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今日は泣き言ブログです。今日も、今日とて・・・歯痛(>_
October 27, 2005
昨日から歯が痛いです~(>_
October 21, 2005
『せっかく、トラ公が逃がしてくれたのになぁ。』黄色猫は、ぺろりと口の周りを舐めた。『こにゃん!』トラ猫の悲鳴。『その子には、その子には手を出さないで!』トラ猫らしくない泣き叫ぶような声。でもおいらには、その声がどこかで聞いた声に思えたんだ。いつか、いつかどこかで、誰かが上げた声。おいらの体に、ぶるぶるっと電気が通った。『震えてんのか?かわいそうになぁ。』黄色猫は、優しげな声を出した。『なあに。お前の母ちゃんが、素直に縄張りを明け渡せば、痛い目にあわずにすむぜ。』おいらの目の前が、ぱちぱちと燃えた。おいらは、胸いっぱいに空気を吸い込んだ。それから、パッと黄色猫に跳びついた。黄色猫の目が大きく広がった。あっけに取られたように、黄色猫は口をあけたまま、思わず右片足を引いた。おいらは、その前足に力いっぱい噛み付いていた。『いてえっ!』黄色猫は、ぶんとおいらをはねのけた。それから、もう片方の前足で踏みつけようとした。おいらは、その足を避けず、自分から飛び込んで行った。おいらのあごが、黄色猫の足の付け根の柔らかい部分を捕らえた。黄色猫のわきの下に、前足と後ろ足の爪全部を、がっきりと食い込ませて、おいらはぶら下がった。『離せっ!このガキっ!』黄色猫はおいらを跳ね飛ばそうと、体を大きく振った。おいらの重みで、ますます黄色猫に、おいらの牙が食い込んでいく。黄色猫は、ゴロゴロと転がり、おいらに牙を立てようとした。だけど、もう少しのところで、おいらには牙は届かない。撥ねよけようとした後ろ足も、おいらの尻尾を掠めただけだった。『いてえっ!いてえっ!』黄色猫は泣き喚きながら、おいらごと、地べたをむちゃくちゃに転がった。おいらの視界がぐるぐると回り、がんがんと何度も硬い地面に打ち付けられる。次第に回りが灰色になっていく。駄目だ・・・駄目だ・・・おいらは遠くなっていく気力を振り絞るように、黄色猫にしがみついていた。おいらが負けちゃったら・・・。(その子には、その子には手を出さないで!)悲鳴。誰かの悲しげな鳴き声。ママ・・・ママ・・・おいらを愛してた?トクトクと歌うような心臓の音。ゆったりとしたゴロゴロという響き。柔らかなモノの中に鼻をうずめると、甘酸っぱい匂い。薄明るい闇の中、暖かいふわふわとした世界。ああ・・・ママ。ここにいたんだね。おいら、ずっとずっと会いたかったんだ。見上げた視界の中で、ママの顔はぼんやりとしか見えない。ママの顔は、なんだか悲しそうだった。どうしたの?誰かにいじめられたの?おいらがんばるから、おいらが守ってあげるから。だから笑って?
October 18, 2005
今日も今日とてお祭りな一日。母と妹が遊びに来ましたので、そろってお祭り見物へ・・・。昨日は途中で雨が降ってきたので、夜店めぐりはあまり出来なかった分、今日はめいいっぱい堪能しました。りんご飴に、じゃがバターに、大たこ焼き。なぜか焼き芋、イカ焼き、ベビーカステラ。焼きとうもろこし。よくぞここまで・・・と我ながら驚くほど。しばらく体重計に乗りたくないな・・・(汗)ゲームをして、くじ引きもして、でっかい猫のぬいぐるみに、ほお擦りする桃は満足そう。今日は山車は引っぱらなかったけど、ひっかわせ(各町内の山車が、それぞれの町内会館から出陣し、神社近くの四辻で会い、山車に乗った人たちが笛や舞を披露する)を見学しました。錫状をしゃんしゃん鳴らし、山車を導く山伏の少女たちが可愛かった~(^_^)大太鼓、小太鼓の舞や、獅子舞、おかめひょっとこの舞。やぐら舞。夜店の明かりに煌々と照らされ、闇の中に浮かび上がる様は、たくさんの人の波や、喧騒を掻き分けて、とても幻想的に思えました。
October 16, 2005
今日はお祭りです♪先ほど、山車を少し引っ張ってきました。町内のものですが、結構大きいですよ。高さは二階建て民家の高さぐらいでしょうか?天辺に、弓の名手・那須与一宗高の人形が飾ってあります。仕掛けがあって、ちゃんと弓矢を放つことも出来るんです。古武士の風貌というよりは、ビジュアル系???ほっそりとした色白長身の美青年です(^_^)美青年を引き連れて練り歩くこと2時間あまり。ふう~いい汗かいたよ~。がんばる人は9時間ぶっ続けで引っ張るけど、私と桃は、それくらいで切り上げて、お菓子とジュースをもらい、いったん自宅に帰ってきました。夕方から、神社界隈に行って、夜店を覗く予定です。疲れたから、それまでは一休み一休み。
October 15, 2005
ぽつんぽつんと、アスファルトの上に、小さな水玉模様が生まれた。オープンテラスで一人、紅茶のカップを前に座っていた僕は、テーブルに差しかけてあるパラソルの下から、ぼんやりと空を眺めた。ふと気が付くと、あたりはうっすらと暗い。もう夕方なのだろうか?いや・・・朝から曇っていたから、実はまだ早い時間かもしれない。こんな中で彼女を待っていると、何時間も、何日も、何年も、ずっとここにいたような気がしてくる。こんな肌寒い曇りの日に、外でお茶をしていた酔狂な何人か(たいていはカップルだったが)は、降り出した雨に、次々と席を立っていった。小さな水玉がいくつも、灰色のアスファルトを黒く染めていく。重なり合った点は、やがて大きく滲んで、形をとどめなくなった。店内から出てきたウエイターが、手早くパラソルを閉めて回っている。とうとう、開いているパラソルは、僕のテーブルだけになった。『お客様。雨が降っていますから、店内にどうぞ。』白いシャツと髪を濡らし、若いウエイターが私の前に立った。『もう少しだけ、ここにいては駄目ですか?』僕の言葉に、一瞬困ったような顔をしたようだが、彼はおとなしく一礼して、店内に消えていった。ぽっと、明かりが灯る。誰もいなくなったテーブルの群れを照らすように、いくつも灯った光。その光は紅茶に映って、小さな星のように見えた。彼女は来ないのだろうか?『もう疲れたの。』あの日、いつも快活だった彼女は、たった一言そういって黙り込んだ。好きになったのは、確かに僕が先だった。同じサークル仲間の中で、光り輝くような彼女と、気弱でさえない僕。見つめるだけでいい、同じ活動が出来るだけで。そう思い続けていた日々、幸せな僕。それなのに、彼女のほうから好きだと言ってくるとは・・・。『ほっとけないから。』そう言って彼女は笑った。アイドルの突然の告白に回りは騒然となった。うらやましいとか、何でお前がとか、うまくやれよとか、祝福だの妬みだのの嵐の中で、僕がそのとき感じていたこと。僕はひたすら困惑していた。星が欲しいと夢見るように、彼女を欲していた。だから、本当に手に入ってしまって、僕は、どうしたらいいのか、わからなくなってしまった。誘われて、何度もデートを重ねた。彼女はいつも、きらきらと笑っていた。無口な僕の分もしゃべるように、彼女の話は尽きなかったが、そのどれもが明るく、思いやりに満ちていて、いつまでも聞いていて飽きなかった。初めての口付けも、初めての夜も、彼女が恥じらいながらも僕を誘った。僕は、求められるもの全てを、彼女に与えたかった。彼女の言葉は僕には神託。彼女の笑みに、彼女の体に、彼女のすべてに僕はひれ伏していた。彼女の望むがままに、彼女の言うとおりに。だから、別れたいと言われたとき、僕は黙ってうつむいた。そんな僕に彼女は、『最後まで、何も言ってくれないのね。』小さくつぶやいて去っていった。そう。この場所で、このパラソルの下から。あの日も雨が降っていた。だから彼女の頬が濡れていたのは、あれはきっと雨のせいだったのだ。あれから数え切れないほど、僕はここに訪れた。何度も何度も。古ぼけたレコードに繰り返し針を落とすように、いつかは記憶も飛び飛びになり、不鮮明になって、ただ懐かしさだけ残っていくのだろうか?椅子に座ったまま、のけぞって、パラソルの端から空を眺める。ポツリと雨の粒が、僕の瞳の中に落ち込んできた。あっと驚いて目をぎゅっとつぶる。瞳を閉じたまま座りなおし、手探りで冷めたカップを手繰り寄せた。カップのふちにつけた唇が震える。そっと瞳を開くと、しずくがぽつんと、僕の瞳からカップの中に落ちていった。こんなに近くから落ちたのに、しずくの落ちた残像は、ひどくゆっくりと僕に感じられた。一瞬。王冠の形に開いたしずくは、いくつもの輪を生み出していく。 ぴちゃん。琥珀の液体の中に、小さな銀の尾を翻して、彼女がやっと現れる。彼女の口が微笑んで、とある形を紡ぎだす。『好きよ・・・好きよ・・・。』僕も声にならない言葉で彼女に告げる。『ああ・・・僕も君が好きだよ。誰よりも愛してる。』ほんの一瞬の逢瀬。滲んだ視界の中、彼女はいつものように、琥珀の海に消えていく。聞こえてくるのは、雨の中を走る車の音ではない。あれは遠い遠い潮騒の音なのだ。あの日、席を立った彼女の前で、項垂れていた僕。これでいいのだと、彼女の望んだことだと、所詮、僕には分不相応だったのだと、頭の中は、そんな風にぐるぐると回っていたから、そのときの僕の行動は、本能だったのかもしれない。僕は叫んでいた。恥も外聞もなく。『君が好きなんだ!!』彼女は、その言葉に立ち止まって振り向いた。そのときの彼女の顔を、どうしてだか僕は覚えていない。あきれたような顔をしていただろうか?怒った顔をしていただろうか?それとも・・・微笑んでいたのだろうか?信号が変わりかけた横断歩道を、走って渡ろうとしていた彼女は、次の瞬間、大きく宙に舞っていた。全ての音が止む。周りの光景がスローモーションで動く。泳ぐようにふらふらと歩み寄り、彼女のそばにかがみこんだ。がっくりと首を垂れ、息絶えていた彼女。抱き上げた体は、驚くほど儚かった。彼女はこんなに小さく、細く、弱弱しかっただろうか?強く強く光り輝いていた彼女。星に恋するように、僕は彼女に恋をした。星の見えないこの空の下で、僕は寂しそうに涙を流した彼女を、愛していると、誰にも渡せないと、そのとき初めて気が付いた。もう一度、そして何度でも・・・僕は彼女に告げるのだ。『愛してる・・・愛してる・・・。』そして二人で、星を探そう。この雨の降る空の下。奇蹟のように輝く星を。ふらりと僕は、遠い潮騒に身を任せた。
October 12, 2005
昨日は、結婚記念日でした(^_^)特別なことは何もなかったけど、主人が名古屋から出てきて、家族で、ぶらぶら駅前までお買い物に行ったり、家で、すき焼きをしたり、ケーキを食べたり、まったりのんびり過ごしました。欲しいものあるか?って聞かれたけど、特にないものなぁ~。家族で仲良く過ごせるのが一番だよ。仕事だから、わがまま言えないけど、早く主人の単身赴任が終わって欲しい。『2、3年って言っていたけど、もしかしたら、もっと早くこちらに戻れるかも。』主人がふと漏らした一言、本当になるといいなあ。
October 11, 2005
今日は伊豆高原にある『ドッグフォレスト』に行ってきました。ここは、フクちゃん(実家のワンコ)の故郷。子育て風景を見て楽しみながら、子犬を購入できる『こいぬ村ブリーダービレッジ』運動広場(ドッグパーク)と、犬と入れる天然温泉の足湯がある『いぬともドッグフィールド』40種類ものフレンドリーな犬と触れ合ったりお散歩したりできる『いぬたまドッグスタウン』があります。久しぶりに、育ての親のブリーダーさんとあえて、フクちゃんは大喜び。ブリーダーさんも『覚えていてくれたんだ。』と大感激でした。フクちゃんは生後半年経った、ジュニア犬になってから飼われていったけど、まだ生後3ヶ月ぐらいの赤ちゃん犬は、忘れてしまうこともあるようです。今日のお天気はあいにく曇り、しかも時々小雨がぱらつく天気。その中でも、フクちゃんは水溜りもなんのその、飛び回って楽しんでました。他のわんちゃんたちとも仲良く交流。足湯温泉はあまり気に入らなかったみたいだけど・・・(なぜ水溜りで遊ぶのはいいのに、あったかい温泉は駄目なんだろう?)そうそう・・・ドッグフォレストの近くにある『花水木』というレストラン。ワンコと一緒に入れるお食事どころなのですが、いやな臭気もしないし、料理の味もおいしいです。食べたのは『わたり蟹のスパゲティー』蟹はほじるのが大変だけど、麺に出汁が効いててお勧めです。店内にいたワンコたちも、みんなお行儀がよくて感心。どうやらペンションも経営しているようです(今回はレストランだけ利用)今日はワンコ尽くしの一日でした△・ェ・△楽しかった一日を終え、自宅に戻ってほっと一息、さてさて今度は、にゃんこを抱いて眠りましょうか?(=^・^=)
October 9, 2005
『これは花の香りですか?』縁側で、うとうととしていた私は、その声にはっと目を覚ました。庭の塀の上に、若い男性の顔があった。『すみません。驚かしてしまいましたか?散歩をしていたら、どこからか甘いよい香りがしてきたので、その匂いに誘われてしまいました。』男は人懐っこい表情を浮かべていた。花の香りに誘われるとは、まだ若いのにずいぶん風流な。そう思うと、私の警戒心はとけ、自然と笑みがこぼれた。『これは、金木犀ですよ。ほら。あなたの目の前に、オレンジ色の小さな花が、たくさん咲いているでしょう?』私が言うと、男は目を見開き、『こんなに小さな花が、これほど強い香りを放つのですね。』と、小花の房に鼻を寄せた。男に触れられて、明るい色の花がほろほろとこぼれた。そのとき私は、男の瞳の色が、よく晴れた日の空のように青いことに、初めて気がついた。『私の住んでいたところには、この花は咲いていなかったな。』男はうれしそうにうなずいてた。『お国は遠いのですか?』私は尋ねてしまってから、少し無作法だったかしらと思ったけど、男は少しも気にしていないように微笑んで答えてくれた。『ずうっと北の国で私は生まれました。だから、花はとても嬉しくて。』私は男に好感を覚えた。『少し上がっていきませんか?家のものも留守ですし、少し退屈していたのですよ。』私の言葉に、男は花から顔を上げた。『けれど・・・ご婦人の家に・・・。』男の言葉に、ますます私は好意を抱く。『こんなおばあちゃんですもの何も遠慮はありません。ボロ屋ですが、庭だけは自慢なんですよ。塀越しではなく、ぜひ縁側から見ていってくださいな。』重ねた言葉に、男は遠慮しつつも、私の庭に入ってきた。縁側に腰をかけ、庭の花を並んで眺める。群落を作る葛の花に、燃えるような色の鶏頭。蝶の形をした萩に、濃い紫の桔梗の花。ひょろりと生えているのは松虫草。玄関へと続く、飛び石の脇に生えているのは、コスモスのひと群れだ。『金木犀のお茶があるんですよ。』私の言葉に男は驚いたようだ。『お茶ですか?』男はお茶など飲んだことはないのだろう。私が勧めたものに、恐る恐る口をつける。『熱くない・・・。』『そうですよ。冷たいほうがいいでしょう?』男は、ほっとしたように、薄い金木犀茶を口に含んだ。『ああ・・・花が咲いたようだ。』男はうっとりと、その青い瞳を閉じた。『変わっているでしょう?』私の言葉に、男は目を閉じたままうなずいた。『変わってますね。このお茶も、貴女も。』そういってしまってから、男は、はっとしたように瞳をあけ、あーとかうーとか、言葉を捜している。その様子に、私は思わず噴出しそうになった。『すみません。その・・・花にあふれた庭も、花の香りのお茶も、花の中の貴女も、なんだか夢の中にいるようで、とても素敵だって言いたかったんです。』男は、はにかみながらも真摯に言葉を綴った。その素直さが可愛く思えて、もし私に孫がいたら、こんな風かしらと、こっそり想像してみたりした。秋の日差しがやさしく降り注いでいた。夕方になって、一人の主婦が、自宅の玄関のドアを開いた。『立ち話をしすぎちゃった。早く夕飯の用意をしなきゃ。』ばたばたと、ぶら下げたスーパーの袋を台所のテーブルに置き、ふと居間のほうに足を運んだ。『みーちゃん。もう寒くなるから、部屋に入りなさい。』居間から縁側に通じるガラス戸の鍵を開けながら声をかけた。 にゃあ~。そこには、その家の老雌猫が、青い瞳の猫と寄り添うように、日向ぼっこをしていた。
October 8, 2005
船乗りというのは、なぜか自分の傷跡を自慢にするやつが多い。中には盲腸の手術跡を剥き出しにして、『これは、体長2メートルのサメと戦ったときの傷だ。』なんて、真顔で言ったりする。私はまだ子供だったから、ごくごく素直に感心して見せる。そうすると、彼らはますます熱心に、傷の由来を話してくれる。たいてい2メートルだったサメは、だんだんでかくなり、終いには10メートルを超える人食いざめに変貌する。陽気な彼らの中にあって、たった一人、物静かというか、船乗りには珍しいほど陰気な人物がいた。ところが、私は見てしまったのだ。彼のおなかに、見たこともないほど大きな傷跡があるのを。『うわあ。すごいねえ。』私は目を丸くしてその傷跡を見た。こんな傷跡が残るような、どんなすごい冒険をしたのだろう?私は無邪気にその話をねだった。最初は渋顔だった彼も、たまたま暇をもてあましていたのか、ぼつりぼつりと、私にその傷の話をしてくれたのだった。『俺が子供の頃の話だ。』彼は話し始めた。当時俺は、ものすごい笑い上戸だったんだ。箸が転げてもおかしいなんていうが、俺ときたら、箸を見ただけで笑っちまうようなガキだった。他の奴でも笑っちまうような場面にあったら、それこそ、腹を抱えて、息もできないくらい、ひいひい転げまわって笑っていた。そうするとな。俺の腹はパンパンの蛙の腹みたいに膨れ上がったものだ。おそらく笑ってるときに、息を吸い込みすぎるんだろう。それは、小学校で、走り幅跳びのテストがあった日のことだ。俺は助走をつけて走り始めた。走っているうちに、なんだかむずむずと、笑いの奴が、足の裏の方からやってくるのがわかった。自分が飛んでその後、太ったアヒルみたいに、しりもちをつくシーンを、うっかり思い浮かべてしまったんだ。いけない集中しなきゃ。俺の鼻の穴が大きく広がって、ふがふがと息が詰まった。こういうのも、鼻で笑っているって言っていいだろうか?そんな笑い方なのに、俺の腹は、もう膨らみ始めていた。仕方がないじゃないか。そのまま走って俺は飛んだよ。そうしたら、それが起こったんだ。俺は宙に浮いていた。飛んだんだから、あたりまえといえば、あたりまえなんだが、そのときのは、まさしく浮いてるって感じだった。ばっと砂を蹴散らして飛び上がった俺は、そのままふよふよと漂っていった。ずいぶん長く感じたが、実際はどのくらい飛んでいたのかはわからない。先生も友達も、みんなあっけにとられて俺を見ていた。ふわぁんと足が地べたに付くと、俺は想像していたとおり、太ったアヒルみたいにしりもちをついていた。『8メートル90』ラインから、俺の尻までの距離は、当時の世界新と同じだった。どんな騒ぎになったかは想像してほしいな。それからというもの俺は、笑うたびに体が浮いちまう体質になった。俺は普通の状態でも、ニヤニヤしているような奴だったから、しょっちゅう足の先が、地べたから数センチばかり浮きあがったりしていた。少し早歩きしてからふっと浮かぶと、そのまま数メートル先まで、浮かんだまま前進できて、楽だしなかなか気分がいい。親は心配して、俺を近所の病院へ連れて行ったが、俺が赤ん坊の頃からの主治医のじじいは、俺の腹に聴診器を当て、熱を測り、少しばかり舌を引っ張ってみた後。『別に問題はありません。しごく健康体です。』と言って、なぜかじじい自身が薬を飲んでいた。もともと楽天家の俺も親も、それであっさり安心しちまった。ニヤニヤ笑っている程度ならほんの少しだが、わははと大声で笑い出すと、俺の体はどんどん軽くなって、まるで風船のように浮かびだす。そのたび、俺はじたばたと手足を動かして、どうにか地面に戻ってくる。浮かぶのは簡単だが、降りてくるのはどうも簡単ではない。プーっと噴出そうもんなら、俺の体は、ひゅうと軽く、友達の頭の高さより高く浮き上がってしまう。そのたび、俺は足を引っ張って、下ろしてもらわなくちゃならない。それでも浮かぶって言うのは、文字通り心もうきうき楽しいものだ。俺は得意の絶頂だった。一度俺は爆笑して、われに帰ったときには、家の屋根の高さにいたことがある。俺はゆらゆらゆれながら、そのままゆっくりと浮かんでいく。空は抜けるように蒼く、空気は少し冷たくて、まるで水中を泳いでいるようだが、間違いなく、俺はそのとき空を飛んでいたんだ。最高だ。俺の笑いはますます深くなる。俺の体はどんどんと、地べたとおさらばしていく。まるで空に吸い込まれそうだ。ところが、そう思ったとたん、俺の笑いは引っ込んだ。俺はひやりとした気分になった。このまま浮かび上がっていったら、どこまで行くのだろう?二度と降りてこられなくなるんじゃないか?そのとき初めて、俺はなんだか心細くなった。とっさに電線に手を伸ばしてつかまった。笑いをとめても、俺の体はまだ浮き上がっていこうとしていた。電線だけが、俺をつなぎとめている。まるで糸の切れた凧だ。凧とおんなじように、俺も電力会社の人間に下ろしてもらうまで、そのまま電線につかまっていたんだ。それ以来、俺は用心するようになった。何がって、笑わないようにだよ。でもそれは、俺にとっちゃあとんでもなく大変なことだった。それでも俺はがんばったよ。ニヤニヤもよし、クスクスもよし、気をつけていれば、わはは笑いだっていい。俺が警戒するのは、噴出して腹を抱えて笑っちゃうようなやつだ。俺は人が変わったみたいに笑わなくなった。笑いたくなると、自分の腕や足をつねって我慢した。でもなぜだろう?笑っちゃいけないと思うと、ますます可笑しくなるのは?その日も良く晴れていた。俺は、建て替えをしている近所の家を見に行っていた。大工から、木切れをもらって、それで舟を造る気だったんだ。近くまでよると、電動のこぎりの音や、釘を打つ音でいっぱいだ。俺はさりげなく、そこら辺から気に入った木切れを失敬しようとしていた。そのときだった。ウ~ウ~ウ~というお昼のサイレンが響いた。棟梁らしい白髪のおっさんが、『飯にすべえ!』と声を張り上げた。俺はその声に、はっとなって、おっさんを見上げた。本当にいい天気だった。陽は真上にあった。おっさんは声をかけた後、暑い暑いといいながら、なんと白髪を持ち上げた。鬘だったんだ。その下の頭が、陽の光をはじいてまばゆいこと!おっさんは、首から提げていた手ぬぐいで、くるりと、禿頭を拭いだした。まったくたまらない光景だったぜ。俺はクの字型に体を追って、声も出せず悶えた。息がひゅうひゅう鳴って、俺の腹がぎゅうぎゅう捻じれる。ひくひくと体が痙攣した。『あは!がは!はああはあっ!』俺の声は言葉にならない。俺の体は、よく振ったシャンパンのコルクみたいに、 しゅぽ~~~っん!!いきなり、空中に投げ出されていた。あんなに高いところまで浮き上がったのは初めてだった。家や車がミニチュアみたいに見えるんだ。人間なんて、虫けらの大きさだ。俺の周りには、つかまるものも、浮いていくのをさえぎるものもない。ただ空気だけ。そんな中で、俺の笑いはなかなか引っ込まない。背中を冷たい汗が伝うくらい怖いのに、それでも笑いが止まらないんだ。今まで我慢していた、笑いという笑いが、そのとき、発作のように俺に襲い掛かっていた。俺の周りが白っぽく、うっすらと霧がかってくる。雲の高みまで達したんだ。今すぐ笑いを止めるんだ!俺は泣きながら、ひいひい笑っていた。俺の腹は膨らみすぎて、まん丸になっている。それと同時に、足や手がだんだんその丸の中に吸収されていっている。より風船のようになっているんだ。あかんぼみたいに、小さくなった手足をばたつかせても、俺の体は浮いていく。俺は笑いながら叫んでいた。あの時、大ガラスが俺を突かなかったら、どこまで行っていたのかわからない。もしかしたら、大気圏まで行っていたかもしれない。そうしたら、俺は二度と帰ってこれなかっただろう。それとも俺を回収しに、誰かが、ロケットを飛ばしてくれただろうか?そう俺は、カラスに突かれた。極限まで膨れ上がっていた俺は、 パアンッ!!と、弾けとんだ。俺は、まっさかさまに地上に落ちていった。ふよふよだのふわりふわりなんてもんじゃない。加速度を増しながら、まっしぐらに落ちてきたんだ。よく助かったなって?俺が落ちた先は、たまたま俺の家だった。俺の家は代々布団屋だったんだよ。ふわふわの羽根布団や、絹を張った厚い綿布団。やわらかい羊の毛の布団。屋根を破って、そんなものが積み重なった上に落ちたんだ。お袋がどんなに驚いたことか。俺の頭には、でっかいたんこぶができてた。それより大事だったのは、俺の腹が、でっかく破れていたことだ。でも、俺のお袋は偉かった。たまたまそのとき、裁縫をしていたおふくろは、持っていた針と糸で、すばやく、俺の腹の皮を縫い合わせてくれたってわけさ。船乗りが話し終わった後、私は笑えばいいのか、怒ればいいのかわからなかった。これは、思いっきりほら話じゃないか。てっきり、猛獣とか、海獣とかと戦ったと思ったのに。こんな嘘に騙されるほど、馬鹿だと思っているんだろうか?それとも、子供だと思って、からかってるのかな?船乗りの顔を見たけど、そこには何の表情も浮かんでいなかった。私はもう一度、傷跡をしげしげとよく眺めた。『あれっ?イボ?』さっきは気が付かなかったが、傷口に、小さくて白い半透明な物が付いている。船乗りも私の視線に気が付いて、それを軽くひねって見せた。『ああ・・・ちょうど、俺が落ちたてきたとき、お袋はボタンを縫い付けていたんだ。あせっていたおふくろは、ついうっかり傷口に、ボタンも縫いつけちまったんだよ。』ワイシャツに付いているよな、小さな小さなボタンがひとつ、船乗りの指に挟まれてくるりと回った。
October 7, 2005
おいらの毛が、一本一本ゆっくりと立ち上がった。黄色猫は、おいらを見て、ハイエナみたいなニヤニヤ笑いを浮かべた。『ふうん。おめえの子か?身持ちの硬いトラ公様も、新しい旦那が付いたらしいな。』黄色猫の舐めるような視線が、ゆっくりとトラ猫の尻尾の先まで走る。おいらは、ふうふう唸りながら黄色猫を睨み付けた。『生意気なガキだな。いっちょ前に唸ってやがる。』トラ猫は黄色猫を無視して、じっと禿猫の気配をうかがっている。禿猫は、うっそりと、黙ったまま細い目でトラ猫を見ていた。『メスだ。』ぼそりと禿猫がつぶやいた。『おいおい。ただのメス猫じゃねえよ。兄貴は新顔だから知らないのも無理ねえけど、このべっぴんさんは、何を隠そう隣町のボスなんだぜ。』黄色猫が舌なめずりした。『ものにしちゃえば、隣町はおれらの物になるってことよ。』トラ猫はちらりと、冷たい目を黄色猫に走らせた。『あんた強いのか?』禿猫はトラ猫だけを見ていた。その細い目がぞっとするほど冷たくて、おいら思わずぶるりと震えた。あっという間の出来事だった。禿猫が、灰色の矢みたいに細く伸びて、その大きな顔がおいらの目の前に迫ってきた。そのとたん。おいらはトラ猫に咥えられて、軽々と宙を舞っていた。トラ猫のしなやかな体には、翼が生えているようだった。足音も立てず、優雅に高い塀の上に降り立つ。禿猫は、おいらたちを見上げながら、うれしそうに笑った。でも、なんだかおいらはその笑みがすごく怖いと思った。『俺はメスとは、やり合わない主義なんだがな。』当たり前だよ!おいらは叫びたかった。メスに喧嘩を売るオス猫なんて、すごくすごく悪者なんだぞ!『俺は強いもんが好きだ。あんたは強くて綺麗だな。』禿猫の大きな体が、ひと飛びで、おいらたちと同じ塀の上に立った。『こにゃん。』おいらを咥えたまま、小さく、くぐもった声でトラ猫がささやいた。『受身はとれるわね。』えっ?と思うまもなく、おいらは一匹で空中に浮いていた。あわてて、背を丸め頭をおなかにくっつける。くるりと視界が回って、おいらはよろよろと地べたに着地した。おいらは、塀の反対側に投げ出されたんだ。『トラ猫さん!』おいらは塀の上に向かって叫んだ。『こにゃん。逃げるのよっ!』トラ猫は背中を大きく弓なりに曲げて、禿猫に飛びついていった。トラ猫のあごが禿猫の耳を掠める。禿猫がとっさに立ち上がって体をひねり、その体重をぶつける様にして、トラ猫を押さえ込んだ。トラ猫の体が、頭半分塀からずり下がる。『トラ猫さん!トラ猫さんっ!』おいらは必死で塀に飛びついた。塀は高すぎて、おいらは半分も前足が届かない。おいらはカリカリと塀によじ登ろうとした。ほんの少し上っただけで、ずるりと体が落ちていく。おいらの爪が剥がれて、冷たいコンクリートの壁に刺さったままになる。トラ猫は押さえ込まれながらも、体を起こし禿猫の喉元に噛み付いていた。禿猫がブルンブルンと、まるで雑巾のようにトラ猫を振り回した。おいらの上に、ぽたぽたと赤いものが垂れてくる。血だ!トラ猫のだか、禿猫のだかわからないけど、おいらの目の中にも滴って熱い。おいらは、ずり落ちた姿勢のまま、前足で目をぬぐった。おいらの前足からも血が出ている。赤くかすむ目を見開いた。おいらの目の前には、いつの間にか黄色猫が、あのニヤニヤ笑いを浮かべながら立っていた。
October 6, 2005
駄目だ~眠い~~~っ。具合は悪くないけど、まだ体力戻ってないのかな?3日も寝込んで、荒れ果てた家中を掃除。たまった洗濯物・・・。桃のために久しぶりに凝った料理。ちょっと動いただけなのに、なんだかすごく疲れました。小説書いてる途中だけど、残りは明日にしよう。午前中アップできたらいいな。それではお休みなさ~い(^。^)y-.。o○
October 5, 2005
今日は、3日ぶりのブログです。風邪をこじらせてしまい、急性胃腸炎へ。うう~(>_
October 4, 2005
うむむ・・・おなかが痛い・・・気持ちが悪い・・・(>_
October 1, 2005
鳳仙花『私に触れないで』彼女はそう言った。抱きしめようとした形のまま腕が止まる切なく痛い形あの夏にあんなにも甘く色づいていた唇が硬く震えて僕を拒む『私に触れないで』それでも君は逃げなかったそっと伸ばした僕の指先が君のすべてを壊してしまうまで『ホウセンカ』(鳳仙花)の花言葉は『私に触れないで』鳳仙花の種は、人や動物が軽く触れただけで、とたんにはじけて飛んでいく様からつけられたそうです。それから思いついたちょっと恋愛小説(もしくはメロドラマ?)のワンシーンのような詩。僕と彼女の関係や、このあとどうなったのかは、皆さんの空想にお任せします。
September 28, 2005
深夜2時。東京都S区郊外、延々と麦畑が続く道を、一台のタクシーが走っていく。おそろいの外観をした、薄っぺらな小さな住宅地を過ぎると、また畑だ。私は、ちらとラジオのチャンネルを動かした。 ザー ザーザーザー ザー ザーザーちっ!私は小さく舌打ちをした。どういうわけだか、ラジオの調子が悪い。眠気覚ましにタバコの火を灯す。暗闇に、ポッと一瞬赤い光が燃えた。霧雨が降っていた。ろくに明かりもない道だ。車のヘッドライトに照らされぬ先は、ぼんやりとした闇。まるで黄泉の国に行くようだ。私は思わず苦笑した。こんな日は、早く家に帰って、酒でも飲んで寝るにかぎる。ぐんとスピードを上げようとして、思わずはっとした。ほんの数メートル先に女がいる。細い道だ。避けもせず、車のほうに身を乗り出している。飛び込みかっ?!一瞬心臓が縮み上がった。 キーーーッ!!車が止まると、女はコツコツと窓を叩いた。『○○町まで。』開いた窓から、女の白い顔が覗く。まるで蝋のように白い。『寒いんです。』女の言葉に、あわてて背後のドアを開けた。するりと、妙になまめかしいしぐさで、女が入ってきた。再び車を走らせながら、私は背後の女をうかがった。女は俯いているため、その表情は読めない。長くつややかな黒髪が、その顔ばかりか胸までも覆っている。雨に濡れてピッタリとした赤いワンピースが、ほっそりとした柳腰と、むっちりとした太もものラインを見せていた。けっこう美人だったな。女を轢くかと思ったショックはもう遠い。私は好色な眼を女に向けた。私は左手でダッシュボードから、ビニールに包まれたタオルを引き出した。会社のロゴが入っている。いつから入っていたのか、ビニールは薄く茶ばんで擦り切れているが、中のタオルはまっさらだ。『良かったら使ってください。』私は背後にそのタオルを差し出した。小さく礼を言う気配がして、受け取る女の指先が私の指に触れた。氷のようだ。触れた指先から、しびれるような感覚が伝わる。雨が降っていて肌寒いとはいえ、まだ秋になったばかり。これほど冷えるには、どれほどこの雨の中にいたのだろう。『なかなか車が通らなくって・・・。』私の考えを読んだかのように女がポツリと漏らす。『この辺は、東京とはいえ畑ばかりですからね。』私は軽く笑って答えた。『ここいらにお住まいですか?』女からの答えはない。しまった。気を悪くしたかな?『いやあ。この辺はごみごみしてなくって・・・。』『彼の家があるんです。』女は私の言葉をさえぎるように言う。『バイクで、いつもこの道を走っていたわ。いつも違う女の子を後ろに乗せて。』『はあ。』振られたのだろうか?恋人が家に他の女を引き込んだところを、乗り込んで行って・・・。『寂しい道ね。行き交う車すらいない。』本当にそうだ。いつも車通りがあまりない道だが、今日はいつもにまして、もうずっと他の車を見ていない。『だから、誰も気がつかなかったの。』女の髪がゆらりと揺れる。泣いているのだろうか?『タクシーと正面衝突。二人とも吹き飛ばされたわ。彼も、後ろに乗っていた女も。でも、誰もそれに気がつかなかった。まだ暑い夏の頃の話よ。』私は自分の足が震えだすのを感じた。『近くを通りかかった人が気がついたのが、次の日になってから。ヘルメットを被ったままの彼と女の首が見つかったのは、夕方になってからだったわ。スイカ畑でね。熟れて割れた果実のように。血みたいな夕日が、空を染めてたって。』頭の芯が痛い。ずきずきと痛むこめかみに汗がにじんだ。女の髪の間から、瞳が覗く。泣いていると思ったのは、気のせいだった。女の瞳は濡れてはいなかった。濡れているのは女が身に纏った赤いワンピースだ。滴る雫が赤いような錯覚を覚えて、ふと、バイクに乗っていた女というのは、彼女自身だったんではと思った。ああ・・・喉がひりつく。頭が痛い。この道はなんて暗いんだろう。私は、鼻の奥につんと錆びついた金属の匂いを感じた。鼻血だ。ぽたぽたとヌルつく雫が顎をつたい、膝に落ちる。女の視線が私に張り付いていた。喉の奥にも血の味が溢れ、私は車を急停車させた。『す、すみません・・・鼻血が・・・。』ドアを開け、よろめくようにして車から降りる。 ガホッ!降りたとたん大量の血の塊が、私の喉から溢れ出た。ああ・・・当たり一面真っ赤に染まっている。まるであの日のように。猛烈なスピードで、気勢を上げたバイクが、私のタクシーに飛び込んできた日。割れたガラスが、私の頭と喉に食い込み、スローモーションのように赤が広がって、私の意識を飲み込んでいったあの日。ああ・・・あれは、私の血の色だったのか。ふらりと空中に、赤い私の体が漂っていく。女の悲鳴が夜を引き裂く。車の明かりが突然消えた。
September 26, 2005
さっきまでテレビを観ていた。『ボルケーノ』ロサンジェルスのど真ん中で、火山活動が始っちゃう映画だ。一言・・・めちゃくちゃ恐かった(;_;)地震が・・・噴火が・・・溶岩流が・・・。建物が爆発するよ~人間が燃え溶けちゃうよ~~~(>_
September 25, 2005
おいらとトラ猫は、いつの間にか、隣町まで来ていたようだ。急にトラ猫の歩き方が変わった。今まではしっぽをピンと立てて、軽やかに歩いていたのが、しっぽを水平に、背中も平らにしてすべるような動きになる。時折立ち止まって、耳を立て、空気の中の匂いをかぐように、鼻を空に向けてぴくぴくと動かす。そうして用心しながら、猫の匂いの薄いところを歩いていても、突然この町の猫に出会うこともあった。そうするたびにおいら、落ち着かない気分で、トラ猫のはら毛に体をすりよせ、プルプルした。おいら別に恐かったわけじゃないぞ。これは武者震いという奴だ。トラ猫は無表情に、ことさらゆっくりと、出会った猫の前を通り過ぎていく。出合った猫は、知らん振りしている事もあったし、おや?と不思議そうに見ていることもあった。トラ猫がメス猫だったのと、まだおいらが大人猫じゃないから、親子猫に見えたのかな?おいらたちが隣町の猫だと気がついたら、トラ猫がボス猫だとばれたら襲ってくるかな?おいらはぺろりと熱くなった肉球を舐めた。『疲れたのこにゃん?』トラ猫が心配そうにおいらを見ている。『ううん!おいら元気だよ!』ほんというと、さっきから肉球がひりひりと痛かった。こんなに歩き回ったのは初めてだ。いつもはあんまりおんもに出ないから、おいらの肉球は柔らかいままなんだ。それに、さっき公園でトラ猫に抱かれて、ついうとうと眠っちゃったけど、こんなに起きているのも初めてだ。おいらはふらふらする頭をプルリと振った。『ごめんなさい。うっかりしていたわ。』トラ猫は、おいらの大丈夫だと言う言葉を聴いていないみたい。『一度、家に帰したほうが良いかしら?』そんなことまで言い出した。やだよ。やだよ。せっかくここまできたのに。もうすぐママに会えるかもしれないのに。おいらがもう一度、トラ猫に大丈夫だと言おうとしたとき、急にトラ猫が跳ね上がって振り向いた。背後から低い唸り声が聞こえてきた。『これは、これは・・・トラ公じゃないか!』おいらの毛が一本一本逆立っていく。塀と塀に囲まれた狭い路地裏。背後にたっていたのは、背骨が見えるほどひょろりとやせた黄色い猫と、灰色であちこちに噛み傷禿のある大きな大きな猫だった。
September 24, 2005
今日、ママ友の家に行って少し驚いた。その家の中1の女の子の瞳の色が、鮮やかなブルーだったからだ。あれ?って不思議に思って、まじまじ見ちゃった。『これ?・・・カラコン入れたの~♪』って。カラコン?ああ・・・カラーコンタクトか。最近の中学生はカラコン入れるの?カルチャーショック!って思ったら、何でも、コンタクト作りに行ったら、キャンペーン中だとかで、カラコン2枚か、使い捨てコンタクト一箱もらえるんだって。『もちろん学校には付けてかないよ。』って。そりゃいきなり教え子の眼の色が変わったら、教師はビックりだろう。たかが眼の色、されどすごく印象が変わっていたから。面白いから、間近で見せてもらった。カラコン入れてる人を見たのは、初めてってわけじゃないけど、こんなに近くで見るのは初めてだ。ふむふむ・・・本当に青~い!黒目の上に乗っけるので、不自然かと思ったけど、意外にそうでもないのね。周りが青みがかって見えるの?ッてきいたけど、そんなことはないらしい。まあ。黒目や茶目だって、周りが暗く見えるわけじゃないものね。そういえば、日本人といえば、茶目~黒目がほとんどだけど、実を言うと、生粋の日本人にも、青い眼が現れることがあるらしい。特に東北地方。東北大学の山浦博士が、宮城県黒川郡や古川市などで土地の人々の目の色を調べた記録がある。 瞳の色が全部茶~黒の人 84.7% 瞳の一部に青い斑点を有する程度 10.1% 全周が青いが範囲が半分を超えない 3.5% ほとんどが青く中心部のみ褐色を残す 1.4% 完全に青い瞳の人 0.2%もちろん先祖から混血でない日本人である。青い眼は劣性遺伝といわれている。つまり発生する比率の数倍もの遺伝子が必要だ。その理論でいえば、潜在的に青い眼の遺伝子をもつ人は(黒目でも)かなり多いということではないだろうか?『人国記』という書がある。成立年、作者は不明だが、戦国時代以前の古書である。日本六十余州の地勢・風俗・気質を現している。『日の本の故や 色白くして 眼の色青きこと多し』という記述がある。5000年前の日本には、色白で青い瞳の人々が、たくさん暮らしていたのかもしれない。日本人はどこから来たのだろうか?青い眼の女の子を見ながらルーツに思いをはせた。
September 22, 2005
『あのね。あのね。おいらひとりでも大丈夫だよ。』公園を出て、おいらとトラ猫の二匹きりになったとき、おいらは勇気を出して、トラ猫に向かい合った。『おいら、隣町まで行った事があるし、キジ猫大将も知ってるし・・・だからトラ猫さんは帰って。』おいらは、ひとりで隣町まで行かなきゃ行けないんだ。誰にも着いて行ってもらっちゃ行けない。キジ猫はおいらを黙って見下ろすと、『ぐずぐずしてたら、夜が明けちゃうわ。』と、さっさと先を歩いてく。『まってよ。トラ猫さんは駄目だったら!』おいらはあわてて後を追った。トラ猫は歩くのがとっても早かった。おいらが、ぴょんぴょん跳ぶようにして、走って追いかけると、トラ猫は気がついたように、おいらに合わせて歩いてくれた。『ボス猫は、自分の縄張りの猫を守るのが役目なの。前のボス猫もそうやって、最後まで仲間を守ったのよ。』おいらはびっくりした。そうか・・・トラ猫の前にもボス猫がいたんだ。前のボスって、どんな猫だったんだろう?『前のボスはね。強くって、意地っ張りで、わがままだったけど。とっても優しいボスだったわ。』トラ猫は微笑んでいた。その顔が、とっても綺麗に見えて、おいら急にドキドキしてきた。『その猫はどうしたの?』トラ猫が、前のボス猫を倒して、ボスになったの?『とても遠いところに、連れて行かれてしまったの。』トラ猫の笑い方は、不思議な笑い方だった。笑っているのに、なんだか泣いているみたい。『トラ猫さんは、前のボスが好きだったの?』おいら思わずそう聞いてしまってから、顔が火を噴きそうになった。おいら何を聞いているんだろう?『前のボス猫はね。私の子供たちの父親。』トラ猫の言葉に、おいらの頭がぐるんとした。そうか・・・トラ猫はママ猫なんだから、結婚しているのはあたりまえだよね。強くて、きっと大きくて、そんなオス猫と、綺麗で優しいトラ猫。小さなモコモコした子猫たち。おいらのしっぽがゆっくり垂れた。おいらなんだか変な気分だよ。そんなもやもやした気分を、風で吹き飛ばしたくって、おいら歩くスピードを上げ、とうとう走り始めていた。夜の町は、赤や黄色や青や白・・・いろんな明かりがおいらの眼に、流れてにじんでいた。
September 21, 2005
昨日、実家から帰ってきたばかりですが、今日は両親が、我が家にやってきました。実を言うと、昨日帰宅したのは私だけ。桃は、学校が今日までお休みだったので、ひとりで、おじいちゃんの家にもう一泊したのです。今日は、ひとりで電車に乗って帰って来るって、張り切っていたのですが、雨が降り、心配した両親が、遊びがてら我が家まで、車で桃を送って来てくれたのでした。その時に、フクちゃん(実家の犬)を連れて来たので、初めて、こにゃん君とご対面する事になりました。大丈夫かなあ。こにゃん・・・犬嫌いなんだよね・・・。重さ4キロにも満たない小さな生後10ヶ月のチワワ♂と、(それでも通常のチワワより、かなり発育が良いそう)6キロの巨体を誇る成猫♂の対決は・・・?対決と言っても、本当に喧嘩になったら大変なので、こにゃんは、私が抱いて、そしてフクちゃんは母が抱いてご対~面♪フクちゃんは、よく聞かないとわからないぐらいの小さく低い声で、 ウ~ウ~ウ~とたんに、こにゃんは、しっぽを3倍ぐらいの大きさに膨らまして、私にしがみつき、ブルブルブル・・・。ウ~ん。ちょっとなさけないぞこにゃん君。お兄ちゃんだろう?そのあとフクちゃんは、すぐ慣れて、しっぽはぴんぴん。こにゃんと鼻をくっつけて、ご挨拶しようとしたり、こにゃんを抱いている私の足元で丸くなって寝転んだり。小さいのに・・・肝っ玉は大きかった。きっと将来大物になるだろう。こにゃんは、高い棚の上に逃げてしまった・・・(汗)私がおいでと呼んでも、 ア~ン ア~ン『やだよやだよ。』桃が呼んでも、 ナアァン アン『嫌ですよう。やだ。』あ~あ。初対面はこんなものか・・・。いきなり仲良くは無理かな?いつか、こにゃん君とフクちゃんの仲良しツーショットの写真が撮りたいと思った一日でした。
September 20, 2005
明日は、実家に遊びに行ってきます。妹の顔も見たいし・・・電話はしてるんですけどね。退院して以来、顔を見ていないから・・・。いろいろ心配していましたが、経過は良好です(^^)眼鏡をかければ、0.6ぐらいまでは、どうにか矯正できるようです。(裸眼視力はとても低いけど)それにこれからもっと視力回復すると期待しています。ブルーベリーちゃんと食べてるかな~?旅行とかの許可はまだ下りないけど、再来月には大丈夫。温泉もその頃には入れるようです。さっそく旅行の手続きをとろう・・・やっぱり日帰りより泊りが良いけど、今から取れるかしら?紅葉シーズン外れちゃうし、大丈夫かな?どこに行こうかな~(^^)それも相談しなきゃ。明日実家に行くときには、パソコン持っていくけど、つなげられるかどうかは・・・ちょっとわからないです(^^ゞそれでは皆さん行ってきます。
September 17, 2005
おいらは、トラ猫と一緒に公園を出た。トラ猫は、他の猫が隣町に行くのは駄目だって言うんだ。忍者猫は、おいらを家から連れ出したのは自分だからって、だからおいらの面倒を見るって、ずいぶんがんばっていた。『駄目よ。相手の縄張りにあなたたちを連れて行けば、血の気の多い猫がどう出るかわからない。こにゃんはまだ子供だし、私はメスだし、二匹だけなら喧嘩を吹っかけて来るのもそうはいないでしょう。』トラ猫はそう言ったけど、他の猫たちは心配そうだ。『そりゃ。普通のメス猫相手なら、戦いを仕掛けるようなオスはいない・・・でも、あんたはここのボスだ。』猫の掟では、ボスを倒した猫が新しいボスになる。だからトラ猫がやられちゃったら、ここの縄張りは、隣町の猫のものになるんだと、黒猫がこっそりおいらに囁いた。『でも、トラ猫は強いんでしょ?だって、あの強いキジ猫大将をやっつけちゃったんだもん。』それにおいらだって、もう赤ちゃんじゃないぞ。立派なオスなんだ。ちゃんと戦えるよ。おいらはぎゅっと、肉球からピカピカの爪を出した。おいらの爪、ママに切られちゃって、少し小さくなってるけど、まだちゃんとついてる。おいらの歯だって、もう3本も大人の歯なんだぞ。黒猫は苦笑いを浮かべて言った。『あれは・・・相手の大将が、はなっからやる気がなかっただけで・・・。』『クロッ!』小さく鋭い声が、黒猫の言葉を止めた。カツラ猫だ。忍者猫と話をしていたはずのトラ猫が、いつの間にかこっちを見ていた。『な、なんだよ・・・その、俺は自分の居場所を取られるのは御免だからな。野良の俺に取っちゃ、縄張りがなくなるって言うのは死活問題なんだぜ。』『だったら、もし私がやられてしまったら、おとなしくキジ猫の子分になりなさい。あいつは、むやみに、他の猫を追い出すようなまねはしないと思うけど。』それとも・・・と、トラ猫は続けて言う。『今ここで、誰かが私の代わりに、この町のボス猫になればいい。』トラ猫の眼がキラキラと、お月様みたいに輝いていた。トラ猫の言葉にあたりがしんとした。どうしよう。おいら、ママ猫に会いたかっただけなのに、なんだか大変な事になっちゃった。黒猫の目が、何か迷っているように泳いで、あたりの猫をうかがった。それから、ため息をついて、しっぽを垂れた。『あんたがボスだ。あんたがどう思おうと、先代のボスから、みんなあんたを託されているんだよ。だからさ。もっと自分を大事にしてくれよ。』黒猫は、しおしおと困ったように言う。トラ猫は少し笑ったようだった。『心配させてごめんなさいね。でも大丈夫。無茶はしないから。』そうして、まだみんないろいろ言いかけるのを、顔を引き締めてぴしゃっと、『もう黙りなさいッ!』って。空気がビリビリ震えたよ。それで、みんなシンとなっちゃったんだ。トラ猫は、綺麗ですごく優しくて、それでもやっぱりボス猫だ。そういうわけで、おいらとトラ猫だけ。でも、おいらはもうその時、おいら一匹で隣町に行こうって決めてたんだ。おいらは一度キジ猫の縄張りに入ったことがある。あの時大将は、おいらにとても親切にしてくれた。それに、大将とずっと一緒だったから、他の猫からも喧嘩を仕掛けられたりしなかった。だけど、今度はわからない。いきなり乱暴な猫に会うかもしれないし。そう思ったら、おいらちっちがしたくなってきた。だけどトラ猫は、みんなの大事なボスなんだ。おいらだってこの町の猫だもん。空を振り仰いだら、少し雲が出てきたみたい。お月様がミルク色に霞んで見えた。
September 17, 2005
今日の夜、日記を書くつもりが、ついつい『魔女の宅急便』を見てしまいました。もう何回も見たのになあ。でもやっぱりジブリって良い~(^^)ジジお利巧~ジジ二世も可愛い~。さてさて、秋の夜長・・・明日はお休みだし、うっかり珈琲飲んじゃったからぜんぜん眠くないし、(カフェインに弱いのだ)朝まで小説書きでもやってみるかな?とりあえず、あちこちのブログを覗いてから、『こにゃん日記』の続きを書きます。夜明けと共にアップ???なんだか、ショート小説の芽もぴょこぴょこと、頭の中に芽吹いてます。う~ん。読んでくださる方はどうなのかな?こにゃんが、ママ探しを終えて、桃のおうちに帰るまでを一気に書くのと、ショート小説を挟むのと・・・。もし良かったらご意見聞かせてくださいね(^^)
September 16, 2005
ふうっ。誰かの息がかかってこそばゆい。それからぱちりと重たい瞼を引き上げる。あれ?ここはどこ?おいらの眼の中いっぱいに、緑の色が広がった。『違うわ・・・。』緑色が急においらから遠のいて、それは一匹の緑色の瞳をした白猫になった。『また駄目か。』あれ?忍者猫?おいらはパチパチと瞬きを繰り返した。『たいしたちびスケだな。俺様が駆けずり回っている間に、のん気に寝てるとは。』黒猫の呆れたような声に、おいらははっきりと眼を覚ました。おいらのママ猫!『泣き疲れちゃったのよ。まだこの子は小さいから。』トラ猫がそういって、おいらからそっと身を離した。おいら、トラ猫にしがみついたまんま、寝ちゃったんだ。おいら、顔中お毛毛だらけでよかったと思ったよ。おいらの顔は、きっと夕焼けみたいに真っ赤に違いない。いつの間にか公園には、たくさんの猫が集っていた。おいらのママ?ママ?ママはどこ?だけど、だぁれもおいらのママ猫を連れてきた猫はいなかったんだ。『そんなにがっかりするんじゃないよ。ここいら辺で、こにゃんのことを知っている奴はいなかったけど、もしかしたら、隣町から連れてこられたのかも知れないし。』おいらが、えぐえぐ鼻をすすってると、しま姉さんがおいらの肩にしっぽを乗せながら言った。隣町?!おいらの耳がぴくっとした。隣町には、おいらのおうちが、迷子になったとき見つけてくれた、あのキジ猫大将がいる。『キジ猫大将だったら、おいらのママも見つけてくれるよ!』おいらのしっぽがぴんと立った。おいらが興奮して、そう叫んだら、いきなりにゃーにゃー騒がしかった周りがシンと静まった。みんな黙って、トラ猫を見てる。おいら、とたんにびくっと気がついた。そうだ。トラ猫はキジ猫大将とは敵同士?大将は言ってたっけ、大将の片目をつぶしたのは、トラ猫だって。でも、トラ猫は優しくて、泣いちゃったおいらをずっと抱きしめててくれて・・・それに、おいらの目の前で会った二匹は、なんだか静かで優しい声で話をしていた。『そうね。隣町のことは、隣町のボスに聞いたほうが早いわ。』トラ猫は落ち着いた声で言った。おいらは、恐る恐るトラ猫の顔を見た。怒ってる?トラ猫は微笑んでおいらを見た。『キジ猫大将に会いに行きましょう。』
September 15, 2005
おいらがうろうろと公園を歩いている間。トラ猫は目をつぶって、ベンチの上に寝そべっていた。もしかして寝ちゃったのかな?そう思って、おいらがこっそり公園を抜け出そうとすると、まるでそれがわかったかのようにトラ猫の眼が開く。おいらはなんでもないよと言う顔をして、こそこそと、ベンチのそばに引き返した。おいらは眼を細めて、公園の入り口を見つめた。だあれもこない。おいらのひげがだらりと垂れた。『こにゃん。こっちいらっしゃい。』トラ猫に呼ばれて、おいらはベンチの上にひらりと飛び乗った。『夜になると、肌寒いわねえ。』トラ猫はそういいながら、おいらを前足でクルンとひっくり返すようにして、自分のほうへ引き寄せた。あったかい・・・。おいらの鼻の中に、ふわふわの胸毛が入ってきて、おいらはくちょんとくしゃみした。トラ猫のしっぱがおいらにクルンと巻きついた。トラ猫は、ほわほわして、懐かしいような、しっぽの辺りがさわさわするような、それでもって、なんだか泣きたくなるような匂いがした。『私にもね。子供がいたのよ。』トラ猫はぽつんと言った。えっ?トラ猫もママ猫だったんだ。『でも、もういない・・・。』『どうして?どうしてママと離れ離れにならなくっちゃいけなかったの?悪い子だから?』おいらも悪い子だから捨てられたんだろうか?おいらが泣きそうな顔をしていると、トラ猫は温かい舌でおいらの眼をぬぐった。『子供たちはみんな良い子だったから、やさしい人に貰われていったの。今でも時々子供たちの元気な写真が届いて、ご主人様が私にも見せてくれるわ。』そういいながら、トラ猫は笑って見せたけど、なんだか寂しそうだったから、おいらは思わずトラ猫にしがみついた。『こにゃんは優しい子ね。』トラ猫はそう言ったけど、おいらはきっと悪い子なんだ。だから、いらない子だから捨てられちゃったんだ。おいらとトラ猫は静かに抱き合っていた。『こにゃんは、今、幸せ?』トラ猫が、しょんぼりしたおいらを覗き込んで聞いた。幸せ?おいら幸せなのかなあ?『おいらね。ママと、パパと、桃と暮らしてるの。ママはね、おいらをダッコしてくれて、美味しいご飯をくれるの。パパはね、おいらをこちょこちょって、すぐくすぐるんだよ。それでね。桃はね、おいらを蹴っ飛ばしたりして、でもねおいらも引っかいたりして、喧嘩するの。』おいらが一生懸命説明すると、トラ猫は微笑んだ。『そうなの。こにゃんは幸せなのね。』ママもパパも桃も大好きだよ。トラ猫も、忍者猫も、みんなみんなおいらに優しくしてくれる。おいら幸せなんだ。『でも、おいらママ猫も欲しいんだよう。』おいらは、とうとうにゃーにゃー泣き出してしまった。おいら男の子だけど、もうちっちゃな赤ちゃんじゃないけど、だけど、やっぱりママ猫がいるんだよう。トラ猫はゴロゴロとおいらの鼻や、目や、顔中を舌でぬぐっていた。
September 13, 2005
緑ヶ丘公園の入り口で、おいらはふと立ち止まった。高い高いイチョウの樹。あの時は丸裸だったけど、今は緑の葉っぱがふさふさと茂ってる。花壇には黄色い目をした赤紫のパンジーが、一列に行儀良く並んでる。月の光の中でさえ、あの時、おいらが拾われた寂しいところとは、ぜんぜん違う明るいあたたかいところに見えた。本当においらここで拾われたんだっけ?おいらが立ち止まったまま動かないでいると、おいらの後かついてきた猫たちは、そこで詰まってぎゅうぎゅうおしくら饅頭みたいになった。『なんだ。なんだ?ここじゃないのか?』おいらは公園に入る。ぐるりと見渡せば、見覚えのあるブランコ。鳥かごみたいなぐるぐる回る乗り物。木の下の白いベンチ。確かにおいらの記憶にある公園だ。『ここがそうか。』黒猫がおいらを見た。おいらはうんとうなずく。『問題は捨てた人間がどこから来たかだな。』忍者猫がう~んといいながら、ゆらゆらとしっぽを振った。『おいちび、どっからきたんだ?』おいらは何にもおぼえちゃいない。おいらがそういったら、黒猫は、ボリボリ後ろの耳を掻きながら、『これだから、ちびは・・・頭ん中までちびだな。』という。おいらのひげがしょんぼり垂れた。『この公園を中心にして、手分けして探しましょう。』トラ猫がおいらに優しく額をすりよせた。トラ猫が黒猫にフウッて少し唸ったら、黒猫ってば、あわてたように目をそらした。それから、みんなを二匹ずつに分けて、探す場所もちゃんと分けた。トラ猫は、綺麗なメス猫で、いばったりしないし、優しいけど、やっぱりボス猫だなあ。みんな真剣な顔をして、ちゃんと聞いている。忍者猫は、おいらにウインクして見せて、しま姉さんとひらりと消えた。黒猫は、がりがりにやせた赤猫をしたがえるようにして、公園を出て行った。無口な白猫は黙ったまんまで、カツラ猫と肩を並べて行く。白黒猫も、三毛猫も、シャム猫もおいらのママ探しに出動だ。みんな、みんな、ありがとう。おいらもがんばるぞう!おいらもあとについて、とんでこうとしたら、トラ猫に止められちゃった。『あたしと一緒にここに残りなさい。』 なんで?なんで?おいらのママ猫探しだよ?『みんながね。子供を失くした母猫を連れてくるから。』トラ猫はそういったけど、おいらは、早くママに会いたくて、すぐにとんで行きたかったんだ。『せっかく連れて来ても、あんたがいなきゃ、こにゃんのママか、わからないでしょう?』おいらの目がしぱしぱした。しっぽの付け根もちくちくした。 ここはおいらが捨てられた公園。お月様は真ん丸で、まるで金色の猫の目みたいに見えたんだ。 お空の上からなら、ママが見えるかな? ママ、ママ、おいら早く会いたいよ。 おいらのお眼目が溶けちゃう前に。 おいらのしっぽがとれちゃう前に。 お願い月猫。 おいらのママを探してよ。
September 12, 2005
長編猫小説『こにゃん日記』再開準備の為日曜日までブログはお休みします『こにゃん日記』の続きの話は、私の中では前々から既にあったのですが、このあとの展開が、シビアで暗く悲しいものが入るので、なかなか書き進めずに来ました。でも、それを越えなくっちゃ、今後の『こにゃん日記』はいつまでも停滞したまんま。だからこにゃん君には、辛い事でも、がんばってもらう予定です。掲載は月曜日予定です。ほんわか幸せな『こにゃんのお話』だけじゃなくって、悲しいこともいっぱいある『こにゃんのお話』ですが、どうか応援してくださいね(=^・^=)
September 9, 2005
クルッ クルッ クルッ鳩のような幸せ胸の奥でやわらかく抱きしめて小さな小さな子供みたいにくすぐったくて暖かい羽毛のような優しさでう~ん眠い。眠いとお布団が幸せ。おなかもいっぱいで、猫と娘と川の字で寝れる幸せ。主人は遠くにいるけど、今日もお休みTELが入るだろう。それまでは、眠くてもがまんがまん。うとうと、うたた寝しながら待ってます。
September 7, 2005
秋の気配がしてきました。そろそろ新しい香水が欲しい。というわけで、今日は秋の香りの香水を作ってみました。しましまは、市販の香水が苦手。自分でアロマオイルを混ぜて作ります。今回のテーマは、「やわらかくて優しい、陽だまりのセーターのような香り」さてさてその材料は?アロマオイル(純正100パーセント) ラベンダー 8滴 ローズウッド 4滴 ベンゾイン 3滴 サンダルウッド6滴無水エタノール 4ミリリットル遮光瓶(スプレータイプがお勧め)にエタノールを入れて、オイルを少しずつ入れて、蓋を閉めよく振るだけ。しましま流は簡単でしょ?(笑)もうちょっと凝った作り方も知ってるけど、私はもっぱらこんな感じで作ってます。そのままでも使えるけど、冷蔵庫に入れて、1日1回振って、2週間ほど熟成させると、香りのバランスが良くなり、肌なじみがいいです。ウッデイ調の甘く暖かみのある香りです。安心させ、精神を安定させ、不眠症にも良いそうです。さて、今夜はいい夢が見れるでしょうか?←ミニアトマイザー(スプレー付遮光瓶5ミリリットル用)ネットショップ以外にも、お近くの生活雑貨屋さんやハーブのお店にもあるかも(^^)
September 6, 2005
『そらのなみだ』軒下にぱたぽたとぱたぽたとこぼれているのはあれはあなたの涙ですか身を乗り出して見上げたらあなたの涙が私の瞳に落ちてくる雨続きです。昨日のような豪雨じゃないですが、しとしとと一日中。台風の被害がありませんように。
September 5, 2005
妹が退院しました(^^)昨日は目が少し痛いと言っていたので、大丈夫かと心配しましたが、今日、迎えにいったら、検診は済んでいて、自宅に帰っても大丈夫だという事です。これからは自宅療養+車で30分くらいの病院へ通院です。退院祝いに、帰宅途中で、うなぎやさんに寄りました。本当は疲れるだろうから、自宅でご飯と思ったんですが、妹は食べる気満々。やっぱり病院食って味気ないよね。というか・・・妹は食自体はとても細いし(体も細くて小さい)、偏食家だけど、やっぱり私に似て食いしんぼだと思う。本人はそんなこと絶対ないって言うけど(笑)うなぎは目にも良いそうだし。美味しいご飯を食べて、妹も笑顔。ほっこりした気分の一日でした。まだまだ病気との闘いは続くけど、ようやくひとつの大きな山場を越えたと思います。心配してくださった皆さんありがとうございました
September 4, 2005
瞬君は縄跳びが上手だ。前とび、後ろとび、交差とび、走りとび、長飛び、何でも出来る。地面をけって、軽く飛び上がる間に、ひゅんひゅんと唸り回転する縄の中にいると、なんだか自分だけ違う世界にいるようだ。体育の時間、瞬君は、みんなの前で縄跳びをすることになった。先生が、みんなにお手本を見せるようにと、瞬君に言ったのだ。 ひゅううんひゅううんひゅううううううん飛び上がっている間に、縄は瞬君の足と地面の間をくるくると、二度も通って回る。瞬君は何度も何度も、二重跳びを繰り返した。まるで鳥にでもなったみたい。縄は瞬君の翼だ。『すごいね瞬ちゃん!』『かっこいいぞォ!』『瞬君は、縄跳びチャンピオンだね。』ところが、ある日、瞬君の学校に転校生がやって来た。『おおぞら羽です。縄跳びが得意です。』羽君は、その言葉のどおり、とても縄跳びが上手だった。二重跳びだけでなく、みんなの前で、三重跳びまでやって見せたのだ。これにはすっかり、先生も、みんなも感心してしまった。『羽君は、学校一の縄跳びチャンピオンだね。』瞬君は悔しくてたまらない。毎日、毎日、こっそりと縄跳びの特訓をした。何度も転んで、膝小僧をすりむいた。かさぶたが出来ては、その上からまた血を流した。そしてついに四重跳びが出来るようになったのだ。瞬君の足元で、縄跳びがものすごいスピードで廻る。とても目のよい先生が、どうにか四重跳びだと確認した。たちまち町中の話題になった。瞬君はとても満足だった。ところが、羽君もやはり縄跳びチャンピオンになりたいのだ。瞬君に負けないくらい練習に練習を重ねて、とうとう五重跳びができるようになった。瞬君が回す縄の速さはすごくて、とても目では追いきれない。特別な測定器を使って、正式に記録に残された。『天才縄跳び少年現れる。』たちまちテレビ局がやってきて、羽君の縄跳び姿を全国に流した。それでも瞬君は諦めなかった、羽君も負けていなかった。ふたりの縄を回すスピードは速すぎて、もはや、誰の目にも回っている回数どころか、縄すら見えなくなった。ただふたりが、鳥のように腕を軽く曲げて広げ、何度もジャンプしているようにしか見えない。とうとう機械ですら、測定できなくなってしまったとき、突然ふたりは、みんなの前から消えてしまった。目をぎゅっとつぶって、ひたすら縄をまわしていた瞬君と羽君の足が地面に降り立った。『『やった!とうとう九重跳びが、できるようになったぞ!』』ふたりは同時に宣言すると、すてんとその場にしりもちをついた。『また、引き分けかあ。』『今度こそ負けないぞ!』ところが、なんだかあたりの様子が変だ。ふたりを見守っていた大勢の人や、テレビ局のカメラはどこへ行ったのだろう?国技場にいたはずなのに、うっそうと茂る木々、固い地面、しだに似た大きな葉っぱ、まるでジャングルだ。瞬君は、呆然とあたりを見渡した。『ここはどこだろう?』羽君を振り返ると、なんだか難しい顔をしていた。『瞬君。もしかしたらここは・・・。』羽君が何か言いかけたとき、木々の間からにゅっと、木の幹よりもずっと長くて太い首が現れた。首の先には、車ほどの大きさの細長い顔。『怪獣だあ!』瞬君はしりもちをついた姿勢から、ばね仕掛けの人形みたいにぴょんと飛び上がった。そのまま駆け出して逃げようとした。ところが羽君は、そんな瞬君の片足を掴んだ。『あいたっ!』瞬君は前につんのめって、そのまま鼻から地面に激突した。ガンという衝撃と、あまりの痛さに、鼻が無くなってしまったのかと思った。『しっ!静かに!』瞬君の目の前に、大きな太い柱が立った。 ズシン!『あいつは草食性のはずだから、じっとおとなしくしていれば、大丈夫のはずだよ。』 ズシン!ズシン!ズシン!耳元で聞こえる羽君の声。その言葉の通り、怪獣は瞬君が、伏せている地面が揺れるほどの地響きを立てながら、悠々とその場を立ち去っていった。『大丈夫?』瞬君の鼻に温かく湿ったものが押し当てられた。『すりむいてる。』羽君が、瞬君の鼻の頭をぺろりと舐めた。『わっ!』瞬君が叫んだとたん、たらりと唇に鉄の味が触れた。『あ、鼻血が出ちゃった!』羽君の声に、瞬君はあわてて、鼻を押さえた。ぬるぬるとした赤いもの。『あ・・・。』瞬君はくらりと世界が廻った気がした。何か、やわらかくっていい匂いのするものが、顔に押し当てられている。瞬君が我にかえってみると、横たわった自分に覆いかぶさるようにして、羽君が心配そうに見ていた。『大丈夫?』起き上がった瞬君の顔から、ふわりと落ちたのはハンカチだ。鼻をこすってみたが、もう鼻血は止まってるみたいだ。『ここはどこ?さっきの怪獣は?』夢かと思ったけど、あたりの様子は、さっきと何も変わっていない。『どうやらここは過去の世界みたいだよ。さっきのは怪獣じゃなくって恐竜だよ。』『ええっ!』でもそういえば、当たりの様子といい、先ほどの怪獣といい、まるでここはジェラシックパークだ。『僕は、恐竜の本が好きでよく読んでいたんだ。さっきのはブラキオサウルスだと思うよ。』『でもどうして?どうして僕らは過去に来ちゃったんだよ。』瞬君は困ったように羽君を見つめた。羽君だって困ってしまった。『あっ!!』瞬君は思わず、大声を上げて、羽君をあわてさせた。『しっ!静かに、また恐竜が出てくるかもしれない。』『羽君!縄跳びだよ!』瞬君はかまわず声を上げた。『もしかしたら、僕たちがすごいスピードで縄跳びをしてたからじゃない?縄跳びタイムマシーンだ!!』『そんな馬鹿な!』でもどう考えても、二人には、他の理由が思いつかなかった。『ね。後ろ跳びしてみたらどうかなあ?』しばらく黙って考えていた瞬君が、思い切ったように、俯いている羽君を覗き込んだ。『僕たち前周りで、九重跳びしたら、過去に飛ばされた。だから後ろ跳びで九重跳びができたら、元の世界に戻れるかも。』それからふたりは、再び縄跳びの練習を始めた。後ろ回りは、前回りよりずっとずっと難しい。でもふたりはへこたれない。『僕たちは縄跳びチャンピオンだ!時間だって飛び越えてみせるさ!』
September 3, 2005
主人がさきほど、帰ってきました\(^o^)/と言っても、また明日名古屋に行っちゃうけど(;_;)今日は会社帰りに、妹の病院にも見舞ってくれたそうです。就業時間が遅くって、面会時間ぎりぎりだったみたいだけど・・・。忙しいのに、ごめんね。そしてありがとう。妹は、日曜日の朝にもう一度検査して、退院の予定。まだ眼圧が低下したままだし、薬の副作用で、血圧低下や手足のしびれもあるけど、大学病院て、手術が終われば、たいていすぐ追い出されるの。亡くなった義父のときも、友人が入院したときもそうだった。だって、ひとりで歩いてトイレにもいけない状況で、退院を勧めたりするんだもん。もちろん自宅療養が出来なければ、民間の病院に転院することになる。妹は一人暮らしなので、とりあえず実家で療養する予定です。妹の執刀をした医師は、大学病院の名誉教授で、自分の病院は他にあるから、そこに検診に通うんです。今よりかかる時間は短くなるけど・・・。出来ればもう少し回復するまで入院させたかったな。なんだか今日の日記は愚痴っぽくなっちゃった・・・。このブログを書き終わって、スッキリして元気に顔をあげよう。せっかく主人が、少しの時間だけど家にいるんですもの。それに大変なのは、私じゃなくって妹なんだ。私がぶちぶち言ってたら駄目ですよね。明日はショート小説をアップする予定です。『なわとび』という題名のSF小説です。
September 2, 2005
ケコケコケコ コワッフコワッフ どこから入り込んだのだろう。しっとりと濡れた庭から、カエルの声が聞こえてくる。日曜日の午後、朝から降り出した雨は止む気配がない。『あ~あ。こんなに雨が降ってばかりじゃ、僕だって泣きたくなるよ。』たつやは、ごろんと横になったまま、漫画雑誌を顔からどけて、窓から見える空を睨んだ。雨でサッカーの試合は流れてしまった。『お兄ちゃんてば。カエルさんは雨が好きなんだもん。あれは笑ってるんだよ。』せっせと、ぬいぐるみたちに、ご飯を食べさせながらさちこは言う。『ばーか。カエルが笑うかよぉ。』『笑うよぅ。あのね。窓に小さいカエルさんがいて『いい雨かげんですね』って、さっちが言ったら、ケロケロって笑ったんだよ。』さちこは嬉しそうだ。『ちぇっ!』たつやはちっとも面白くない。パチン パチンという小気味いい音が聞こえてくる。背中を向けて床に新聞紙を広げているお父さん。『ねぇ。お父さん。カエルさん笑ってるよねぇ。』お父さんは、ああとか、うんとか、生返事を返す。新聞を読みながら、爪を切っているのだ。『そうだな。カエルが鳴いてるな。』とたんにさちこの顔がぷうっとふくれた。たつやは得意げに言う。『ほらやっぱり泣いてるって。』『違うもん!違うもん!カエルさん喜んでいるんだもん!』さちこが大声で言ったとたん、お父さんは、『あうちっ!深爪しすぎた。』と、片方のつま先をあげた。ぽたりと赤い血が垂れて、新聞紙の上に落ちた。それを見て、さちこは泣き出した。台所からひょいと顔を覗かせたお母さんは、あららと言いながら、お父さんにテッシュの箱を投げ渡す。ナイスキャッチ!お父さんは軽く受け止めると、ポンポンと深爪した足の指をテッシュで押さえた。『ほら、さちこ、もう大丈夫だ。』お父さんが声をかけたので、さちこは恐る恐るお父さんのつま先を見る。赤くなっているが、血は既に止まっていた。『痛くない?』さちこは、ほっぺたに涙の粒をつけたまま聞いた。『そうだな。さちこが、ばんそこう貼ってくれたら痛くなくなるな。』救急箱から、ばんそこうを持ってきたお母さんが、さちこに、はいと手渡した。さちこは痛くないように、そうっとお父さんのつま先にそれを貼り付ける。『痛くないですかぁ。痛くても泣かないでくださいね。』いつもぬいぐるみたちに、包帯やばんそこうをし慣れている幸子の手つきは、思ったよりもずっと上手だ。『あのなさちこ、泣いてると鳴いてるってのは違う。』お父さんは言うが、さちこはますますわからなくなる。『『ないてる』と『ないてる』がどうして違うの?』『あのなぁ。カエルが鳴いてるって言うのは、さちこやたつやが泣くのとは違うんだ。う~ん。そうだなあ。ありゃカエルの言葉みたいなもんだ。嬉しいから鳴くし、悲しいから鳴くし、もしかしたら兄妹ゲンカしてるのかもしれないな。』『ふうん。』さちこはわかったような、わからないような顔をした。『あ~ぁ。』たつやはゴロゴロと畳の上を転がった。とたんにたつやのおなかが、グウゥ!と大きく鳴った。『あっ!お兄ちゃんのおなかが鳴ったよ。』『つまらないし、おなか減ったよォ。』たつやは情けない声をあげた。『これは、たつやの腹が泣きべそかいてるよな。』お父さんとさちこは、顔を見合わせてくすくすと笑った。台所から美味しそうなホットケーキの匂いがしてきた。もうすぐおやつの時間だ。いつの間にか、雲の切れ間から、細い光が何本も射しだしていた。
September 1, 2005
今日も妹のお見舞いに行きました。今日は、術後の目の調子があまり良くなくって、目の上を小さな鉄の器具でふさがれてました。(>_
August 31, 2005
昨日1時間30分もの大きな手術をした妹は、今日はだいぶ元気になりました。血圧も心拍数も昨日より回復し、ご飯も食べられるようになりました。よかった~(^^)手術は成功したのですが、これで妹の病気がよくなるかは、1週間後にならないとわかりません。場合によっては再手術。どうか昨日の手術で改善していますように~。今日は梨を持っていったら、美味しそうに食べていました。明日はケーキがいいんだって・・・。ご飯はいっぱい残していたくせに~でも、ま、いっか。今は、好きなものをたくさん食べて、早く元気になってくれたらそれでいいです。明日またお見舞いに行きます。片道2時間近くはちょっと面倒だけど。でも交通の便は良いので、さほど辛くはないです。
August 30, 2005
今日は妹を病院に送っていきました。病院に入る前に、近くの中華レストランで一緒に夕食。味は濃い目だったけど、わりと美味しかったかな?しばらく病院食になる妹は喜んでいました。妹は偏食家なんです。もっとも、昨今は健康の為、あまり好きじゃないものも、少しは我慢して食べるようになったけど。そういうわけ(?)で病院に持っていく荷物の中は、お菓子がいっぱい・・・(汗)それと『のりたま』おかずが食べられなかったら、ご飯に振りかけて食べるんだって(ーー;)オイオイ・・・ちゃんと栄養取れよ。差し入れ必須です。普通お見舞いって、花とか果物とかケーキが定番だけど、妹の好物のおかずがいいのかなあ。まあ。食べ物の心配をしてるくらいだから、思ったよりも落ち着いている様子。安心しました。手術の事、くよくよかんがえてるより良いよね(^^ゞ
August 28, 2005
今日は妹が目の手術の為、いよいよ入院しました。検査の結果、体調は、手術を受けるのに差し支えのないことがわかりました。が、先生達の都合で、月曜日もしくは木曜日に手術する事になりました。妹が入ったのは2人部屋。先生から事前に、ベッドの空きが少ないから、部屋は選べないといわれていました。大部屋が妹の希望でしたが、2人部屋に入れただけラッキーなのかな?白内障の手術の方と相部屋です。なかなか愛想のいい方のよう。ひとり部屋よりは寂しくないでしょう。でも妹は外泊許可を貰って今、実家にいます。病院では心細いし、退屈だし、日曜日の夜また戻るそうです。だから本当の入院は日曜日から、それでも入院費用は今日からだそうです。大学病院のベッドって、キープしなきゃ入れないほど少ないのね・・・。明日は私も実家に行きます。妹の顔を見て、元気付けられたらなぁと思います(^^)
August 26, 2005
台風です!近くの河川が危ないです(>_
August 25, 2005
黒い蜀台に灯った明かりがゆらゆらと揺れ、女の影を壁に長く引き伸ばす。床に描かれているのは、魔方陣だ。 京子の奴・・・!亜由美の脳裏には、煌くダイヤのネックレスと、イヤリングを身につけ、嫣然と笑っていた京子の姿が思い浮かんだ。部屋の中には香が焚かれ、眠気を誘うような低い呪文が延々と呟かれる。やがて魔方陣の中から、ゆらりと立ちあらわれた姿。『奥さまこんにちは。』そこには灰色のスーツを身につけた、いかにも営業マン風なにこやかな青年が現れた。少し違っていたのは、その耳がやけにとんがっている事と、スーツのズボンから黒い革紐の様な尻尾が生えていることくらいだ。『いつもお美しくて・・・。』青年が言い始めると、亜由美はいらいらとそれを遮った。『挨拶なんていいわ。今日はなんかお勧めはないの?』青年はにこやかな表情を崩さないまま、ぶら下げていたスーツケースから、白い粉の入ったガラスの瓶を取り出した。『これなんかいかがでしょうか?絶対証拠の残らない毒薬です。』亜由美は、つまらなそうにそれを手のひらで転がした。『ふうん。』青年は、興味なさそうな亜由美を見ると、あわてて他のものも取り出した。『のろいの人形です。これに好きな相手の髪の毛を入れて、心臓を釘で打てば、相手の心はあなたのもの。』『なんだか古臭いわねえ。』青年の笑顔が張り付いたようになった。次から次へと品物を出しても、亜由美は首を縦に振らない。 仕方がない・・・。青年はしぶしぶと、スーツケースの奥から、コードの付いた白い四角い箱を取り出した。『それはなあに?』とたんに亜由美の瞳が、獲物を見つけた肉食獣のようにキラキラと輝きだす。『これは、万能野菜切りです。』青年の口上のテンポがあがる。『大根でも、にんじんでも、玉ねぎでも、ジャガイモでも、あっという間に、半月切り、短冊切り、いちょう切りに拍子切り、何でも出来ちゃう!奥さん!奥さん!奥さん!見て!見て!見て!ほら、置くだけ、置くだけで、あっという間!さらにこの商品のすごいところ!なんと飾り切りまで出来ちゃうところ!』亜由美の目は、軽やかに実演してみせる、青年の爪の長い指先に釘づけだ。『今ならなんと!同じものがもう一台。』亜由美は、魅入られたようにふらふらと身を乗り出した。『毎度ありがとうございます。』うって変わって、上品な口調に戻った青年は、慇懃に腰を折った。今月も青年の売り上げはトップに間違いない。それにしても・・・今日売れたものは、安っぽい作りのダイヤのネックレスとイヤリングのセット。布団圧縮袋に万能包丁に野菜切り機。いや・・・これは今日だけでない。何でこんなくだらないものを欲しがるんだろう?もっとも、最近は、まっとうな悪魔らしい商売はし難くなった。永遠の美しさだの、大金だの、権力をあげようと言うと、みな胡散臭がる。与えたところで、美しさや権力は、手に入れたとたん、自分のもともとだとか才能だとか言い出す。金を与えれば、まってましたとばかり税務署がやって来て、脱税だと騒ぐ。商売の代価も替わってしまった。最近の悪魔は『魂』にはめったに手をつけない。よほどの上物なら別だが・・・。取引物は人間の『欲望』だ。魂は一度取ってしまえば終わりだが、人間の欲望なら、同じ人間から何度でも取れる。商品のリピーターになってもらえるのだ。そのころ亜由美は、さっそく京子に電話で自慢話をしていた。
August 24, 2005
今日は夕方から、桃の宿題に付き合ってしまった。自由研究の材料を買いに出かけ、ものすごい雷雨に遭遇。びしょぬれになり帰宅、着替えたら自宅でお制作。なんだか紙粘土の感触に、制作意欲がムラムラと・・・。楽しいよう~♪いかん、いかん。桃自身に作らせねば。そろそろ桃の就寝時間。さて、ブログでも書こうかと思いきや、ええ~ッ?感想文もみて欲しいって?自分で書け!そう言いつつも、娘の寝たあとで、こっそりと原稿用紙を広げ、思わずため息、文章がほにゃららなのはおいて置いても、誤字脱字の多いこと・・・さすが私の娘だ(涙)添削し、正しい漢字を書き添える。明日直させようっと。私の小説は明日出来るだろうか・・・一応プロットは作ってあるけど・・・。また明日も、娘の宿題につき合わされそうで、ちょっぴりおののいている夏の終わりなのでした。皆さんへのお返事&ご訪問はこれから~(^^)その前にちょっくら、お風呂にはいってきま~す。
August 23, 2005
今日は昨日書いた小説を、手直ししちゃいました。少しは改善されたかな?良かったら、一度読んでくださった方も、もう一度比べてくださいね(^^)昨日体験した出来事です。近くのお風呂屋さんに行ったら、『韓国式体質改善ボディエステ』がありました。キャンペーン中で、50分3000円だって。 エステかぁ~。効果は・・・と見ると。新陳代謝促進。アレルギー体質改善。ダイエット?!実は酷いアレルギー体質の私。それにダイエットと聞いたら、もうやるっきゃない(^▽^)その時私の脳裏に浮かんだのは、南の島で、椰子の葉を並べた屋根の下、綺麗なお姉さんに、塗り塗りモミモミしてもらってる自分の姿。遠く潮騒の音が聞こえるなか。アロマオイルの香りも漂う。 いい!すごくいいよ!!その時私は、うっかり『韓国式』について考えようとはしなかったのです。 試して良かったら、妹も誘おうかな? 入院前に、夏の疲れを取るのもいいよね。今日のところは私だけで体験して見ることに。お風呂で身を清めてから、裸のままエステルームへ。黒いビキニのようなものを纏った女性が、怪しげな日本語でベッドに招いてくれました。まずはうつぶせ状態。足のほうから上に向って、クリームのようなものを塗り塗り塗り・・・。裏返して、前側も塗り塗り塗り・・・。 ふんふん・・・なかなか気持ちいいよ。 これで小麦粉を振って、揚げたらしましま揚げ?でも至福の時間は僅か数分で終わり。体の下に敷いていた、銀色のビニールみたいなもので、ぴっちりと、足の先から肩先まで包まれました。それから、顔にも塗り塗り塗り・・・仕上げに目の上に黒タオルを置かれ、周りは見えなくなりました。『これで我慢ね。』不吉な言葉と共に、去ってゆくお姉さんの気配。我慢?何を我慢?そう思っているうちに、なんだか体がぽかぽかしてきた。続いて汗がだらだら流れ始め。サウナ状態。 うん。ちょっと暑いけど、これなら我慢できるよ。そう思ったのも、最初だけ、暑さはだんだん激しくなる。たかがクリーム塗って、ラップみたいなのに包んでるだけなのに~なんでこんなに暑いの?ぴっちりラップを巻かれ、レンジでチンされる食材の気持ちが解る気がする。毛穴という毛穴が開いて、ぴゅーぴゅー汗を噴出してる。私の背中の下は、まるでオネショのようにびっしょりし始めた。私は、バケツに向って絞られる濡れ雑巾だ。 これ?どのくらいやるのかな?私は『エステ50分』の文字を思い出しました。 まさか、まさか・・・50分間?何もされていない頭の毛穴からも、汗が滴り。何度も唾液を無意識に飲み込む。いつの間にか唇がかさついてきた。 あとどのくらいだろう?バックに流れているのは、『時の流れに身を任せ』なんだかぴったり過ぎて笑えない~。時々お姉さんが、うろうろと頭の辺りで身動きする気配が、もうお終いか、という期待をかきたて、裏切られ。あまりの熱さに耐え切れず、何回か部分的(足の裏とか、胸元とか)にラップをはずしてもらいました。侮りがたい韓流エステ。終いには、ねっころがったままで、貧血おこしそうになっちゃった。ようやくラップをはがされ、体中にシャワーを浴びる。 ああ~水分♪私は絶対砂漠には行かないぞ。と誓った瞬間でした。ところで気になる結果ですが・・・なんと!その50分で、0.5キロも減っていたんですよ~。水分もたっぷりとって、ご飯も食べてから計った結果です。一回やったくらいですから、たぶんすぐ元に戻りそうですけど。お膚もすべすべになりました。いろんな意味で、恐るべし『韓流エステ』でした。
August 22, 2005
ピラリラ~リラリラリラ~♪ピラリラリラ~♪音高く、ネズミーランドのテーマソングが流れる。『はい、はい、はい。』意味もなくよい返事をしながら、私はリビングの受話器を耳に当てた。そのとたん、『俺!俺!俺だよ~っ!!』と男の声が、私の鼓膜を叩きのめした。この~っ!難聴になったらどうしてくれんのよ!やっとオレンジカフェのライブチケット手に入れたのに!『どちら様ですか?』凄みのある低音で聞いてやった。『俺だってば!』・・・もしやこれが噂のオレオレ詐欺?そう思ったとたん、『豊だってば。』と、能天気な明るい声が聞こえた。『豊~っ?!』受話器の向こうから、がはっはっと笑い声が聞こえる。よく聞いてみれば、確かに覚えのある従兄弟の声だった。『・・・嘘・・・ほんとに豊?』『うん。俺だよん。』『・・・お、俺だよんって・・・あ、あんた・・・何してるの?・・・もう帰ったんじゃなかったの?』もうお盆休みも終わりだ。明日から仕事が始ることを思いだし、私は気分が重くなった。『う~ん。帰るつもりだったんだけどさ。ついぐずぐずしてるうち、Uターンラッシュに巻き込まれちゃって・・・。』遅刻魔で、時間の守れた例のない豊らしい。『それでさあ。玲のうちに泊めてくれない?』豊の猫なで声に、私の背中の産毛が、ぞぞぞっと逆立つ。『・・・何で私んち?実家に行けばいいでしょ。』叔父の家と、私のアパートは同じ町内だ。『なんか留守みたい、誰もいないの。俺、鍵もってなかったし。』豊の声が小さくなる。そういえば、町内の福引で、グアム旅行が当たったって自慢してたけど、まさか今日出かけたわけ?『なんとか入れないの?』『入れないの。』『・・・その辺で野宿すれば?』私は冷たく言い放った。まだ彼氏さえ、訪れたことのない乙女の城に、豊なんぞ入れたくない。『変な風に思われたくないのよ。』『どうせ、誤解されて困るような彼氏もいないじゃん。あっ・・・彼氏じゃなくって、ご近所さんとか?』このやろう・・・絶対泊めてやるもんか。『じゃあ。私、明日早いから。』そういって、私は受話器を置こうとした。その気配を察したらしい。『た、たんま!玲・・・いや玲ちゃん。』豊が焦った声を出した。さすがに勘はいい。そこで受話器を置けなかった私はつくづくお人よしだ。『頼むよ~っ。一晩だけでいいんだよ。』豊のもの悲しげな声に、ついほだされてしまった。明るいグアムの日差しの下、アロハシャツなんぞ纏っているであろう、叔父夫婦を思い浮かべて、取り残された豊がなんだか可哀想になってきた。ああ・・・これが身内の情ってものなのね。『わかった、わかった。でも今夜一晩だけだからね。』『サンキュウ~ッ!!』勢い込んだでっかい豊の声に、再び鼓膜を破られそうになって、私は早まったかなと思い返した。でも既に電話は、ツーツーという空しい音を響かせている。はあぁ~~~。私は重いため息をつきながら、受話器を置き台所に向った。冷蔵庫を開けてみると、運良く、ナスとキュウリが見つかった。少し干乾びているが、豊にはこれで十分だ。戸棚から、割り箸を取り出して、ナスとキュウリに、やけ糞のようにぶつぶつと刺してゆく。不恰好な馬と牛が出来上がった。アパートの入り口で、迎え火を焚いても、大家に怒られないだろうか?窓の外は、夕暮れの光で満ちている。お盆も終わり、たくさんの魂たちが、あの世へと帰っていくのだ。空にはもう秋の気配がしていた。
August 21, 2005
ドロップの缶を傾けて、中から宝石のようにキラキラした塊を取り出した。オレンジ、イチゴ、メロン味。レモンに、ミントに、チョコレート。ひとつずつ大事に食べていたけど、もうこれで最後の一個だ。缶を振ると、からからと楽しげな音。その音を楽しみながら、スキップを踏み踏み公園に向う。『おい僕にも飴よこせよ。』まずい・・・おにいちゃんに見つかっちゃった。『お兄ちゃんも、ドロップの缶貰ったでしょ。』『もうとっくに食べちゃったよ。よこせよ。』そういうなり、お兄ちゃんは私から無理やりドロップの缶を奪い取った。『返して!最後の1個なんだよ!特別なドロップなんだよ!』お兄ちゃんは、ニヤニヤしながらドロップの缶を持った手を高く上げた。私はサンダルのかかとを精一杯上げて、爪先立ちになる。もう少しで手が届きそうだ。『えいっ!』思い切ってジャンプしたら、ドロップの缶に手が触れた。 ドン!『あっ!』私は、お兄ちゃんに突き飛ばされて、固い地面の上にしりもちをついてしまった。お尻が痛い。でも、もっと他の部分が痛くなって、私の目がジンと熱くなった。『お兄ちゃんの馬鹿!』お兄ちゃんは私が馬鹿といったとたん、ものすごく怒った顔をした。そして、ドロップの缶を開けると、中身も見ずにからりと口に傾けた。『うまい!』お兄ちゃんは私を見下ろしながら、自慢げにそう言った。『これは何の味だろ?ヒヤッとしてるからミント?う~ん。ちょっと違うぞ。ちょっぴりすっぱいからレモンかな?なんだかりんごみたいな匂いもする・・・。』お兄ちゃんは、ドロップの味をあてようと一生懸命だ。『それはお星さまなんだよ。』私は、顔中くしゃくしゃにしながらおにいちゃんに言った。『ぷっ!』お兄ちゃんはいきなり噴出した。それからげらげら笑い出した。『お前って本当に馬鹿だな。』お兄ちゃんは笑って、笑って、それからひゅっ吐息を吸い込んだと思ったら、目をぐるぐる回しながら喉を押さえた。『やべ。飲み込んじゃった!』お兄ちゃんは、おなかを二つ折りにしながら、喉をげこげこ鳴らして苦しみ始めた。お兄ちゃんの息がヒューヒュー鳴った。お兄ちゃんの顔が赤くなり、それから青くなり、終いには紙のように白くなっていった。お兄ちゃんの膝が、がくんと地面に落ちた。私は怖くなって、お兄ちゃんにしがみついた。『お兄ちゃんしっかりして!』そのとたん、お兄ちゃんの喉からけくっと音がした。そして、お兄ちゃんの顔色はたちまち元に戻っていった。『ふう。苦しかった・・・。』それから、泣きべそをかいてる私を見て、なんだか困ったような顔をした。『お兄ちゃん大丈夫?』『ああ・・・。』だけど、お兄ちゃんはちっとも大丈夫じゃなかった。『あれれ?なんだか、おなかが暖かいぞ。』お兄ちゃんは、シャツを捲り上げて、自分のおなかを見た。おなかは、蛍のお尻のように、ぽおっと光っていた。『なんだ?何でおなかが光るんだよ。』お兄ちゃんはぎょっとして、おなかを押さえたリ、さすってみたりしている。『だからお星さまだって言ったのに。』私は残念だった。お星さまをせっかく、お日様の下の公園に案内しようと思っていたのに。お兄ちゃんのおなかの中なんて、真っ暗で、夜空と何も変わらない。ただずうっと狭いだけだ。それから1週間。お兄ちゃんのおなかは輝き続け、お兄ちゃんは私の姿を見ると一目散に逃げ続けた。私がおにいちゃんに向って、願いを3回唱えると、お兄ちゃんは必ず叶えなくっちゃいけないからだ。昨日はブログをお休みし、妹と病院に行きました。手術は来週に行われる運びとなりました。難しい手術ですが、幸い、その分野では有名な先生が、執刀してくださることになったので、きっとうまくいくと信じます。先生も『10年に一度ぐらい珍しい遺伝病。』と言ってましたが、腕には自信があるようですし、『病状が進んでいるのにもかかわらず、不思議なほど視神経は綺麗なまま。』と言うことです。きっと祈りが通じているに違いないと思いました。私たち家族、妹本人だけでなく、皆さんの祈りのパワーです。本当にありがとうございます
August 20, 2005
今、受話器を置きました。明日はいよいよ、妹と病院に行ってきます。手術のお話になるでしょう。電話での声は元気そうだったけど、やはり少し落ち込んでいるみたい・・・。しま妹『病院って病院食まずいだろうなあ』しましま『差し入れに行くよ。』しま妹『暇そうだよなあ。』しましま『お見舞いに行くってば。』しま妹『目の手術って、部分麻酔だって・・・。』しましま『・・・・・全身麻酔より、ずっと安心だって聞いたよ。』しま妹『メスとか、自分の目に下ろされるの見えるんだよねきっと。』しましま『・・・・・・ま、麻酔で、ぼおっとなってるから、よく解らない と思うよ・・・大丈夫だよ!』しま妹『あのさぁ・・・私の病気、遺伝だって言うからさ。 明日、お姉ちゃんと、桃も一緒に検査したほうがいいよ。』しましま『私たちはいいから、自分のことだけ考えてよ・・・』しま妹『そうだ!ふくちゃん△・ェ・△の予防接種も行かなきゃ。』しましま『・・・だから・・・心配しなくってもいいってば(;_;)』どうか明日は、医者から良いことを聞けますように。
August 18, 2005
『恋』あなたの涙が私の中で泉になるあなたの声が私の中で羽ばたいていく私を呼んであなただけの呼び方でそれはひとつの魔法あなたの瞳の中で私は変わっていくなんとなく恋の歌・・・いや・・・別に主人が帰宅したからじゃないですよ~(赤面)
August 17, 2005
今日は小説を書こうと思ったのですが、頭の中が他のほうに向いててできません。私の小説を読んでくださっている方々には申し訳ありません実は、妹が目の手術をする事になりそうなんです。先天性の目の病で、非常に珍しい病気だそうです。最近、調子が悪いと思って病院に行って発覚。薬を貰って飲んでいたそうですが、なかなか効かないので、手術したほうがいいと言われたそうです。でも失明の危険もあるというので不安。金曜日に一緒に病院で、詳しい事を聞く事になりました。一緒に旅行に行ったときは、明るくてそんな不安があるなんて思いもよらなかった。姉として気がつかなかった自分にショック。旅行中に心配かけたくないって黙っていたんだって。妹は『けっこうその分野では有名な医者だし、両目というわけでもないし、大丈夫だと思うよ。それより入院中は、目を酷使できないし、退屈だからどうしよう~。ドラマCD買ったり、小説が吹き込んであるテープでも、図書館で借りていこうかな。』なんて笑って言っていましたが、なるべくマイナスな事を考えないようにしてるんだろうなあ・・・。そんな妹を前に、私が暗くなってどうするって、笑って見せたけど・・・(>_
August 16, 2005
夏休みには、海に山に温泉にと楽しんできましたが、今回の目玉?は、西沢渓谷でした。山梨市の山の中、川岸をハイキングして、自然を満喫しようというプラン。でも、でもっ!日頃の運動不足がたたり、4時間半はけっこう辛かったです。最初の頃はそれでも辛くなかったです。人二人並ぶにはきつい川べりの細い道を、足元に気をつけながら歩む。時々立ち止まって、下の渓谷を見下ろし、滝や奇岩石を楽しむ。また時には頭上を見上げると、空を覆うほどの緑。汗が流れるほど暑いのに、時折ひんやりとした空気が漂う。 『ああ~っ!マイナスイオン~っ!』などと感嘆?しながら歩いていくと、道の片側は、山肌の濡れた岩石の壁になり、じゅうたんを敷き詰めたような緑のコケ、清水が滴る中に、ひょいとどこからか蛙が姿を現したり・・・小さな花が咲いていたり。足元が危ないので、とても見ながら歩くというわけにはいかなかったけど、それでも散策めいてました。だけどやがて道はどんどん険しくなり。 ハイキング?これがハイキング? 違うよ登山・・いいや・・・探検隊だ~っ?!思わずそう問いたくなるような、細いがけっぷちが続きます。ぐらりと揺れる石を踏んで、鎖の手すりを頼りに一歩一歩傾斜を上がります。次第に意気が上がり・・・足は重く。途中で何度も休みました。でもやはり点在する滝そばで休憩は気持ちいい。日向にある岩でさえ、なぜか触れるとひんやりと冷たい。水に入ろうものなら、しびれるような冷たさを感じます。おやつは、汗をかくからと、しょっぱいものをたくさん持っていったのですが、欲しくなったのはどちらかというと、甘いものが売れ行き大でした。それとスポーツドリンク。もちろん売店も休憩所もトイレもゴミ箱もないところです。事前に飲み物は必需品。本当は川の水が飲みたかったんですけどね(^^)木の板を並べた階段が現れた時は、 おお~ッ!文明だっ!と思わずおおはしゃぎ。ちょっとなさけない。長い階段を上がると、ようやくそこは折り返し地点でした。帰り道は、山の中ですが、川べりから少し上がった位置にある、トロッコ道。道はようやく、いかにもハイキングめいた、両脇を木々に囲まれた茶色い地べた山道。途中途中で1人ずつしか渡れないような釣り橋などがありますが、ぐっと歩くのは楽になりました。でもね。その楽な道を歩いているときふと恐かったんです。なぜかって?気がついたらもうずっと、私たち家族以外の人間に、会っていないじゃないですか!折り返し地点まではあんなに人がいたのに。後ろを振り返っても濃い緑に阻まれて、通って来た道も消えていきます。前方も見通せず、空もあまり見えず、水の流れる音はするものの、川の姿すら見えません。圧倒的な自然の中、空気までもが、緑に染め上げられて、私たちはその非日常的な空間の中で、とてもちっぽけな存在です。 たぬきに化かされていないといいけど。私は笑いながら言ったけど、本当にちょっぴりぞくっとしていました。エアコンの効いた部屋の中であこがれる自然とは、まったく違った自然の神秘さを感じました。もっともしばらくいくと、後ろから男の人が現れ、私たちを追い越し、さっさと通り過ぎていったので、どうやら不思議な世界に入ったわけではないと、心の中で安心し、自分の想像力に思わずにやっとしてしまいましたが。思いっきり疲れたし、しんどかったし、少しばかり恐かった。でも・・・。 また来年ぜひ来て見たいな。そんなふうに思える体験でした。もしかしたら・・・渓谷の神様に魅入られちゃったのかもしれませんね(^^)ハイキングロードは45分コースの軽いのからあるので、お近くを訪れた方は、ぜひ自然の真っ只中に行って見ませんか?
August 15, 2005
[壁]_・)ちらっ・・・誰かいるかな・・・?ただいま~\(^o^)/夏休み旅行から帰ってきました。Uターンラッシュに巻き込まれ、一日遅れの帰宅です。行ってらっしゃいコメントしてくださった方々。夏休み中も訪れて下さった方々。そして、今これを読んでくださっている方々。ありがとうございます留守の間に、私のささやかな小部屋(ブログ)さぞかし埃が被り、閑古鳥は鳴き、ゴキ○リも出没してるかも~ッと思ってましたがトンでもない。皆さんのおかげで、久しぶりに戻った我が家に明かりがぽっと灯っていたような気分です(^^)明日からまた張り切って続けらます。こにゃん君もニャンニャかお膝にしがみついて離れないし。ふらりと夏を味わいに外に出るのも一休み。風鈴の音を聞きながら、猫を膝に小説でも書きましょうか・・・。ムムッ!なにやら文豪のようではないか~♪(←真正アホ) 桃『ママ~ッ!明日プール行こッ♪』 しましま『ま、待ちなさい・・・ママには書かねばならぬものが~ッ!』 こにゃん『筋肉痛で動けないだけにゃん?もみもみもみ・・・』とりあえず、明日は旅行のご報告をする予定です。小説はそのあとで・・・。たっぷり吸い込んだ夏の香りが、美味く表現できるでしょうか・・・。
August 14, 2005
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