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木昌1777さんComments
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わが家に酸素吸入器が運び込まれた。入院した義母の症状がときどき血中酸素の量が低下することがあり、酸素吸入で回復することはもちろんマスクをするだけ、ときには何もしないで1、2時間で回復するということだったので、訪問医が家庭での酸素吸入を段取りしてくれたのである。
初めて見る酸素吸入器を使ってみたくてうずうずしていたのだが、そういう時に限って義母の症状は安定しているのである。その後、何度か使う機会が訪れたが、とにかくこの酸素吸入器があるだけで妻も私もとても安心なのである。なにか新興宗教の神様(神器)のような存在である(私にはまったく信仰心はないのだが)。マルクスの言う物神化とはこういうことか、と妻に冗談を言ってみるが不審げな顔をするばかりである。
今日は朝から義母の血中濃度は正常である。午後はヘルパーさんが入浴させてくれる日なのだが、やや熱があるので全身の清拭で済ませることにした。清拭の前後にも血中酸素を計ったが正常である。その時、ヘルパーさんに血中濃度の測り方を示して、ときどき計ってくれるようにお願いした。とにかく観測していなければ酸素吸入が必要かどうかわからないのである。
ヘルパーさんが帰り、私も出かける時間になったが妻はまだ帰ってきていない。もう一度血中酸素を測定し、念のため数値をLINEで妻に報告して出かけた。




勾当台公園から一番町へ。(2019/7/12 18:57~19:05)
今日も30人のデモになった。コーラーは前に何度かやったことがある人だと思うが、とてもカラフルで楽しいのである。普通のコールのリズムで始まるのだが、演劇調で終わったり、歌曲風に変わったりして油断がならないのである。
しかし、コアの30人のデモである。あっという間にコーラーに合わせるようになった。30人は、もうすでに立派なベテランのデモ人なのである。




一番町(1)。(2019/7/12 19:06~19:07)
デモを歩きながらコールもするが、何種類かのアピール(メッセージ)も読み上げる。今日のアピール文の一つは次のような内容だった。
福島原発事故から8年が過ぎました。しかし、事故はまだ終わってはいません。
福島県は7月9日、福島原発事故による自主避難者のうち、提供していた住宅から退去しなかった63世帯に対し、なんと家賃の2倍の損害金の請求書を送付しました。
しかし、退去したくても退去できずに残った世帯は、原発事故による長期の避難生活で困窮し、病を抱え、行く先を見つけられない人たちです。
そうした被災者に対しては、生活再建のためのより手厚い支援が必要です。
にもかかわらず、懲罰的な請求をするということは、被災者をさらに追い詰め、生存の危機を招きかねず、受け入れることはできません。
福島県と復興庁は、県民・被災者の命と生活を守る責任者として、懲罰的な「2倍家賃」請求を撤回し、当該世帯の人々に誠実に向き合い、退去の条件が整うまで入居継続を保障することを強く要求します。
このアピール文は、例えば7月10日付の朝日新聞デジタルの 「公務員住宅退去せず「損害金」 原発事故の被災者の請求」
という記事で報道された福島県の行政行為を批判して急遽作られたものである。それほど長くない記事なので全文を引用しておく(小泉浩樹さんという記者の署名記事である)。
東京電力福島第一原発事故で福島県を離れ、国家公務員住宅で暮らす自主避難者のうち、退去期限後も住み続けた5都府県の63世帯に対し、県が家賃の2倍の「損害金」を請求したことが9日、分かった。
県は、自主避難者への住宅の無償提供を2016年度末で打ち切った。県外の国家公務員住宅に避難し、転居先が決まらない世帯に限り、今年3月末までの2年間、家賃を払えば住めるようにした。その後、引っ越し先が決まらない世帯向けに相談会を開いてきた。
ただ、期限後も住み続けた場合、家賃の2倍の損害金が発生すると契約に盛り込まれており、今月8日付で63世帯に4月分の損害金、計約300万円の納付書を送った。1世帯当たりの損害金は2万~15万円。県は5月以降の分も今後請求する方針だ。
今月1日時点で国家公務員住宅で暮らす自主避難者は55世帯。避難者の支援団体「原発事故被害者団体連絡会」によると、病を患ったり収入が低かったりして転居がままならない世帯もあるといい、武藤類子共同代表は「県が非情な通知を出したことに驚く。最後まで寄り添ってほしい」と話した。
原発事故から8年、国や県が被災者を切り捨てる棄民政策を一貫してとり続け、原発事故を終わってしまったもの、なかったものにしようとしていることは明らかだったので、このニュースもいつものような憤りと同じような感情で受け取ってしまうことが悔しい。
被災して8年間、そしてこれからも苦しみ続ける人々に対してこれほど非道なことがあろうか。まるで人非人ではないか。そのような思いに至った時、人非人である具体的な実在する人物が思い浮かばないことに気づいた。
自主避難者へ住宅の無償提供を行うことを決めたのも具体的に実在する誰かであった。2016年度末で無償提供を打ち切ることを決定したのもある特定の誰かである。公務員住宅に限り2年間の延長を認めた誰か、どんな根拠があるかわからないが2年を越えたら家賃の2倍の損害金が発生すると契約書に書き込んだ誰か、それを根拠に損害金を無情にも請求する誰か。
ニュースはその主体を「福島県」とのみ記しているが、具体的な名前のある人物(たち)が「人非人」として非道な行政行為を遂行しているのである。複数の組織、人間が関与することで、その非道性が薄まるわけではない。人非人が人非人でなくなるわけではない。じっさいには周囲から普通の人と思われている役人の多くが無自覚のまま人非人となって非道を行っているのだろうと想像する。




一番町(2)。(2019/7/12 19:09~19:14)
もう一つの「非道」のニュースがある。 「3.11被災 固定資産税の減額終了へ 原発避難者、税6倍にも」
という題のニュース(7月7日付け東京新聞)である。
私たちの住む宅地の固定資産税は地価公示価格などによる「評価額」に税率を掛けて決められている。宅地に住宅が建てられていればその固定資産税を減額する特例があって、最大で六分の一に減額される。
福島原発事故で避難した人々の住宅は誰も住んでいなくても建ってさえいれば減額された固定資産税を払えばよい。しかし、放射能汚染で住めなくなった住宅は放置せざるを得ない。人の住まなくなった家の痛みは早く、動物が入り込んでさらに荒廃し、やむなく解体せざるをえない人が多い。
原発事故のため解体した住宅の跡地(更地)に対しては、住宅があるという「みなし規定」が適用されているが、それは2012年度から2022年度までと期間が定められている。つまり2023年4月以降には現在の6倍の固定資産税を払わなければならない被災者がいるということである。放射能汚染で住むことも売却することもできない土地に普通の宅地並みの課税がなされるのである。
記事の最後に次のような一文があった。
〔固定資産税などの〕 地方税法を所管する総務省は「現状で規定を延長する議論はない」と説明。固定資産税は各自治体で税額を決め、徴収しているため、どの自治体が特例で減額しているか把握していないという。
ここにも具体的な人の顔は登場しない。法があって適用するだけだという雰囲気である。つまり、原発事故があって、東京電力が放射能をまき散らし、福島の人たちの住宅と土地を人の住めない場所にしてしまったという事実は捨象されているのである。
そのような事態のために政治家や役人は存在しているのだが、既成の法の陰に隠れて被災者のために何をすることもなく、みごとに顔を隠しているのである。「不作為の非道」を行う人非人と呼ぶべき存在ということではないか。



青葉通り。(2019/7/12 19:18~19:22)
デモが終わり、帰り道でLINEを確認すると義母の血中酸素量の報告が既読になっていない。せっかくの報告を妻は見ていないのである。まあ、LINEは私と妻、それに息子と娘の4人だけの連絡に使っているので、もともとあまり見る機会は多くはない。それで妻も私もLINEに届いていることに気づかないことが多い。
妻はずっと以前からだが、私もまた義母に関わる時間が圧倒的に多くなった。とはいえ、こういう日々がずっと続くことを願うばかりである。宵闇の中でそんなことを考えながら帰路を急いだのである。
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