梓崎 優(しざき ゆう)の「叫びと祈り」を読んだ。何の予備知識もなく表紙の建物がシックで端正だったのと著者の梓崎と書いてしざきと読ませる名前が面白くて手に取った。
ところがこれがめちゃくちゃ面白かった。どういう展開になりどんな結末になるのか一刻も早く知りたくて昼食の時間になっても中断できないほど、集中して読んだ。すべて外国が舞台なのだが、砂漠とかロシアの修道院とか南米アマゾンとか尋常ではない土地ばかりが登場し、尋常じゃない事件ばかりが起こる。

ミステリーということになっているが、殺人の動機が従来のものとは全く異なっていて「あっ」と驚く斬新な着想だった。それに文章が大変凝っていて彫りが深いというか立体的と言おうか、先を焦ってすばやく読み進めると異国の風景がイメージできなかった。そのためじっくり一文一文をなぞっていくように読んで頭に風景を立ち上がらせなければならなかった。ミステリーじゃなくても鑑賞に堪える筆力だと思った。
5編の短編からなり、それが最後にきちんと繋がる連作推理であるが、中でも「砂漠を走る船の道」、「凍れるルーシー」「叫び」が抜群にすばらしかった。以前読んだ湊 かなえさんも新人とは思えない力量の持ち主だったがこの梓崎さんもすごい。
この人たちの頭の中はどうなってるのだろう。チョークバッグを2個着けてることにも気づかないぼんやりした頭の私には想像もつかない。
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