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2007.08.26
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カテゴリ: フランス映画
JE NE SUIS PAS LA POUR ETRE AIME
Stephane Brize
93min
(DISCASでレンタル)

0.jpg

なにせ正反対に近いから度胆を抜かれるけれど、内容を全く無視した 誤訳 の邦題。原題の意味は「私は愛されるために、ここにいるのではない」で、「反語なのかな?」なんて書いている人もいたけれど、映画を見れば「 愛される ためではなく 愛する ためにここにいる・生きている」であることが解る。数学的に言えば真なのは対偶なわけで「愛するために、ここにいる」がむしろ正しい。期待が低かったけれど、良かった、良かった。お薦めの作品だ。

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バツイチの50才の独身男性と、30代後半でもう若くはないけどまだ若い(←??ちょっと変な表現?)、結婚間近の女性との出会いのお話。設定といい、やや重厚な環境といい、主演のアンヌ・コンシニ(コンシニィと表記したいところ、監督の方はステファンヌ・ブリゼと)がサンドリーヌ・ボネール似でもあり、パトリス・ルコントの世界に酷似。ラブシーンと言えるのは1回限りのキスだけで、あとはルコントの 『橋の上の娘』

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描写の細部の詰めという意味では多少物足りないし、アメリカ映画とは言わないけれど説明過剰で冗長性もあるのはちょっと気になるけれど、全体としては愛すべき良い作品だった。主演のパトリック・シェスネも良かったし、なんと言ってもアンヌ・コンシニィが魅力的に好演。ボネールも魅力的だけれど、見慣れないせいもあってか演技がよりわざとらしくなく感じられた。難を言うならルコントの 『親密すぎるうちあけ話』 同様2人の出会いで女性が男性に惹かれる「何故」がやや描き足りなかった。

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ルコントとのもう一つに違いは、主人公の男性ジャン=クロードの父と息子との2つの父息子関係が、中心であるフランソワーズとの愛情関係と絡めて描かれていることだろうか。最初にタイトルのことを書いたが、原題ではフランス語的に「私」は男性でなければならず、端的にはジャン=クロードのことだろう。余談だけれど、兄弟の中でただ一人老人ホームの父親に会いに行く子供は、タノヴィッチの 『美しき運命の傷痕』 にも似た設定があって、こちらでは娘が母親に会いにいくのだけれど、土産に子供が持っていったチョコレートがいつものと違うと気分を害する親の話が同じだった。また夜雨の中を走る車の2人をフロントガラス越しに捉えた映像はルルーシュの名作『男と女』を連想させられた。

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話自体は恐ろしく単純だ。成人した息子を持つ51才のジャン=クロードは父親の後を継いで法務執行官。子供・学生時代は優秀なアマチュア・テニス選手だったが、今は運動不足で階段を登るにも息を切らす。医師の勧めで事務所の窓から見える向いのタンゴ教室に通い始める。裁判所の判決の結果を執行するのが仕事で、それぞれ人生の事情で借金の払えない人に通告を伝え、アパートあけわたしに立ち会うなどだ。この感情を排さなければならない仕事と多忙で、感情生活を無視して生きている。それは愛情を示そうとしない父親も実は同じだった。窓から見えるタンゴ教室では男女が情熱のダンスを踊るのが見え、たぶん彼の満たされない何かを刺激していた。息子が車で帰っていくのをホームの窓からこっそり眺める父親の姿は、タンゴ教室を窓から眺める主人公ジャン=クロードと同じ姿だ。どちらも愛情を示す、愛する、感情生活をする、そういうことへのなかなか実現できない憧れなのだろう。だから軽度の運動を勧められた彼はタンゴ教室に通い始めるわけだ。

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そこで出会うのがフランソワーズ。御近所だったのか知り合いだったのか、彼女が子供の頃ジャン=クロードの母親に子守りをされたことがあり、彼と気付いた彼女が声をかける。そして2人は段々に惹かれ合うようになっていく。彼女は高校の進路相談員で、元教師で小説家を目指すティエリーと暮らしていて、近々結婚する。結婚披露パーティーで新郎新婦でタンゴを踊ろうという計画で彼女はタンゴ教室に通っていたのだ。しかし彼女はそのことをジャン=クロードには言わなかった。彼女が黙っていたのはティエリーを愛している、あるいは愛していた、あるいは愛していると思いたいからで、結婚も予定通りするつもりだったが、それでも実際にジャン=クロードに惹かれていく自分に戸惑っていたからだろう。

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先にも書いたように、キスシーンが一度あるだけで、あとは2人の感情は見詰め合う視線と一緒に踊るタンゴで示されている。それにしてもタンゴとは情熱的なダンスだ。実際のセックスよりも官能的かも知れない。見詰め合い、手と手や肩・腰などが触れ合うのみで、性的欲求の直接的充足も肉体的快感も伴いはしない。そこに純化され、濃縮された情熱がぶつかり合う。

(以下ネタバレ)

しかしジャン=クロードは、彼女には婚約者との結婚が控えていたことを知って、自分が弄ばれ、侮辱されたと思い、彼女に会うのをやめ、タンゴ教室にも行かなくなる。そんなときホームの父親が死に、遺品から実は息子を愛していたけれど父親がそれを表現できなかったことを知る。また同じようなケースで意地を張って素直になれなかった後悔を秘書に忠言され、彼は再びタンゴ教室に行くのだった。(ラストは書かないでおきます。)

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作り自体には甘さや安易さ、安っぽさもないわけではありませんが、主演・助演の好演もあって、なかなか良いラブストーリーでした。(物語70点、キャスト85点、演出75点、音楽80点、全体80点、好き度90点と言ったところでしょうか。)

8.jpg




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Last updated  2007.09.26 05:46:03
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点数高いですね~♪  
タンゴか~ 
全然違う映画ですが、アル・パチーノが盲目で、
タンゴを踊る映画「セント・オブ・ウーマン」
で、タンゴとは、なんと情熱的で洗練された
踊りなのだ!!と感動したことがありましたが、
あの息さえも絡むような踊りはすごいですね~

50歳と30歳か~20歳の年齢差か・・
そういうところも、ちょっと興味あります。
いつか、見てみたいと思います! (2007.09.26 09:29:47)

RE:点数高いですね~♪  
racquo  さん
Nobubuさん、

期待が低かったのが良かったのかも。
アンヌ・コンシニィの魅力が大きいです。
この映画92分と短かめで、
100分ぐらいにすればもっと細部が描けたでしょうが、
欲張らずに無理せず短くまとめたのが良かったのだと思います。

『セント・オブ・ウーマン』見たことあります。
なかなか良かった記憶です。
高級レストランでハンバーガー食べるシーンがあったと思うのですが、
これがアメリカ文化の現実なんだろうな~、なんて思いました。

フランソワーズ役は40少し前と言ったところで、
演じたコンシニィは当時すでに40は超えていたと思います。
自分は、十代~二十代前半の、ただ若いからのキレイさよりも、
歳を重ねても魅力的な女性が、中学生の頃から好みだった気がします。

(2007.09.26 19:03:53)

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