経堂界隈

経堂界隈

September 6, 2009
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カテゴリ: 経堂町小史
日曜朝、昔お仕えした社長の七回忌、藤沢に向かう。
彼はスイスの人だが、某外資の日本法人社長として辣腕をふるい、われわれをこき使った。
怒った姿は、まさに赤鬼。
何度も逆鱗に触れながら反論。
毎日が喧嘩だったが、なぜか、それなりにおっさんの信頼を得、こちらもあちらを尊敬してきた。彼の姿にほれ込んだ女性も多く、某社は独身女性の宝庫。奥様は日本の方。
数年前退任された副社長が「今日のメンバーは、相変わらず少子高齢化」と口をすべらせれば「経営の責任」と声が飛ぶ。

海外赴任は絶対に嫌と決めた自分。外資の日本法人ならば、よもや海外勤務はありえまいと選んだ先だが、彼がアジアの総支配人を兼務するとともに、韓国、香港、台湾、シンガポール、タイと、出張ベースではあるものの、転々と働いた。東京ーソウルー名古屋ー台北ーバンコクなどという、むちゃくちゃな出張もいくつか思い出す。

奥さまご家族、当時の友人たちといった方々ともっと旧交を温めたいところではあったのだが、午後から経堂の福昌寺で、小学校同級生のまっちゃんが主催する、「徳談会」という定例の催しがあり、そちらへとって返し、 小林善彦先生 お話し

帰宅後、一日を整理し、ETV特集「キム・デジュン 肉声でたどる激動の生涯」

「○○さん(七回忌の社長)が、よく言ってたのが
Nothing lasts foreverと
Everybody is a customer
今回の民主党もそうだけど、金大中という人の生涯は、まさに、そういうことの連続だったね」
「えっ?彼はそんな驕りたかぶった人じゃなかったよね」
「あ、もちろん彼のことじゃない。
朴正煕、全斗煥、盧泰愚など、金大中元大統領を迫害する側にあった歴代大統領が、軒並み暗殺、汚職で死刑判決を受け、晩節を汚したのに対し、迫害された金元大統領のみ、金で買った南北首脳会談とか多少のことはあるにもせよ、ノーベル平和賞を受賞し、死にあたっては暗殺された朴正煕以来30年ぶり、二人目の国葬をもって送られた。
金元大統領の周辺を通りすぎていった人々の歴史は、まさに、
Nothing lasts foreverと
Everybody is a customer

禍福はあざなえる縄の如しだ」
金大中事件 の真相は、これで永遠に公式にはわからないのかしら」
「真相は多面的なものであって、今言われていること以外のことが出てくることもある。当事者である元大統領がお亡くなりになり、日本の政党も自民党から民主党に変わったことで、潮目が変わることがあるかもしれないし、歴史的な南北和解が為され、韓国の現在の諜報機関が一定の役割を終えるということも、遠くない将来に起こり得る」
「なぜ、あのとき金大中は殺されなかったの?」

「アメリカの?」
「そうだと思う。それと、警察、警視庁の面子かな?」
「警察、警視庁?父はそんなこと言ってなかったわ」
「日本から見れば、金大中事件の本質は、日本国の主権を韓国情報機関が強烈に侵害したところにある。特段の警戒対象でない一般人を拉致された北朝鮮より、事実上日本政府の保護下にある外国要人を誘拐されることのほうが、さらに面子に関わるといえる。
外務省に韓国に関連して主権侵害に建前以上の意識があるとは思えないが、警察、特に公安は意識の強いところだ」
「なめんなよってことね」
「そいうこと」
「アメリカは、なぜ、金大中を殺すなって言ったの?」
「当時、韓国は、ソ連、北朝鮮、中共に対峙する反共最前線だった。
ところが、この国の政権は、歴代、独裁、保守、反動で、人気が無い。 朴政権 は、軍事クーデターで誕生した長期政権だったが、その例に漏れない。
事件前の韓国大統領選挙での朴ー金両候補は僅差で、当時の韓国が、今より地域意識が激しく、チョルラ南道出身の金さんが、100万票を切るところまで現職の朴大統領にせまったことは、いかに朴政権が不人気であったかの証左といえるだろう。
朴政権は、日米それぞれの国内でも人気がなかった。
その人気の無い政権が、反対党の有力者を誘拐、殺害したとなれば、日米韓の国内世論が沸騰し、朴政権はもたないと、米国は判断したんだろう」
「アメリカは、なぜ、自分で直接韓国に言わず、日本に言わせたの?」
「米国に資料があれば公開されることになるが、当然、直接相当のことを言っただろう。仕切りを米国がつけ、実務処理は日韓に任せたのではないか?
日本政府が、韓国にあれほどすばやく、あれほど的確に、言うことをきかせた例はほかに無いし、他の事例に見る限り、それほど効果的なチャンネルを持っているとも思えない。
情報の速さからみても、米国の介在は間違いないところ。
直接米国が手を出せば、手の内がある程度明らかになってしまうことは避けられず、日本政府を通じて処理できる限りは、日本政府を使ったのだろう」
「金大中は大統領になったでしょ?なぜ事件の経過を不問にしたの?」
「金元大統領の盟友に、 金鍾泌 という人がある。
この人物は、朴元大統領に直接師事した軍人で、少なくとも、朴、金泳三、金大中と、三代の大統領誕生に関わっていることがわかっている。しかもKCIAの初代長官。
朴正煕暗殺後、与党共和党総裁として大統領となる可能性があったが、軍人としては後輩の、全斗煥、盧泰愚に排斥され、自宅軟禁までの迫害を受けた。
金鍾泌は、日本の大平外務大臣との会談などを通じ、日韓戦後処理に決着を着けたとしても知られている。全斗煥、盧泰愚、金泳三、金大中と四代の大統領の運命が、金鍾泌との距離感と一体を為すことは、彼が実質的に韓国No1の実力者であったとの見方に客観的裏づけを与える。
事件のとき、"金大中を殺すな"との日韓のやりとりは、大平ー金ルートも使われたはず。
金大中とKCIA間には、金大中大統領就任までに、事件について政治決着が着いていたことは、容易に想像されるところであり、そこにも金鍾泌の介在があっただろう。
政治決着の中身は、それが終わっていたものにせよ、継続していたものにせよ、金、KCIA両者ともに、それを明らかにすることは賢明でないという判断があったはず。
それは、金で買った南北対話にもつながっていく部分かもしれない。
さらに、大統領となった以上、大統領と情報機関の間に明らかな対立が存在すること、情報機関の弱体化につながりかねない事件解明 は避けざるを得ない。当事者だけがわかっていれば良いのだ。しかも、当時はアジア経済危機のさなか。そんな自分に関わることでの調査など、あと回しにせざるを得なかった」
「でも、そんな40年も前の事件について、日本政府は、まだ謝罪と真相究明を要求しているの?」
「そりゃそうさ。それがなければ、北朝鮮による拉致事件の追求、真相究明、拉致被害者帰国など要求できるわけがない。北朝鮮は、俺たちは、日本人13人を拉致したことを認め、口頭であったが謝罪し、関係者はすべて処罰したと言っているわけで、日本政府は、拉致事件解決の手段として、同盟国の韓国政府に対し、金大中事件の真相究明と謝罪を要求し続けねばならないという矛盾を抱えているわけさ」
「ふーん。深いのねぇ」
「しょうがねぇよ。お隣の国だからね。当然深いさ」
「韓国と商売やるときは、そういうことにも気を遣うの?」
「そうだとも、そうでもないともいえる」
「どういうふうに違うの?」
「普段はそうでもないさ。でも、韓国の人たちは、僕らとのさりげないやりとりの中に、僕らの韓国、朝鮮との距離感を繊細に感じ取っている。距離感、すなわち、この場合、人間性だな。日本の企業は、"勢いだけで人間性に欠ける人材"を韓国に送り込んではならない。中国もだ。今の日韓関係は、それぞれが相手国に送り込んだ企業人たちの不断の努力によって、支えられている。
どこの国とも一緒だけれど、とりわけ韓国、中国については、そのような心配りを忘れてはならない。
領土問題は、さすがに、いかがなものかと思うけれど、
教科書、靖国
しょせん対立の話にしかならない政府間関係は、政党、政府の心無い対応に端を発する場合がほとんどだ。
その点、僕は河野洋平という人を高く評価してる」
「いわゆる 河野談話 とかね。でも、軍が慰安婦募集に直接関与した証拠はなく、国益を害したって評価も多い」
「それは、為にする議論だ。問題の本質は軍の直接関与でなく、日中韓の国籍を問わず、軍の必要の下に、身体をお金で売る行為に女性の尊厳を貶めて従事させたということだ。
それを軍の直接関与の証拠はないって、声高に反論すれば、こいつら馬鹿じゃないかと思われるのは当然だ」
「証拠の無いことは無いといったまでだよ」
「だいたい安倍は長州だから、いかんのだ!冗談だけど」
「それは関係ないでしょ」
「長州だって、会津にどれほどひどいことしたか、公式に謝罪などしてないんじゃないか?」
「それこそばかばかしい。第一貴方だって実は、戊辰戦争で長州藩は会津と戦ってないって言ってるじゃない。山形有朋は、どっかの戦闘に手間取って、間に合ってないんでしょ。
会津でむごいことやったのは、実は、板垣退助だったって言ったじゃない」
「実は、その通りなんだ。でも、板垣退助は、自由民権運動で会津の人たちには人気があるんだな。うちのひい爺さんのところには、板垣退助から上京を促す手紙があったそうだ。
だが、それと従軍慰安婦の話しは別だ」
「まあねぇ。でも、会津の長州嫌いは、未だに感情として残ってるのね」
「あるねぇ。根拠の有無は別として」
「日韓の間もまだまだぎくしゃくするのね」
「とりあえず鳩山さんに期待しとこう。潮目が変われば、やり方も変わるかもしれない」





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Last updated  September 9, 2009 06:05:39 PM
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