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2004年06月26日

学部生の試験（３）：I恵ちゃんの成長（再掲載）

カテゴリ：カテゴリ未分類

さて、「うちの学校の1年」の

第3回は経営学部の最終学年I恵ちゃんの話。
これも昨年の5月にHP上に公開した文章の
再掲載です。

この時期になると、私はただの応援団である。

試験に取り組む学部生たちの応援団だ。

このところ、彼らの試験に関する話題を何度か取り上げてきた。

今日はＩ恵ちゃんだ。

「試験、終わったよ」

Ｉ恵ちゃんは、いつものバッチリメイクなのだが、顔がやつれている。この子は健康状態が顔に出る。いつもは遊び疲れで、顔色が悪かったりすることもあるのだが、今日は正真正銘勉強疲れだろう。

どうだった？

「うん。普通にできたと思うよ。」

そうか、よかった。

「でも、今回あんまり必死で覚えたりとかしなかったんだ。こう、ノート全体をぱらぱらとめくって目を通していくっていうかあ」

へえ、そうなの。どうして？

「うん。なんていうかなあ。こう、必死に覚えていくとお、試験の問題見たとき、覚えてることあれも書かなきゃ、これも書かなきゃってなって、だらだら書くだけで、結局自分の言いたいことまとまらなかったりして、得点が出ないんだよね」

ほう。

「それより、出た問題について自分の書きたいことをまず考えて、それを習った理論でサポートしていくっていうふうに書いたほうが結果がいいし。それで、あんまり覚えていかなかった」

私は感心した。
Ｉ恵ちゃんの言っていることは、かなりレベルの高い話なのだ。

私自身かつて、Ｒ太郎君の会社の先輩で、２年前に修士をやっていたＮ氏から
「試験というのは、時間もないからとにかく覚えていることをどんどん書いていくしかないですよ。英語のハンデもあるしね」
と言われたことがある。

Ｉ恵ちゃん自身も、昨年は試験前「もう必死で覚えなきゃ」って言ってたよなあ。

Ｉ恵ちゃんの言う「自分の書きたいことがあって、それを理論でサポートする」というのを、90分の試験という短時間にやることがどれほどレベルの高いことかは、
例えばテレビの討論番組で、
いわゆる識者と言われる人の意見が、
自分の思いつきを言っているとしか思えない、
逆に聞いている方からすると、いったいなにを根拠に言っているのかさっぱりわからないことが多いことを考えるとよくわかると思う。

これがＩ恵ちゃんなら、専門のビジネスについて例えば
「あの会社の状態ってこうよね。」って論じたあと、
「それは○△教授の言ってるＸ□って理論から言えるよね」
すらすらと続けられるってことだ。

突き詰めると、これができるようになるってことが
大学で学ぶことの目的だ。

しかし、これはプロでもなかなかできていない、すごいことなのだ。学者の端くれである私にだって、どれくらいできているかわからない。

いや、このＨＰみてもらえばわかるように、
努力はしてるが残念ながら私にはできていない。。。。

ほんとに成長したね。

以前に書いたけど、
Ｉ恵ちゃんは最初政治学部に入学して、１年修了時に自分に合わないとビジネス学部に転部。１年生からやり直した。１年の修了時に、今度は病気で１年休学。普通３年間のところを５年かけてやっと卒業だ。

時間がかかったけど、ほんとによくがんばったよな。

「これでぜーんぶ、終わった。さあ、遊ぶぞ！
ね、ね、ミシュランの星がついたフランス料理屋見つけたんだ。
かみぽこさんの家の近くだよ。Ｒ太郎君も誘っていこうよ！」

行こう行こう、

俺はいつでもいいよ。

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