で。
2010.10.21
コメント(10)
その15の続きです。お通夜には沢山の人が来ていた。和室に据えられた祭壇を縁側越しに見る形で広い砂利の庭に集まっていた。抱き合いながら泣いてる生徒さんたち。あぁ、シホはこんなにも愛されて慕われていたのに。私も急に涙が溢れて止まんなくなった。友達の誰かがそっと肩を抱いてくれた。だけど涙は止まんなかった。お焼香だって指が震えてうまくできなかった。私がお焼香を終えても、まだまだたくさん列は続いていた。友達たちはしばらくして帰るそぶりを見せ始めたけど、私は、涙目をこすりながら、オオタくんを探していた。オオタくんが焼香する時にも、周りのいたたまれない空気を感じたから。オオタくんが悪いんじゃないのに、オオタくんだけが悪いんじゃないのに、私だって悪かったのに、あんなタイミングで電話をかけてしまったのに、なんだか1人置き去りにしてしまう気がして。不安になった頃に肩を叩かれた。オオタくんだった。私のハンカチがぐしょぐしょになってるの見て、自分のハンカチを優しい目で貸してくれる。また涙が出る。オオタくんにはハンカチは必要なかった。その場の彼を刺すような空気に涙も出ないみたいだったから。オ:少し残る?って聞かれて私は、うなずいた。だめだ。帰りの長い車中。今度こそ何も知らない顔なんてできない。だったら1人で帰る方がましだって思ったから。みんなに先に帰ってと伝えると、心配げながらもうなずいてくれた。ちーこを思い出して、ケースケにメールしようとバッグの中でケータイを確認すると、ケースケから、こちらに向かってるというメールが来てた。ちーこは私が長時間いないと、というよりも、おっぱいがないと、手がつけられないくらい泣くし、そして、それを押さえるには、ケースケの抱っこか、車に乗せてるのが一番効果的だったから。ケースケ、待ってるだけじゃいたたまれなかったんだろうなと思う。(でも、私がケータイを見なかったらどうするつもりだったんだろう。ってちーこ預けててそんなことありえないか)メールの時間から着く時間を考えてると、縁側でまた大きな泣き声。目をやると、生徒さんたちが順番に焼香していて女子生徒さんたちがわんわん泣いている。それはいい。問題は、カトウさんだった。生徒の先頭に立って焼香したのか、縁側にしつらえられた焼香の場所の脇に立ち、引率の立場からか、生徒を見守る位置に立ちながら、・・憚ることなく泣きじゃくっていた。・・いやいや、ありえないでしょ。この場面。ただの歳の離れた異性の同僚で、そんな泣かないでしょ。みんな、変に思うでしょ?変に思われちゃダメでしょ?・・・なんてヒト。隣のオオタくんを見上げると、哀れむような蔑むような目で、カトウサンを見ていた。一番泣きたいはずなのに、泣くこともできないオオタくん。手放しで泣き続けるカトウさん。何をどう考えればいいのか、わかんなくなってくる。ぼんやりしているうちに、式は終わり、縁側の上から、私とオオタくんを呼んでくれるヒトがいた。K子ちゃんだった。K子ちゃんにだって、思いがきっとありながらも、オオタくんにも気遣いをみせてくれた。優しい子。私たちは、少しだけあがらせてもらうことにする。だけど、中にはたくさんの親戚の皆さんがいて、K子ちゃん個人の気遣いとは別に、やっぱり、オオタくんをくるむ空気は冷たい。隣にいる私にだってその風が当たるように感じる。身をすくめるようにして、2人部屋の隅っこに座らせてもらい、周りを見回したときに、信じられない姿を見つける。棺のそばにいるご両親のすぐ横に、堂々と涙ながらに話しかけているカトウサン。シホの顔に触れる様子すら見せている。一体なんなの?バレちゃうじゃん。まさか、不倫相手だなんて名乗ってるはずはないけれど、他の生徒はみんな帰って、同僚もみんな帰って、それなのに1人残って、シホが親に死ぬまで隠し通した不倫バレたらどうすんの?実際、不審に思ったらしい親戚の方が、どなた?的なことをご両親に聞いている、勤めてた塾の上司だ、って答えに、納得がいったようないっていないような。そりゃそうでしょ。微妙な空気が流れ始めて、やっとそろそろ失礼とかいって立ち上がってるカトウさん。最後にもう一度シホに触れている。だからそれが怪しいっての。ご両親に頭をさげて歩き出したときに、私たち、というよりは、オオタくんに気づいた。至近距離で目が合う2人。だけど、表向きには関係がない2人。言葉は交わさないまま、カトウさんは出ていった。その後は、でもやっぱり、婚約者だったはずのオオタくんは、ご両親に呼ばれることもなく、棺に近づけることもなく、ただK子ちゃんの出してくれたお茶をいただいて、K子ちゃんと少し話してから、外に出た。ケースケが来るまで待たせてもらおうと、オオタくんが車を停めてる道の駅を目指しながら、ひ:・・やっぱり、こんなの、納得いかない。カトウさんがしゃあしゃあと善人顔でご両親と言葉を交わすことも、シホの遺体に気安く触れることも。そう思って不満を口にしたけど、オオタくんはただ、空を見上げながら、オ:いいんだ。もう。ほんとに。サラちゃんだけが分かってくれてたらそれで。そんな風に言われて、また、シホの言葉を思い出す。『サラに嫌われてないこと分かったから。私、大丈夫なの。私が、生きてたこと好意を持って覚えてくれてる人がいる。それでじゅーぶん。怖くない。死ぬの全然。』急に不安になる。ひ:オオタくん、死んだりしないよね?オオタくんが、足を止める。優しい目で私を見て言う。オ:そうだな。サラちゃんが生きてる限りは。自分の危ういところも、私の危ういところも、全部コミでそんな風に返してくるオオタくん。私たちの間の唯一の共通点だったシホを失ったギリギリのところで、私たちは深いところで繋がった気がした。恋愛感情とかそういうんじゃなく、ただ、すごく深く共感し合った気がした。ほんとのシホを覚えている私たちは、死ぬわけにはいかないっていうような共感。・・なんだか今でもやっぱりうまく言えないけど。だけど、お腹の底が熱くなるくらい、また、生き続けなきゃって思った。こんな思いしたこのヒトを死なせるわけにはいかないでしょって、お互いに。だから、自分の決意もこめて、ひ:絶対、約束だよ?って言い返した私に、オ:今度は守るよ。って返してくれたオオタくん。道の駅につくと、オオタくんの車に乗るまでもなく、ケースケが迎えに来ていた。ちーこは、チャイルドシートの中でぐっすりで。次の日。告別式はお昼から行われた。昨夜、道の駅で見つけたケースケの心底からの心配顔が焼きついていたから今度は、もうワガママいわずに車で送ってもらった。告別式にも沢山の人が来ていた。平日の昼間だからか学生さんはいなかったと思う。夕べ一緒だった友達も、今日は来ていなかった。オオタくんと並んで式に参列した。昨日と同じ様に庭の砂利の上に並んで立って。弔辞は、シホ(とオオタくん)の大学のサークルの仲間のSさんという人がしゃんと背筋を伸ばしながらも涙声で読んでいた。残念ながら内容はスピーカの音割れがひどくて聞き取れなかった。オオタくんは、オ:弔辞なんてサラちゃん以外考えられないのになんて言ってたけど、そんなこと考えてもみなかったし、どっちでもよかった。Sさんは、サークルの中で、シホを責めてた先頭の人だったみたい。オオタくんは、苦い顔で言ってたけど、私は、Sさんはシホのこと、大切に思ってたからそうしたんじゃないかなって思う。それが本当の友達だったんじゃないかなって思う。一度居所なくしてしまうほうが、もしかしたら、シホ、戻ってこれたんじゃないかなって思う。Sさんみたいなしっかりした人にシホが相談して、カトウさんとの別れ話の間にはいってくれてれば、別れられたのかもしれない。ただ、シホのつらい恋がいつか終わりを迎える時には、そばにいてあげたいな、ってしか思えなかったひろ。は、生温かった。そんなことぼんやり考えていたら、また、アノヒトが目に付いた。カトウさん。また、盛大に泣きじゃくってる。涙もろいってだけで言い逃れられそうにはない泣き方で。呆れる。昨日と同じ様に焼香して、閉式になる。いよいよ棺が閉じられる。近しいらしい友人が順番に花を手向けている。もちろんずうずうしいカトウさんも真っ先に近いすばやさで。でも、動かないオオタくん。結界があるみたいに。ひ:行こうよ。そういってみるけど、首を振るオオタくん。オオタくんを咎める無言のオーラが私にも感じられるくらいだから、きっと、もっと。オ:サラちゃんは行っといでよ。ひ:オオタくんも行こうよ。シホ、きっと、待ってるよ。言い合ってるうちに、人が途切れいよいよ棺が閉められそうになる。動かないままのオオタくん。私ももういいやと思った。んだけど。オオタくんは?響き渡った大きな声に、場が静まり返る。声の主に向けられるあからさまな咎める目とため息のような声。それは、終始、感情を抑えてきたK子ちゃんの叫びだった。周りが穏便に止めようとするけれど、K子ちゃんは、もう止まんなく泣きじゃくりながらいう。棺が閉じられないように縋るようにしながら、目だけを動かして参列者の中からやっとやっとオオタくんを見つけて、こっちを見て。K:オオタくん、なんでそんなとこにいるんですか?ココに来て、お姉ちゃんにちゃんと最後に、声かけてあげてください。お願いします。誰かが、K子ちゃんに耳元で何かを囁く。振り払うようにして、K子ちゃんは続ける。K:だけど、お姉ちゃんはオオタくんが好きだったんだからっ。オオタくんも、お姉ちゃんのコト好きでいてくれたんでしょう?やっぱり一番最後は、オオタくんがっ。お願いします。(きっと)いつも穏やかで冷静なはずのK子ちゃんのその迫力に押されて、みんなが黙る。もう誰も、K子ちゃんを止めない。ただ、オオタくんに目が向けられている。終始、身をすくめていたオオタくんも、しっかりと顔を上げた。オ:サラちゃんも行こう。晴れやかな顔で、私を促してくれる。棺のそばまで行って、私は先にシホのカラダに最後の挨拶をした。棺の中の、花に囲まれたシホ。眠ってるだけみたいに見えるシホ。でも、もうすぐ焼かれてなくなってしまうシホの体。じっとそばでその顔を眺めて、でも、実感がわかなくて、『とりあえず体とはお別れ』くらいの感覚しかないまま、心の中でお別れの挨拶をした。次に、オオタくんも、堂々と、ご両親とご親戚に向かって頭を下げてから、シホに近づいて、愛しい目で優しい目でシホを見つめた。その頬に触れて、顔を近づけて、何事か囁いた。頬に触れたまま、何かを聞くみたいに、目を閉じたオオタくん。最後に、ふっきれたように、あるいは、ふっきるように少し微笑んで、ゆっくりと手を離した。それが、オオタくんとシホの最後の時間だった。オオタくんは、一歩下がってから、主にK子ちゃんに目を向けて、オ:ありがとうございました。ただ、それだけを口にして頭を下げた。棺が車に乗せられクラクションを鳴らして去っていくのを見届けてから、私はまた、オオタくんと一緒に、ケースケとちーこの待つ車に向かって、オオタくんとは、そこで別れた。オオタくんにいっぱい非難の目が向けられて、でも不倫相手のカトウさんの方は、好き勝手泣いてたり、思いがけない展開の通夜と告別式だったけど、オオタくんがシホに最後の最後のお別れをできたことで、少し、何かが救われた気がしていた。もちろん、シホの死はまだ起こったばかりの出来事。誰の中でも落ち着いていくのにはまだまだ時間がかかる。だけど、何とか乗り切れるような手ごたえみたいなものは残った気がした。だから、まだ涙はいっぱい出るけれど、少しずつシホのいない世界にカラダを慣らせていかなくちゃって思ってた。そうしていけるって思ってた。その夜、電話が鳴るまでは。
2010.10.20
コメント(10)
その14の続きです。シホが死んだ日の夜。電話がありました。高校で3年間一緒にお弁当を食べてたHから。シホの死を知らせる電話です。シホは前にも書いたように2年からは別のコースになったので、クラスは変わってしまい、Hはそれ以降シホと言葉を交わすこともほぼなかったんだけれど、たまたまシホの実家と自分の友達の家が近くて聞いたらしく、H:1年の時に同じクラスだったシホちゃんって覚えてる?なんだか事故で亡くなったって聞いたんだけど。って。ひ:うん、知ってる。そう答えた私でした。私がシホと仲がよかったことは多分ほとんど誰もしらなかったから、Hはなんで?って驚いてたけど、H:明日お通夜らしいけど行くなら一緒に行かない?他にも何人か声かけてみようと思うから、○駅で待ち合わせて。といわれて、私は、ひ:いいよ。って言った。そのこと、ケースケに伝えると、ため息つかれたけど。だけど、電車に乗って、バスに乗って、時間かけて行くのも悪くない気がした。シホがいつも高校に来るときに通っていた経路。長い道のり。学校はぴーかんなのに、1人、雪が降ってたとか言って、長靴はいて遅刻して来てたときもあったっけ。あの時はそのありえなさに、爆笑したけど、ほんとに、遠いトコから自宅通学してたんだよね。高校時代の友達とそんなこと話しながら、電車に乗るのも悪くない。少しでも、シホのこと、シホの観た景色のこと、シホの感じた時間のコト、今さらながらでもなぞってみたかった。バカみたいかもしれない感傷。だけど、心のままにしたがいたかったから、なかなかウンとは言ってくれないケースケに、ちーこのこと頼み込んで、私は、電車に乗っていくことにした。ケースケは、しぶしぶ(ほんとにしぶしぶ。あの顔今も覚えてるw)駅まで送ってくれた。結局は私に甘くて弱いケースケのこと分かってて頼んで、勝手して、すっごく心配かけちゃったんだろうなって今書きながらやっと思う。次の日、シホの家に向かう線への乗り換え駅で、Hと待ち合わせていた。そこには、他にも数人、連絡がついたらしい1年の時のクラスメイトがいた。すっごく久しぶりの再会に、黒い服を着ていることなんて忘れて、ミニ同窓会、みたいなムードになる。長い電車の時間。声を上げて笑いながら、近況報告が続くのを、ぼんやり聞いていた。私が、高校のときから、ずっと、ヒロトと付き合ってるの知ってるみんなだし、ヒロトが死んだことなんて知らないみんなだったから、私も当然、イロイロ聞かれた。ひ:・・・相変わらずだよ。ただそう答えただけだったけど、A:あ~あ~、ま~、そうだよね。B:相変わらず甘えまくりなんでしょ?C:でもちょっとなんとな~く、サラ、落ち着いた印象があるよ。D:結婚式は呼んでよね。って感じで好き勝手言われてたし言わせてた。私が子供を産んだことだってここにいる友達はダレも知らない。でも、今日はまだそれでいいって思った。いつか言える日もくるだろう。でも今日じゃない。そしてもちろんシホの話も出る。たった1年だけのクラスメイト。しかも特進コース。毎日の宿題や授業に必死だったみんな。エピソードと呼べるほどの記憶もなさそうなみんな。それでも、いくつかは思い出話が出る。いつも授業中に落書きをしていたこと。その絵がうまかったこと。よく居眠りしていたこと。背が高くてすごく細かったこと。そしてトレードマークみたいに長くみつあみにされた猫ッ毛で細い髪の束の量の少なさ。自分の世界がありそうで近寄りがたかったこと。客観的なシホの印象。確かにそうだったな~、って思う。そして、みんな申し合わせたように黙る。みんなの中のシホを思って。今はこんなに若くして死んでしまったシホを思って。私も、シホから遠い人に囲まれてる現実の中でもまた、シホをしっかりと思う。確かに私とシホは学校にも教室にもなじめなくて息苦しかった。だけど、そんな中でもシホがいてくれたことは、私の心地いい息抜きになっていた。高校を出てからも、ずっと。きっと、こんなにしんどい世界で生きていく上で息抜きになっていた。うぬぼれじゃないなら、私だって同じ様にシホにとって。それなのに。私はその大切な役目を、シホにとって大変だったこの大切な1年間に、全く果たせなかった。ヒロトが死んでしまって、妊娠が分かって、子供の病気が分かって、自分のことにかかりっきりになってた。ほんとなら、シホに求めたはずの、息苦しさの捌け口を、目の前に差し出されたケースケの愛情に(しかも、ちゃんと向き合うこともなく、ただズルく)甘えることで、自分だけは甘く救われていたから、だから。だから、私は、シホの息苦しさに気づけなかった。それどころか。オオタくんとの最後の電話のシホの言葉。『サラに嫌われてないこと分かったから。私、大丈夫なの。』『私が、生きてたこと好意を持って覚えてくれてる人がいる。それでじゅーぶん。怖くない。死ぬの全然。』私は最悪のタイミングでシホを思い出し、最悪のタイミングでシホに電話をしてしまったんじゃないか。危うい中で必死でバランスをとろうとしているシホに変な形で気を抜かせてしまったんじゃないか。そうに違いない。私が電話なんかしなければ、シホは今もきっと生きてたんじゃないか。その気持ちが、シホが死んだと聞かされた瞬間からずっと心を覆い隠そうとしてた。その時その電車の中でも。事故ってどんな事故だったんだろう?誰かが言い出して、我に返る。そして、胸が苦しくなる。自殺、なんておおっぴらにできないから、事故ってことになってるんだよね。私は、対外的に、どんな事故ってことになったのか、知らない。Hも詳しくは知らないみたいで、答えあぐねている。サラは知ってる?Hが私に聞いてくる。私も曖昧に首をかしげる。でも、もしかして、本当はHはシホの家に近いという友達に何か本当のコト聞いているのかも知れないような感じがした。だってそんなこと一瞬で知れ渡りそうな小さな町だったから。だけど、だからって、私の口からほんとの話を持ち出すことなんてできないから、やっぱり、ただ首を振って流した。サラは、今もシホちゃんによく会ってたの?誰かに聞かれて、ん~、1年ちょっと前に会ったのが最後かな。そこだけは正直に答えた。一昨日の夜電話で話したことはいえなかった。何を話したか聞かれても何も話せることがないから。シホがずっと悩んでいたことなんていうわけにもいかなかったし。だってシホは事故で死んだことになってるから。お通夜も葬儀も大きなあの実家で行われる。だから、最寄の駅前からバスに乗った。思ったより、学生がたくさん乗っていて混んでいる。と、思っていたら、みんなシホの家にいく人だった。シホがバイトしていた学習塾の生徒だったらしい。庭の砂利の上に溢れてかなりたくさんの人がいる。受付を済ませて、みんなと庭の隅っこに固まっていたら、オ:サラちゃん。オオタくんが隣に来ていた。相変わらずひどい顔色してる。でも、私の隣にいるみんなを見て、努めて明るい声と表情でオ:高校の時の友達?そう聞いてくれる。私は、うなずいて、大体、ざっとみんなを紹介する。オオタくんを、ひ:シホの彼氏。そう紹介すると、みんな気の毒そうな顔になって、すごくいい子だったのに、元気出してください、みたいなこと口々にいう。皆から少しずれて、オオタくんと話す。ひ:オオタくん、昨夜、少しは寝た?オ:ああ。サークルの連中と一晩一緒にいたけどね。・・・明け方になって、やっと、少しは寝たよ。サラちゃんは?ひ:・・・結構寝た。現実逃避かな。そういって力なく微笑んだ私に、オ:赤ちゃんは大丈夫?また、ケースケさんと車で待ってんの?私は慌てて、後ろのみんなを気にしたけど、みんなは他の話に夢中で何も聞こえてないみたいだった。ひ:(小声で)まだ、誰にも、言ってないの。・・・色んなこと。そういうと、オ:ごめん。そか。そりゃそうだよね。シホにも言ってないくらいだったんだから。ひ:・・・いえないままだった。ぽつりとそう言ったときに、大切なこと、思い出して、でも、ちょっとオオタくんには酷な質問かな、と思ったりもしたけど、いや、むしろ、今のこのショックなどさくさな時のほうがいいかも、と思って、ひ:あ、ねえ、オオタくん。ひとつ聞いてもい?そういっただけで、オオタくんは、少し周りを気にしてから、小声で、オ:(シホの)赤ちゃんのコトだよね?って察してたずねてくれる。うん、うなずいた私に、オオタくんは、縁側の奥にしつらえられた祭壇のシホの遺影に目をやってから、周りを気にしたまま小声で続ける。オ:・・・ダメだったんだ。シホはずっと悩んでたまま、出血があって、病院で調べたらお腹の中で、赤ん坊の心臓が止まってしまってた。シホ。その時のシホの心を思って、息が詰まって何もいえなくなる。オ:胎児自身に問題があったんだって説明されても、シホは自分がずっと迷ったりしたからだって、自分を責めた。飲むお酒の量がものすごく増えた。投げやりなことをいうことが多くなった。それまで以上に、つまらない言い争いも増えた。そう言ったオオタくんの顔を見上げたときに、オオタくんの表情が見たこともないくらい険しくなる。視線の先には、さっきバスの中で見たような学生服の一群。数がどんどん増えていくシホの生徒たち。シホはいい先生だったのか、かなりの女の子たちは泣き顔で。そんな学生の輪の中に、その人はいた。オ:・・・アイツだよ。オオタくんの目つきだけでとっくに分かってた。アイツ=カトウさん。シホの不倫相手。シホが勤めていた学習塾で主任を勤めていたらしいから、当然のように通夜に参列していたみたい。初めて見るカトウさんは、こういっちゃ悪いけど、背は普通、小太りで、ダサいメガネをかけていて顔だって、いいとは言えない、・・・なんだか、はっきりいってぱっとしない人。あんな人が、シホの不倫相手?いや、そりゃ、もちろん、みんながみんな私みたいにメンクイではないだろうけど、それにしてもなぁ、、って思っちゃった。正直、自分に家庭があるという不倫相手の立場でありながら、独身のシホに別れ話をされようが独身の新しい恋人ができようが、シホから離れようとしない、頭の中身のおかしさ加減から、せめて外見ぐらいはいい人を期待してたんだけど。一体この人の何がシホを惹きつけたんだろう?シホからの(不倫のコトが書かれた)最初の手紙を思い出そうとしてみた。いっぱいのろけてあった気がする。そして、確か、その中に何か、気になることが書かれていた気がする。何だろう。思い出せない。でも、その手紙を探して確かめなくちゃと思った。私のあまりの(しかもとびきり失礼なこと思いながらの)ガン見に、視線を感じたのか、その人が、こちらに顔を向ける。私と一瞬目が合って、隣に立つオオタくんに目をやる。私も同じ様にオオタくんに目を向けると、オオタくんは私を見ていた。ひ:オオタくんのこと、見てるよ。オ:いいんだ。目が合うと殴ってしまいそうで自分が怖いよ。今、、ここで殴るわけにはいかない。オオタくんからすれば、何度殴ったって足りないような相手。だけど、今、ここで殴るわけにはいかない。殴る理由をここにいる人に知られるわけにはいかないから。いつまでも外れない相手の視線から逃れるように、オオタくんは、オ:ちょっとゴメン・・。そういって、カトウサンのいる方とは反対に歩いていってしまった。オオタくんが行ってしまった後、もう一度、私に向けられた視線を感じたけど、もう、私は、目を合わさなかった。そして、時間がきて、お通夜が始まりました。
2010.10.15
コメント(5)
その1、その2、その3、その4、その5、その6、その7、その8、その9、その10、その11、その12、その13の続きです。シホの実家の周りはもう車でいっぱいで、オオタくんの勧めで、一度通り過ぎてから、道の駅のようなところに車を停めた。とても私のコト心配そうだったけど、ケースケが、ちーこを車で見ていてくれるということ(ちーこはどこにでも連れ歩ける状態じゃなかったので)で、私は、オオタくんと車を降りてオオタくんについて歩いた。これまで書いてきたようにシホの実家はとても私の住む町からは離れていて、くるのは初めてだった。初めて見るシホの実家は、田舎の旧家のとても古くて大きいおうち。一瞬怯むほど広くて、庭には大きめの砂利が敷き詰められていて、敷石の上を歩いて、開けっ放しになっている引き戸の玄関の中に入った。そこにいたシホの妹さん(K子ちゃん)らしき人とオオタくんが何か言葉を交わす。私を紹介してくれているみたいで、妹さんの顔が、あ~と、何か分かったような目でこちらを向いた。こんなときだけど、今にも微笑んでくれそうな明るい表情で、しゃんとした挨拶をくれる。オオタくんと違って、目の前のやらなければならないこと(通夜、葬式の準備や接客、接待)に意識を集中できるからだろう。哀しみがないわけじゃない。ましてや、シホを見つけたのはK子ちゃんなんだから。ただ、ショックを受けるのを後回しにしてるんだって思った。K子ちゃんが、そばにきて言ってくれる。K:サラさんの名前は、いつも姉から聞いてました。FAXとか手紙も、たくさんくれてた方ですよね?ひ:そう、、です。たどたどしくしか答えられない私に、年下だとは思えない落ち着きで、K:姉はこっちにいます。会ってやってください。姉もすごく喜ぶと想います。そういって、障子を開けてくれる。中には、親戚なのか近所の方なのか、とにかくたくさんの人。ごったがえしている。どんなヒトがいるかは伏目がちに進む私には確認できない。ただ、たくさんの人。どれがお父さんやお母さん、なのかも分からないままK子ちゃんの後ろにくっついていく。人垣を抜けると、足元に、シホがいた。布団に寝かされて。首に布をまかれて。ただ眠っているみたいで。そう。あの時の、ヒロトと同じ。全部、全部、同じ。それが、私にとって、どうしようもないくらい大切な人だってことも。そしてもう二度と目を開けてくれないことも。そして、目の前にしても、すぐに涙なんて出ない私も。K:どうぞ、座ってください。足元に差し出される座布団に我に返る。私は、よろよろと、座布団の横に腰を下ろした。K:使ってください。古い家なんで畳だと足がいたくなりますから。やさしく促してくれる声に、ちょこんと頭を下げてその分厚い座布団の上に、乗った。K:おねえちゃん、サラさんがきてくれたよ、よかったね。シホの額から髪をなぜ上げながら、顔をそばにくっつけて、そんな風にいうK子ちゃん。私は、まだ何も言えずにシホの顔を眺めていた。K子ちゃんが、どこかにいたらしいお母さんに私のコトを伝えている。気がついたら、目の前に、シホのおかあさんがいた。おかあさんは、泣きはらした目で、でも、私をやさしく見つめて、遠いところありがとうって言ってくださいました。ただ首を振った私を、お母さんは、すぐ向こうの仏壇の前に座って話し込んでいる男の人の輪の中にいたお父さんに紹介しました。高校の同級生でずっと仲良しだった、そう紹介してくれていました。お父さんはその場所から、少し大きな声で、同じ様に、遠いところありがとう。と言ってくれました。そして、どうやってきたのか、と尋ねました。車で、と答えると、場所はすぐに分かったかと。オオタくんに最寄の駅まで来てもらって教えてもらいました。そう伝えると、お父さんが黙って、部屋が一瞬静かになったような気がしました。すぐそばにいるやさしく人懐っこそうだったお母さんの目が少しだけ曇った気がしました。でも、それは一瞬のことで、お父さんは、本当に来てやってくれてありがとう。と繰り返し、お母さんは、よく顔をみてやってくださいね、と仰って、席を立たれました。気がつけば、K子ちゃんはもうそこにはいず、部屋の中は依然ごった返しているけれど、私はシホと1対1みたいな状態になっていた。まだ、私は、何も考えられなかった。ただ、じっとそばにいた。じっとじっと見つめてた。ヒロトの時に経験を積んだ?ので、少しは落ち着いていた。思い切り泣くのは、一人になってから(あるいはケースケと2人になってから)でいいやと。いえ、というよりも、むしろ、何に向かって泣けばいいのか分からなかった。何を哀しめばいいのかわかんなくて、ただ、シホを見つめていた。しばらくして、玄関が少し騒がしくなった。みんなの様子から下の妹のYちゃんが隣県の高校の寮から帰ってきたことが分かった。うそでしょ?うそでしょ?連絡を受けて帰ってきたはずなのに、認めたくなさそうに、皆に尋ねまわるYちゃんの最後の抵抗の声が聞こえる。障子が開け放たれて、入ってきた制服姿は、びっくりするくらい高校生の頃のシホに似ていた。あまりに似ていて胸がつまりそうになる。Yちゃんは、お姉ちゃんって、叫んで、布団に縋って、ウソでしょ?なんで?なんで?って何度も叫びながら号泣してた。Kちゃんが、後ろから抱きとめるみたいにしてた。私は目を閉じて、しばらくそこにいたけれど、もう、心が限界で、席を立った。そして、初めて、障子の内側すぐのところで手を拳に握って正座の膝においたまま、俯いて座っているオオタくんに気づいた。・・・なんで、そんなとこ?もっとそばにいればいいのに。オオタくんはシホが最後まで愛を示した恋人だったのに。そう思って初めて、さっきの車での、ケースケとオオタくんのやり取りの意味に気づいた。ケ:だけど、それじゃ・・、ケースケが何かを気にして口にしたけれど、オオタくんは、オ:いいんです。とだけ、答えたあのやりとりの意味。オオタくんとの電話の最中にシホは死んだ。警察でも『泥酔して、電話で恋人と喧嘩中に発作的に首をつったという結論になった』。喧嘩の原因、シホの不倫相手の話は、オオタくんは何も話さなかった。だから。シホが自殺したのは、オオタくんのせいだと、ここにいる皆が思ってる。オオタくんがシホを死なせたんだと思ってる。そうじゃないの。それだけじゃないの。知ってるのは、もしかしたら、私だけで。だけど、オオタくんに対するみんなの責める目を少しでも止めるためには、シホの不倫のコトを話さなくてはならなくて。シホは絶対に親に知られたくないって思ってて。オオタくんはシホが死ぬまで隠したこと自分がバラすワケにいかないから、黙ってて。私だって、もちろん、そんなこと、できなかった。同じ行き止まりに立ち止まって、オオタくんの膝に握られた手に込められた思いに胸が苦しくなる。だから、ただ、私がシホのそばにいる時間つらいのに針の筵に座ったまま待っててくれたオオタくんのそばに行って、ひ:ごめんね。ありがと。出ようか?ってだけ、聞いたんだった。お通夜は翌日の晩、葬儀は翌々日の昼と聞かされてシホの家を出た。砂利道を通って歩きながら、ひ:オオタくんはどうするの?と聞いてみた。オ:サークルの連中が午後には来ると思うから、駅の駐車場で仮眠しながら待ってるよ。ずっとシホのそばにいたいはずなのに、それを許されない視線。シホだって、オオタくんにそばにいてもらいたいはずなのに、それが許されない状況。こんなのっておかしいよ。だけど、だけど、どうしようもなかった。ひ:・・・・・オオタくんは、悪くないよ。そんなことしか言えない私に、オオタくんは、オ:ありがと。サラちゃんだけでもそういってくれるとほんと力強い。シホもきっとこんな気持ちでいたんだな~。あ~なんかシンクロした気分だよ。ひ:オオタくんは全然悪くないよ。オ:そうかなぁ。そうでもないと思うよ。僕も結構、悪かったよ。ひ:そんなことないよ、濡れ衣だよ。オ:そうかなぁ。でも、もしそうでもいいんだよ。あの家の中での『シホ』を守るためならなんだってかぶる。こんな日にこんな状況でへっちゃらな顔でそんなこというオオタくん。もっと怒ればいいのに、優しすぎるよ、いつだって、オオタくんは。ひ:オオタくんは、本当に、悪くないよ。絶対全然悪くないよ。オ:何回言ってくれるの?嬉しいけど、そんなことないって。第一、サラちゃんとの約束も守れなかったし。シホとアイツを別れさせられなかった。それに、シホを守ることもできなかった。ゴメンね。そんなこと謝られたら私だっていっぱい悪かった。私だっていったいシホに何をしただろう。何をできなかっただろう。目の前にシホの死に一番傷ついてる人がいて、その人を守ることすらできなくて。ひ:ごめんなさい。。。。ひ~ん。。ダレに何を謝ってるのか分かんないまま泣き出した私のコト、オオタくんは、あやすみたいに、肩を叩くみたいにして抱いて、車まで連れて行き、外に出てきてくれたケースケに引き渡した。ケースケが私をぎゅっとしてくれる。声上げてもっともっと泣こうとして、自分がズルイみたいに思えた。自分だけ、こんな風に、今ここで、一番辛いのに泣く場所すらないオオタくんの前で泣くなんて。だから、必死で、ガマンして、ケースケの腕の中から出た。そして、皆で車に乗り込んで、オオタくんと駅で、明日ね、とバイバイしてから、またちーこにおっぱいしながら家に帰った。家に帰ってから、昨夜読み散らかしたシホの手紙を手に取ったら、また泣けてきた。ケースケに、ケ:サぁ、さっきは、よくガマンしたな。・・・おいで。って手を広げられて、もう、何もガマンしないで、心のまま涙腺のまま、いっぱい泣いた私でした。そして。オオタくんが1人だけの悪者になってまでも隠そうとしたシホの不倫の話は、通夜の夜になって、私には、思いもかけなかった展開を見せました。
2010.10.13
コメント(6)
その12の続きです。シホの家は、結構山深いところにある。最寄の駅からも、まだ、バスで行けば15分とか20分かかる場所。ケースケはオオタくんと最寄り駅で待ち合わせしていた。閑散としたロータリーには、車もタクシーもまばら。ケースケが、車を止める。ぎりぎりまでおっぱいをくわえていたちーこをチャイルドシートに乗せている間に、ケースケが先に車をおりた。斜め前に停めていた車から、オオタくんが降りてくるのが見えた。疲れた顔。泣きはらしたような目。でも、初対面のヒト(ケースケ)の前だから、しゃんとしようとしているのが見て取れる。普通に言葉を交わしている様子でした。ちーこが、チャイルドシートでしっかり寝入ったのを見て、私も車を降りました。泣いたらすぐに分かるようにドアは開けたままで。オオタくんの目が私をみつけて、いっぱい胸にこみあげてくるものはあったけど、少しだけ表情を緩めて、ひ:オオタくん。久しぶり。って、まずはそれだけしかいえなかった。オオタくんは、同じ様に、表情を緩めて、オ:ありがとう。きてくれて。そういった。聞きたいことはいっぱいあった。だけど、いきなり核心なこと聞くわけにもいかず、それ以上、言葉が続かない私たちをみかねて、ケースケが、ケ:車で話しますか?オオタさんも乗ってください。シホさんちまでは俺が運転します。寝てないんでしょう?って言った。ケ:後ろは、あかんぼとサぁが乗ってるんで、助手席にどうぞ。って付け加えたら、オ:あかんぼ?・・・サラちゃんの?そういえば、電話の向こうで赤ちゃんの声がしてたな。ってフシギそうに私を見たオオタくん。どっから説明すればいいのか混乱する私。ケ:そうですよ。今ちょっと、病気してるんですが、治ったら男前になる予定です。ケースケの言葉に、ちょっと笑って、オオタくんは、車に乗ってちーこを見た。湿疹だらけでひどい顔(※当時は病院でも注目の的くらい症状がひどかった。露骨に目を背けられたり、イロイロひどいことも言われました。哀)なのに、オオタくんは、すぐに、かわいいな~、って本当に愛しそうにいってくれた。やさしい瞳でちーこを見つめて、サラちゃんによく似てるっていってくれた。(あんな状況であんなちーこのことあんなに優しい目で見てくれたオオタくんを思いだすたびに、なんで、シホはあんなに優しい人と、幸せになれなかったんだろう。って今でも思う。)そして、オオタくんは、オ:さっきはすいませんでした。他の人の名前言ってしまって。サラちゃんが結婚して、もうお子さんまでいるなんて聞いてなかったから。ってケースケに。ケースケは、ケ:いえ、気にしてません。って答えてから、私に、ケ:さっき、電話かわるなり、ヒロトさんですかって聞かれたんだ。ひ:あぁ・・・。だよね。ヒロトが死んだことも、その子供を産んだことも、まだ、、ていうか、結局、シホには言えなかった。だから、オオタクンも知ってるはずがなく。(てかさ、今思い出したら、ケースケ、『気にしてません』って、否定したのそこだけ??みたいな。ちゃんと、結婚してないことも、自分の子供じゃないことも、すぐに言ってよね、と思う。笑。)ヒロトのこと、ちらり心に蘇った。だけど、心はもうマヒってるから、何も起こらない。オオタくんが、オ:だけどさ、本当にいつの間にって感じ?シホも知らないよね?現在形で聞くオオタくんに胸がチクリ痛む。ひ:うん。・・・なんか、いろいろあって。。。なんか、言葉にならない私に、オ:いいよ。ムリに話さなくて。かっこいいダンナさんもいて、今は幸せなんだろ?ああ。違うのに。全然。そんなこと思うだけで、意味のわかんない涙がだーって流れ出す。涙腺も壊れてた。俯いた私に代わって、ケースケが、ケ:オオタさん。ちがうんです。俺、サぁのだんなでも、サぁの子供の父親でもないんです。まだ。(やっぱり、『まだ』ってつけてるケースケは図々しい。)オ:じゃあ。。。?飲み込めずに、問いかけるオオタくん。ケースケは、ケ:サぁ、俺が話していいか?って確かめてから、オオタくんに、ケ:サぁの赤ん坊の父親はヒロトです。・・・ヒロトは、自殺しました。1年ちょっと前に、首をつって。オ:く・・・び・・・?ケ:はい。・・・だから、サぁが、今朝受けたショックは尋常なものじゃないんです。オ:サラちゃん、、、ゴメン。大丈夫?ごめんなんて何も謝ることなんてないのに、大丈夫なんてヒトのコト心配してる場合じゃないはずなのに。サ:こっちこそ、ゴメン。こんな日に。。。だけど、ちーこつれて来てて言わないわけにはいかないし。だけど、よりによってこんな日にゴメンね。オ:謝るのはこっちだよ。ゴメン。何も知らずに、呼び出したりして。・・・もしもムリなら、もうこのまま帰ってくれてもいいよ。ケ:サぁは帰りませんよ。無理でも。全部知って受け止めようと思ってる。な?サぁ。うなずいた私。ケ:・・・だから、ちゃんと話してやってください、何があったか。俺も一緒に聞かせてもらいますけど、いいですよね?オ:もちろんです。・・・ただ、ケースケさんは、サラちゃんとは、、、どういう関係なのか尋ねたらしい言葉。ケ:俺はヒロトの弟なんです。サぁのいうように、いろいろあって、一緒に住んでますが、サぁとは、まだ(←)そういう関係ではないです。サぁに猛烈に片想いしてるヤツと思っててください。片想いなりに二人を必死で守ってますけど。そのためにも、サぁの周りで何が起こってるのかは知っておきたいんです。シホの家をケースケの運転で目指しながら、オオタくんの話を聞いていた。昨夜、私との電話を切り、オオタくんとの電話に戻ったシホは、まず、私に言っていたとおり、仲直りを打診したらしい。シ:というわけだから、一時休戦して、サラんちいかない?ヒロトさんのマンションにいるらしいから、ラブラブの空気もらいにいこうよ。私との電話の延長でか、はしゃいだ声でいったシホに、ケンカだけ続行中の気持ちだったオオタくんは、オ:行けないよ。僕は、まだサラちゃんとの約束果たしてないのに会えないシ:約束?オ:シホをアイツと別れさせること。シ:・・・サラはそんなこと気にしないよ。オ:僕が気にするシ:サラはそんなこと気にすることを気にするよ。ねえ、それより一緒に喜んでよ~。サラが、、私を嫌ってなくてほんとに良かったそんな風にシホは言ってたらしい。でも。二人は、やっぱり、ケンカに戻っていった。喧嘩の内容は、いつもどおり。オ:きっぱりと別れろよシ:・・・・ムリなんだもん。オ:なんで?シ:分かってるでしょ?別れてくれないんだもん。オ:シホが相手しなきゃいいんだよ。シ:・・・オオタくん、つらいよね?オ:当たり前だろ?シ:オオタくん、私と別れてよオ:イヤだ。別れる相手が違うだろう?あんなヤツといて何があるんだよ?シホが僕をキライならいつでも別れるけど。シ:・・大好きだよオ:ほんとかなシ:・・・疑われても仕方ないね、でもほんとだよ オ:だけどアイツとは、別れられないのかよシ:もう何十回も別れ話してるんだよ。だけど、頭が回らなくなるんだもん。オ:あいつが好きだから?シ:違う。好きとかほんと、ないの。だけど、会話してるとよく分からなくなってくるの。オ:結局、好きなんだろ?シ:違う。私が好きなのはオオタくんだけだよ。ちゃんと証明できるし。私、そのこと思いついたの。オ:は?どうやってシ:好きな人のためなら死ねるってこと。オ:は?シ:いいことでしょ?私が死ねばオオタくんをこの修羅場から救えるオ:っシホ?ばかなこというなよなシ:私なんて、どうせ、ばかだもん。仕方ないでしょ?だから、今から死んで証明する 私が好きなのはオオタくんだよ。カトウさんの知らない時間にオオタくんのために死ぬ。大好きだから。私が好きなのはオオタくんだから。オ:シホっ、分かったから、もういいから、やめろよな?シ:いいのいいの。もう、ほんとにいいの。これまで、好きでいてくれてありがとう。うん。それにね、サラに嫌われてないこと分かったから。私、大丈夫なの。オ:なにが?シ:私が、生きてたこと好意を持って覚えてくれてる人がいる。それでじゅーぶん。怖くない。死ぬの全然。オ:シホ、おい、頼むから。シ:あ、、そうだ~。私、サラに会うって約束したんだったオ:うん。そうだよ。な、サラちゃんちに、いこう。今から迎えにいくよ。シ:・・・もういい。だってサラには好きだってさっきしっかり伝えたもん。だから、サラに泣かせてごめんってだけ、伝えてね。オオタくんも、、、ゴメンね。オ:シホ?・・何してる?シ:死ぬ準備。好きな人のためなら死ねる。好きなヒトのためなら死ねるもん。本気だから死ねるもん。今やっと心から分かった。私が好きなのは、カトウさんじゃなくて、オオタくんだよ。私が、あなたが好きっていって、それを信じてほしいのはオオタくんだけだもん。今この瞬間もカトウさんの声聴きたいとも思わない。私が好きなのはオオタくん。それを分かってほしいのもオオタくんだけ。オ:シホ。よせって、頼むから。なあ。シ:最期の瞬間に話してたのは、オオタくんだよ。だから信じてくれるよね。最後の最後の本当の気持ちはオオタくんだけのものだからね。私が好きなのはオオタくんだよ。オ:シホっ2人のやりとりを話すオオタくんの声を、チャイルドシートで眠るちーこの手に自分の指をにぎってもらいながら聞いていた。ケースケは運転しながら、オオタくんの言葉に耳を傾け、私の気配にも気を張っているのがよく分かった。オオタくんは、続けた。オ:・・・電話の向こうでガタンってすごい音がして、静かになった。もう何度名前を呼んでも、答えはなかった。だから僕は、電話を切ってすぐに、シホの実家に電話したんだ。電話には、K子(中妹)ちゃんが出た。なんにも知らないいつもののんびりした声に、必死で頼んだんだ。シホの様子が変だったから、見に行ってくれないかって。『電話に出ないなら、もう寝ちゃったんじゃないかなぁ』なんていいながら、階段を上ってく足音。その後、悲鳴が聞えた。お姉ちゃんって叫ぶ声。つづいて、お父さんとおかあさんを呼ぶ悲鳴のような声。『オオタさん?おねえちゃんが、、首を、、救急車にかけるから、一度切ります』そういって電話が切れた。もう間に合わないこと分かってたけど、僕はすぐに車に飛び乗って、こっちに来たんだ。・・・途中、K子ちゃんから電話があった。まだどうなるか分からない。そういってくれてたけど、それはきっと運転を心配してくれてのコトで、もう、無理だったんだ。そのあと、警察から事情聴取を受けたこと。泥酔して、電話で恋人と喧嘩中に発作的に首をつったという結論になったこと。喧嘩の内容は簡単にしか聞かれなかったこと。カトウさんの話は、誰にもできなかったと、オオタくんは言った。不倫をしているなんて、シホが何があっても親に知られたくなかったこと、僕の口から話すわけにはいかなかったから、と、オオタくんは言った。ケ:だけど、それじゃ・・ケースケが何かを気にして口にしたけれど、オオタくんは、オ:いいんです。とだけ、答えた。
2010.10.12
コメント(6)
その1、その2、その3、その4、その5、その6、その7、その8、その9、その10、その11の続きです。ケースケは、ケータイを持ってるのと反対側の手で、さっきまでケータイを握っていた私の手に触れてくれている。冷え切って固まった指先にケースケのゆびはあったかくそして、柔らかかった。ケースケは少し眉間に力を入れたまま話している。ケータイだから、もちろん、相手の声は聞こえない。だけど、それだけじゃなくて、その時の、記憶からはなぜかケースケの声も消えている。ケースケが話す口元を見ながら、頭が、天井がぐるぐる回ってるような感覚だけが残ってる。その後で、やっと私は、気を失っていた。まさかの二度寝?ってことはないと思う。次に、気づいたら、ケースケは電話をとっくに切った様子で、私の顔を覗き込んでいた。横を見ると、ちーこは、おっぱいをくわえたまま眠っていて。起こさないように、そーっとおっぱいからちーこを離して(成功)、服を直してから、もう一度、ケースケを見ると、やさしいゆる笑顔で、私を見てくれる。そのいたわるような目にひかれてゆっくりと起き上がったら、そーっと手を伸ばして抱き寄せてくれた。ひ:・・・夢じゃ、ないんだ、よね?頼りなくそうたずねた途端、また涙が溢れて、体ががくがく震えだしちゃった。ケースケが、抱きしめる手を強くして、ケ:あぁ・・。やるせなく肯定する。ひ:・・・なんで?なんで?シホ。。私、夕べ、、っていうか、ついさっきじゃないっ。ついさっき、話したとこなのにっ。ケースケが悪いんじゃないのに、体ごと震えたままの声で、責めるみたいな口調になっちゃう。なんでなんでって、ヒロトのときと同じ。ケースケの胸の中で叫んでるのも同じ。ケースケは、やさしく、私の震えを止めようとして、そっとそっと背中を撫ぜてくれた。ひとしきり、泣いて、震えて、やっと次の言葉が出た。ひ:・・・オオタくん、なんて言ってた・・?ケ:シホさんの自殺の状況なら俺は聞いてない。サぁが直接聞くべきだと思ったから。もちろん、俺も一緒にいるつもりだけど。オオタさんは、今シホさんの実家にいるらしい。サぁにも来てもらえないかって言ってたよ。どうする?ひ:行くっ。会いたい、シホに。ケ:・・分かった。そういうと思ったよ。オオタさんは、最寄の駅まで来てくれたら迎えに行くっていってたけど、俺は、自分が送るって言った。いいよな?今のサぁを1人で電車になんて乗せられない。ちーこも連れてくなら車じゃないとダメだし。ちーこは、当時、全身に湿疹が出ていてジュクジュクだったので、いつもミイラみたいにガーゼを巻いていました。顔も、痛々しいっていうよりも、悲惨なくらい症状がひどくて、電車に乗せるなんてとてもムリだった。だから、ケースケの申し出はとても嬉しかったのだけど。つい。ひ:・・・だけど、、ケースケ、仕事は?なんて聞いてしまった私に、ケースケは、呆れたみたいにため息ついてから、ちょっと、怒った声で、ケ:今日は仕事はないよ。・・・学校はあるけど休む。ひ:休むって、、ケ:黙れ。何か言えば、今のサぁから俺が離れるとでも思ってんのか?それ以上、くだらないこというなら、本気で怒るけど?って、とっくに怒ってる声で言われちゃって黙った私でした。その頃はまだ、どうしても差し出してくれる愛を受け入れることができなくて、ケースケに対しては、ありがたい気持ちと、申し訳ない気持ちが常に同居していました。でも、その時は、さすがに、もう何も言えなかった。ひ:ありがと。ってこと、以外は。ケ:素直にそー言ってりゃいんだよ。・・・・ちょっと、落ち着いた?そう聞かれて、体の震えは治まってることに気づく。涙も、止まっている。考えるのをストップしようとしてみる。なんとか心を目の前のことに集中する。私は、そっとケースケの腕から逃れて、ひ:うん。ねえ、私、何からどうすればいいのかな。何時に行けばいいの?ケ:何時でもいいんだよ。とりあえず、顔洗って、着替える?ひ:分かった。うなずいた私に、ケ:ちょっとケータイ借りるぞ?もう一度、オオタさんに電話して、行くこと伝える。ってかけ始めたケースケ。今は、すぐそばで、オオタくんの気配を感じたくなくて、ゆっくりと立ち上がって、ドアの方に向かった私だった。その頃は、まだ、ヒロトのマンションに住んでいた。ヒロトが自殺したその部屋に住んでいた。私は、ソの姿を見たわけじゃない。でも、ソの場所、は知っている。だから、時々、ていうには、頻繁に、その場所を見上げてしまって、何度も何度もヒロトのその瞬間を思ってしまっていた。部屋を出た方がいいって、いっぱいいっぱいいろんな人にいわれた。でもね、できなかった。どうしてもムリだった。その瞬間以外の、とっても、静かで穏やかで、やさしい時間を過ごしてきたのもそこだったから。ヒロトはその部屋で仕事をしていたし、一緒に過ごした時間のほとんどはそこにあったから。ヒロトの残像が見えるのは、その場所だけじゃなかったから。実体のないヒロトのせめて残像に甘えたかったから。その残像すら失ってしまうのが怖かったから。まだ全然コドモだった私には、わかってなかったんだよね。違う場所に住んだからって、何も消えるわけじゃないこと。その証拠に、違う場所に住んでいる今も時々ヒロトの残像が見える。私の心にちゃんとヒロトがいるから。これは、マンションを出るかどうかだけの話じゃなくて、ケースケの愛情を受け入れるかどうかという点でもオナジコトだったんだけど。って、横道にそれすぎるから、話を戻します。とにかく、その時は、ヒロトのマンションに住んでいて、でも、その時ほど、みんなのいうことを聞いて、引っ越しておけばよかったと思ったことはなかった。何も考えないようにしようとしっかりとロックしたはずの心なんてあっけないことに、寝室のドアを出るなり、視界の端に、その場所が捉えられて、見たはずのないヒロトの体が揺れてるように見えてしまった。慌ててドアにすがって目を閉じて唇を噛んでも、脳内で見えないはずの光景が見え続けていた。ぶら下がっているそのヒトは、シホになったりもした。2人並んで揺れたりもした。・・・もぉヤダ。ムリ。神様のイヂワル。心の中は、弱音満載。ギブアップ。ひ:ひ~ん。出てくるのは、ナサケナイ声と涙。限界。しゃがみこんだ私でした。ケ:サぁ?ケースケが後ろから抱えあげてくれながら、ケ:ゴメンゴメン。1人じゃムリだよな。ゴメンな。よしよし。って、あやすみたいに。なんか、そんな風に言われて、また、しっかりしなきゃってなったり、心は、もうマヒ状態。当然といえば当然。自分で涙拭きながら、ひ:ごめん。だいじょぶ。ケ:って。そんな大丈夫じゃなさそうな声でいわれても。って、ゆる苦笑するケースケに、ひ:電話済んだの?ケ:ああ。・・・でも、大丈夫か?ひ:だいじょぶ。・・・だいじょぶじゃなくても、行かなきゃ。ケースケは、さっき、自分が私に言ったこと思い出したのか、それ以上何も言わずに、一緒に洗面所についてきてくれて、私が顔を洗って、髪をとかしてる間に、自分の着替えを済ませて、私の着替えも用意してくれた。着替えを済ませて、戻ると、ケースケは、おにぎり握ってたし。ケ:お、今日もかわいいぞ。(←これ、何のつもりだったのか当時よくいわれた言葉。w)ちょっと待ってくれよな、今、飯つくってやっから。ケースケが、ケースケらしい気遣いで用意してくれる、あまりにも日常すぎる日常な光景に、ちょっと頭がくらっとくる。目の前のダイニングチェアに力なく腰掛けてから、ひ:・・・・食べられないよ。ケ:食わなきゃダメだっていつも言ってるだろ?サぁのおっぱい止まったら、ちーこ飢え死にだぞ?ちーこに食べさせてんだとおもって食え。ひ:・・・・もっともな言い分にただ黙っていたら、目の前におかれた、いびつな形のおにぎり。ケ:よし、食え。俺も食うから。いつもは向かいに座って食べるケースケ。その時は隣に座った。ひ:ありがと。いただきます。ケ:お。私の前におかれたのの倍もありそうなおにぎりにかぶりついてるケースケにくすってなりながら、私も、そっと手にとって、かじった。ひ:おいしい。ケ:そか?なかなかこんなの食えないぞ?ひ:こんなのって?ケ:俺の握ったおにぎりだよ。俺でも、なかなか食えない。私はちからなく笑って、ひ:めったに作らないだけでしょ?ぱくぱく食べ続けた。でもね、そこでそんなこと思わなきゃいいのに、思っちゃったんだよね。もう、シホは、ケースケが握ったのだけじゃなく(←)、おにぎり食べる事もないんだな。って。したら、もう、全開で泣けてきて、涙が止まんなくなっちゃった。でも、ちゃんと食べ続けた。泣きながら、だけど。ケースケは、涙のコトは何も言わずに、ケ:えらいえらい。しっかり食えよ。って言ってくれた。シホの家は、電車でも時間がかかる場所。車だと倍くらいかかったと思う。道中は、ケースケは運転に集中してた。私は、ずっと、ちーこにおっぱいをあげていた。ちーこにおっぱいをあげてると、すごく心は落ち着いた。こんなにひどい症状で24時間かゆくて、自分で口から食べられるものがなくておなかがすいていて、すごくよく泣いていて、それでも、時折、機嫌のいいときにはニッコリ笑ってくれて、こっちは、つらいのみるのがつらくって、早くよくならないかと憂鬱で、私だって除去食で食べられるものが少なくってよくお腹がすいていて、よく暗い顔でちーこの顔を覗き込んでいても、その笑顔を見たら、はっと気づかされた。そんなにつらいのに笑ってくれるんだって。じゃあ、私も笑わなきゃって。さらに、その日は、車の後部座席で、必死におっぱいくわえるちーこの湿疹顔見ながら、あ~、私も、絶対、必死で生きなきゃ。って。思えた。涙流しながら、だけど、思えた。こんなに自分ではワケ分からないまま辛くても辛くても必死でおっぱい飲んで、必死でいき続けることだけ考えてるちーこを見習って、絶対、しっかり、必死で、生き続けなきゃって。今、目指してる先に、どんなつらい事実が待ってるとしても。※現在のちーこは、食アレの症状は、ほぼ治まって、お肌もつるぴかです。卵・牛乳もちょっとずつ2次食品が食べられるようになってきています。
2010.10.08
コメント(8)
その1、その2、その3、その4、その5、その6、その7、その8、その9、その10の続きです。その頃、ちーこはまだ食アレの症状(全身のジュク湿疹・痒み)がひどくて、眠っても、何度も起きることが多かった。起きてる間も、かゆみから気を紛らせるために、ずーっとずーっと抱いていて。離乳食なんてとても始められなくて、アレルギーを除去した食事を私が摂って、授乳していた。でも、その夜は、久しぶりにぐっすり眠っていて、夜中に起こされることもなかった。だから、その翌朝の電話が鳴ったときには、私も、ケースケの腕の中で、久しぶりに割とまとまった時間眠っていた。同じようにケースケも、久しぶりに。だから、随分、ケータイは鳴り続けていたと思う。夢の中でその音がずっと響いてた気がするから。ケ:サぁ、電話・・・眠そうなケースケの声に、ケータイを渡されて、受け取って、ほとんど開かない目をこじあけて、ディスプレイを見たら、『オオタくん』の表示。そこで、ちーこが泣き出した。ケ:いいよ。俺が。寝ぼけ声のまま、ケースケが言って起き上がってくれたのを確認して、私は電話に出た。ちーこはケースケが抱き上げようとそっと触れるだけですぐに泣き止んだ。私は、あまりにも寝てましたって感じの声で、気を遣わせたくなくて、とっさに、『いつでもきてくれていいよ』なご機嫌声で、ひ:もしも~し?そういうと、オ:サラちゃん?聞えてきたのはオオタクンの声。ひ:おおたくん、おはよ~。久しぶり。仲直りした?ニコニコ声で、そうたずねた私に、オオタくんは電話の向こうで黙った。・・・・?同じ様に、黙った私。その沈黙の長さに、得体の知れない、不安感が襲ってきて、同じ様に、何も話さない私に、腕の中にちーこを抱いて、フシギそうにどした?的な視線を送ってくるケースケが視界に入る。その視線に促されるように、私は、気を取り直して、もう一度声を出す。ひ:オオタくん?どうかした?少し笑顔の減った声で問いかけた私に、オオタクンが言ったのは、オ:・・・さらちゃん、しほがしんでもうたんよぉっていう言葉。はっきりした声。でも救いのないようなくらい声。初めて聞くオオタくんの四国訛り。しほがしんでしもうたんよぉ・・・・?ひ:ぇ・・・・?どのくらいの大きさの声が出ていたのかは分からない。でも、自分では、ほとんど声にならなかった声。そして、また、沈黙。頭が理解する前に、ケータイを持つ手が震えだした。そして、横着にも起き抜けでお布団で寝転んでたんじゃなければ、倒れちゃってたんじゃないかと思うくらい、意識がとんだ。だけど、それは一瞬のことだったみたい。ケ:サぁ?電話中だから、ケースケが囁くような声をかけてくる。私は、ケースケに、ひ:シホが・・・それ以上言葉にできなくて、顔がゆがむ。でも、ケースケは、それだけで十分分かったみたいに、でも信じがたそうに、痛そうに顔をしかめて、私のそばにきた。私は、落しそうになっていたケータイを手にとって、まだ、通話中なこと確認して、もう一度耳に当てる。ひ:・・・・オオタくん、、、・・・・何があったん?四国訛りにつられて、大阪弁が出てしまいながら、私は気弱に尋ねた。『死んでしまった。』ただそれだけじゃ、分からないけれど。病気や事故でなどありえない。シホは間違いなく、自殺したんだと、それだけは、すぐに確信となっていた。昨夜の電話の、酔った、はしゃいだシホの声が頭に溢れかえった。だけど、耳から入ってきたのは、オオタくんの闇の中にいるような声。オ:・・・首をつったんよぉ『首をつった。』その言葉に、もちろん、瞬時に起こるヒロトのことのフラッシュバック。体が一瞬で冷え切る。思わずぎゅっと閉じた目からはいつから溜まってたのか涙が大量に流れ出す。それでも、衝撃を受け止めきれずに、私は、小さく声にならない悲鳴みたいな音を吐き出した。からだが震える。ヒロトの記憶、昨夜のシホの声、今のオオタくんの声、自分の悲鳴が頭のなかでぐるぐるまわる。失神しそうになる。だけどその時、ちーこが突然泣き出して引き戻される。そして、今度は電話中でも、遠慮ない大きい声で、ケースケが、ケ:サぁ?と、叫ぶみたいに呼ぶ。その声に、また、ちーこの声が大きくなる。私は、そんな時なのに、おっぱいをあげなくちゃ、と、ちーこに手を伸ばす。片手に握ったままのケータイに目をやり、ケースケが、ケ:後は、俺が話す。いいな?問いかけじゃない有無を言わせない声でそういってケータイを取り、私の隣にちーこを寝かせてくれる。私は、ちーこに、おっぱいをあげながら、何も考えることができずに、ケースケがケータイを耳に当てて話し始めるのを眺めてた。初回更新日時 2010.10.07 14:44:49※Nさんへ。ご指摘ありがとうございました。訂正しました。間違ってばっかですいません。^^;
2010.10.07
コメント(10)
その1、その2、その3、その4、その5、その6、その7、その8、その9の続きです。電話を切った後、ケースケに、すぐ、ケ:誰?って聞かれて、さっきシホの手紙を読んで顔色悪くなった私を見て心配してくれてたケースケに説明もしないまま、シホと電話してたことに気づいた。そして、ケースケに、あらまし説明した。(ここまでに書いてきたようなことだから結構時間をかけて。)もちろん、親友のこんな大切なこと、誰彼構わず話すわけじゃなく、ケースケだったから。ケースケは、時折目を覚ますちーこを腕の中であやしてくれながら、時々質問しながら、最後まで聞いてくれた。そして、ひろ。が今の電話の内容まで話し終えると一言目に、ケ:なあ、サぁ、俺、シホさんたちと話すとき、一緒にいていいだろ?・・・心配だから。って。シホに会ったこともないし、何度も言うようだけど、まだ、恋人でもなんでもなかったケースケ。ちょっと、不安げに、自信なさげにそんなこと。多分、ヒロトを亡くして1年が過ぎても、ちーこって子供が生まれて少しは強くなったといっても、まだ、毎晩、ケースケの添い寝に頼りきっていて、しばしば、その腕の中で、ヒロトの不在感にめそめそ泣いているひろ。が、シホの話(多分それほど明るくないはずの)を聞いて、また不安定になるのが心配だったんだと思う。私は笑って、ひ:もちろん、一緒にいて?1人じゃ、シホの話を聞くことはできても、自分のコトは、とても、話せない。それに、私が、ケースケが一緒にいること望んでるって分かったら、シホも何も言わないと思う。そういうと、ケースケは、ケ:了解。って、ほっとしたように笑ってから、ケ:あ、でも、今夜はムリっぽいのかな。もう、1時間たったぞ。と時計を見ていう。確かに1時間が過ぎていた。握りっぱなしだったケータイには、メールも着信もない。ひ:ほんとだ~。。残念。。ケ:ま、もう遅いし。とりあえず、今日は寝るか。ひ:だね。。ってお布団行って、ちーこをしっかりと寝させてから、添い寝してくれてるケースケと少し話した。さっき、シホとの電話の明るい余韻で、ひ:てかさ~、ケースケと何もないってこと説明するのが一番難しいかもね~。って、じゃれて言ったら、ケースケも、明るい声で、ケ:じゃあ、何もなく、なくなろうか?って。じゃれてきた。ひ:・・・そうきたか。笑ケ:っていっても、ま、通用しないか。笑。てかさ、まあ、全部ほんとのこと言えばいいだろ?サぁから聞いたシホさんのイメージなら全部受け止めてくれるだろう。ひ:かなぁ・・ケ:絶対大丈夫だって。・・・俺にしたら、すげーライバル登場な感じだけど。ひ:へ?ケ:シホさんに吐き出して頼れるようになったら、俺、マヂでいらないとかいわれそーひ:ありうるかも。笑ケ:・・・ひ:じょーだんだよ?ケ:会わせたくなくなってきたな。ひ:話をややこしくしないで~。笑。てか、ケースケのいうように、ほんとのこと言うしかないよね。・・・でも、、ケ:ん?ひ:もしも、、シホが・・・赤ちゃんあきらめたんなら、、ちーこはいきなり会わせないほうがいいかなぁ。。ケ:いや~~~、喜んでくれるんじゃね?てか、隠す方が変だし、隠しようもないだろ?ひ:・・・かなぁ。そんな話、いろいろしている間に、うとうとと寝ちゃったひろ。とケースケでした。そして、次にひろ。のケータイが鳴ったのは、爆睡中の、翌朝、でした。
2010.10.06
コメント(8)
電話に出たシホは、上機嫌だった。愛想つかさずに電話くれたってことを喜んで、シ:やっぱり、サラ、大好き。サラがいてくれてよかった。って山ほど。あんたはケースケかってくらい何度もw。はい。シホ、酔っ払いでした。それもかなりの。ご機嫌なシホとは逆に、私は少し気持ちがオちた。シホがお酒を飲んでいる。ていう事実に。半年前に、妊娠が分かったって事は、そろそろ臨月か、まだ新生児の授乳期なはずで。でも、お酒を飲んでるってことは・・・。ケースケの腕の中で眠り込んだちーこを少し見つめてから、私は、聞くのが怖かったけど、でも、がんばって聞いた。ひ:ねえ、シホ、あの手紙の後、どうしたの?・・・赤ちゃんは?シ:・・・・シホは、小さくため息をついただけで、何も言わなかった。確かに、電話で聞けるコトでもない。私が胸にかかえてる秘密と同じ。時計はもう真夜中を指していたけど、私は言った。ひ:シホ、今から会えない?私の言葉に、電話の向こうのシホだけでなく、ケースケまで視界の隅で驚いているのが分かる。そりゃそうだよね、だって、こんな時間に。だけど、顔を見て、話を聞きたかった。話は聞けなくても、顔を見たかった。シホは尋常じゃない量のお酒をのんでいるみたいだったけど。シホは尋常じゃない量のお酒をのんでいるみたいだったから。シホは、少し黙ってから、楽しそうにクスクスと笑った。シ:こんな夜中に久々の再会~??呆れたようにいうシホに、私も、つられて笑った。ひ:だよね。。何もそんなに焦ることないか。いい意味でも悪い意味でも、もう、この手紙を出したときのシホじゃない。もう、とっくに結論が出たシホだから。そう思って言った私に、シ:ん~、サラ、でも、私も会えるなら会いたいな。・・・だけど、ねえ、サラ、今、私、オオタくんと電話中なんだよね。ひ:あ。ごめん。割り込んじゃったんだ?シ:いいのいいの。キニシナイデ。痴話喧嘩中だったから。いいブレイクになったよ。で、もしも、うまく仲直りできたら、彼に車出させてそっちに行こうかなぁ。ひ:うん。何時になってもいいよ。待ってる。シ:あ、あんまり待たないで。笑。仲直りできるかどうか分かんないし。ここのとこ徹夜で喧嘩とかよくあるんだよね。。ひ:徹夜でケンカ??・・・元気だねぇ。笑。わかった。じゃあ、あんまり期待しないで待ってる。シ:・・・寝ちゃうかもしんないし。ひ:笑。わかったわかった。じゃあ、もう待たないよ。笑。シ:それはサミシイよ~。ひ:って、どうしたいの??シ:・・・ん~、とりあえず、オオタクンとの電話に戻る。で、即、仲直りをもちかけてみる。で、うまくいったら、すぐ電話するね。かかってこなかったら、、ま、そういうことだから。笑ひ:わかった~。じゃあ、1時間だけ待ってみるね。シ:うん。でも、ムリだったら、明日電話かける。絶対。ひ:わかった。一応仲直りできるように祈っとく。シ:うん。ありがとう。・・・でも、いいのかなぁ。ひ:え?シ:だって、サラ、今ヒロトさんのマンションにいるんでしょう?ラブラブなとこに、万年喧嘩カップルがお邪魔するの悪いなぁ。シホの言葉に曖昧に笑うしかできなかった私でした。ヒロトはもういないこと、でもヒロトの子供がいること、を、酔っ払って、オオタクンと喧嘩中で、まだ、赤ちゃんのこと、どうなったのか聞けてないシホに、なんて、いえなかった。ましてや、電話でなんて。シ:じゃ、とりあえず、切るね。電話嬉しかった。サラ、大好き。私には、サラだけだよ。てか、サラだけいてくれたら、もうそれでいいや~。最後に、また酔っ払いらしくそんなこと言ったシホ。ひ:何言ってんだか。オオタくんがいるでしょ~。早く仲直りしなよね。シ:はいはい。ひ:じゃね。シ:後でね~。・・・なるべく早く。笑ひ:笑。赤ちゃんはどうしたの?カトウさんとはどうなってるの?聞きたいことはもちろんいっぱいあったけど、電話を切った。オオタくんがまだ、そばにいるなら、そして、オオタくんと一緒にきてくれるなら、その時にちゃんと話が聞けると思ったから。その時にちゃんと話を聞けばいいと思ったから。時が過ぎて、今、思い出しても、このときの電話での会話は、2人ともお互い胸の中にいっぱい秘密を抱え込んでいたけれど、シホの酔っ払い加減がゆるくていい感じで、つられたひろ。も軽く話せて、深刻になることもほとんどなく、ゆるい明るいムードだったと思う。もうすぐ会えるっていう高揚感を持ったままお互いに電話を切ったし。だけど。
2010.10.05
コメント(8)
その1、その2、その3、その4、その5、その6、その7の続きです。何通もあったシホの手紙。読み進めていくうちに、私は、手が震え始めていた。ダブルデートしようね、っていう記憶で私の中では止まったままでいた、シホとの記憶。だけど、私が、シホと連絡が取れないうちに、シホは大変なことになっていて。オオタくんと、結婚を前提につきあうことになって幸せにいると思っていたはずのシホは、結局、カトウさん(不倫相手)と全然別れられていなかった。何度別れ話をしても、別れられていなかった。カトウさんは、オオタくんが、結婚を前提につきあうことになったことを告げても、『もしもシホと君が結婚しても別れるつもりはない』といってのけ、シホには、『早く自分と子供をつくろう。養育費は払うから』とまで言っていた。シホは、オオタくんとカトウさんに引っ張り合われて、どちらにも待ち伏せされて、何度もシュラバを繰り返して、ノイローゼ気味になっていたみたい。『どうしたらいいか分からない。』その言葉ばかりが出てきてて。そして、シホは、とうとう、妊娠してしまった。『どちらの子供か本当には分からない。でも、多分、カトウさんの子供だと思う。カトウさんは認知はするといっている。親に挨拶にいってもいいといっている。だけどそんなことされたって困るの。不倫してたなんて知られたくないの。しかも結婚も出来ないのに不倫相手の子供を産むなんてこと許される家じゃないの。オオタくんは自分の子供じゃなくてもいいから、結婚しようといってくれている。だけど、オオタくんの子供じゃないかもしれないのに、結婚なんてできないよ。それに、どちらにしても、デキ婚なんてできる家じゃないのうちは。・・・でも、赤ちゃんは私の中で育ってる。産みたい。ねえ、サラ、私、どうしたらいい?』その手紙が最後だった。書かれた日付は、もう、半年以上も前。・・・シホがこんなに悩んで苦しんでいる手紙に気づきもせずに、私。こんな大切な手紙に、気づきもせずに、返事も返せずに、『愛想つかされたと』なんて、思わせていた私。・・・なんてことしちゃったんだろう。。手が震えて、深呼吸を繰り返す私に、ケースケが、腕に、赤ん坊のちーこを抱いたまま、ケ:サぁ?どした?顔色めちゃ悪いけど。って心配そうに。シホの、妊娠に戸惑い、混乱する手紙を読んだ私は、自分の妊娠が分かった日のことを思い出した。父親のいない子供を産むことを決めた私に、悩むことすらなく、手をさしだしてくれたケースケ。しっかりと掴むことはできなかったけど、それでも、今も、変わらず、そばにいてくれる。私には、ケースケがいたから、ここまでこれたけど。・・・シホは?シホは、差し出された2本の手を前に、膠着してしまっていて。でも、それも、半年も前の話。・・・一体、シホはどう決断したんだろう。。『私の書いた手紙、読んでみて。それでも、愛想尽かさないで、電話くれるならまた電話して』シホのその言葉を思いだして、もう、夜中に近い時間だったけど、震える指のまま、シホに電話をかけた私、でした。
2010.10.01
コメント(6)
その1、その2、その3、その4、その5、その6の続きです。ヒロトが死んでしまって、自棄に暮らす中、妊娠が分かって、未婚のまま子供を産んで。生まれた子供は、生後2ヶ月から多種食物アレルギーの症状で、授乳しているひろ。も除去食。とにかく壮絶な日々を過ごしてました。ひたすら家に閉じこもって育児して、合間に資格に関わる勉強をするくらいで、正直、外界と関わるヒマすらなかった。ちーこ(長男)の食アレで大変だった時期のことは、本当に忘れたいくらい大変な日々だったから、正直あんまり記憶にない。ただ、そんな中、唐突にシホを思い出した。ヒロトの死から1年が過ぎ、腕の中に(病気とはいえ)愛しい忘れ形見を抱きながら、ヒロトの死にまつわること以外の何もかもから逃げていた自分が、まず、また社会と関わるつなぎ目として、探したのがシホ。今思えば変な話。だってシホとの糸はシホとしか繋がっていないのにね。1年以上会っていなかったけど、自分たちの関係は、変わらないという自信があった。というよりも、そんなこと不安に想いもしなかった。ただ、電話すればそれでいいんだって思った。だから、シホに電話した。電話に出たシホは、私からの電話をすっごく驚いていた。言葉につまりながら、もう、連絡なんてくれないと思ってた。って、そう言った。自分のせいで、音信不通になったこと、謝るつもりだったのに、そんなこと言われて戸惑った。ひ:なんでそんなこと思うの?シ:愛想つかされたと思ったの。ひ:どうして~?シ:??手紙読んだでしょ?ひ:・・・・手紙?読んでない。ごめん。シ:ええええっ、届かなかった?ひ:・・・てか、ごめん。私、いろいろあって、去年の夏から、ほんと、時間止まってた感じなんだよね。。そういったら、シホ、声が変わった。シ:何かあったの?あったよ、いっぱい。ヒロトが自殺したこと、その後、子供を産んだこと。病気のコト。そう言おうとしたけど、びっくりするくらい、言葉にならなかった。シ:・・・サラ?ひ:・・・ごめん。なんか、うまく言えない。シ:いいよ。私、ごめんね。自分のコトでいっぱいいっぱいで、サラに何かが起こってるなんて、考えもしなかった。私に連絡できないくらいだったなんて、きっと、よっぽどだよね?・・・だけど、ヒロトさんは?サラにはいつもヒロトさんがそばにいるから、サラのことで、こんな気持ちになること、私初めてかもしれない。ヒロトさんには相談できないコトだったの?・・・そのヒロトが、自殺しちゃったんだよね。そう言えばよかったのに、やっぱり言えなかった。何か、悩みを抱え込んでるシホに、そんなこと伝えることが、どんな影響与えるかも分からなかったし。だから、私は曖昧に話題を変えた。ひ:シホは、何があったの?シホは笑って、シ:全部手紙に書いたよ。笑ひ:なんて書いたの?今度はシホが黙った。シ:・・・手紙、読まないまま捨てちゃった?ひ:ううん。まさか。私は見てないけど、実家に帰ったら、きっとまとめて置いてくれてあると思う。シ:実家?って、サラ、今どこに住んでるの?ひ:ヒロトのマンション。シ:ラブラブなんだ~。よかった。サラがヒロトさんのそばで相変わらずワガママ放題でいるんだと思うと、なんかホッとする。何も知らないまま、そんなこと嬉しそうに、本当にほっとしたように、呟いたシホ。・・・ヒロトのマンションに住んでるよ。だけど、ヒロトはもう死んじゃっていなくて、ヒロトの弟にただ添い寝してもらって、ヒロトの子供と住んでるんだよ。私は、また何も言えないまま、そんなこと思って、泣いちゃいそうになって、でも、泣くわけにいかなくて、ひ:シホは?オオタくんとラブラブじゃないの?シ:・・・どうかな。その言葉は内容よりも、やさしく愛しく響いた。きっと、まだ、ラブラブなんだ。そのことは、シホが想像する、もう、現実にはない私とヒロトの姿と同じように、私をほっとさせた。何かあったんだとしても、オオタくんがそばにいてくれてるなら、きっと、シホ、それほど悪い状態じゃない。って。だから、私は言った。ひ:ねえ、会えない?顔見て話したい。できたら、こっちに来て欲しいんだけど。自分から誰かに会いたいなんて思うこと、本当に久しぶり。もちろん会えば、何があったのか話すつもりだった。シホが甘く想像してくれているヒロトと一緒の私はもうこの世のどこにもいないんだけど、でもね、暗いニュースだけじゃない。ヒロトが遺してくれた愛しい我が子。シホに見せて驚かせたかった。ちーこを抱きながら、シホの顔を見ながら、なら、私も、なんかちゃんと話せそうな気がした。だから。だけど。シホは、微笑声で、シ:私もすっごくサラに会いたい。でもその前に、私の書いた手紙、読んでみて。それでも、愛想尽かさないで、電話くれるならまた電話して?会う約束は、その後で。そういって、電話を切った。その日、実家から、私宛の手紙のつまった箱を届けてもらって、私は、中からシホの手紙だけを探したのでした。
2010.09.29
コメント(8)
その1、その2、その3、その4、その5の続きです。その後、しばらくして、オオタくんから電話がきた。オ:この間シホの親に会ってきた。ひ:シホのお父さんたちなんて?オ:見合いじゃなくたって、大歓迎だって。だから、その場で、僕は結婚を前提にシホとつきあうこと宣言してきた。ひ:そなんだ~~~っ。よかったね。オ:シホも、喜んでるよ。親に会わせられる恋人ができて嬉しいってさ。ひ:・・・だったら、、オ:うん。だいぶ、僕の方に傾いてきてるからね。今度こそ決着つけるよ。そして、その後、シホからも手紙が来た。そこには、もう隠さなきゃいけない遊び相手としてなんかじゃなく、親公認の婚約者としてのオオタくんとシアワセに過ごしている様子がいっぱい書かれていて、すごくすごくほっとしたんだよね。よかったね、シホって。危ういバランスから解放されたシホのシアワセが、そのときの自分にはとても、まぶしく、羨ましく見えた。ていうのも、それは、ひろ。が、ちょうど、ヒロトに、会えずにいっぱいいっぱいだったときだったから。ヒロトが死んでしまう前、初めて仕事期間のおうちへの出入りを禁止されて、会えなくて連絡もとれなくて、もしかしたら、このまま振られちゃうんじゃないかなって、すっごく不安だった頃だから。だけど、手紙のお返事には、よかったね~、私もうれしい。てだけ書いた。ヒロトとのことの悩みとか不安は書かなかった。なんか、やっとシアワセな恋愛を始めたシホに、暗いネタ、ふりたくなかったし。それ以上に、そんなこと(不安とか)ヒトに言っちゃうと、本当にだめになっちゃいそうで、怖くて。だから、むしろ、じゃあ今度、ダブルデートしようね、なんて書いたりして。その後、ケースケのおかげで、ヒロトにまたおうちに受け入れてもらったシアワセ期間だったわずかなスキマに、シホからはFAXが来た。一面に、シホの絵と文字。山で寝転んでるシホとオオタくん。シアワセそうな寄せ書き。ダブルデートいつする?って書かれてて。ヒロトの仕事期間が終わったら、ヒロトに聞いて、返事しようと思ってた。だから、また相談して返事する、ってだけ返事して。なのに、ヒロトが死んでしまって。そして、今度は、ひろ。の暗黒な時が始まりました。ヒロトのマンションにこもって、一日中お酒飲んで、泣きまくって、ケースケに添い寝してもらって。ただひたすら暗い穴にこもろうとして。ケースケと、家族以外、ほとんど誰にも会わなかった。もしも、あの時、ひろ。があそこまでボロボロじゃなくて、もっと、外に救いを求めていけてたとしたら、まず、考えたはずのシホ。だけど、ひろ。、ボロボロすぎて、ダメだった。『ヒロトが自殺した』なんてこと。自分でも信じられなかったこと。誰にも自分から、伝えるなんてこと、絶対できなかった。すかさず自分の方からそばにいてくれたケースケに縋る以外なにもできなくて。そして、ケースケの差し伸べてくれる手は過不足なくそれで十分で。だから、何も考えず考えられず考える必要もなく、ケースケの差し出してくれる無償のやさしさに(他でイロイロに書いてきたようにそれなりの葛藤はあったものの)ただくるまってるだけだった。事情を知っている地元の友達(主にバンドメンバーとヒロトの友達)は時々心配して訪ねてきてくれたけど。自分から誰かに会いたいとか連絡取りたいとか思いつきもしなかった。ていうか、誰かから、連絡(メール、FAX、手紙、電話)きても、全部、ココロがうけつけなくて、シャットアウトしてた。前にも書いたけど、シホと私は、1対1の友達だった。誰か経由で連絡とかない常にダイレクトな関係だった。だから、ひろ。が、そんな風になってしまったら、もう、連絡取る方法なんてなかったんだよね。だから。ひろ。に何が起こってるかなんて、シホは何も知らなかった。そして、シホに何が起こってるかなんてことも、ひろ。は何も知らなかった。気づいたときには、もう何もかも手遅れで。
2010.09.28
コメント(8)
その1、その2、その3、その4の続きです。オオタくんが席についたら、さっきの話題続けるのもなんだから、ほかのコト話してた。なんだかフツーのこと。大学のこととか、音楽のコトとか映画のコト。シホとオオタくんも、すごくよく笑って、ほんと、フツーのカップルみたいで。でもね、シホが、席外したときに、オオタくん、その背中見送ってから、ひろ。に、オ:サラちゃんには謝んなきゃな。ひ:なにを?オ:まだ、別れさせられてないこと、シホとアイツを。ひ:・・・なんだってね、さっき聞いて驚いちゃった。オ:知らなかったんだ。ひ:うん。オオタくんとラブラブなんだとばっかり思ってた。さっきまで。オ:シホ、なんか守りに入ってて、サークルでも僕とだけつきあってるってかんじで、ほんとのこと、あんまり喋らなくなったんだ。もちろん、身を守るためには、その方がいいと思うけど。ヒトに何か言われなくても十分辛いから。・・でも、シホらしくはない。ひ:・・・シホ、さっき話してたら、オオタくんのこと好きみたいなのに、なんで、別れられないの?オ:問題はシホよりも、相手のオッサンでさ、とにかくシホと別れないって頑張ってんだよね。ひ:へ?・・・だって、既婚者なんでしょ?オ:そ。バリバリの既婚者。子供もまだ小さいオンナノコ2人。ひ:なのに、なんで?引き止める権利なんてなくない?オ:僕もそう思う。でも、わけわかんないオッサンでさ、僕にまで電話してくるんだ。ひ:は?オオタくんに直接?それで何言うの?オ:シホが愛してるのは自分だから。自分もシホを愛してるから。別れるつもりはないって。ひ:・・・アタマ、おかしくない?だったら、離婚してシホとりなよ。オ:僕もそういった。でも、オッサンがいうには、離婚するつもりはない。結婚なんて些細なことだ。大体シホは結婚なんて望んでない。ていうよりも、シホはいずれ見合いして結婚するって決まってるんだ。そういう意味では自分とキミは対等だ。キミがシホにつきまとうのは勝手だし、自分は君のコトなんて気にもするつもりはないが、キミじゃ飽きたらないのは目に見えてるから、さっさと離れたらどうだ?って。ひ:わけ、、わかんない~~。オ:僕もそう思う。でも、シホには、そんな言葉が響いてしまう。僕だけのものになろうとしてくれないんだ。・・・それに、僕もだからってシホをあきらめる気にはなれない。結構シュラバが続いてる。ひ:シュラバ。。そうだよね、だって、2人とも、ひどいカオしてるよ?オ:だろうな。ていうか、さっきみたいな、シホの笑顔見るのひさしぶりかもな。ここのとこ、シホと2人きりでいると、シホは泣いてばかりなんだ。はっきり決められない自分が悪いって。だから、僕にあきらめてくれって。でも、僕はあきらめない。シホの中に僕への気持ちと、SOS感じるから。それに僕があきらめたって、シホはシアワセにはなんないと思うんだ。ひ:私にも何かできることない?なんでもする。オ:サラちゃんは、今までどおり、シホのただ1人の親友でいてやって。シホの周りにはいっぱい人がいるけど、心底信用してるのはサラちゃんだけだと思うから。だけど、今回のコト、シホがサラちゃんにも今日まで話してなかったってのは意外だったな。逃げ場に吐き出せてないって、かなりキてるってことだから。ひ:・・・大丈夫かなぁ。。シホ。オ:ま、僕だってただ何もできずにいるわけじゃないよ。今度、シホの親に会いに行こうと思ってる。ひ:・・・シホの?オ:ああ。それで、一番シホの中でひっかかってる結婚のコト聞きにいこうと思ってる。シホは、旧家の3姉妹の長女だってことにしばられてる。きちんと家を継がなきゃならないってことで、未来に閉塞感を感じてる。飛び出しちゃえばいいのにって思うけど、シホは家のこと親戚のこと、とても大切に思ってるんだ。でも、だからこそ、自分自身のコトをあんな風に自棄になってしまってるんだと思う。・・・僕だって、田舎の旧家の妹しかいない長男だからね。シホはどうせ僕とも結婚なんてできないって思い込んでるみたいだけど。うちは、そんなこと気にしない親だからさ。だからシホの親に会って、見合いじゃなきゃいけないのか、婿養子になれればそれでいいのか。ダメだっていうなら、理由も聞いて、しっかり話し合いたいと思うんだ。そして、もしも、、もしも、僕でもいいって返事をもらえるなら、きっとシホを救い出せる。今のシホらしくないシホから。しっかりと誠実そうな眼差しと口調で語るオオタくんを見て、絶対このヒトとうまくいって欲しいって、祈るような気持ちになったひろ。でした。
2010.09.24
コメント(6)
その1、その2、その3の続きです。次に2人に会ったのは、某居酒屋だった。またトルコに行ってきたシホが、お土産を渡したいって連絡をくれたから。(*この旅行も誘われたけど、どうしてもムリだったので断った)最初はシホと2人きり。お土産にかわいいチャイグラスをくれたシホ。ひ:オオタくんと行ってたの?シ:笑。まさか。前にもいったいとことだよ。サラにはフラレタし。ひ:ごめんごめん。楽しかった?シ:うん。すっごく。今度こそサラ一緒にいこうよ。ひ:ん~。。シ:向こうで知り合ったオトコがいてさ、いつでも遊びにおいでって。ひ:・・・・オトコ?シ:うん。日本人のオンナノコはやさしくしてもらえるよ。お金狙いが多いけど。私は別にお金はとられなかった。ひ:・・・・お金は、、って。シ:そ。ま、スルことはシたけどね、それもやさしくシてもらえたよ。変なこととかされなかったし。ひ:ちょ、、、ちょっと待って、シたって、、シ:なに?ひ:・・・なんで?だって、オオタくんは??まだ付き合ってるんでしょ?今日も来るんだし。シ:付き合ってるよ。ひ:・・・・え~。。。そんな、だったら、他の人となんて、よそうよ~。。シ:あは、何その反応。別にえっちなんてただのスポーツだって思えばいいんだって。ひ:スポ・・・思えない。そんなこと。シ:サラは今時マジメだな~。ひ:フツーでしょ。シ:フツーっていえるトコがかわい。ね、今度こそ一緒にトルコ行こ。ひ:断るっ。そんな目的なら・・行けても断る。シ:いったら世界観変わるって。ひ:変わんなくていい。シ:マジメすぎっ。つまんないな~、もう。ひ:つまんなくていいよ。好きでもないひととスルとか私には考えられないもんっ。シ:ま、サラはそうかもね。でも私はね~、正直、ほんと別に、えっちなんてスポーツだって割り切ってる。・・・じゃなきゃ、つらいだけだもん。ひ:どういう意味?シ:いいよいいよ、サラは、そんなこと、一生分かんなくていい。ずーっとふつーに幸せでいなさい。ひ:シホだってふつーに幸せになりなよ~。シ:なりたいよ。でも、難しい。ひ:・・・オオタくんのこと好きじゃないの?シ:好き。すっごい好き。・・・だけど。ひ:だけど?シ:別れられないんだよね。ひ:へ?・・・って、まさか、あの不倫相手と?シ:そ。ひ:どうして~??別れ話したって言ってたじゃん。シ:したよ。あの時すっきりと終わったと思ったんだ。でも、実はあれから、しつこくて、結局、別れてくれないんだよね。ひ:え~~~。って、まさか、その人とはもうシてないよね?シ:は?別れてないっていったじゃん。シてるに決まってるでしょ?ひ:シホ~~。。ついてけない。・・・てか、私、帰ってイ?シ:なんで?ひ:なんでって、私、オオタくんにどんなカオで会えばいいの~??シ:別にフツーのカオでいいじゃん。ひ:できないよ。シホが・・・てか、今聞いたこと、知らないカオできない。ショックだもん。うん。オオタくんの前で平気な顔するには、もっとココロの準備する時間が。。シ:落ち着いて、サラ。そんな準備いらない。だって、オオタくんも知ってるの。ひ:え?って、全部?シ:もちろん。何でも話してるもん。ひ:それ聞いてなんて?シ:まあ、怒ってる。ひ:そりゃ、怒るでしょ。シ:でも、私とは別れないって。彼ってさ~、よっぽどのバカか、それとも、、ひ:それだけ好きなんだよ、シホのこと。シ:こんな私なのに。ひ:オオタくんは最初から、、そうだったじゃん。シ:だね。・・・こんな私なんて愛想尽かせばいいのに。ひ:それって、シホもオオタくんのこと好きだから大切だからそう思うんでしょ?シ:そうだね。大好き。ひ:ねえ、トルコ行くのもうよしなよ、不倫相手とも別れなって。オオタくんとちゃんと、フツーにシアワセになればいいじゃん。シ:そうしようと、そうできると思ってたんだよ。この間サラに会ったときは。ひ:今からだって、できるよ。なんだか泣きそうなくらい必死にそう言った私に、シホはただ曖昧に笑っただけだった。ひろ。が何をいってもシホの中を素通りしてる気がした。そのときのひろ。は、全然そんなこと気づけなかったけど、ただ、ヒロトだけを想って想われて生きていて、ココロもカラダも子供のままでいられたひろ。と、色んな現実(家のこと、不倫のコト、オオタくんのこと)から、危うい形でココロのバランスを保とうとしていたシホの間には、すごく溝があったんだと思う。シ:あ、きたきた。シホが表情を緩めて、手をあげた先には、オオタくん。前に会ったときよりも、やつれたカオで。それは、もちろん、目の前にいるシホも同じだった。
2010.09.23
コメント(8)
その1、その2の続きです。その夜は実家の自室で、シホとオオタくんと話した。オオタくんは、はるばる四国から大学に来てた男の子で、ぱっと見は、男前でもないし、背も高くもないし、しかも、・・・ちょっと頼んなさそうだけどでも、とにかく、素朴で、純情そうで、やさしそう。ていうのが、ひろ。の受けた第一印象でした。・・・だけど、不倫は、、どうなったんだろう。。って、彼の前で聞くに聞けないひろ。心を察したのか、シホが、笑って、シ:カトウさん(仮名・不倫相手)とは、別れようと思ってる。ひ:って、知ってるんだ?オオタくんも。オ:もちろん。サークル内はずっとシホの話題で持ちきりだからね。笑シ:暇なみんなには、格好のネタ提供してるからね。非難ごうごう集中砲火浴びまくり。オ:シホはなんでも正直に話しすぎなんだよ。笑シ:それが私だもん。、、でもね、サラ、オオタくんは、頭ごなしに否定しなかったし、てか、そんな私なのに、好きなんだって。オ:すっごく好きなんだよね。ってにっこり笑うオオタくん。シ:ね、キトクなヒトでしょ?非難ごうごうの渦中にいる私のコトこんな風に堂々と好きって言えちゃうのすごくない?なんかほだされちゃった。男前じゃないけど、こういうクマみたいな顔にもほっとするし。・・だから、正直、カトウさんのことはまだ、、好きだけど、、周りも相当うるさいことだし、不倫なんて割りにあわないこと止めて、まあ、オオタくんと付き合ってみてもいいかなって。オ:ひどい言われ方だけど。笑。ま、僕としては、シホのその結論に文句はないんで。って、またにっこり笑ったオオタくん。どこまで冗談なのか本音なのか分かんない、シホのそんなひどい言葉も穏やかな笑顔で受け止めるオオタくん。もしかしたら、このヒトは、すごいヒトなのかもしれないな、ってちょっと第一印象を訂正したひろ。でした。シ:サラ~、ほんと、心配かけちゃってゴメンネ。てかさ~、私だって、不倫がいいって思ってたわけじゃないんだよ?でも、なんだかどうしようもなかったの。身動きとれなくなっちゃったの。シホにしては珍しく気弱な声でそんなこと。すぐにそっとシホの肩に手を置いたオオタくん。シ:・・・だけど、オオタくんなら引っ張り出してくれそうな気がする。だから、やっと、辞められる。サラももう安心して。ってニッコリ笑ったシホの笑顔がとてもかわいかったこと覚えてる。手離しで安らげる場所を見つけたような、ほっとした笑顔は、いつもオトナっぽいシホを子供っぽく見せていた。なんだかそのカワイさに見とれちゃってた私に、オオタくんも、オ:僕が止めさせるから。もうシホのこと何があっても離すつもりないから、サラちゃんはほんと安心してて。って力強く言ってくれたんだよね。その後、ちゃんと不倫相手と会って別れ話をしたって連絡が来た後は、シホからの、連絡はしばらく途絶えた。でも、ま、それが私たちの形。連絡を取り始めたら頻繁だし、なくても平気。でも、いつでも繋がってる気持ち。だから、連絡がないのはきっと、オオタくんとラブラブで、普通の恋愛(しかも初期)を楽しんでて忙しいんだろうな、ってそう思ってた。次に2人に会うまでは。
2010.09.19
コメント(8)
前回の続きです。シホからの手紙を受け取ったとき、ひろ。もシホもまだ、18歳でした。言い訳をすれば長くなってしまうけれど、当時、ひろ。は、シホのその不倫の恋に即座に反対できなかった。ていうか、ただヒロトとふつーの恋愛してるオコチャマまんまだった、ひろ。には、『不倫』ていうことがどういうことなのか、リアルに想像できなかった。ひろ。がリアルに想像すらできないことを、リアルに体験しているシホに止めろなんて、どうやって説得すればいいのかすら浮かんでこなくて。今ならどうしたって考えてしまう、相手の奥さんやお子さんのコトにだって頭回らず。ただ、シホが傷つかないか、そればかりが気になって。本当に、シホの親友だっていうなら、羽交い絞めにしてでも止めるべきだったのかな、と、今、この歳になってみて、初めて思う。と同時に、でも、今、この歳になっても、あの時の自分なら、やっぱり、そうはしなかっただろうな、と思う。ううん、もしかしたら、今でも、そんなことはしないかもしれない。シホの性格的に、批判されたり、非難されたりしたからって、止めるタイプじゃなかったし。てか、それで止めるくらいなら、とっくに自分で止めてただろうって、思うし。でも、自分はどうするべきだったのか。・・・まだ、自分でも、よく分からない。*相手の夫婦関係は破綻していて、ただ、子供の為に夫婦でいるんだと相手が言った言葉を、シホは信じてた。見合い結婚する予定の私には、恋愛っても、それまでのお遊びの付き合い相手なんだし、結婚なんてできない相手でちょうどいいんだって、シホは言っていた。相手の言葉が本心だったのかは、知らない。でも、シホの言葉は本心じゃなかったと思う。そんな器用なタイプじゃない。シホの本心がどこにあるのか知りたくて、ただ、とにかく会って話したいと、そう思って連絡をとっていた。でも、お互いに色んなことが重なって、なかなか会えなかった。シホからは、何度も手紙がきた。そして、手紙には、大学の友達からは、非難されていて、居場所がないと。分かってくれるのは、サラだけだって書いてあった。てかね、まだ、私は何も、分かってるつもりじゃなかった。ただ、何かをいう前に、ちゃんと会って、シホの顔を見て、話を聞きたかったんだよね。でも、会えない日が続く中で、シホはどんどん友達の中で孤立していって、そして、自分でもやめなきゃなとか葛藤しながらも、どんどん、その不倫相手にのめりこんでいって。そんな日々が続いて、突然、シホから、近くにいるから行ってもいい?って連絡がきた。こんなことって、それが最初で最後だった。驚いたけど、もちろん、いいよ。そう答えたら、すぐに来たシホ。前に会ったときより痩せていて、髪は短く切っていて、そして、一見して大学生な男の子と一緒だった。・・・ダレ?そんな視線を向けたひろ。に、シホは、彼のコトを紹介してくれた。オオタ(仮名)くん。同じ大学の同期の子だって。しかも。今度、彼と、付き合うことにしたんだって、何もかも吹っ切れたように笑顔の志保だった。
2010.09.17
コメント(6)
はじめに。親友だったSの自殺のこと。ココロの片隅に放置のまま、自分でも、よく分からない思いでいます。ひろ。は書くことで自分が考えてることが分かるタイプなので、ちょっと書いてみようと思います。書くに当たって、人物の特定を避けるため事実とは少し設定を変えます。でも、口に出す言葉や全体の流れは事実です。というわけで、久々の、「real stories」カテゴリ使用。重くなりそうなので、読むのもコメントもいつも以上にご自由に。では。はじめまっす。ひろ。*気づけば、シホ(=S・仮名)が自殺してもう4年近く経っている。でもなんか、今も、シホのこと思うだけで、いやおうなく息が止まって、顔がゆがんで涙がでちゃうんだよね。ほら、今も。シホは高校の同級生。ひろ。なぜか入ってしまって居心地悪かった進学校の特進コースの1年生の時に、同じクラスになって。特進の子は、あんまり部活とかしないんだけど、ひろ。は軽音続けたし、シホも美術部で絵を描いていた。ひろ。もシホもバイトしてたし、なんだかんだよく休んだし、担任の先生は、何しようが、結果(テストの成績)さえ残せば何もいわなかったけど、クラスの中からは若干浮いていた感があって、例えば、テスト中に、皆必死にカリカリやってる中、あくびして、退屈だな~って見渡すと、いつもシホと目が合ったり、テスト期間中の休み時間に、みんなまだ必死で本とか見てるときに、ベランダでぼーっと空見てたら、シホも同じ様に見てたり。お互い一緒にお弁当食べる友達は別にいたけれど、なんとなく、はみだしっことして、いつのまにか、ココロが通じ合っていた。とはいっても、シホのほうは、担任がかなりとめたのに、2年からは特進を出てしまったので、(ひろ。は特進を出る積極的な理由もみつからずとどまった)時々靴箱に手紙を入れあったり(ラブラブだなw)、たまに帰りにお茶したり、カラオケ行ったり、コンサート行ったり、旅行(カナダ含む)に行ったり、映画を見に行ったり、シホの可愛いイラストの入ったFAXもらったり、ひろ。独特のへた字でFAX送り返したり。そんなこと、細々と続けてた。ただ、他の友達がプラスで絡むことはなく、1対1の関係だったから、ひろ。とシホが仲良かったなんて、他の友達は、ダレも知らなかったんじゃないかな、と思う。でも、シホと有形無形問わず何かをやりとりすることは、進学校にとことんまでなじめなかった、ひろ。のココロを、ヒロトと違うやり方で、とても癒してくれていた。毎日、一緒にお弁当食べてた同じクラスの友達は、それなりに仲良くやりつつも、みんな、フツーに育ってきたおじょーさんって感じで、やっぱり、ココロの中のどっかに越えられない違いっていうの感じてた。今も仲いいし、時々会って話すと楽しいけど、やっぱり、その違いは今もあるし、むしろ、その違いが、ギャップが、話してて楽しいタイプの友達。でも、シホはどっか、もっと言葉なんて時間なんて要らない部分で、繋がってるって感じられた。だからシホよりも、一緒に時間を過ごした色んな経験をした友達はいっぱいいたけれど、ココロから分かり合える、親友って呼べる1番の友達は、シホだったと思う。そんなこんなで、高校時代をすごし、大学は、別のところになった。でも、クラスの離れた高校時代と同じ様に、付き合ってた。靴箱に手紙はなくなったけど、郵送で手紙が届くようになって。でも、お互い忙しくって、会うのは本当に数えるほどだった。高校のときは、廊下ですれ違うこともあったけどね。それもないし。シホは、トルコに興味があって、一度誘われたんだけど、ひろ。はどうしても行けない時で、従姉さんと行ったりしてた。で、行ってきて、すっごくよかったから、今度は一緒に行こうねって、言われたり。シホは、とにかく旅費をためるために、目一杯バイトをしてた。働いていたのは学習塾。大学生活なんてそっちのけで、朝から晩までバイトにのめりこんでいた。段々連絡も取れなくなった頃、シホから手紙が来て。そこには、バイト先で恋人が出来たことが書かれていた。とても有能なヒトで、ヒトとして尊敬できるところがたくさんあるって。シホにとっては初めての恋人。だから、読みながらすっごく驚いた。なんかね、シホが男の人を好きになるってイメージがわかなくて。本人もね、「サラはヒロトさんと幸せそうな時が一番可愛いと思うけど、私は、あんまり、恋愛に興味が持てない」それに、「田舎の旧家の三姉妹の長女だから、いつか見合いで結婚するしかない」とか、冗談なのか本気なのかそんな言葉繰り返してて、それまで、浮いた話も、浮いた噂も全くなかったシホだから。・・・シホが好きになる人ってどんなヒトだろう。。。?って、思いながら、ずっとそのノロケに近いくらい相手のヒトを褒め称える文章を読んでいた。・・・シホがこんなにオトコのヒトに夢中になるんだね~。って、つい微笑んだりもしながら。でもね、読み終えたときにはその微笑は固まっていた。・・・その人に、『妻子がある』って書いてあったから。つまり、シホの初恋は、不倫だったのです。
2010.09.14
コメント(6)
ひろ。です。あけましておめでとーございます。既にたくさんのご訪問&コメントいただいてました。ありがとうございます。ということで、出遅れ感ありありですが~、今年も、マイペースでがんばります。さてさて~、年越しは、実家でいたしました。だから、さみしくなかったですぅ。元旦恒例の夜の大宴会に先駆けて、親戚がたくさん来ましたので、取り合いでお子ちゃま見てくれている隙に、こっそり抜けて一時帰宅~。年賀状と新聞が気になったので。。で、年賀状、順番に見てまして。いきなり、めっちゃ男前の写真がっ!!一瞬思考停止。そして二度見(笑)誰、誰?って思ったら、小栗旬でした~。(アホ)皆さんとこにも来てましたよねっ。(郵政グループからでした)で、落ち着いて、年賀状に戻りまして~。・・・見つけちゃいましたオットからの年賀状っ。半分写真と半分メッセージです。写真は、結婚式(9月にしました)の時のひろ。です~。っなんで、ひろ。あての年賀状に、ひろ。って思ったんですが~。。添えられていたメッセージが。あけましておめでとう、サぁ。去年は笑顔いっぱいありがとう。←は、式の日、ガマンできずに1枚だけ俺が撮ったサぁ。可愛すぎ綺麗すぎ笑顔が最高すぎ。今年もいっぱいこんな笑顔、い~や、これ以上の笑顔、もらえるようにがんばるゾッ。もっしかして今既に1コ目見逃してる?それとも、泣いてる?泣くなっ、笑えーっ!サぁの笑顔、一生守ってくからな!今年も情けないくらい愛しちゃってます。そのつもりで、今年もどうぞよろしく。 けいすけ(←名前だけ手書き・漢字で)・・・うふ。可愛すぎ、オット。泣いてないよ~。めっちゃ嬉しくて笑っていま~す。式のことまで思い出して。式の日、オットは新郎に集中するため?に(笑)、カメラは置いておきまして。でも、あるタイミングでコーヘイくんのカメラを横取りして撮ってました~。確かに、1枚だけ。カメラ構えるオットを見つけて、「お仕事ですか~?」(笑)って聞いたの覚えてます。幸せそうな自分の写真。きっと今年もオットといれば、これ以上の笑顔になる時をもらえるような予感に包まれまして~、はい。のろけ全開で、今年も、ブログはじめま~す。(・・はっ。小説がんばるって昨日書いたような。。ま、いいか。今日だけ今日だけ・・笑)皆様、今年もどうぞよろしくお願いします。(愛想尽かさないでねっ笑)さ、そろそろ、実家に戻りま~す。実家のパソコンでご挨拶に伺えたら~と思っております~。オットは、0時に電話をくれました。でも、本人は、今もまだ去年にいます。笑また後でこちらからニューイヤーコールしたいと思っていまっす。宴会にのまれて忘れないようにしなくっちゃ、の、ひろ。@1/1 17:20pm
2010.01.01
コメント(44)
えーっと、ひろ。です。今日の日記には、いつもどおり、ひろ。とオットRケースケのバカップル要素が多々含まれます。(というか、それが全てです)そんなもの読みたくないって方は飛ばして下さい。俺は小説を読みにきたんだよっ、って、素敵なお方は、こちらが最新の更新です。いやいや、一番最初っから読ませろよって、お方様?は、こちらからどうぞ~。こんばんは~、ひろ。です。オット只今荷造り中。家出じゃないですよ。(ふっ)明日っから、出張なのです~。(;;)今度は海外なので~、帰ってくるのは年が明けての、4日。ひろ。明日まで仕事。で、5日から仕事。完全すれ違い。(^^;)いつものことですが~。。寂しくないかって~??・・・寂しいに決まってるじゃないですかっ(怒←?笑)えーっと、オットが今頃荷造りしてるのは~、訳がありまして。計画性のないやつとか思わないでくださいねー。(そういう面ももちろんありますが~)はは、もちろん、ひろ。のせいでして。行っちゃうのイヤで、ずっとジャマしてやってたんです。(笑)今回は、先日の出張と日が近かったのもあって(帰ってきたばっかり!)、(しかも、夜はずっと、ゴニョゴニョ?してた笑)全然パッキングできてなくて、とうとう今日になってやっとこ、9時ごろにちびさんたちの、寝かしつけが済んでから始めてたみたいですが~、・・・・ふと目が覚めたら、オットの気配がなかった。ちーことゆう坊がよく眠り込んでいるのを確かめて、私は起き上がり、頭を少し振る。・・また寝かしつけオチしちゃったし。少しふやけたような頭でケータイを手に取り時間を見る。まだ、22時前。。よかった~。ほっと息をついて、私は寝室を出た。廊下につながるドアの向こうから明かりが見える。・・荷造りか~。・・・ちょっとだけ覗いてみよ。そーっとそーっとドアを開けて、こっそりこっそり洋間のドアに近づく。開け放されたドア。静かに、手を添えて、頭だけ出して部屋の中を覗いてみる。部屋の床一杯に衣類や小物を積み、広げたスーツケースに、詰めていっている。真剣そうな背中に声をかけそびれる。でも、大好きな大きい背中に切なくなる。明日はもう私たち、全然違う場所に、すっごく離れた場所にいるんだなって。前のときと同じように泣きそうになっちゃう。ジャマしちゃ悪いから、そっと離れようとしたら、向こう向いたままのRケースケが言う。「目、覚めたんだ~?」って。・・・っもう。相変わらずイジワルだ。いっつも気づかない振りして。実は全部気づいてて。こそこそしてた恥ずかしさも手伝って、でもなんだか吹っ切れて、私は部屋に入る。Rケースケの後ろにしゃがみこんで、背中におでこをつける。腕をコシに巻きつける。「もうちょっと待ってな~。もう終わるから」優しい声に泣きそうになる。「抱っこぉ・・」ちっさく言う私に、Rケースケは、鼻先でため息をついて、でも、手を止めてくれる。私の手にその大きい手を重ねてくれる。「待てないの~?」困ったように、でも少し嬉しそうにたずねる声に、「うん」「(笑)素直すぎるわっ。まあいいや。いいよ。抱っこしてやる」「ありがとー」って言いつつも、背中に抱きついたまま動かない私に、「って、もしも~し。そのまんまじゃ抱っこできないんですけどー」って、左側の腕を上げて、「おいで」って言ってくれる。私は転がり込むように、胡坐をかいたオットのももの上に頭を乗せてオットの顔を見上げた。「おいおい。それでも抱っこは無理だって」私の髪に触れながら、甘く微笑むオットの顔を見て、何かとたんに涙が出てきちゃった、どーしよーもない私。オットの手を両手で取って、目の上に置いて、そのまま目を閉じた。そんなんでごまかせるはずもないけど。もちろんオットはすぐに気づいて、「・・・サぁ。こ~ら、泣くなよ~。お~い・・」って困ったみたいに言う。(困るよね。当然。。)私は、目の上でオットの手を持ったまま、「ケースケ~」って呼ぶ。「ん~?」「ちっさくなるから、私もかばんに入れて~」(←アホ)「(笑)おお、いいぞー。ちっさくならなくても、サぁ連れてけるなら、サぁだけでいいから、他のもの置いてくわ。ほら、入れっ」(←アホ2)って、お馬鹿な私に付き合ってくれるオット。私は、笑って、やっと涙を拭いて、起き上がった。「ゴメン。続けて。PCして待ってる」って言ったけど、今度はオットが、ぎゅーってしてきて、「だ~め、泣くならココで、っていっつも言ってるだろ?ちゃんと泣いてから行け」って、向こうで泣こうと思ってたのもばれてるし。笑遠慮なく、首にぎゅってしがみついて、えんえん、みっともなく泣きました。ずっと、よしよししてくれてたオットです。ひろ。まるで乳児。8ヶ月なったばかりの次男の方が泣かないよっ。(汗)で、気が済むまで泣いてから、「ありがと、おしまい~」って言いました。オット、よしよし続けながら、「ちょっとコンビニ行ってくる。で、詰め終わったら、、また抱っこしてやっから、待ってろな?」って言うから、うんうん、てして、行こうとしたら、「なあ、ゴ○(Hの必需品です・汗)あとどんくらいあったっけ?」(←すいません汗)って、やたら露骨なこと聞くから、素で、「しらな~い。コンビニ行くなら買ってくれば?持ってく分なら向こうで買ってもイんじゃない?」って返したら、オット、目が点に。点になる意味がいまいち分かんなくて、「え~、売ってるでしょ?あっちでだって、当然」ってさらに言ったら、「サぁ、そこ、座れ」って、コワーイ顔。言われるがままに座るなり、「お前さ、言ってる意味分かってんの?」「何が?」って言ったら、おもっきりため息つかれ~の、ひろ。「お前一緒に行かないんだぞ?」「行かないっていうか、行けないの~」「つまり、行かないんだぞ?なんで、ゴ○を持ってくっていう発想が出るわけ?イラナイでしょ?分かる??・・・分かれ!・・おい、分かったか?」・・・分かりましたよ~っ、もうっ。「へへ、そーだね。。」「へへじゃないっつーの」「だって、紛らわしい聞き方す・・」「してないっ」「じゃあ、なんで今聞いたの~?」「なかったら、今日、たった今困るから、コンビニで買ってこようかと思ったんだよっ」「半分はあってたじゃない。。コンビニで、、買えばって」「だから、何?」「・・・ごめんなさい」「なんか根底に疑いがない?俺が他所で他の女と・・」私は耳をふさぐ。「そんな話、聞きたくないっ。」「って、その反応、ちょっとずれてる」笑「疑ってないよー。なんかちょっと口が滑っただけだよ」「その表現もずれてる」「言葉のあや?」「それも、違う。てか、サぁ、見てきて、何個残ってるか」「はいはいっ」って、秘密(誰に?)の隠し場所を見に行って数確認。・・3個。でした~。十分だねって、報告しようとしたら、真後ろにオット。「うわ~っ、びっくりした。音もなく後ろに立たないで」「(笑)何個?」「3個。十分だね」「どうかな?」「って、何回する気よ?まだパッキングも済んでないくせに」「時間のある限り。しかも、1個目は今すぐ」「へ?」って、ソファで始めようとするオット。「ちょ、、っゃ、って、ケースケってば、、荷造りは~??」「あとで」「って、間に合わなかったらどうすんの~?」「はは、大丈夫だって」「気になっちゃうよ~。。落ち着かないっ」「そんなこと、気持ちよくして、すぐ忘れさせてやるっ」って言いながらも、どんどん脱がされてるし・・・・・・もうっ。知らないからねっ!・・・って、結局、されちゃいました。・・・油断してたら2回も。。残り1コ。・・・って、違います。オット、さっきコンビニ行って買ってきたから、残り1コ+5コ。・・・そろそろオットパッキング完了しますかね。あ~、何回されるんでしょ?・・・できたら、年末のご挨拶も、と思いましたが、そうするには、あんまりな日記だな。。笑もう一回くらい、今度は、真面目に書きたいと思います。今回も、相変わらずのバカップル日記。お付き合いいただきまして、ありがとうございました。くそっ、つまんないもん、長々と読んじまった、って、思ってる方、すいませんでした。汗・笑今年最後のHと~、オットの腕の中熟睡の夜(ダカラ何?笑)、の、ひろ。@12/30 1:46am
2009.12.30
コメント(46)
は~い。ひろ。です。今日も助手の目を盗んでサボり中。(てか、よくにらまれるから、たぶん、盗めてない)で、タイトルの件。サンタきたってなんじゃい?みたいな。あのね~、今朝、起きたらオットからメールが来ていました。いっつも子供が寝てる時間は、メールしてこないオット。(着信音ですぐ起きるので・・)眠ってる間にメール??、めっずらし~って思いましたが~。。見てみたら。オット→ひろ。:サぁ、おはよ。メリークリスマス。ちびたちへのサンタからの贈り物の準備はオッケーか??・・・コホン。サぁにも贈り物が届いてマスヨ。タンスの2段目右側の引き出しの奥。オットサンタより。って。え~~えっ??ですよっ。慌ててタンスの置いてある洋間に向かって指示されたところに・・ありました~。(オットの下着と靴下にまみれて・・笑)手のひらサイズのちっこい箱。なになに~っ??開けたら、ぅあ~っ!!て声出ました。中には、ネックレスが入ってました「box24」で楓が箱から見つけ、「box41」で同じものを悠斗にもらったネックレスのモデルになったネックレスです~。某ミスチル(←某・・?笑)のS井くんがしてて、かっこいいので、惚れてたやつー。高価なモノがなぜか苦手なひろ。が、それなのに、なぜかこっそり気になってたやつー。コメント欄で、オットがあげるーとか言ってくれてたんですが、断ってたやつー。ごく控えめに表現して、むちゃくちゃ嬉しかったです。箱に添えられていた、小さなメッセージカード。『サぁが、モノもらうのキライなこと分かってるけど。どうしてもあげたい。もらってくれるのが俺へのクリスマスプレゼント、ということで、なんとか受け取ってくれる方向でヨロシク。^^。ただのモノ、ですが、火傷しそうなくらいの愛情をこめておきましたよ。あーっ、とにかく、愛してる。離れたところで、今も、すっげーサぁのコト抱きしめたい、俺より。』・・・分かってもらえます?ひろ。の感動。泣きそうなったし。いや、実際ちょっと泣いたし。そっこー、オットに電話しました~。めっちゃ喜んでるひろ。の声聞いて。「その顔見れないのが、悔しいな~」って笑ってたオットでした。・・・あ~、なんかまだ、余韻が。。幸せ~、、なんとイイオットでしょうか。うちのオットは。。ついニヤけて余韻に浸りまくるひろ。のこと、現実に引き戻すヤツがいてます~。「また残業する気ですか?センセイ」って。あ~ぁ。。仕方ない、現実に戻ります~。仕事ごとごと。一生懸命、がんばります~。ライブのこと、夕べのこと。そしてみなさんへのレス。書きたいこと山積みのまま。。小説の続き、自宅のPCにしかおいてなかったので~、なんとか今日中にアップします。。それでもなんとか、こそこそ、ご挨拶まわりに。。の、ひろ。@12/25 2:50pm←楽天外の方、ポチ逃げの方ご利用くださ~い。(^^)
2009.12.25
コメント(44)
どーもー。。。ひろ。@へとへとへとへと(><)です~。。うあー、もう、何から書けばいいのか。・・・ふう。。はー、、ふう。(ため息ではなく。深呼吸音です。笑)えーっと、昨日お知らせ?いたしました~、ヨータの捻挫。病院行ってレントゲンとったら、骨は折れてはいないものの、かなり重症のようで~。。(;;)本人は、あきらめきれないようですが~、全然ドラムなんて無理ということでした。はい。はい。はい。で~。。明日のライブどうするねんっと。明日はねー。。ワンマンではなくてねー、もう、めちゃくちゃうまいバンドさんの、まあ、いわばオープニング・アクト(前座)させてもらうことになっておりまして~。そのバンドさんのVo.のDさんが、ヒロト(←もう覚えていただけましたか?ひろ。の長男ちーこの父ですよ笑)の親友だったので~、ひろ。が先日(何回目の?笑)復帰ライブしたときも見に来てくれて~、「サ○(←いっつも呼び捨て)、良かったで~。みんな知らん間にうまなってたし。よかったら、今度、うちのマエ、せ~へん?」って、声かけいただいて、「ぇ~ぇ~、、、え~んですか?ほな、ぜひぜひ」と、決まった話でして。。注:Dさん大阪出身だそうでバリバリの関西弁。ひろ。は、今はもう、普段は標準語喋ってますが~、幼少期を大阪で過ごしたネイティブ・大阪弁・スピーカー笑なので、関西弁で話しかけられると、すっと、関西弁が出ます~。Dさんと話した後は、ついまんま関西弁が残り~、オットに、「サぁ、大阪弁のまんまなってるで~」と、イントネーションはめちゃくちゃ(←これってイラっ)で突っ込まれます。Dさんのバンドは正直、前座なんかいらないのに、わざわざ我々のためにセッティングしてくれたんで~。。なるべく盛り上がっていただける曲を準備していたのですが~、ドラムなしでは、そんな曲たち、どうしようもないし。。だからって、バラードばっかりっつーのもな~。。迷惑かけるくらいなら、ナシにしてもらったほうがいいかなあ、と、ヒデ(一応うちのバンマス=リーダー)がDさん(ワンマンなバンマス笑)と電話で相談することに~。。その後で、ヒデから連絡があったのは~、「せっかくやねんから、盛り上げなんか気にせんとなんかやれ」って言われたとー。Dさんらしっ。笑で、もうドラム代役とかは無理だろうから、ヒデがアコギして~、ゴッチ(B.)がピアノ(むちゃくちゃうまい)することにして~、ドラム抜きのアンプラグドで、持ち歌のバラードをアレンジしなおしてみる。で、「出来たらまたセットリスト連絡するから、待ってて」、と。「あ~、も~、私は歌うしかできないんで、任せます~。お願い~。」ってなったんですが~。「あと、ちょっとDさんから提案があって、それは直接電話するって言ってたから」と言うことで、なんだろ?、って待ってたんですが~。D→ひろ。:サ○センセイ!手が空いたら電話してや!ってメールが来たのでかけると。D 「はっは~、大変なことになったな~。(めちゃ笑い)」ひ 「せやねん。すいません、ほんまに。バタバタして・・」(いきなり大阪弁を話し出した、ひろ。のこと、昭和風男前の助手はかなりびびったことでしょう。笑)D 「なんとかなりそーかぁ?」ひ 「多分。。」D 「まあ、大丈夫やろ。ヒデがやるていうたんやから、やりよるわ。アイツにまかせとけ。・・それより、サ○にちょっと提案があるんやけど」ひ 「なんですか?」D 「こんなんなってもたことやし、アンプラでいくんやったら、セッティングの時間浮いてくるから、せっかくやし、まあ、おとなしい曲ばっかりてのも、なんやから、景気づけに、ちょっと俺と絡んでみーひん?」ひ 「(驚)っえぇええええ、、そんな恐れ多い」D 「はは。ヒトを化けモンみたいにいうな」ひ 「、、、私、Dさんとこみたいな曲、絶っ対、歌えませんけど」D 「(呆)分かってるわ。そんなこと。コピーや。サ○とずっとやってみたかった曲があるねん」ひ 「・・・何ですか?」D 「『WINDING ROAD』知ってるか?」ひ 「は?」D 「は?て・・。こんな曲や。♪まっがりくねった~み~ちのさきに~♪」ひ 「(どっかで聞いたこと、あるなあ。。。)・・・」D 「絢香×コブクロや」ひ 「・・・出た」D 「なんや?」ひ 「Dさん、いっつも私に絢香歌えて言うてますもんね~・・」D 「絶対、サ○に合ぉてるからや」ひ 「・・・そぉかなぁ・・・」D 「俺様からのリクエストや。歌とてくれ」ひ 「・・・・」D 「返事は?」ひ 「・・Dさんとデュエったりしたら、Dさんのファンにモノ投げられそうやわ」D 「あほ。俺のファンはそんな行儀悪いことせーへんわ。な~ええやろ?」ひ 「ん~・・・でもな~(自信ない)」D 「うんって言えやっ。まだなんかあんのかいっ」ひ 「ってか、Dさん、コブクロて。全然、バンドと曲調ちゃいますやん」D 「たまにはええやろ?サプライズやて。俺からみんなへのクリスマスプレゼントやて」ひ 「・・・」D 「なんか、電話やのに冷たい視線を感じるなあ。。ええやんけ。あの歌、キモチええねん。」ひ 「絢香なぁ・・・」D 「あかんか~??サ○、前に歌ってたやんけ。『三日月』」ひ 「・・よぉ覚えてますねぇ。。ほんまいうて、あれがちょっとトラウマになってるんですよ」D 「なんで?よかったで?」ひ 「そうですか~??恥ずかしかったわ」D 「はは。ケースケか?」注:去年ケースケとデキ婚した後つわりにうなされ?ながら、ライブしたときに、結婚&妊娠報告させられて、ゴッチの代わりに本番でいきなりオット(こっそり練習してたらしい)が伴奏して『三日月』やったんす。。オットも上手やったし、評判は良かったけどとにかく恥ずかしかった。。今も恥ずかしい。ひ 「そうですよー。ある意味忘れたい。絢香ガラミのことは・・」D 「(爆笑)はは、そんなんもったいないやんけ。そんならなおのことやれ。ちょうどええ機会や。ヒデに電話しとくわ、『三日月』もいれとけて」ひ 「・・・勘弁してください」D 「俺様命令や。それになあ、そんなことにこだわらんことを天国のヒロトも望んでる」ひ 「(笑)無理矢理ヒロトの名前出すのやめてください」D 「おおっ!サ○、ヒロトの名前出ても、すぐ笑えるようになってエライやんけ」ひ 「子供2人も産んだんですよ?強なりますわ、いやでも」D 「そらそうや。ほな、やるな?」ひ 「イヤ言うてもやらせるんでしょ?分っかりました~」D 「よっしゃ。『三日月』と『WINDING ROAD』と『あなたと』な」ひ 「・・・なんか1曲多くなかったですか、今?」D 「それも、絢香×コブクロや」ひ 「---っ(ため息)」D 「ええ歌やで。絢香×コブクロの方は、俺トコで完コピで演奏させるから、サ○も練習しとけよ~」ひ 「って、、まさか、ぶっつけですか?(ガクブル)」D 「はは。ちょっと早よ来れるか?1回くらいあわせよか」ひ 「ぜひお願いします」D 「はいはい。ほな、明日がんばろな~。サ○の頑張りを天国のヒロトも喜んでるで。」ひ 「もぉええってっ笑」・・ということでして。恥ずかしさの余りに記憶の奥に封印していた曲と、よく知らない曲を2曲。練習することに。すぐに、itunesでDLして、歌詞も探して、仕事しつつ、ずーっと、ボソボソと練習。。ヒデからのセットリストも届いて~、こっちは歌詞は頭に入ってるけど、アレンジ変わるから、夜はスタジオ行って、それを覚えなくちゃなんないし。頭の中しっちゃかめっちゃかで、終業。(ちゃんと?笑、仕事もしてましたよ)お迎えして晩御飯食べさせて~、オットにバトンタッチして、スタジオへ~。。自バンドの練習しましたよー。ヒデさすがのアレンジで、ひろ。に負担少なしっ。あざーっす。って感じでした。その分、ゴッチの負担はえらい事になってましたが。。笑練習してたら、途中でなんとDさんが登場。「おぉ、がんばってんな~。今から隣の部屋でやるから、終わったら来いや~」と。で、2曲とも、合わさせてもらいました~。もう、バンドの皆さん、しっかり完コピなってるし。いつの間っ。さすがの力量に度肝抜かれ~のひろ。でした。・・でね、あんまり大きい声では言えませんが、Dさんとこで歌うの、めちゃくちゃキモチよかったす~。やっぱりウマイ中に混じらせてもらうの、自分もウマくなった気がして、最高す。はい。勘違いカモ。いや、間違いなく。勘違い。でも、勘違いくらいしてないと、コワくてコワくて乗り切れない~。で、なんとか両方とも目鼻がついた感じで、帰宅。寝かしつけ~。。(ママさんなんだよな。。ひろ。って笑)で、今夜はまさか寝かしつけオチするわけにもいかず~。。ちょっとオットに相手してもらって、練習~。やっと落ち着いてきて、ふっと気づけば、絢香×コブクロの2曲。なんといい歌詞でしょうか。『あなたと』て曲は、オットと歌うには、あまりのシンクロに涙が出そうになります~。今も、ずっとリピで明日やる曲聞きながら書いてます~。歌詞見て覚えるぞーってするより、何かしながら、BGMで流れてる方が歌詞が頭に入るので~。小説も書きましたが、トップにあげるには、長すぎますので~、これ、先にあげますね。また、小説の続きも、なるべく早めにあげますので~。えーっと、ヨータはね、元々口数少ないので、今回もあんまり喋ってませんが。朝に1度、「怒ってる?」って言うメールと、昼に一度、「ゴメン」てメールが来ました。笑前にも一度書いたように、ひろ。は、バンドメンバーに、これまで散々迷惑かけてきてるので、なんとか、がんばって笑顔で~、ハイテンションで~、乗り切りたいと思っています。ヨータ、気にしなくていーよっ。早く良くなってね長々とすいません。歌詞を頭にいれつつ、ご挨拶まわりにうかがいま~す。どうです?皆さんもひろ。と一緒に、一晩で覚えてみませんか?笑『三日月』と『WINDING ROAD』と『あなたと』。オットは明日から出張なのに~。。ごめんね~。。の、ひろ。@12/23 12:53am←楽天外の方、ポチ逃げの方ご利用くださ~い。(^^)
2009.12.23
コメント(39)
さてさて前編の続きですー。(まだお付き合いくださいますか~?笑)オットが選んでくれたのは、なんか結構シックなワンピのお出かけ服で~、オットは、普段からおしゃれさんではありますが、今日は子供と遊んでて、もちろんノータイの普段着だったので、お店は特にどっちでも大丈夫なんですが~、、もしかして、ひろ。だけちょっと浮いちゃうな~って気にしてたんだけど、玄関のベルがなって、出てみたらオット、スーツ姿で立ってたし。(笑)「うわ、着替えてる~っ。何してんの~?いつのま~~っ??」なんていいつつも、オトコのヒトのスーツ姿に弱いひろ。もう、久々のオットのスーツ姿にドキドキのメロメロだったすー。(アホ)(スーツ好きのひろ。知ってるから、実家でちゃっかり着替えてきたらしい・笑)で、久々に、ちゃんとエスコートしていただいて笑、出かけました~。これまた個人的に萌え(またアホ)の、運転横顔も見せてもらったし~。しかもしかもスーツのーっ!(まだ言ってる笑)ディナーはもちろん、おなじみのシェフの信頼の味。どれもこれもおいしくて~。ひろ。授乳中&ケースケ運転で、お酒が飲めないのが残念でしたが~、それでも、オーソドックスなメニューにて、申し分のないディナーでした。(特に、フォアグラのソテーポルト酒ソースがっ。特に、サーロインのローストヨークシャープディング添えがっ)普段はあんまり量を食べられないひろ。ですが~、デザート盛り合わせ(サービスでてんこ盛りっ)まで、しっかり平らげました~。(あ、、お酒飲まなかったからか、と今気づいた・笑)で、オットから、プレゼントももらいました~。実は、ひろ。ココだけの話。。なんでかな~、昔っから、高価なモノをもらうのが苦手で。。オットはそれを知ってるので、オットからのプレゼントは、いつもオットの撮った写真をフレームにいれてくれたモノって決まってます。で、「ほんとーはオレだけの宝物だけど、特別にわけてやる笑」って言って、今日くれたのはね~、『寝顔』の写真でした~。ひろ。とちーことゆう坊、それぞれの寝顔~。みんながみんなどうなの?ってくらい、満ち足りすぎの幸せ寝顔でした。(^^)キリがなくなっちゃって困るからと、めったに家族にはカメラを向けないオットですが、いつの間にか隠し?撮ってくれてたみたいで~。。「ありがとーっ。早速飾るね~」って言ったら、「サぁのだけはダメだぞー」てから、?って思ったら、「サぁの寝顔ちゃんはオレだけのもんだから。」だって。ということで、自分の寝顔フォト、こっそり愛蔵?することになったひろ。でした。笑食事もすんで~、外に出て車に向かいながら、オットは、「あー、ほんとなら、この後は、ホテルとか予約してて、、・・・なあ?」なんて、名残惜しそうに言ってくれちゃって、もちろん、ひろ。も同じキモチでしたが~、(笑)「・・・そろそろ、パパママに戻りますか」って、笑いあって~、お迎えに向かいました~。フーフながら、久々のデートの後の、離れがたい切ない気持ちもちゃんとあって、でも、帰る場所が一緒のフーフだから、そこは、まあ、満たされてるし。笑実家ついて、車降りる前に、「愛してるよ」って言ってもらって、ちょい長めのキスもしてもらってー、(テレ)約3時間のひろ。の、シンデレラタイム終了でございました。(大満足)どんだけ幸せかってもうね~、・・・言わなくても分かりますよね。てか、言葉ではとても言えないっ。ありがとね、ケースケ。仕事無理させてごめんねっ。そしておかあさまもいつもいつもありがとうございますっ。という感じの、オットからの特別休日プレゼントの一部始終でございました。(ざっとみて、めちゃ長っ!!すんません)さあ、ひろ。正真正銘フルチャージですっ。笑この充電は、きっと、結構もちますよーっ。オットのいないクリスマスもお正月もきっと元気に乗り切ってみせますっ。・・って、張り切りすぎて、バッテリー上がんないようにしなきゃ。。・・・すいませんが、頂いたコメントのレスとご挨拶、小説の続きは、また明日。だってね、「今日はほんとにありがとーっ」って、さっき言ったら、「まだ早い。肝心のコトが終わってね~。(ニヤリ)」って、言われちゃったので。(*><*)・・・アホップルすぎてすいません。それではおやすみなさいませ。『オットからの休日プレゼント・夜編』につづ・・・、きませんっ。エロい報告期待されてたみなさん(いるのか?)には申し訳ないですが~、そんなコトこんなコトは、これから(オイ)なので、詳細は書けません~。にゃはは。・・って、書きませんよ。そんなこと。書くわけないじゃないですかっ。(^^;)これから何が起こるかは好きに妄想してくださいませ~、笑、の、ひろ。@12/19 11:37pm←楽天外の方、ポチ逃げの方ご利用くださ~い。(^^)
2009.12.19
コメント(59)
ちは(^^)、ひろ。です。さてさて、本日は~。オットが必死で残業して取ってくれた特別の休日。一緒に楽しく楽しく過ごし中で~す。(^^)夕べ、寝る前に、いつもどおりソファで抱っこしてもらって~、今日の相談~。夕食は、友人経営のビストロで、ディナー予約してくれたということで、たまには2人でおしゃれして出かけようと。(やった^^)で、お昼は何したい~??と・に・か・く、サぁ(=ひろ。)の好きなようにしていーよって。なんかもー、そのキモチだけで既に幸せなひろ。でして~。。(*^^*)オット案としては、もうお昼からチビさんたち預かってもらって、オレ、サぁに1日中ずっと独り占めされてもいいよ~、デートすっか?ショッピングでも映画でもって感じだったんですが。。(それはそれはとても魅力的なお誘いでございましたが~。。)なんかやっぱり、オットは、チビさんたちにも、大切な大好きなパパでもあるわけだし~。。インフルと出張が重なったりで、ちーこはずっとパパと遊べてなかったし~、ってことで、できるだけちびさんたちとも一緒に過ごすことにしました~。まぢで?そんでいーの??なんて、意外そうなオットでしたが、ひろ。だって、もうヒトの母?ですからね。オットを独り占めしちゃいけないことくらい分かります。ガマンできますよ。(いつもおとなげなくちーことオットのコト取り合いしたりしますが。笑)でも、ちびさんたちと過ごすっても、2人ともまだ病みあがりだし、どこもきっと人混みだし、お外はめちゃ寒いし~。。ってことで、お昼は、なんだかフツーって以上にフツーの休日に。笑いつもよりはキモチお寝坊して、起きてからもしばらく布団でゴロゴロ遊んで、(いつも朝は大変、大忙しだからこれだけも意外と楽しかった)ゆっくりとみんなで食事(夕べの残りのおでんですよ)してから、ちょっとだけ、ちびさんたちオットのお母さんに預かってもらって(いつもすいません)、オットと近所のショッピングモールへ(徒歩もちろん手つなぎ←これ重要、笑)。チビさんたちのプレゼント(やっと揃った・汗)と、食品のお買い物~、実家戻って、ちょっとお茶させてもらってから、帰宅~。お昼ごはんの準備してたら、オットと遊んでた、ゆう坊とちーこがしっかり同時に昼寝(奇跡的~笑)。すぐさま、ひろ。も昼食の用意なんて中断して、オットにまったりまたまたソファで抱っこしてもらいました~。昼間っからオット抱っこー。ぼーっとしてる目の前の窓の向こうには青空と大きい雲が見えて~。なーんも話さないで、ただゆっくり髪を撫ぜてもらってただけでしたけど~。なんかねー、めちゃ贅沢な気分で~、しみじみ幸せでした~。ただ、オットがそばにいて、チビさんたちがパパとの時間に満たされて眠りについていて、ひろ。もしっかりオットの愛に守られていて~。イベントなんかにこだわらなくてもね、こういう時間が持てたらそれでイんだ~って。なんていいつつも、油断したら寝ちゃいそうになったひろ。でしたが、ゆう坊が泣いちゃったので、おっぱいして~、騒ぎにちーこも起きてきたので、遅めの昼食にいたしました~。それからついさっきまでは、おうちで工作してました~。紙ねんどに、マーカーで色をつけて練りこんで、成形。歴代仮面ライダーの顔(笑)をみんなで製作して、楽しかったです。結構はまってイジになってしまった。。(^^;)オットが、いつもどおりひろ。専属スタイリスト?笑として、ディナーお出かけの洋服を見立ててくれて、オレ、ちびさんたち預けて(お母さんいつもいつもすいません。)戻ってくるから、用意しとけーって、出かけてったので~、用意して待っていま~す。化粧時間短く用意の早いひろ。笑なのです。ということで、見えないでしょうが(当たり前っ)、いつもよりかなり着飾ったひろ。がこれを書いておりました。さ、これからいよいよ2人でデート(嬉)。楽しんできますーっ。いってきま~す、の、ひろ。@12/19 5:36pm←楽天外の方、ポチ逃げの方ご利用くださ~い。(^^)
2009.12.19
コメント(32)
私が差し出したのは、白い平たい棒状のプラスティック。中央にある小さな円と少し大きめの四角の窓。その両方の中央に、ブルーの細いラインが通っていた。ケースケは、ほんの少し見て、ぽかんと口を開け私の顔を見た。「サぁ、これって、、、」「妊娠検査薬」「妊娠って、、で、、この反応って、、、」私はうなずいて、「陽性だったの」「そ、、それじゃ・・サぁ、、赤ちゃん。。が、?」あまりにうろたえた様子のケースケに、あぁ、やっぱりまだ言わない方がよかったのかな、と思い、目を伏せかけた瞬間、思いっきり抱きしめられたし。「まぢで~?やったー。俺、あああ、そうか~。。サぁ、うわ、、そうか。そっか~。赤ちゃんが。そっかそっか。嬉しい、な、、って、、、オイ」意味不明な、でも確かに喜びの声をあげていたケースケが、ふと我に返ったように腕の力を緩めて、私を離し、顔を覗き込む。「サぁ、、は、嬉しくないの?」「そんなことない、嬉しいよ、もちろん」微笑む私に、ややほっとしつつも、不安げに問いかけるケースケ。「だったら、なんで、隠そうなんて、、。なんですぐ言わないんだよ。表情だって暗かったし」「なんか、、どう言っていいのか、分かんなかったんだもん。ケースケがもし、、まだ子供なんて欲しくないっていったらどうしようとか、、思ったりして、、怖くて」「はあ?そんなこと言うわけないじゃん。何言ってんだよ。第一、結婚するって決めたろ?」「そうだけど、、・・でも、ケースケまだ、若いし、学生だし、、、子供は早すぎるかなって」「また、それかよ?俺達1コしか変わんないしさ、俺、ずーっと、ちーこに早く弟か妹作ってやりたいって言ってただろ?だいたい、もうちーこがいるのに、子供が早いも遅いもないじゃないか」「そんなこと言っても、ちーこは、ヒロトの、、」言いかけた私の唇をお得意のキスでふさぐケースケ。「それ言うなって言ってるだろ?ちーこはもう、俺とサぁの子だって。怒るぞ?」私は黙る。ケースケはもう一度私を抱き寄せて、「あ~、でも、サぁ、、ほんと、ごめんな」ごめん?と思ってるとケースケが続ける。「実は、身に覚えあんだ、、俺。盆に1週間出張行って帰ってきた夜とさ、サぁに最後のプロポーズした夜」そう、何度も何度もプロポーズしてくれていたケースケの気持ち、やっと受け入れる、って決めたから、ケースケがシチュエーションにも凝って、心のこもった最後のプロポーズしてくれたんだ。今思い出しても、胸があったかくなる。。けど、、ちょっと!「2度も?!」驚いて言う私に、ケースケは慌てて、「だって、サぁ、出張中に、ブログのコメントのとこで、プロポーズほぼオッケーくれたじゃん?だからちょっと、、浮ついちゃったって言うか。。ただでさえ、1週間も離れたあとだったからアレだったし。。。それに、プロポーズの日だって、俺、、オッケーしてもらえた嬉しさでさ、ちょっと興奮しちゃったって言うか、気が緩んじゃったっていうか。。その、、ちょっと、思い当たるんだよな、、わざとじゃないんだぞ?なあ。。ほんと、ごめん。ちゃんと籍入れて安心できる状況になってからすべきだったのに。。」私は、その言い方に笑って、「後悔してるの?」って言ってやった。ケースケは案の定、大慌てで、「まさか。後悔なんてしてないよ。するわけないだろ?・・ああ、サぁは、やっぱり怒ってんの?サぁは後悔してる?」私はしょうがないなっていう風に笑って首を振ってあげる。「ううん。さっきも言ったけど、すごく嬉しいよ。ケースケとの間に新しい命を産めること。本当に」ケースケはほっとしたように、「よかったー。だけど、あれだぞ?いくらなんでも、サぁが、プロポーズ受けてくれてなかったら、絶対に、中で出したりなんてしてなかったからな」中で・・、、、その露骨な表現勘弁して欲しい。「当たり前でしょ?プロポーズ断られて、そんなことしたら、犯罪だよ」「分かってるよ~、でも、サぁ、いつ気づいたんだよ?」「旅行から帰った夜、、かな」「なんで?」「前の日にちょっとだけ出血してたの。でも、その日だけで終わったから」「そんなんで分かったのか?」「ううん。全然。そんなの初めてだったし、不思議だったからネットで調べたんだ。そしたら、着床出血ていうのがあるんだって。で、しばらくはただ悩んでたんだけど、、検査薬買ってきて夕べ調べてみたの」「3日も経ってんじゃん。1人で悩んでないで、すぐに言えよな、ったく」「いえないよ。大切な出張中なのに」ケースケは、やれやれとでも言うように、ため息をついて、「病院は?」「まだだよ。だから、まだ夕べ自分で調べたとこなんだってば」「・・明日いく?」「明日、日曜日じゃん。それに、まだ、早いんじゃない?」「そんなことないって。月曜日行くか。俺、ついてけるし」「ついてきてなんていらないよ」「絶対行くし。あ、、それに、入籍急ごう」「え~っ?」「当たり前だろ?子供が生まれるんだぞ?」「そうだけどさ~、まだ先だよ?」ケースケは取り合わず、壁のカレンダーを振り返って、「3日が大安だな。じゃあ1日に病院行って、3日に入籍だな。。。それと」「それと?」「サぁのお父さんにちゃんと報告しなくちゃな、明日、日曜だし、ちょうどいいから、実家行くか」ちょっと緊張した顔のケースケに言ってやる。「ちゃんと、、って、もう、、既にちゃんとじゃないような・・・」「あ、そういうこと言うなよな。・・でも、確かに、、兄弟そろって。。。」確かに、うちのお父さんは少し変わってるから大丈夫と思うけど、普通の感覚からしたら、ひどい兄弟だな。と思って、吹き出す私に、「でも、ちがうぞ。俺は、ヒロトとは違うって。ちゃんと責任をとるんだから」その言い方~っ!私は、なんだかちょっとむっとして言い返す。「あのね、ヒロトだって、妊娠したこと知ったら、絶対死んだりしなかったし、責任だってとってくれたはずだよっ」そう、それはヒロトの死後、随分経ってから妊娠に気づいた日から、ずっとずっと思ってきたことだった。、、なんでもっと早く妊娠に気づかなかったんだろうって、そうしたら、ヒロトは死なないでいてくれただろうって。ケースケはそのこともよく知っていたから、慌てて謝ってくる。「あ、、ごめん。いや、確かにそうだと思うよ。・・でも、、おま、、そこで、兄貴かばう?違うだろ?俺を励ませよ。ただでさえ、サぁのお父さんは怖いんだから」「知らないっ。無理やり妊娠させられたって泣いてやるもんっ」「おいっ!まぢ勘弁しろよな」大慌てのケースケに、私は笑う。「冗談だよ~。ほんと面白いな、ケースケってば」「からかうなよな~。まぢ、ブルー入るわ」「大丈夫だよ。この間、プロポーズ受けたって話はしたんだし、入籍とセットなら何も文句いわないでしょ。喜んでくれると思うよ」「・・・かなあ・・?」「それよりさ、ケースケ」「責任とるってどういうことなの?結婚するってこと?」ケースケはため息をついて、私を抱き寄せる。「結婚するだけじゃ意味ないだろ?サぁのこと、ちーこのこと、それと生まれてくる赤ん坊のこと、一生大切に、幸せにする。そういうこと」私はケースケの腕の中で目を閉じる。この安心感は何物にも変えがたい。夕べ陽性反応を見てから少し気を張っていた心が解けていく。「ねえ・・?」静かに声をかける私に、「ん・・?」静かに答えてくれるケースケ。「それ、ちゃんとお父さんにも伝えてあげて。十分、安心してくれると思うよ」「分かった」ケースケはふと思い出したように、「予定日はいつになんの?」「ん~、ネットの自動計算ってので出してみただけだけど、ゴールデンウイークくらいになりそうかな」「GWか。。。なあ、サぁ、俺、大学は卒業するぞ?今の仕事続けるからほんとは学歴なんてどうでもいいようなもんだけど、さ。」私は慌ててうなずく。「うんうん。それはそうしなよ。お金のことなら心配いらないよ。私も働けるところまで働くし」「ば~か、金の心配なんてさせないよ。仕事は続けたらいいけど、俺、ちゃんと今のままでもそこそこ収入もあるし、ずっと貯金もしてきたし、卒業したらもっと働きまくるし、とにかく入籍したら、俺が養ってやるから」「うっわ~、大きく出たね」「当たり前だろ?」「なんか男、みたいだった」「男だよ、ったく、人をなんだと思ってんだ」私はもう一度ケースケの胸に顔を押し当てる。条件反射のようにぎゅっと抱き寄せて、さっき乾かしてくれた髪を撫ぜるケースケ。小さく深呼吸して、目を閉じる。ずっとこの人と生きていこう、きっとこの人なら、私を、ちーこを、そして新しい命を守ってくれるはずだから。・・って、感慨深い思いに浸っているのに、、ケースケは、「なあ、ちーこ、俺のこと、パパって呼んでくれるかな、今更」「式はどうするかな~。サぁ、ほんとにする気ないの?俺は、ドレス姿とか見たいんだけど」「GWか~、今年は結構休めたけどな~。。来年はどうかなあ。。」「新婚旅行は、、ちょっとお預けだな」「ちーこも兄ちゃんか~。、、って、大丈夫かな、あいつ」「妊娠中に、Hってしていいのかな?ちーこの時は、俺達まだそういう関係じゃなかったからな~。。あ~、俺、今夜はヤル気まんまんで帰ってきたのに。。って、だめか、こういうこと言っちゃ」1人、リアルなこと、ブツブツつぶやいてるし。ちょっと黙ってくれないかな、って思っちゃう。だから、そっと顔を見上げてみた。目が合ったら、いつもどおり自動的に、キスの体勢に入るケースケ。私は目を閉じて、キスを受け止める。いつもどおりの優しいキス。あ~、やっと黙ってくれた、なんて、思いながら、段々ケースケのキスに溺れていったんだ。大好きだよ、ケースケ。ずっとずっと、そばにいてね。☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆あは、まるで露出系(?)なお話、読んでいただいてありがとうございました。というわけで、妊婦化した、ひろ。です。しかも、あと数時間で、人妻化する、ひろ。です。正直言って、ケースケとの関係、ここまで進展させられたのは、もちろん根気強くそばにいてくれたケースケと、迷う気持ちを小説の形で吐き出させてくれたこのブログと、それを見守ってくださった方々のおかげだと、心底思っています。本当にありがとうございました。妊娠と入籍(予定)のご報告代わりに小説(風?)にしてあげさせていただきました。今後も、ひろ。は、懲りずにまた小説を書き続けますが、変わらず、見守っていただけたら幸せです。よろしくお願いします。ながさわ ひろ。←1日1クリックいただけると嬉しいです。
2008.09.03
コメント(9)
私は寝室に行き、ぐっすりと眠り込んでいる、ちーこの寝顔を見つめる。かわいい。ちーこが生まれてきた日から、本当に見飽きることのない寝顔。起きてる時は、「魔の2歳」と呼ばれるくらいで、最近は本当に、「いやんいやん」ばっかり。泣き出したくなるくらい手がかかるんだけど。そっと寝室のドアが開いて光が差し込み、ケースケが入ってくる。隣に並んで一緒にちーこの寝顔を見つめる。「ほんと、寝てたら天使だな~」「そうだね。ずっと寝てて欲しいって思っちゃう」しばらく2人で眺めてから、リビングに戻る。ケースケが冷蔵庫からワインを出した。「ちょっと飲むかな~。サぁも飲むだろ?」私は首を振る。「今日はいいや」その答えに、ケースケは2つ目のグラスを出しかけていた手を止めて、「なんで?珍しいな」「ん~。すぐに眠くなりそうだから」といった私にうなずいて、「疲れてんだよな。ごめんごめん」「何もケースケが謝んなくても」ケースケは微笑んで、「でも、俺、ちょっと飲んでいい?」「どうぞどうぞ」「サぁ、じゃあ、ペリエでも飲む?」「うん。ありがと」ケースケは微かにうなずいて、冷蔵庫から瓶を取り出し、ふたを開けたペリエを2つ目のグラスに注いで、カウンター越しに私に差し出す。自分のワインを注ぐと、ケースケもカウンターから出て、ダイニングテーブルを回って向かい側に座った。「乾杯~。おつかれさん」グラスを合わせて、ゆっくりと飲む。幸せそうに目を閉じるケースケに聞く。「ねぇ、お腹は?すいてないの?」「ん~、空港からの帰りにラーメン食った」「そっか。おいしかった?」「まあまあだった」「そ。」お腹がすいてないなら、ケースケはワインはおつまみなしで飲む人だからほうっておこっと、そう思った時に、グラスを置いたケースケが私を見つめて言う。「で?」「え?」「なんか話があるんだろ?」どっき~。。なんでバレちゃうんだろ、って、こんだけ目もあわせられずに、おどおどしてたら当然か。。でも、とぼけるしかない。「話?なんで?」「なんでとかいいんだよ。話せよ」「ないよ、話なんて」ケースケは大げさにのけぞって、「うわ、隠し事?勘弁しろよ」「隠し事なんて、、何もないって」ケースケはそれ以上何もいわずに、私をじーっと見る。ただ、じっと。いたたまれない気持ちになってくる。なんか、他の話題。。。ない、かな。。ケースケは小さくため息をついてから、何気ないように仕事の話を始めた。出張先でどんな仕事をしたか。どんな人と出会ったか。私はほっとして、話に乗っていく。私もちーこの話をする。旅行から戻って、保育園に行きたがらなくて困ったこと。多分、休みグセがついたのかな。ほとんど遅刻で保育園に預けに行ってたんだ。私はとにかく月末でたまりまくった仕事と、旅行でたまりまくった洗濯に頑張っていたこと。いっぱい話すことで、離れていた3日の空白を埋めるんだ。大体お互いの話が終わった後で、ケースケはもう一度私に言う。「で?」今度はもう返事しなかった。ちゃんとうまく騙せないうそなら、口にしたくはなかった。嘘つくの、苦手、だ。。ケースケは、黙る私に、「あ、そ」と言ってからグラスを持って立ち上がり、テーブルを回ってこちらにくる。私の後ろに立ち、カウンターにグラスを置いてから、耳元で私の名前を読んだ。その声に振り向いた私に、思いっきりキスしてから言う。「何年お前だけ見てきたと思ってんだ?隠し通せる、なんて思うなよ?」顔は微笑んでるけど、、目が、こっわ~い。。怒らせちゃった。。だけど、、言えない、、言えないんだよ。。「俺、寝るぞ」そういって、歯を磨きに洗面所に行くケースケ。私は座ったまま立てない。。。どうしよ~。。。どうしたら、機嫌直してくれるかな。。って、話すしかないんだよね。戻ってきたケースケは、寝室のドアに手をかけながら、私に言う。「おやすみ」声、冷た~っ。おやすみのキスもなしだし。。言わなきゃいけないこと分かってる。ケースケの前から消えることなんてできるはずないんだし。それに、、隠す必要だってきっとないことなのに。でも、なんだか、、怖い。そう、私、なんだか怖かったんだ。ケースケが寝室に行った後も、しばらく座ったままで動けなかったけど、やっとこ重い腰をあげる。洗面所に行き、歯を磨いてから、向かいにある洋室に行く。ここにはたんすやハンガーラックなんかを並べている。部屋の明かりはつけずに廊下からの明かりだけで、ドアから真正面の壁にあるタンスの下から三段目をあけ、隅っこに隠しておいたプラスティックのスティック状のものを取り出す。何度見ても、、、同じ。当たり前、だよね。やっぱり、早く言わなくちゃ。って、思った瞬間。心臓が止まりそうになる。部屋の照明がついたから。慌てて手に持ったものを隠しながら、振り向いた、、先には、、ケースケ。「何してんだよ?真っ暗な中で」「・・・何も」何もな、わけないよね。苦しい・・。ああ、言っちゃえばいいのに、私。「何もって、、今、なんか隠した?」ただ首を振って、後ろ手に持ったものを握りなおす。ああ、もう、どうしよう。。困った顔で俯く私に、「サぁ、俺、眠れねぇって。・・・俺のこと、嫌いにでもなったのか?」まさか、なんでそんなこと言うのかな。。「ううん。なんで?」ケースケはほっとしたように笑って、「だって、なんか変だからさ。目をすぐにそらしたり、隠し事してたり、一緒に眠ってくれなかったり」「、、って、ケースケが怒って、先にさっさと行っちゃったんじゃない」「だけど、すぐに追っかけてきてくれよっ。俺が怒ってても平気なのかよ?ほったらかしかよ?」私は吹き出して、「何、子供みたいなこと言ってんの?」「あ、笑うなよ~。」「だって、ケースケ、かわいいんだもん」「それって、褒めてない、よな?」「褒めてるよ」「男にカワイイは、褒め言葉じゃない」そういって口を尖らせてから、向こうを向くケースケ。ため息をついてから、思い切ったように、「手に持ってるもん、隠したいなら隠せよっ。こっち向いてるから。」気になるくせにそんな風に言ってくれるケースケ。とっても温かい気持ちになる、それにやっぱり申し訳なくて、、、話すことにした。「もういいよ。こっち向いて」「隠した?」「もう、隠さない」「え?」そういって振り向いたケースケに私は手を差し出して、それを見せた。←1日1クリックいただけると嬉しいです。
2008.09.02
コメント(0)
「あ、ケェケっ」玄関のドアの開く音に、やっと歯磨きを終えたばかりのちーこが駆け出していく。体当たりするようにドアを開け、まっすぐ伸びた廊下の先に、立っていたのは確かにケースケだった。「おあえぃ」ちーこはまだ2歳。しっかりと発音できないけれど、身内には通じる言葉でケースケを出迎える。「ただいまー、ちーこ。まだ起きてたんだ?」ケースケは荷物を足元に置いて、すぐにちーこを抱き上げた。ちーこはケースケの頬を両手で挟むように持っておでこをくっつける。角でケンカする鹿のように、おでこを押し付けあう2人。いつものお帰りの儀式だ。私は、微笑んで、足元のバスタオルを拾いあげ、廊下の方に向かう。ちーことおでこをくっつけたままの状態で、目をこちらに向けるケースケ。たった3日離れていただけなのに、とっても懐かしい、優しい瞳。だけど、今日の私は、そんなに長くは目をあわせられない。いったんバスタオルに視線を移し歩を進め、ちーこの頭を撫ぜ、そしてもう一度視線を戻しながら、言う。「おかえり。お疲れ様」ケースケは、やっとおでこを解放されて、愛しそうに私を見つめて言う。「ただいま。もう疲れは取れたけど」私はその優しい言葉も、視線も、今日はやっぱり受け止められなくて、ちーこに視線を移して言う。「ちーこ、待ってたのよ。ケェケと寝るんだって言って」そういう私の言葉に、ケースケはまたちーこに頬を寄せて、「なんだー?だからこんな遅くまで起きてたのか?」あごを前に出し、得意気に微笑むちーこに、「褒めてないって」と言ってから、「よし、じゃ、寝るか」と寝室に向かうケースケ。私は慌てて、「いいよ~。お風呂入ってきなよ。ベッドで待ってるから、ね?ちーこ」「ぃやんぃやん」首を振って2度イヤを繰り返す、ちーこお得意の否定形。ケースケは笑って、「いいよ、風呂は後で。せっかく待っててくれたんだから」「ごめんね。ちーこ、ありがと~は?」「あっと」これまたお得意のありがとうの超省略形。ケースケは愛しそうに、「どういたしまして」と言って、連れて行く。私には、「サぁは、髪乾かしといで」と言い置いて。私はお言葉に甘えることにした。ちーこにケースケを独り占めさせてあげなくちゃ。しばらく洗面所で髪を乾かしていると、ケースケが来た。ドライヤーを止めると、「ちーこ、もう寝た」「早っ」「宇宙語いっぱいしゃべって、宇宙歌いっぱい歌って、黙ったと思ったら、寝てた」2人で顔を見合わせて笑う。でも、私は、やっぱり長くは見つめ合えない。目を逸らして、ドライヤーをONにし、、た、途端、ケースケがドライヤーを取り上げた。私の髪に温風を当てながら、手際よく髪をさばいて温風を入れていく。私があまりに腕力がないから(ドライヤーを持つ腕がすぐに疲れちゃうので)、髪を乾かしながら腕を振る姿を見かねて、以前はよくこうして手伝ってくれたんだ。もう育児で随分鍛えられたから、腕力だってあるのにな。それにしても、地肌を手櫛が通る感触ってなんだかエロイ。私は自由になった両手で、洗面台につかまった。あっというまに乾いていく髪。ケースケはドライヤーを緩めてブラシを通していく。少し静かになった風音。「髪、随分伸びたな~」鏡越しに私を見つめて言うケースケ。私は曖昧に微笑んで目を逸らし、「うん」と簡潔に答える。ヤバイ、気づかれちゃうかな、って思っても、どうしようもなくて。ケースケはそれ以上何も言わずに、しばらくしてから、ドライヤーを切った。「はい、おしまい」「ありがと~」「じゃ、俺、シャワー浴びるわ」そっか、私が、ここにいたんじゃ、入れなかったんだよね。と、浴室とトイレの間にある、洗面所と洗濯機置き場と脱衣所兼用の2畳ほどのスペースで思う。「ごめん、ごめん」慌てて出て行こうとする私を、「サぁ」と呼び止めるケースケ。私はその顔を、心を整えて振り返って見上げる。「なに?」「疲れてるトコ悪いと思うけど、寝ないで待っててくれよ?すぐに出るから」かわいいな、ケースケ。こんなとき思ってしまう。私はつい微笑んで、「分かってるよ。待ってる。ちゃんと待ってるから、ゆっくり入って。しっかりぬくもらなくちゃだめだよ?」そういい置いて、そこを出ようとする私を、今度は言葉ではなく、腕で抱き寄せ、引き止めるケースケ。私は思わず目を閉じた。そして重ねられるいつも通り優しい、、ううん、いつもより少し強引な唇。多分、3日ぶり、だから。「・んだよ、サぁ、キスぐらいしたがってくれよな。冷たいな、相変わらず」「何よ、勝手にしといて。強引なんだから、相変わらず」「あ~、そういうこと言う?じゃあ、もう絶対キスしてやんね~」「あ~、そういうこと言う?そんなの、一体、何分もつのかな~?」「あ~、まだ、そういうこと言う?・・・ゼロ、だよ」そういって、またキスしてくるケースケ。0分て!つい笑っちゃった私だった。※唐突ですが、近況報告を兼ねまして、おとといの夜のことを小説風に。というわけで実話です(オイ)。ややしこしくてすいませんが、今回のケースケは、「ミリ×ケースケ」のケースケとは、非常によく似た別人でして、リアル・ケースケ、ん~っと、ひろ。の恋人、、というか、なんというか、そばにいる人のコトです。サぁと言うのは、リアル・ケースケが、ひろ。を呼ぶ呼び名です。ちーこ(ちひろ・♂)は、ひろ。の子供です。で、えーっと、ちーこの父親は、死んでしまった、ひろ。の元恋人、ヒロトです。で、ヒロトはリアル・ケースケの兄でもあります。(って、複雑すぎるわっ)(アセ)・・・ここだけでは分かりにくい(に決まってますが、、)方は、是非、「let me sleep beside you」などをお読みください。あ、宣伝までしちゃった。えーっと、続きます~。よろしく~。 ひろ。←1日1クリックいただけると嬉しいです。
2008.09.01
コメント(4)
全34件 (34件中 1-34件目)
1