39話

第二十章  現実




「え・・?」「いないじゃない・・」

淳と愛理の二人はそこにいるはずの・・

いたはずの希莉がいないのを目の当たりにし・・・困惑していた。

「なんでだよ・・・さっきまでいたんだぞ?」

淳は全く状況が読めないと言うような表情で嘆く・・。

「・・・・これが現実よ・・・・もう忘れたの?

さっき放送掛かっていたでしょう?つまり希莉は逃げたのよ・・・

もう残りがわずか17名・・・さすがに戦力になりそうもないあなたと

怪我をしている私を一緒に連れて歩くのは

マズイと考えたのでしょうね・・・」それを聞き淳は反論する。

「な・・?そんなこと・・・あるはずないだろ!

・・じゃ・・じゃあどうして俺達を殺さないんだよ・・

ゲームに乗ったとしたら俺らなんかショットガンで

あっという間に殺されてしまうだろ?

ってことは小柴さんだって完ぺきにゲームに乗ったってことは・・」

そこで更に愛理が巻き返す。

「いい?希莉がゲームに乗ってしまった・・・とは言ってないわ・・・

ただ私達は見捨てられた可能性が出てきたってことを

心に留めとかなければならない・・・違う?」

それを聞き淳は黙り込んでしまった。

「・・・・嘘だよ・・・そんなの・・・」

それを聞き愛理はついカッとなってしまう。

「ウジウジしないでよ!あなた・・・今まで何のために

私達と一緒にいたのよ・・・少しでもゲームに乗ってない人を

集めて何とか脱出策を練ろうとしていたんじゃないの??

あなたがそんなんだったら私はどうなるのよ!

この通り怪我が治ったばかりで今やる気になっている人が来たら

確実に何も出来ず死んでしまうわよ!そして・・

今私の身を守れるのは私自身じゃなくてあなたなのよ!」

それを聞き淳が「え?」と聞き返す。そして愛理はこう呟く

「少しでもあなたの事頼りになるなんて思ってしまった・・・

あたしが・・・馬鹿だったわ・・・・」

そしてそのまま走って行ってしまった。

「え・・・・ちょ・・・沢近さん!!!!」もう姿は見えない・・・。

「俺・・・・何のために沢近さんや小柴さんと一緒にいたんだろ・・・

成り行きで?・・・そうだ・・・確かに成り行きだった・・・。

でも・・・本心は成り行きで沢近さん、小柴さんと

一緒に居たわけじゃない・・・じゃ・・・理由は何か・・・・・・・

俺は・・・・・沢近さんのこと・・・守りたかった・・・

好きとか・・・そういうんじゃなくて・・・こんな状況なんだ・・・・

沢近さんだって女の子なんだ・・・守って・・・やりたかった・・・」

一人淳が呟く。「それでいいんじゃねー?」突然横から声が聞こえた。

淳は反射的にCz75をその方向に向けた。「誰だ!!」

すると出てきたその影は男子19番雪村 司だった。

「ゆ・・雪村・・・?」「おいおい!そんな物騒なもの俺に向けんなよ」

どうやら乗り気ではないらしい・・・。淳は急いで銃口を下ろした。

「いつからここにいたんだ!」それを聞き間髪入れずこう答えた。

「そりゃあんな痴話げんかされたら誰だって気付くだろう・・・

もしこれが俺でなく津部や関内辺りだったらどうするんだ?

お前なんか秒殺だ!びょ・う・さ・つ!」

こんな状況だと言うのになんなんだろうかこのノリは・・・。

「それで・・何がいいって?」淳が問う。

「いや・・・お前一人で呟いてたろ・・・

沢近 愛理を守ってやりたい・・ってな・・」

どうやら聞かれていたようだ。淳は顔を真っ赤にした。

「あのなぁ・・・顔真っ赤にしてる暇あんのか?」「え?」

「彼女・・・追いかけねーのか?丸腰じゃないの?彼女・・・

ショットガン持ってる?小柴はともかくさ・・」

どうやら雪村に会話は全部筒抜けのようだ。

「ほらほら・・行った行った!」そうせかした。

淳は顔を真っ赤にしながら愛理が走っていった方向に向かっていった。

「ったく・・・どいつもこいつも恋愛沙汰ってな・・・

こんなぎりぎりの状況でよくもまぁ・・・」

と雪村が呟いた後こう訂正した。

「あ~・・いや・・こんな状況だから本音も出るもんだろうな・・・

現に殺しが起きてるのも人間の本音が原因でこうなってるのも

半分あるだろうしな・・・」

ちなみに彼の支給された武器は 日用品セット だった。

その中にはガラスのコップとフォークとハンガー・・・

ウォーターガンなんかもあった。
                                    【残り17名】




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