32話

第十六章  首輪




午後6時の放送が掛かった時、女子2番和泉 真紀は

二人に対して休んでるよう言い、自分は死亡したクラスメイトの名前や

禁止エリアなどを細かく書き込んでいた。

「これって・・・ホントに・・ホントに?」

そう一時間後の7時からは既にこのエリアは禁止エリアになるのだった。

これを利用してしまおうと真紀は目論んでいた。

そこに男子20番米田 浩二が和泉のいるリビングへ向かって行き

こう言った。「おい!ここって禁止エリアになるんじゃねーのか?」

それに対し和泉はこう言った。

「ええ!ここ微妙にだけど禁止エリア内だわ・・・

もう少しだけ移動したほうがよさそうね・・・ほら・・・

3軒ぐらい横のお店なんかよさそうじゃない?」

それに対して浩二は即答した。

「それだったらかなり離れないとだめなんじゃねーのか?

そんなチマチマ移動してもしそこもぎりぎり禁止エリアだったら

どうするんだ?」浩二の意見はもっともだった。

「そうね・・・じゃひとまず隣のエリアだと分かるとこまで

移動したほうがいいわね」「そうしよう・・・」

そういうと3人は荷物を持ち移動を開始した。


 そろそろ次のエリアの井戸のある民家が見えてくるところだった。

しかし・・・・・・。

「おい!」チャキッとした音がし

そのコルト・トルーパーの銃口は紛れもなく真紀の方へ向けられていた。

あずさが驚いて目を見開いた。それを察知したかのように

真紀は振り向く・・・。「何?気付いた?」

その口元は不気味に微笑んでいるようにも見えた。

「お前・・・さっきからグルグルと・・・このエリアから

脱出はしてるのか?」ジリジリと銃を構えながら浩二は歩み寄る・・・。

「え?・・・?そう・・・なの?」

あずさが今更気付いたかのように浩二の方を不思議に見ていた。

そして真紀はチラッと腕時計を見る。

「さすがに・・・56分も同じようなとこぐるぐる回ってると

気付くか・・・・でも狙い通りだったわよ・・・

まずあまり体力に自信のないあずさの体を第一に考えていた

あなたはいくら禁止エリアのことがあるとは言え時間よりあずさのことを

気にかけるだろうし・・・禁止エリアのことは

このあたしに任せておけばいいわけだしね・・・」

「一つ・・・・疑問がある・・・なんでだ?

・・・・こういう方法を使って俺らを殺すってのもいいが・・・

お前も死ぬぞ?」それを聞いて

再び不気味に口元を微笑ませてるように見せる。

「そうね・・・もしここが禁止エリアだったとしても

・・・・首輪が爆発するのは・・・・あなた達だけじゃない?」

あずさが挟まってくる。「な?それってどういう意味?」

「ふふ・・・これがあたしの支給された武器・・・」

そう言うと真紀は支給された紙切れを浩二に見せた。

「な?なんだよこれ・・・・」

そう・・・・真紀に支給された武器は・・・・。

「こ・・・これがホントだったら・・・・クソ!!」

浩二が急いであずさを連れてコンパスを頼りに脱出しようと走り出した。

支給された武器の詳細は・・・・。

「え?え?・・・・何?」浩二があずさの首輪を見てみる・・・・

既に首輪からは何かぴぴぴぴぴぴとした電子音が鳴り始めていた。

「タイムアップよ・・」真紀がそう口にした瞬間

二人の首輪から一瞬閃光が出て暗くなり始めた辺りを少し照らした。

鈍いドンっとした音がそこに鳴り響き。

続いて濁った水滴が木々の葉にボタタっと垂れる音がした。

その水滴は二人の首から吹き出した大量の血液だった。

そして真紀は昨日の児玉 優のことをチラッと思い出した。

「折角・・・あんた達良いカップルだったのに・・ごめんね・・・」

そう言うと真紀はコルト・トルーパーと一応・・スタンガンも回収し

そのエリアから急いで去った・・・・・。

その紙切れに書いてある内容はこんなものだった。

(あなたに支給された武器は特殊な首輪です・・

禁止エリアになっても5分は耐えることが出来ます。

ただし役場のエリアは無効です・・

立ち入り確認次第こちらで直接首輪を爆破させます)

真紀に支給されたのは他の人の首輪とは構造が若干違う・・・

禁止エリアに立ち入っても5分は爆破しないという 特殊首輪 だった。
             新たな死亡者男子20番米田 浩二
                   女子19番森嶋 あずさ
                     【残り19名】



BACK

NEXT

オリバトTOP


© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: