日経の朝刊の先月の私の履歴書は山口淑子さんでして、まさしく戦争に翻弄された半生でした。折に触れて戦争で不条理な生涯を送った方の物語を読むと
戦争しちゃいけないッて思いますよね。

かよさんとこ風おさまりましたか。ことらはいま結構強い風が吹いています。
大事なかったですか、本当に自然のエネルギーはすごいですね。
(2004/09/07 06:19:17 PM)

2004/09/05
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カテゴリ: 読了本


東大仏文卒→TBS勤務→九大医学部卒、現在、精神科医。
英語、フランス語、韓国語もこなせる語学の達人。
本作は「日本人として書いておくべき義務がある」物語として構想された。


現在の河時根と半世紀前の回想との物語。

韓国・釜山の河時根(ハーシグン)会長の元に、日本に居る日本名を吉田と名乗る韓国人の友人から手紙が届いた。
戦前、河時根らが強制連行されて働かされた炭鉱のボタ山が壊される案があるらしい・・・・と。
最初は強制連行によって渡った海峡、そして戦後解放されて祖国に戻る為に渡った海峡、そして三たびの海峡を渡ることを決心する。
昭和18年、17歳だった河時根は病弱な父の替わりに強制連行され日本の炭鉱で地獄のような働きをさせられた。
食事も満足に与えられず、15時間以上働かされ、寒い煎餅布団で寝かされ、死ぬのを待つか逃亡か・・・と皆考えるようになる。
しかし逃亡を企て見つかり、なぐり殺された者、なぶりものにされ発狂した者、・・・・
この人たちの事は、今も心にある。

が、河時根は逃亡し、運良く土方の仕事して食いつなぐ。
そこで知り合った日本人女性・千鶴。
そして子供が出来る。
戦後になり解放され祖国に戻るが、日本人の嫁など誰も認めず村八分になる。
日本から千鶴の両親が無理やり千鶴と子供を日本に連れて帰る。
千鶴も子供の将来、河時根にとっても日本人の妻が居ると不利な将来を考え、泣く泣く日本へ帰る決心をした。
その後、河時根は幼なじみだった女性と出会った。
彼女も日本軍によって深い心の傷を持っていた。
2人は結婚し、子供も出来、事業も成功した現在。

三たびの海峡を渡って、千鶴と自分の子供に再会する。
息子は、父を憎まず迎えてくれた。
河時根にとって、赤ん坊の時に別れ、何の援助もしなかった千鶴と息子には恨まれても仕方ないのに・・・
千鶴は再婚もせずに女で一つ、行商をして息子を育てて死んでいた。
ボタ山を見ると炭鉱でのつらい仕事、同胞達の死が思い出される。
このまま彼らを忘れ去らせて良いのか??
息子に最後の手紙を残し、人生の最後の大仕事に決心する。

***************************

戦争中の平時でない時の人間の凶暴さ野蛮さ。
差別による人を人とも思わない行動。
悲しくつらい出来事です。
戦争という人の心を狂わすものの怖さ。
そんな中でも、清く生きる人もいる。
重いテーマですが、どんどん読み進みました。
戦争と平和を考えてしまう本です。
皆さんも読んでみてください。





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最終更新日  2004/09/05 02:37:22 PM
コメント(12) | コメントを書く


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Re:『三たびの海峡』・帚木蓬生さん(09/05)  
123mao  さん
人としての尊厳が脅かされる、というのが一番辛いです。
どんな争いごとをしていたとしても、これだけは守ってもらいたい。
でもエスカレートしてしまんですよね。
こういう本を読むと考えさせれます。
(2004/09/05 11:10:53 PM)

Re:『三たびの海峡』・帚木蓬生さん(09/05)  
ばあチャル  さん
韓国ブームとかヨンサマとかそんなことよりこんな本を読まなければと思いますよね。
北朝鮮問題もいろいろ深刻で、拉致は非道ですが、日本も非道なことをしていなかったとはけして言い切れません。
問題山積み感のあるときにかよさんはすごい発掘をしているんですねー。さっそく、メモでした。 (2004/09/06 10:33:42 AM)

Re:『三たびの海峡』・帚木蓬生さん(09/05)  
はなびら  さん
この作家さんはキリスト教の信者さんかなと想像させますね。かよさんとのお付き合いは「薔薇窓」がきっかけでしか?この作家さんのほんは何冊か読みましたがどうもこれには中々手が伸びません。
(2004/09/06 02:24:09 PM)

Re[1]:『三たびの海峡』・帚木蓬生さん(09/05)  
☆かよ  さん
123maoさんへ
>人としての尊厳が脅かされる、というのが一番辛いです。
-----
そうですよね、人としての尊厳=!
でも、戦争は殺されるか殺すか。
正当防衛かどうかとか考えてたら、その瞬間に殺されてしまうでしょう。
死んだらお終いです。
そういう神経の中では、人は狂ってしまうのでしょうね・・・・
(2004/09/07 05:12:23 PM)

Re[1]:『三たびの海峡』・帚木蓬生さん(09/05)  
☆かよ  さん
ばあチャルさんへ
韓国ブームのヨン様も韓国映画も全然興味が無いけど(恋愛ものが好きじゃなくて)、朝鮮人にした非道な事、北朝鮮の拉致という非道な事。
いろいろな角度から読んでみるのも大切かな~って思います。
初めて読む作家さんですが、他の国を題材にした海外ミステリーとかも有るようなので、今度読んでみます。
でも、他の本はかなり分厚い本でした。
この本は、この方の中では薄めの350ページでした。
(2004/09/07 05:19:42 PM)

Re[1]:『三たびの海峡』・帚木蓬生さん(09/05)  
☆かよ  さん
はなびらさんへ
>この作家さんはキリスト教の信者さんかなと想像させますね。この作家さんのほんは何冊か読みましたがどうもこれには中々手が伸びません。
-----
無信仰の私には(しいて言えば、あたりまえの答えの”仏教”としか言えない)宗教の違いが解からないので、何処がキリスト教徒と思わせるのか解かりません・・・
初めて読む作家さんでした。
で「薔薇窓」を今ネットで検索してみました。
パリでのサスペンスもののようですね。
他の方の感想をみてもやはり「三たびの海峡」は、感動ものです。
この中の日本人の千鶴という女性の芯の強さや、息子の素直な心が良いです=☆
(2004/09/07 05:33:36 PM)

Re:『三たびの海峡』・帚木蓬生さん(09/05)  
olive2004  さん

Re[1]:『三たびの海峡』・帚木蓬生さん(09/05)  
☆かよ  さん
olive2004さんへ
>山口淑子さんでして、まさしく戦争に翻弄された半生でした。折に触れて戦争で不条理な生涯を送った方の物語を読むと戦争しちゃいけないッて思いますよね。
-----
李香蘭さんの半生のドラマとか何度か見た気がしますが、本でも今度読んでみたいです。
私の方は台風の被害も無く読書をしていました。
今日は、とても良い天気です。
(2004/09/08 10:28:24 AM)

Re[2]:『三たびの海峡』・帚木蓬生さん(09/05)  
はなびら  さん
「薔薇窓」も面白いです。キリスト教かなって思った作品は「閉鎖病棟」です。ヨーロッパ文化などはキリスト抜きには考えられないですよね。薔薇窓は教会上部にあるステンドグラスの丸窓のことなんです。 (2004/09/08 11:49:07 AM)

Re[3]:『三たびの海峡』・帚木蓬生さん(09/05)  
☆かよ  さん
はなびらさんへ
この方の作品もう少し読んでみますね。
でも鈍い私には解からないと思いますが・・・
でも、今 韓国の方もキリスト教が多いんですよね・・・・
(2004/09/09 10:05:06 AM)

Re[4]:『三たびの海峡』・帚木蓬生さん(09/05)  
はなびら  さん
キリスト教の布教に失敗した国は唯一(ではないかもしれないですが)、日本だそうです。そんなことが書かれているのを以前読みました。日本にはなじまなかったのですね。日本は八百万の神の国だからかしら。 (2004/09/11 08:59:47 AM)

Re[5]:『三たびの海峡』・帚木蓬生さん(09/05)  
☆かよ  さん
はなびらさんへ
宗教的な戦いは無い方が良いから、日本の無信仰これで良いですけど、他にこんなに無信仰な国って有るのかしら?
(2004/09/11 10:38:48 AM)

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