2006.11.27
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カテゴリ: がらくた箱
ペインターS氏と共に成都駅前の流しの桃屋から籠ごと黄桃を買ったのは
当時の成都の桃が美味かったからであったが、10元札を渡したのに
両替して来ると言った桃屋はいくら待っても釣りの4元を持ってこない。
流しなのでそのまま逃げたのだろう。列車の発車が迫っていたので、
仕方なく駅の改札に向かったのは今も痛恨の思い出であり教訓である。


成都から上海行きの特急は、残念ながら硬臥が取れず軟臥となった。
S氏の分も留学生料金(=人民料金)で切符が買えたのがせめてもの幸い。
(当時、飛行機や列車等の外国人料金は人民料金の倍であった)

軟臥は4人コンパートメントだが、外国人だけで固めて隔離するためか、

S氏と私、軟臥で一緒になった20代の日本人男性3人でシェアしていた。

この男性は個人旅行で中国国内を回り、上海から帰国の予定だという。


ところが、間もなくこの男性が 妙な奴 であることにS氏も私も気付き始めた。

人を見る時に舐めるようなしつこい視線を送ってよこす。
変に下ネタじみたことを1人で言ってこちらの顔をちらちらと窺う。
S氏も私もその手の話は語らないでもないが、誰と語るかは人を見る。
初対面のどこの馬の骨とも知れぬ男とその手の話に興じる気は全くない。
まして妙に持って回ったような言い回しが余計下卑て聞こえる。
早い話が 「お前の変に回りくどい下品な話なんざ聞きたかねえよ」 である。


そう思っているのがお互い自分だけじゃなかったことに気付いて笑った。

まさかいきなり妙な事を仕出かしはしないだろうが、粘着質なオーラが
鬱陶しい。密かに ナメクジ の名を奉った。


車中の食事は食堂車に行く、盒飯(車内販売の弁当)を買う、自前で調達の

S氏と私が盒飯のチケットを売りに来た服務員からチケットを買っていると、
このナメクジ氏が「あ、僕の分も買っといて」とのたまう。

…何様?(-"-)

1人で中国国内を回ったんだったら弁当ぐらい買えるだろう。
友人でもないお前にそういう頼み方をされる筋合いは全くない。
頼むならきちんと丁寧な頼み方をしろ。日本語分からんのか社会人のくせに。

と言いたいのを押さえて買ってやる。ま、盒飯は美味しかったけど。


上海までは2泊3日。

彼は下段なので私たちは上段で寝ていた。同じ下段は薄気味悪い。
夜中に鼾歯軋りが喧しい上に ベッドから落ちる ので
こっちもおちおちゆっくり眠っていられない。
もし私も一人旅で、彼とコンパートメントで2人だったらと思うとぞっとする。
たぶん替えてもらっていただろう。


列車は何事もなく上海に着いた。
さてこれでナメクジ氏とも縁切りだ、S氏と宿を探すぞと思った矢先、
「僕も泊まる所が決まってないから一緒に行きます」と言う。

…( ゚Д゚)はあぁぁ?
一緒に行動するのはすごく嫌なんだけど。

こんだけずっとあからさまに鬱陶しがっているのに全く気付いていない。
神経が電信柱のように太いに違いない。


とはいえ上海の安宿探しは当時困難で、嫌だと言うのも気の毒な気がして
仕方なく一緒に安宿を何軒か当たったが案の定どこも満室。
そのうち某ホテルで、安宿ではないがそこそこ便利で高くはないホテルを
教えてもらい、そこへ向かった。

確かにドミトリーはなかったが、それほど高くないし外灘も遠くない。
ツインの部屋は満室で、トリプルがあると言う。
それではS氏と私でトリプルに、ということにしたが、ナメクジ氏が言う。
「トリプルに一緒に泊まりませんか。僕もこれからまた探すの大変だし」


…(-∀-#)何で
お前と。

探してるのは私たちで、お前は探してもいないだろうが。



とは思ったが、空いている部屋はそのトリプルひとつしかない。
ナメクジ氏が1人で他のホテルを探しに行けば良いのだが、
「僕ももう疲れたし」などとへばっている。根性も体力もない奴だ。

かなりあからさまにストレートに露骨に嫌な顔をしながら、
「一泊は仕方ないですね」と冷たく言い放って仕方なく部屋をシェア。


すぐさまS氏と2人で部屋を出て上海の安宿の聖地、浦江飯店に向かう。
翌日の女子用ドミトリーを当てにはならないものの予約し、朝一番で
浦江に出向いてベッドを確保する作戦に出た。
明日以降もナメクジ氏と同じ部屋にいるのは我慢ならない、というのが
2人の共通見解であった。

そのまま2人で夕食を食べ、部屋に戻るとナメクジ氏が所在なさげに
売店で買ってきたらしいビールを飲んでいる。
「夕食はどうするの?」と訊かれたので、「もう食べました」と答えた。
「あ、なんだ」とぶつぶつ言いながら「じゃ、僕も食べてきます」と
部屋を出て行った。ホテルのレストランで食べてくるつもりらしい。

ナメクジ氏がいる時に風呂に入るとあの粘つく視線で見られそうな気がして、
S氏と交代で速攻シャワーを浴びた。いい加減神経過敏になっている。

ナメクジ氏が帰ってくる頃には、S氏共々寝るばかりとなっていた。
「明日はどうするの?」と彼に訊かれたので、答えるのも癪だったのだが
「明日は浦江に移ります。予約もしてきたし」と答える。
「え、ずっとここに泊まるんじゃなくて?」とナメクジ氏が言うので、
「もうしばらく上海にいるし、高いホテルにいつまでもいられないからね」
とS氏が言った。

お前、ずっと一緒の部屋にいる気だったわけ?
と訊いてみたい気もしたが、止めておいた。訊くだけ無駄。


翌朝。まだ寝ているナメクジ氏を置いて、S氏と2人浦江に向かった。
9時からベッドの空き状況が分かるので、それまで待つ。
無事ドミトリーが取れ、その場でチェックイン。ホテルに荷物を取りに戻った。


戻ってみるとナメクジ氏はいなかった。
置手紙があったので読んでみる。

「お世話になりました。宿を代わって一緒にいられないのは残念ですが、
僕は上海大廈(高級ホテル)に移ることにします。何かあったら連絡ください」
最後に日本の連絡先が。


悪いけど、全然残念じゃないよ私たちは。
つか、上海大廈に泊まれる金があるなら最初から1人でそっち行け。


S氏と同時にこう突っ込んだのは言うまでもない。


なお、ナメクジ氏は青少年育成に関わる公務員であった。
たぶん今もやっていると思う。不祥事を起こしたりしていなければ。





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最終更新日  2006.11.27 23:55:41
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