メートル・ド・テル徒然草

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エルネスト1969

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Aug 10, 2006
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 さて、先日の「海の幸のコースフェア」の際の事。
 当日はコースのメニューとして特別料理が設定されていました。

 あらかじめ料理の内容が決定していますので、料理と相性の良いワインをソムリエ一同でチョイスします。料理とともにワインとの「マリアージュ」を体験していただこうと言うのが狙いです。

 ワインはテーマが「海の幸」ということもあって、白ワイン3本とプラス1本の計4本です。このワインそれぞれはボトル単位での販売はもちろんですが、普段は提供していないグラスでの販売もします。

 さて、3本「プラス1本」と紹介しましたが、実は4本目の「プラス1本」はおすすめワインリストには記載しませんでした。口頭での販売のみです。

 料理を始められるお客様に、本日のおすすめワインをご紹介しました。
 ワインは3種類、それぞれグラス販売なら一杯、1400円、1800円、2000円とあります。

 お客様がチョイスしていただき易いように、現物をテーブルまでお持ちして、ワインそのものをご覧いただきながら、味わいなどを説明して行きます。

 が、テーブルにお持ちするのは4本のワイン。最後の1本が「プラス1本」のワインでした。



 確かに「幻のワイン」かも知れません。名前を聞いたことのある人は多いと思うのですが、ソムリエ資格者でもなかなか口にする機会は少ないように思います。

 ワインの味わいのテクスチャーそのものよりも、生産者の方が随分有名かも知れません。
 昨今、「自然派ワイン」「ビオ・ワイン」として、有機栽培や無農薬に取り組む栽培者が人気ですが、その第一人者でもあり、また「バイオ・ダイナミクス」への取り組みにもカリスマ的な存在の方です。
 この「バイオ・ダイナミクス(ビオディナミ)」において、この栽培者は少々極端で、月や惑星の動きを計りながら栽培や収穫を行い、また、畑にはそのパワーを吸収する目的から砕いた水晶を撒きます。また、プレパラートと呼ばれる特殊な有機物、例えば牛の角などを畑に埋めて、葡萄が潜在的に持つエネルギーを最大限に引き出そうとします。

、、、さて、ここまでお話して、私はこのワインのセパージュ(ぶどう品種)もAOC(生産地域名)も、その年がいかなる気候条件の年であったのか、いわゆるヴィンテージについては一切説明してはいませんでした。

 お客様が、人が、「美味しそうだ」と思ったり、興味のある「衝動」を呼び起こす要素は、必ずしもそのワインの「成分」やその年の「気候条件」などでは無いからです。

最後に、私は、

「…しかし、ちょっとお値段が張るんですよ。一杯3500円で販売させていただいてるんですが、、、」
(ちなみに、金額の提示は税金・サービス料込みの価格です。)

…さて、この1杯3,500円のワイン。お召し上がりいただけたのかどうか、、、その点は読者の皆様のご想像にお任せします。


心理学風にいえば、人間の思考はあらかじめ提示された情報に、知らず知らず縛られることが多々あります。


 もちろんいざ提供する前に自身がテイスティングを行ってそのワインなりの美点を把握しておくことが大事なのですが、
「あっさりしたワインです。」
とか、
「柑橘系の香りが感じられますね~。」
と言った会話による情報に人は「思い込んで」しまう心理があるのです。



 サービスマンとして、好感を持たれるような第一印象とは、、、

(続く、、、)





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Last updated  Aug 10, 2006 02:08:21 AM
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背番号のないエースG @ チョコレート 「風の子サッちゃん」 ~ Tiny Poem ~…
坂東太郎G @ 「辛味調味料」そして考察(01/16) 「石垣の塩」に、上記の内容について記載…
エルネスト1969@ Re[1]:ホスピタリティは「人」ありき(10/04) はな。さんへ コメントありがとうございま…

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