メートル・ド・テル徒然草

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エルネスト1969

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May 19, 2006
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心理学における用語で「熟知性の原則」と言うものがあるようです。

 例えば、よくある社内恋愛がいい例で、頻繁に顔を合わせている相手とは恋に落ちやすいと言います。これは繰り返し会う人とは無意識のうちに好感度が高まっていくという感情から来るものです。

 さて、レストラン・サーヴィスにおいてもこの「熟知性の原則」は大いに活用できそうです。例えばソムリエがワインをお勧めしたい、と考えるならまずお客様が席に着かれた際にアペリティフ(食前酒)を伺いにいく。よしんばアペリティフが出なかったとしても、長い時間をかけて「交渉」を行うことよりも、同じスタッフが回数を重ねて接客にあたる方が、この原則を用いるならば、後々にお客様の信頼を得る率は高くなるといえます。

また、心理学という学問からの見地から、

・一度誰かからの頼みごとを断ると、次にお願いをされた時は気が引けて受け入れてしまう。
・小さなお願いごとを一度受け入れると、次に頼まれた時にもその依頼を受け入れてしまう。

という心理が働くそうです。
 この2点、前者を「ローボール・テクニック」と言い、後者を「フット・イン・ザ・ドア テクニック」と名付けられているそうで、多くの企業の営業テクニックには知らず知らずに用いられています。が、ちょっとお客様には大きな声では言えませんので、また詳しくはあらためてお話したいと思います。

 さて、ソムリエの方々、またソムリエで無くてもレストランサーヴィスの方々がワインやおすすめの料理を販売してアップセールを図る時にも「心理学」的な要素は様々に応用できます。


 仮に「どのワインがおすすめですか?」とお客様に質問されて、すぐさま「こちらなどいかがでしょう、、、」と1種類だけの商品を答えたとします。すると、お客様にとってはその商品、ワインに対する判断は「いい」か「悪い」かの判断をするかだけになってしまいます。

 しかし、候補が複数存在するならば、どれが良いか選択するという判断が生じることになります。いくつかを比較しているうちに自らがお薦めしたい本命のワインに対してのメリット、デメリットが浮き彫りにされて自ずとそちらに傾くということもあります。

 選択肢は多すぎても、お客様にとってはストレスとなりがちです。よく失敗しがちなのが、「どれが美味しいの?」と尋ねられて。「ウチのお店はどれもおすすめです。」というような受け答えをしてしまうケース。
 この場合には例えいづれの商品も良いものであっても、お客様のサポートにはなっていないからです。

 再びワインを例にとって挙げるなら、A)非常に高価だが、味も抜群に美味しいもの B)予算も味わいも標準的なもの C)Bよりはややリーズナブルでも味わいはちょっとハズしたもの。
 この場合、本命はBですが、AとCについても考慮せねばならないのは、「捨て駒」でありながら、もし仮にA、Cが選ばれても適当な着地点であることと、Bを引き立てるための要素を持ち合わせていなければならないことです。
 様々な可能性を予見するには、サーヴィスマンとしての経験と、深く考慮する姿勢が必要です。しかし、この「具体的に選択できる。」ということがお客様にとってサーヴィスと成り得ます。

 以上のような観点から、レストラン・サーヴィスにおいて、

1)アペリティフに始まり、お客様にこまめに接することは続いての眼に見えない信頼関係に繋がること。
2)例えば、ワインリストに回転率の悪いワインがあったとしても、お薦めしたい商品の有効な「捨て駒」に成りうること。

などが考察できるのではないでしょうか?










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Last updated  May 19, 2006 01:19:11 AM
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背番号のないエースG @ チョコレート 「風の子サッちゃん」 ~ Tiny Poem ~…
坂東太郎G @ 「辛味調味料」そして考察(01/16) 「石垣の塩」に、上記の内容について記載…
エルネスト1969@ Re[1]:ホスピタリティは「人」ありき(10/04) はな。さんへ コメントありがとうございま…

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