PR
コメント新着
New!
ナイト1960さん
New!
MoMo太郎009さん
千菊丸2151さんカテゴリ
「あの梅の木は」 第
18
話
※ 裕也と香織が日程を調整し始めた。
「俺、今週は有給取れそうにない、香織は?」
「取れないこともないんだけど、裕也に合わせて有給取る必要が
出来た時のことを考えると今週は控えておいたほうが・・・ねえ」
咳払いのあと、マスターが口を開いた。
「ちょっといいかな?」
「もう少し待っていただけますか?」
「いや、スケジュールは君たちに合わせられるから」
「え?」
実はこのマスター、水道道路沿いにマンションを持っていて、
その賃貸料で生活出来ると、そんな身分であることを淡々と語
ったのである。
「ブルース」の売り上げは赤字でなければ大丈夫、そういう事
らしい。
「だから、店休日にはこだわらないよ」
なのである。
「そうなんですか・・・凄いですねえそのお歳で・・・」
「あ、いやオヤジっていうか、江戸の昔から笹塚に土地が
あって・・・」
「ああ、そこにマンションを建てたというわけですか?」
「うん、そうなんだ。今まで言わなかったけど、これから先も
この件で君たちは仕事上のスケジュールを調整することから
逃れることは出来なくなるだろう、多分。
そしたらそのうちに会社に嘘をついてやり過ごすことにもなり
かねない。
それを黙ってみている訳にはいかない。だからぼくの予定は頭
に入れなくていいんだ」
ブルースの店内は、しばし沈黙に支配された。
裕也と香織は、かれらなりに感動していたのだ。
(この人は本気で取り組んでくれている!)と。
「わかりました。じゃあ今度の土日は臨時休業ということで、
お願いしていいですか?」
「もちろん、 OK だよ」
時間と落ち合う場所は金曜日までに知らせるということでふたりは
店を後にした。
「こないだも言ったけど、あの人に話して良かった。そう思ったよ」
「さっきのマスターが言った、ある意味告白話ね。私も誠実な人だ
と思った。私たちの話を真面目に聞いてくれたって・・・
感動したわ」
裕也はそっと香織の手を握って、
「それもこれも、香織が勧めてくれたからだよ、ありがとうな」
「それ、こないだも同じこと言ってくれた・・・」
「・・・そうだった?」
「そうでした・・・」
裕也は2度ばかり小さく頷いてから言った。
「ところで、マスターには何時ごろ来てもらう?」
「そうねえ・・我が家は土日の朝はゆっくりしてて、ブランチ
になる
のよね、朝ごはんじゃなくて」
「俺もそうだな・・・じゃあ、土曜のブランチが終わって片づけも
済んで、コーヒータイムの頃・・・昼過ぎってことでどう?」
「そうね、そうしましょ。裕也明日にでもマスターにお知らせしといて
くれる?」
「うん、分かった。電話でお知らせしとくよ」
ちょうど計ったかのように香織の家の前に差しかかった。
どちらからともなく、キスを交わし・・・
「おやすみ裕也」
「おやすみ香織」
と、いつもながら仲の良いふたりだった。
いつも有難うございます。(^^♪
「あの梅の木は」 第19話 2026.07.23 コメント(2)
「あの梅の木は」 第17話 2026.06.29 コメント(4)
「あの梅の木は」 第16話 2026.06.16 コメント(4)