52話

第二十八章  気持ち




「また・・銃声・・・」女子21番若松 まどかは聞こえた銃声に

またも不安そうな顔になる・・・

「だ・・大丈夫だ!若松!絶対に大丈夫だ!」

「だけどまた死人が出た可能性が高いわね・・・

銃声は一発だから2人以上は無いだろうけど・・」

美香のやるべきことはまどかを守ること・・・

島村ももちろん不安じゃないと言えば100%嘘になる。

今津部にでも襲い掛かってこられたら

この装備だけじゃ勝てる確率は20%と言った所であろうか・・・

まともに対抗できそうな武器は島村の装備している

シグ・ザウエルだけなのだ・・・。

「あの・・さ・・・・」

「え?」

島村が突然まどかに話しかけた・・・。

「こんな状況だ・・いつ死ぬかも分からないだろ?」

「?」

「俺さ・・・あれ冗談じゃないんだ・・・

若松を好きだったってこと・・・

その返事・・・まだ返ってないよな?」

それを聞きまどかはやはり顔を赤らめてまた下を向く。

そして助けを求めるように美香の方に目をやるが

既に美香はそこにいなかった・・・。

気付かないうちに見張りに行ったようだ。

「死ぬかもしれない・・・その前に返事をもらっときたいんだ・・・」

やはりまどかは黙ったままだった。

「・・・・・・・・・・分かったよ・・返事は無しでいい・・・

それに死ぬかもしれないってのが悪かったかな?

俺らは絶対死なないし必ず脱出して・・・生きて帰れる!

後・・・俺がまどかを好きだって気持ちは・・・一生変わらないから・・」

その言葉を聞きまどかの心臓が一層バクバクした。

「それだけ・・・覚えといて欲しいんだ・・」

それに対してコクリと頭を微かに傾けた。

その時見張りから帰ってきた美香が血相変えて

こちらに来た。

「ど・・・どうしたんだよ」

「向こうの茂みのぞいたら・・・

津部がいた・・・」

「な・・」

2人とも一瞬で緊張が高まった。

「腰掛けて休んでる最中だったよ・・茂みからのぞいても

こっちに気付かれてない・・こんなチャンスめったにないよ・・」

「え・・どうするの?」

まどかが聞く。

「決まってるでしょ!島村!狙撃しなさい!」

「ええ!」

直人はしばらく考えた後ゆっくりと首を傾けた。

「人殺しちゃったらこのゲームに乗っちゃうってことじゃない・・」

まどかは狙撃に対して乗り気ではないようだ。

「いい!津部はこのゲームで沢山の人間を殺してきたのよ

今殺さなかったらあたし達死んでしまうかもしれないのよ?

分かってね・・・」

その美香の言葉に口曇って何も言えなくなってしまった。

「じゃあ・・・やるぞ・・・」

直人は既に準備万端だ。

直人が茂みからのぞくとそこには紛れも無い

津部 拓也がそこにいた。

直人はそれにゆっくり狙いを定めてトリガーに手を掛ける。

そして・・・・・・・・。

       【残り13名】



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