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2007.01.20
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カテゴリ: フランス映画
AU PLUS PRES DU PARADIS
Tonie Marshall

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いきなり女性の年齢から入るのもちょっと失礼かも知れませんが、フランスの大女優カトリーヌ・ドヌーヴは1943年10月22日生まれ。この映画の撮影は2001年の9月か10月頃までだから、ドヌーヴ58歳になる直前の作品です。そのドヌーヴが恋する女性を演じた作品で、彼女はほとんど画面に出ずっぱりだし、一から十までドヌーヴ、ドヌーヴ、ドヌーヴの作品です。監督は女優でもあるトニー・マーシャル。また女性の年齢ですが、ちなみに監督はドヌーヴより8つ年下。

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トニー・マーシャルって言うと、ボクにとっては 『男と女と男』 のジュリエット役で出ていた姿ですが、それだけなのに何か印象の強い人です。前半部分がパリで、後半部分はアメリカが舞台。アメリカでの撮影が2001年9月14日からに予定されていたらしいですが、その3日前に例の9・11同時多発テロがあって、撮影は大変だったらしいです。超特別にマンハッタンで2日間の撮影が許可されたらしいですが、エンパイアステートビルはカナダでのセットを作っての撮影。映画の中でウィリアム・ハート演じるマットが「飛行機は怖い」と言いますが、このセリフはテロを踏まえたものなのかも知れませんし、絵の撮影の予定が変更されるというのも映画の撮影予定が狂ったことを折り込んだのかな、なんて空想もしてしまいます。

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というわけで前半はパリ。美術出版の仕事をするキャリアウーマンのドヌーヴ。久しぶりに出席した同窓会の帰り道、ドヌーヴ演じるファネットは旧知のベルナール(ベルナール・ル=コック)に声をかけられる。でも彼に対してつれない。自分を誰かに投げ出そうとしない冷たい彼女につい苛ついてファネットをひっぱたいてしまったりします。他にも何人もの男性に言い寄られているんですが、誰に対してもつれない。相手にもしようとしない。その一方で彼女はケーリー・グラントとデボラ・カー主演の1957年の名作ラブロマンス『めぐり逢い』を何度も見に行っては涙を流す。この映画自体が『めぐり逢い』のオマージュ的作品で、エンパイアステートビルで会うという設定など引用しています。ちなみにファネットが映画館でベルナールに会うシーンで上映されている日本映画は1953年衣笠貞之助の『地獄門』かな?。

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もともと愛に自分を投げ出すことの出来なかった彼女、この年齢でもう愛だ恋ではないと思い、男性からの接近を避けている。でも愛を充足してこなかっただけに彼女の中ではまだロマンティックなことへの憧れはある。それで『めぐり逢い』のロマンスに浸る。また彼女には過去に愛していながらフィリップの愛を受け入れなかったという心残りもあって、ずっとフィリップへの思いを断ち切れずにいる。そんなファネットの心の動きを描いたのが、この前半パリ部分。ボクの見落としか聞き落としがあったのか父親が誰であるのかわからないのだけれど、ファネットには年頃の娘リュシー(エレーヌ・フィリエール)がいて、美しい母に比べての劣等感をもっているが、母の他人につれない様子にも抵抗を感じているようで、その辺の母娘の関係もなかなか良く描かれている。ここまでが見どころだとボクは感じた。この後彼女は出張でニューヨークに発つのだけれど、その前に彼女はフィリップからの手紙を受け取っていた。「君は愛する女になれるのか?。1日23時、エンパイアーステートビルのてっぺん、天国にいちばん近い場所で待つ。」

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(そろそろネタバレ)
美術書のための写真撮影でニューヨークへ。そこで写真家のマットと知り合う。手違いなどあって2人はマットの旧式の車でボストンへ。彼は彼女に言い寄り、彼女もマットのペースに巻き込まれて段々彼に心を開いていく。この辺はどうもしっくり来ないですね。彼女の急変というか。旅先だということ、フィリップとの約束を控えていること、英語でのやりとりやフランス人とは違うマットのペース、そんなことがあるのかなって想像してみたり。内省的だった前半のフランス部分に対して、とにかく後半アメリカ部分は彼女が殻から出て愛の実践に生き始めるってしたかったのでしょうが、ちょっと弱いですね。9・11による撮影の混乱で監督のペースが乱れてしまったのでしょうか。残念です。

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後半のアメリカ部分、特にラストは、ボクなりにかなり補って解釈しました。マットにも、多数のフランス男にも彼女はモテるんですが、彼女は美しいけれど、それもちょっと描写不足。たぶん監督が女性だから、男性の目で女を見るという視線が欠けているのかも知れません。余談ですが、グラントとカーの映画の時代はエンパイアステートビルは事実「最も天国に近い場所」だった(建造物として)。ボストンのカフェでファネットはエッフェル塔の話をしていますが、エッフェル塔のいちばん上の展望台は地上276.1メートルで、エンパイアステートビルの102階は381メートル。でも2001年には貿易センタービルの方が高かった。それがテロで破壊されて、文字通りエンパイアステートビルがまた「最も天国に近い場所」だったというのが、なにか面白いです。エンパイアステートビルが天国に最も近いとした映画の設定が貿易センタービルの崩壊を予告していたようで・・・。



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Last updated  2007.01.20 00:46:45
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