かりん御殿

かりん御殿

January 28, 2006
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テーマ: 海外生活(7776)
カテゴリ: 旧(英国生活内情)
...で、前回の日記より十日が経過し、今朝、無事

9時15分から10時まで講義をする予定のS先生
(スリランカ出身・南方仏教徒)が
学校に着いたのが9時半近くだったので
私が付け足す部分が大幅に減りラッキーと思っていたところ
なんと「もし時間に急いてなければ
(10時半~11時の)休み時間の後に続けてほしい」と
頼まれ、結局、30分やるはめに....


仏教の教義的な事は、全てS先生が解説済みだったので
私は、子供達を周囲に集めて坐らせて
ネットから拾って印刷していった写真を見せたり
家にあった小さな仏教系グッズに
じかに触らせながら質問に答えて、やり過ごしました。

子供達は、ふだん馴染みの無い仏像だの、お守りだのに触れて
それなりに楽しかったかもしれませんが
はっきり言って、私の方の付け足し授業は、
仏教的知識とは無関係だったと思います。フォフォフォフォ


さて、まず
子供達が授業中にS先生にぶつけた質問を

子供達が授業で習得した仏教用語
「enlightenment」「enlightened」は
「成仏」だと別のイメージが湧き上るので
とりあえず「悟りを開く」と訳しておきます。
中国語では「覚悟」が主に使われるようですが

「覚醒」?(だと、つい覚醒剤に連想が....??)


☆質問1:
「ブッダ(お釈迦さま)の息子は悟りを開いたんですか?」
(ぐわっ、鋭いっ。)
(確か釈迦は母に説得されて母と嫁が尼になるのを
認めたって書いてあったが、出家する際生まれたばっかりだった
あの王子は、一体どうなったんだ????)

S先生も、一瞬、言葉につまった後、回答:
「おそらく....悟りを開いた...と思います....」

☆質問2:
「なんでブッダのお腹は大きいんですか?」
(ブッダっていうか、それ、布袋さまだっつぅのよっ)

S先生の回答:
「太ったブッダは中国や日本で見かけるものですが
皆さん、悟りの境地に達した人は、どんな感じでしょう。
悲しそうな様子だと思いますか?(子供達、首をふる。)
きっと楽しげなんじゃないでしょうか?
太ったブッダは、そんな悟りに達した仏の
楽しげな様子を表現しているんです。」


☆質問3:
「なんでブッダの耳は長いんですか?」
(出たっ、福耳っ)

S先生の回答:
「当時のインド人の王族は、貴重なイアリングを
付けていたので、その重みで耳たぶが長くなっていたのです。
釈迦は出家する時にイアリングを全てはずしましたが
耳は、もう伸びているので、長いままなのです。」
(知らなかった~~っなんて現実的な理由だっ!!)
とりあえず、後で、日本や中国では、
長い仏耳が福耳と言われている事を付け足しました..。


☆質問4:
「どうしてブッダは青いんですか?」

S先生回答
「いや、青いブッダは無いと思いますよ。
それは、おそらくヒンズー教の神でしょう。」


☆質問5:
「なんでブッダには、たくさん手があるんですか?」
(おぉ、千手観音か?)

S先生回答:
「それも、おそらくヒンズー教の神だと思います。
通常、仏像の腕は二つです。」


☆質問6
「S先生は、誰か悟りを開いた人をご存じですか?」
(おっ、どんどん核心に迫ってくるっ)

S先生ふたたび一瞬絶句、う~~んと考えた末
「私の導師の導師は、悟りを開いたと思います。」


☆質問7
「先生は瞑想中に体が浮いた事がありますか?」

S先生、一瞬微笑し、まじめに回答
「実際に浮いた事はありませんが、瞑想中に
体が軽くなって浮いた様な感覚を味わった事はあります。」


....と、ここで担任の先生が質問を打ち切ました。

例の「神とブッダとの概念の違い」ってのは
結局どうなったんだろうか????

ともかく、かくして、私の番になったのですが
最初に、これだけははっきりさせときゃなきゃな
と思っていた「卍(まんじ)」の説明をしました。

この日本や中国じゃ地図で寺を示す記号にもなっている
「卍」
欧州じゃナチの鉤十字印(ハーケンクロイツ)のせいで
タブーなんです。
鉤十字そのものの「逆卍」だけじゃなく
向きの違う、より一般的な卍でさえも
大反感を買ってしまうんです....
(以前ポケモンカードも当初卍を使っていたデザインの
変更を余儀無くされたそう。)
(また日本の漫画&アニメ「ナルト」の額の卍印は
アニメでは海外市場を考慮してX印に変更されたそう。)

私も、この卍印で誤解されるのが怖くて
せっかく浅草寺で買ったお守りを
車にぶらさげるのを控えたくらい...

大迷惑なんだよっ、ヒットラーっ!!!!

いや...
もっと迷惑なのは、今でも、この印を使用しているネオナチか....

くやちぃぃぃ~っ

この卍話に、担任の先生・S先生は大きく頷いていました。

その後、怒りが収まったところで
日本の仏壇の写真
中国でのお墓参りの写真
おみくじ結びの木の写真
浅草寺の境内の写真等を見せながら
以下の様な持参した仏教グッズを
子供達に回覧させました。

高さ16cmあまりで観音開きの木製の屏風に
仏・菩薩が一同に会している色鮮やかな絵がかかれ
開く扉の部分にお目出たい対句の書かれた置物
(裏には般若心経)
(夫が上海の静安寺で購入)

だるま(高さ9cm・大昔東京で購入)

木製仏像座像(高さ15cm・夫がどこかで買って来た骨董)

白衣観音座像(高さ12cm・大昔、私が中国で購入)

浅草寺のお守り

浅草寺のおみくじ
(おみくじをゆわく木の写真も見せました)

表裏に仏像と干支の絵が彫られた金製お守りペンダント
(上海の静安寺で開光したもの)

浅草寺で買った水晶の数珠風お守り
(これは、休み時間、校庭で隣のクラスの女の子達に
見せていた時、紐が切れて散乱っっ~~、何故????)

中国で墓前に供える紙製の金の延べ棒
(はっきり言って仏教とは無関係だ!!)

私が、ほんの若干驚いたのは
S先生が日本の「だるま」を全く知らなかった事です。
「Dharma」「達磨」から発展した日本の「だるま」は
今回、初めて実物を見るというよりも
存在自体全くご存じなかったそう。

ま、そりゃそうだろうな~~
禅のシンボル的な達磨だけど
そもそも禅自体、北方仏教(大乗仏教)だし
このハリボテの「だるま」も、日本独特の物...(だよね?)

「仏教の根本的な教義や核的概念は共通だが
慣行や行事や実践は、各地域によって非常に異なる」
と、S先生と相槌を打ちつつ
「日本では、お寺によっては、境内に
仏教とは異なる宗教である神道の神社が入っている所もあるし
仏教は、中国では道教や儒教の影響を受け
日本では、神道とも共存して来た事」など続けて説明したところ
担任の先生、ここで何回か大きく頷きました。

きっと、下調べをされていたのでしょう。
そう言えば先生、私に授業の手伝いを依頼する時
「日本のShinto Buddhismについて話してね」
って言ってたんだよなぁ~。
Shinto Buddhism...神道仏教?...っすか...
その時は一瞬Zen Buddhismの間違えかと思ったが
きっと先生は神道についても調べていたのでしょう。

S先生の方は、ここで微笑みながら
「欧州の仏教には欧州的な影響が見られるんですよね...」
と付け加えられました。

そう、そう!そうなんだよっっ!!
欧州の仏教は欧州っぽいのだよっ!!!
一神教の特徴と私には思える「神と信者との契約」を
仏教徒が求めているような、そんな印象を受けるのだ。
(これが違和感のもとか????)
しかし、仏教ってのは、そもそも契約じゃないもんね。
強いて言えば自己啓発....やっぱり哲学だよなぁぁぁ
でも、菩薩信仰なんかは、宗教っぽいんだけど...

等と、心の中で考えつつ子供達の反応を探ると
「ふ~ん??」といった表情が主。
おそらく
「プロテスタントとかカソリックとか
ギリシャ正教とか英国教会とかの違いみたいなもんか?」
と思った子供もいることでしょうが
大抵は、「よくわからんが、どうでもいいや」
といったものだったかもしれません....(^^;)


ともかく、気を取り直して
上の質問5でも出した
「腕のたくさんあるブッダ」に
追加説明しなきゃと、写真を見せながら
「実は、北方仏教には
手が千本もある菩薩がいるんですぅ~。
菩薩というのは、悟りの境地に達していながら
仏にはならず、この世に留まり、衆生が
成仏できるよう守ってくれるという存在です~。
この菩薩信仰が北方仏教の特徴でもあります~。」
と説明しつつ
「色々な菩薩がいて、こんな風に
手が千本、目が千個ある菩薩もあるし...」と
三十三間堂の
千手観音が群れている?写真を見せると

「わぁ~、すごいたくさん~っ」との声少々。
(ふふふ、しめしめ...)
すかさず
「仏像の大きさには限りがありません」と

鎌倉の大仏の写真
に移ると
「大きいな~」との声がさらに増え

その次の
中国楽山の巨大石仏の全体像
及び、その大仏の100人載る脚の写真の時には
「わ~っ、もっと大きい~っ」との声が
クラスのあちこちからあがりましたが
ここで終わらせず
とどめに
仙台?の超巨大観音像の写真を広げた私です。

観音
(どうぞ、こちらで大画面でご覧下さい↓)
http://members.at.infoseek.co.jp/sendaimedia/daikannon.htm

もちろん
クラス中から「massive!!!」との大歓声。

しかし.....
はっきり言って....
仏教的知識に貢献する要素は....皆無...か??
これって
単なる私の自己満じゃんか~~っっ!!
「どうだぁ、見たかぁ~~
こぉんな大きな仏像があるんだぞぉぉぉ」みたいな....


大きければいいってもんでもないだろっっ!!!(^^;)


もちろん、仏教徒は仏像を崇拝するんじゃないのよ
単に、仏像を見て楽しむとか心に平安をもたらすとか
そ~ゆ~意味だからね...とは、授業でもやっているし
一応、私も念を押しておきましたが....
全然聴いてる気配は無かった...な....

結局
「仏教=でっかい仏像」
で印象つけてしまったような....

「仏教=Fat Belly (デブ腹)」
の印象よりは.....まし??

ちなみに、放課後、長男を学校に迎えに行くと
ニコニコしながら歩みよられた校長先生から
「今日は子供達が大喜びしていました。
仏教を生きたものとして感じる貴重な機会を
ありがとうございました。」
とお礼を言われました。

......とりあえず、良しと...するか......?...?





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Last updated  January 31, 2006 05:32:45 AM
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