山への情熱 音楽への愛

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2020年06月28日
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恩田 陸さんの「祝祭と予感」を読んだ。「蜜蜂と遠雷」のスピンオフ小説なので「蜜蜂と遠雷」を未読の人にはあまり魅力的ではないかもしれない。「蜜蜂と遠雷」に登場してくる人物のそれまでの様々な人間模様や生い立ち成育歴・出会いなどがつづられている。ものすごく面白くて夢中になり、一気に読んでしまった。「蜜蜂と遠雷」ほど長編でないことも気楽に読めた一因だろう。6編の短いエピソードから構成されていて、そのどれもが興味深いものだった。恩田さんの表現が丁寧で的確かつ情緒にぴったり合う。
『祝祭と掃苔』入賞者ツアーのはざまに亜夜とマサルの恩師・綿貫先生の墓参りをする3人(亜夜、マサル、塵)。『獅子と芍薬』芳ヶ江国際ピアノコンクールの審査員ナサニエルと三枝子の若き日の激しい出会いとその後。『袈裟と鞦韆』作曲家・菱沼忠明が課題曲「春と修羅」を作るきっかけになった忘れ得ぬ教え子の追憶。『竪琴と葦笛』ジュリアード音楽院プレ・カレッジ時代のマサルの意外な一面。『鈴蘭と階段』楽器選びに悩むヴィオラ奏者・奏への天啓。『伝説と予感』巨匠ホフマンが幼い塵と初めて出会った永遠のような一瞬。天才は天才を見抜き、選ぶ。私のような凡才にはただ憧れの世界だ。全編を読んで「蜜蜂と遠雷」への理解が深まったし、映画の一場面一場面ともつながって豊かな気分に満たされた。





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Last updated  2020年06月28日 10時52分35秒
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