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2004年08月24日
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テーマ: 法律(494)
カテゴリ: 刑法

構成要件は実行行為・結果・因果関係・故意が必要だ
そして、実行行為・結果・因果関係まで申し上げました。
さて、いよいよ故意です。

故意とは 罪を犯す意思 です。
といっても、明確に「罪を犯してやろう」と意識する必要はありません。
「結果が発生するかもしれないけど、ま、いいか」程度でも十分です。
これを「未必の故意(みひつのこい)」と言います。
殺人罪であれば、「あいつを殺してやろう」という意思が故意に当たるのはもちろんです。
さらに、「あいつが死ぬかもしれないけど、ま、いいか」と
言う意思も未必の故意として故意が有ることになります。

そして、故意が無ければ処罰できません。

第三十八条  
罪を犯す意思 がない行為は、罰しない。
ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。

ではこのような場合はどうでしょうか。
「蒲原達樹は清水貴君を殺そうと思って清水君に向かって拳銃を発射したが、弾丸はそれてしまい、たまたま通りかかった草薙充氏にあたり草薙氏は死亡した。蒲原は清水君だけを殺したかったのであり、草薙氏を殺すことなど思いもよらなかった」
蒲原は清水君に対する殺人罪を犯す意思はあったのですが、草薙氏に対する殺人罪を犯す意思はありませんでした。ということは、蒲原は草薙氏に対する殺人罪は成立しないのでしょうか。

とすると、清水君は死んでいない以上清水君に対する殺人罪は
当然成立しません。そして、草薙氏に対する殺人罪も
成立しないとすると、蒲原には殺人罪が成立しないことになります。(この場合、過失致死罪は成立します)
人が一人死んでいるのに殺人罪が成立しないというのは何か変ですね。

そこで、ちょっと考え直しましょう。
故意 とは 構成要件 の要素です。そして、構成要件とは法律に定められている要件でした。
ということは、故意でいう罪を犯す意思とは、法律に定められている内容を犯す意思というように考えるべきでしょう。
従って、故意の内容としては被害者まで検討する必要は無く、
法律に定められている内容を犯す意思があれば充分ということになります。
殺人罪で言えば、条文は以下の通りです。

第百九十九条  
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは三年以上の懲役に処する。


被害者が誰であろうと人を殺せば処罰されると書いてあります。
つまり、殺人罪の故意としては人を殺す意思があれば十分と言うことになります。
なので、
「蒲原達樹は清水貴君を殺そうと思って清水君に向かって拳銃を発射したが、 弾丸はそれてしまい、たまたま通りかかった草薙充氏にあたり草薙氏は死亡した。
 蒲原は清水君だけを殺したかったのであり、草薙氏を殺すことなど思いもよらなかった」
という例でも蒲原は人を殺す意思があったことに変わりはありません。
従って結果的に誰が死亡したとしてもその死んだ人に対する
殺人の故意があったことになります。
この例の場合では、蒲原は清水君を殺す意思しかありませんでしたが、人を殺す意思があったことになります。そして、蒲原は草薙氏という人を死なせてしまったのですから、草薙氏死亡について故意があることになります。
(これを学問上「方法の錯誤」と言います)

次に、こんな場合を考えてみましょう。
「蒲原は清水君を殺そうと思って待ち伏せをしていた。
 しかし、清水君は来ず、たまたま草薙氏が蒲原の前を通りかかった。 蒲原は草薙氏を清水君だと勘違いして拳銃を発射し、草薙氏が死んでしまった。 蒲原は清水君だけを殺したかったのであり、草薙氏を殺すことなど思いもよらなかった」
今度は、清水君は影すら見せていません。
でも、先ほどの例と同じように考えればよいのです。
蒲原は清水君を殺す意思があったのですから、人を殺す意思があったことに変わりはありません。
そして蒲原は草薙氏という人を殺してしまったのですから草薙氏死亡について 故意 があることになります。
(これを学問上「客体の錯誤」といいます)

長々と述べましたが、よく考えれば普通のことですね。
人を殺そうと思って人を死なせたら殺人罪に問われるのは当たり前です。





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最終更新日  2004年08月24日 00時37分19秒
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