昭和30年1月2日厳冬期の前穂東稜に登攀中、絶対切れないと言われたナイロンザイルが切れ、当時大学生だった若山五郎さんが遭難死した。その年の7月に遺体が発見され、若山五郎さんはここで荼毘に付された。そのナイロンザイル事件から1年後の昭和31年7月に火葬した地点に、ご遺族や沢山の友人の手で《遭難碑》が造られたという。若山五郎さんはこの ≪遭難碑≫ に眠っている。


その事件を元に井上靖が「氷壁」を執筆し、テレビ化、映画化もされている。映像化された「氷壁」はこの事件をベースにしていてもフィクションのような気がしてならなかった。しかし、この場所でその若山五郎さんが荼毘に付され、眠っていると知ると、その死が生々しく現実化して、ひどくドキドキし、しばしの間心が乱れた。
55年前の出来事である。
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