自分らしく生きる

2009.05.21
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年々歳歳花相似 

代 悲 白 頭 翁 (白頭を悲しむ翁に代わる)劉 廷 芝

年々歳々花相似たり
歳々年々人同じからず
『卒業』『就職』『転勤』―人生の節目、「別れ」もあり、色々考えさせられる時期でもあります。
前に「楽しく学ぶ」ことについてお話しましたが、今回は、「学び方次第で楽しくなる」という実例です。
漢文が苦手、という方でも、ここにあげた漢詩の一節はどこかで、一度は聞いたことがあるはずです。
中国唐時代には、李白、杜甫、白楽天(白居易)をはじめ、多くの詩人が輩出し、わが国の文学作品にも、大きな影響を及ぼしています。*

作者は劉 廷 芝
作品名は「代 悲 白 頭 翁 (白頭を悲しむ翁に代わる)」という作品です。
 私は、ここ、二〇年オーストラリアと日本を行き来して、いろいろな人と知り合いになりました。が、転居、転勤、病気、死去、人によっては、消息不明になるなど、オーストラリアが移民国家であるだけに、一層、激しい移り変わりを感じ、思わずこの一節を思い出しました。
ここで、連想されるのは、杜甫の代表作「春望」です。
春 望
国破山河在 城春草木深
時感花濺涙 恨別鳥動心
烽火連三月 家書抵万金
白頭掻更短 渾欲不勝簪
(杜 甫)
杜甫は詩聖と称され、李白と並ぶ唐代随一の詩人。彼の生涯は、貧しく孤独な漂泊の旅。が、放浪の中にも常に妻を同伴していたといわれます。

(現代語訳)
長安の都は戦乱のために荒れ果ててしまったが、城には相変わらず春が訪れ,草木が生い茂っている。
こんな季節には、花を見ても、楽しいはずなのにかえって涙ぐみ、心をなごませてくれるはずの小鳥のさえずりにも(警戒心から)心を驚かす。
戦火は三か月も続き、家族からの手紙は、万金にも値するほど嬉しい。自分の白髪(しらが)頭をかくと、髪の毛も短く、冠をとめる簪さえも挿せないほどになってしまった。 

次に、唐の大詩人白楽天の大叙情詩「長恨歌」。これは玄宗皇帝と絶世の美女といわれた楊貴妃の代表的な悲恋、ラブロマンスです。(原文は長文なので省略、現代語訳のみ掲載)。

(*安禄山の乱)
反乱軍が突入し、皇帝は楊貴妃を始めとする身内と僅かばかりの側近を連れ、成都へ向けて脱出したが、百里ばかり進んだ馬嵬驛で部下の兵士が反乱を起こし、楊貴妃の命を求めた。かくて美しい楊貴妃(宛轉蛾眉)は皇帝の馬前に練り絹で自ら首をくくり、38歳でこの世を去った。(中略)やがて反乱は鎮圧され、皇帝一行は長安に帰ることができた。帰ってみれば、楊貴妃がいないことを除いては、池の芙蓉も宮殿の周囲の柳も昔のまま。芙蓉は楊貴妃の顔に見え、柳は彼女の眉を想い出させる。これを見るにつけ涙は止まることを知らぬ。
楊貴妃の霊の行方はなかなか見つからなかったが、海上に神仙の住む山があるという情報が入った。(中略)修験者は神山を探し当て、宮殿に向かい、皇帝の使者であると面会を申出た。
 豪華な帳(とばり)の中に、休んでいた美女は、皇帝の使いと聞いてはっとする。皇帝への思いで涙にうるむ眼差しで、「陛下はお元気ですか」と修験者に尋ねる。「お別れして以来、陛下のお声もお姿も遙か彼方へ遠ざかり、恩愛は絶えてしまいました。」「昔、陛下から賜った螺鈿(らでん)細工の小箱と黄金のかんざしを、恋の想い出として陛下にお持ち帰り下さい」。そういって二個の品物を二つに裂き、一つを陛下に一つを自分の手元に置く。「今は天上と人の世に二人は別れていますが、お互いの心が螺鈿の小箱や金のかんざしのように堅いものでしたら、もう一度お目にかかる日がありましょう。」別れ際に楊貴妃(の霊)は、更に言葉を重ねて陛下に伝えてほしいといった。
「…二人だけが知っている誓いの言葉があります。それは、七月七日の夜半、長生殿であたりに誰もいない時、二人が交わした愛の秘め言。私たちが天界へ召されたら羽が繋がった二羽の鳥になりましょう。また天界から地上へ戻されたら、枝がくっついた二本の木になりましょう。私たちは、今も、次の世も、その次の世も、夫婦であろうとお誓いしました。」「天は長く地は久しく存在するとしても、やがては天地ともに滅び尽きることがあるでしょう。だがこの恋の恨み、愛の裏にある別れの恨みは、天地が滅びようとも綿々として尽きることはないでしょう」と。
*筆者注
中国唐代でも、死後の世界が、美しく描かれています。
**わが国古典への影響例
清少納言は「枕草子」で、仕えていた中宮定子から詩人白楽天の七言律詩の中の「香炉峰雪撥簾看」(香炉峰の雪は簾を撥げて看る)を連想させる質問を受け、雪の日に御簾を高くあげてみせ、大いに面目を施した…というエピソードを紹介しています。
芭蕉は「奥の細道」で、李白の作品から「夫れ天地は万物の逆旅、光陰は百代の過客なり。」という一節を冒頭に引用。時代を問わず日本の識者たちは中国から学びそれを誇りにしていたことがわかります。

* イラスト化して、長恨歌
原文を掲載するのはいかが?
漢皇重色思傾国、御宇多年求不得。
楊家有女初長成、養在深閨人未識。
天生麗質難自棄、一朝選在君王側。
回眸一笑百媚生、六宮粉黛無顔色。
春寒賜浴華清池、温泉水滑洗凝脂。
侍児扶起嬌無力、始是新承恩沢時。
雲鬢花顔金歩揺、芙蓉帳暖度春宵。
春宵苦短日高起、従此君王不早朝。
承歓侍宴無閑暇、春従春游夜専夜。
後宮佳麗三千人、三千寵愛在一身。
金屋粧成嬌侍夜、玉楼宴罷酔和春。
姉妹弟兄皆列土、可憐光彩生門戸。
遂令天下父母心、不重生男重生女。
驪宮高処入青雲、仙楽風飄処処聞。
緩歌慢舞凝絲竹、尽日君王看不足。
漁陽?鼓動地来、驚破霓裳羽衣曲。
九重城闕煙塵生、千乗万騎西南行。
翠華揺揺行復止、西出都門百余里。
六軍不発無奈何、宛転蛾眉馬前死。
花鈿委地無人収、翠翹金雀玉掻頭。
君王掩面救不得、回看血涙相和流。
黄埃散漫風蕭索、雲桟?紆登剣閣。
峨嵋山下少人行、旌旗無光日色薄。
蜀江水碧蜀山清、聖主朝朝暮暮情。
行官見月傷心色、夜雨聞鈴腸断声。
天旋地転廻龍馭、到此躊躇不能去。
馬嵬坡下泥土中、不見玉顔空死処。
君臣相顧尽霑衣、東望都門信馬帰。
帰来池苑皆依旧、太液芙蓉未央柳。
芙蓉如面柳如眉、対此如何不涙垂。
春風桃李花開日、秋雨梧桐叶落時。
西宮南苑多秋草、落葉満階紅不掃。
梨園弟子白髪新、椒房阿監青娥老。
夕殿蛍飛思悄然、孤灯挑尽未成眠。
遅遅鐘鼓初長夜、耿耿星河欲曙天。
鴛鴦瓦冷霜華重、翡翠衾寒誰与共。
悠悠生死別経年、魂魄不曾来入夢。
臨?道士鴻都客、能以精誠致魂魄。
為感君王輾転思、遂教方士殷勤覓。
拝空馭気奔如電、昇天入地求之遍。
上窮碧落下黄泉、両処茫茫皆不見。
忽聞海上有仙山、山在虚無縹緲間。
楼閣玲瓏五雲起、其中綽約多仙子。
中有一人字太真、雪膚花貌参差是。
金闕西廂叩玉?、転教小玉報双成。
聞道漢家天子使、九華帳裏夢魂驚。
攬衣推枕起徘徊、珠箔銀屏??開。
雲鬢半偏新睡覚、花冠不整下堂来。
風吹仙袂飄?挙、猶似霓裳羽衣舞。
玉容寂寞涙闌干、梨花一枝春帯雨。
含情凝睇謝君王、一別音容両渺茫。
昭陽殿裏恩愛絶、蓬莱宮中日月長。
回頭下望人寰処、不見長安見塵霧。
唯将旧物表深情、鈿合金釵寄将去。
釵留一股合一扇、釵擘黄金合分鈿。
但令心似金鈿堅、天上人間会相見。
臨別殷勤重寄詞、詞中有誓両心知。
七月七日長生殿、夜半無人私語時。
在天願作比翼鳥、在地願為連理枝。
天長地久有時尽、此恨綿綿無絶期。





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最終更新日  2009.05.21 09:36:31
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